今回からまた投稿時間を変更します。
一周回ってきた感がありますが、引き続きよろしくお願いします。
01.三年後
「あれ?」
おれは対局相手の確認に将棋会館に来ていた。そこで対局予定表を確認してその内容に疑問を持った。妙に今後予定されてる対局相手が高段者や実力者ばかりなのだ。
なんでだ? 対局予定表の隅から隅まで見回す。
「あ」
そして気付いた。
「B級1組ィ!?」
なぜか俺の所属がB級1組になってた。
いやいやいやいや。なんでさ?
俺は現在C級2組。最下層にいたはずだ。それが何でいきなりB級1組になってるんだ? わけがわからないよ。
さらに対局予定表を穴が空くほど眺め回す。
「あ」
そして気付いた。日付が3年後のものになってる。なんでさ?
いたずら? スマホを取り出して日付を確認する。けれどスマホの日付も俺が記憶する日付より3年進んでいる。というかスマホ自体がよく似た、けれどより洗練されたデザインのものに変わっている。新機種だろうか。
とにかく落ち着け俺。FOOLに、違うCOOLになるんだ。まずはここまで得た事実から可能性を整理しよう。
①俺は3年後の世界にタイムリープした
②俺は突然ここ3年分の記憶を失った
うん。どっちでも変わらんわ。
どうしようもなくて途方に暮れてしまう。そんな俺の腕が突然引かれた。
「おわッ!?」
「こんにちは、八一先生」
誰か知り合いが挨拶してきてくれたらしい。とりあえず挨拶を返して、会話から情報を引き出そう。
「はい。こんにち———」
息を飲んだ。引かれる手の先。腕を絡める絶世の美少女がそこにいた。
おそらく歳の頃はティーンに入ったか入らないかくらい。身長は俺より頭半分ほど低い。華奢な体躯を清楚な白のブラウスとダークレッドのロングスカートに包んでいる。そこから覗く手足はほっそりと長い。顔は同じ人間かと思うほど小さく、その美しい輪郭のなかに全てのパーツが絶妙に配置されていた。
見たことがない少女だ。けれど不思議と見覚えがある気がする。その美しい赤みがかった大粒の瞳。艶やかな黒髪。お前は———
「———天衣、か?」
「不思議なことを言うわね、八一先生。それ以外の誰に見えるって言うの?」
13歳になった天衣。元々美しい女の子ではあったけれど……これはもうこの世のものとは思えない。そんな彼女が柔らかく笑んでいた。
「…………そういや何か用か? 天衣?」
「あら、用が無ければ話しかけてはダメなのかしら?」
口を尖らせる天衣。そんな表情も美しい。俺はどぎまぎしてしまう。
「い、いや。そんなことはないよ。……すまん」
「冗談よ。今日、八一先生対局でしょ? 私もなの。終わったらレッスンも兼ねて八一先生の家に行くわね」
「あ、ああ」
了承の返事をしたところで、天衣がさらに腕を引いてくる。かがめって事か?
そして天衣は顔を寄せそっと耳打ちしてきた。
「今晩は泊まっていけるから…………………いっぱいえっちしましょうね、八一せんせ♡」
慌てて身を起こす。
「お、おまッ、何言って!?」
「何よ。今更これくらいで慌てなくてもいいじゃない」
天衣は顔を赤らめながらも悪戯っぽく笑っている。
え!? 俺たちって本当にそんな関係なの? 俺、13歳とヤッチャッテルの!?
「……えーと。つかぬことをお聞きしますが。天衣さん」
「うん? 何よ、改まって」
「あー、俺たちがその。……そういう関係になったのっていつからだったっけ?」
「なッ!?」
これには天衣さんも真っ赤。
「何それ!? そんなこと言わせてどうしようっていうの!?」
「い、いや。純粋な興味からと言いますか、怖いもの知りたさといいますか」
顔を赤らめたまま睨んでくる。超かわいい。
「そう。そういうことを言わせるプレイってわけね。……ヘンタイ」
「いや。そうではなく」
皆まで言うなとばかりに再度腕を引っ張ってくる。耳打ちしてくれるようだ。
「小学校卒業の日にその…………そっちも卒業したいって、八一先生にお願いしたんじゃない」
何それ。
「この屈辱は将棋で返すから。もうすぐ三段リーグを抜けて公式戦で八一先生をへこませてやるんだから。覚えてなさい!」
混乱の極みにいる俺に、最後にもう一つ爆弾を投げつけて天衣は走り去っていった。
え、何? 3年後の天衣は奨励会に転向してるの? それでもう三段? どんだけだよ。
知れば知るほど混乱してきてしまう。けれどその混乱が収まる前にまた別の誰かがやってきたらしい。背中を叩かれる。
「よッ」
「ああ、鏡洲さんですか」
振り返ればそこにいるのは鏡洲さん。若干老けたかな。3年後も将棋会館にいるってことはプロになれたのか。良かった。
「相変わらずJCとイチャイチャしやがって。見せつけてくれるねぇ」
「見てたんですか。いやぁ参ったなぁ」
「さすが九頭竜光王だな」
「いやぁそれほどでも……ってコウオウ? なんですかそれ?」
「九頭竜八一専用のタイトル。光の王と書く。ちなみに源氏物語の主人公から取ってる」
「源氏物語の主人公って……それ、幼女さらって自分好みに育てて妻にしちゃうロリコン界のスーパーヒーローじゃないですか!?」
「ぴったりだろ?」
「んなわけあるかぁ!!」
※光源氏は若紫を10歳(学説によっては8歳)でハイエースして4~5年後に食ってるので、九頭竜光王はある意味それを超えている計算
「でも、もう浸透してるぞ」
「へ?」
「やあ、九頭竜光王」
「光王じゃねぇか」
後ろからかけられた声に振り向けば、盲目の永世名人と捌きの
「光王」「光王」「光王」「光王」「光王」「光王」「光王」「光王」「光王」「光王」「光王」「光王」「ロリ王」「光王」「光王」「光王」「光王」
うわぁぁぁぁぁぁッ