コンピューターゲーム、というものがある。
電子遊戯とも呼ばれることもあり、それ以前から普及していたボードゲームやTRPGなんかとは違う、【現実には無いもので遊ぶ遊戯】
無論、コンピュータゲームは世界中に驚くほど広まった。
最初は単なるブロック崩しだったものが、射的に変わり、冒険に変わり、いつしか現実と見間違うほどよく出来た架空世界へと変貌し。
必然的に俺達ゲーマーは、その電子の海へと、ズブズブと入り込んでいった。
底の無い、快楽だけの海に。
そんな中、あるゲームが発売された。
heroes memory online......という名前のゲームである。
このゲームの種類というのが、最近実用化されたばかりのVRゲーム機を使用するVRゲームという最新のゲームであり、なんと自分がそのまま架空世界で生活しているかのように振る舞えるのだ。
他のゲーム機やゲームディスクよりは値は張るが、そんなことはお構いなし。
俺は気兼ねすることなく、そのゲームを、ゲーム機とセットで購入したのだった。
「
そうやって文句を吐きながら、俺はHMOのキャラクリエイト画面を操作する。
俺こと田中太郎は、ごくごく普通のライトゲーマーであり、少なくともネットゲームで良くいるような廃人と呼ばれる人種の方々とは別の部類である。
だが、ゲームは人一倍好きである。
それだけが、俺をゲーマーとさせる1番の根拠であり、原動力なのだ。
さて、前置きはここまでにしておこう。
俺は事前に初期設定を済ませておいたヘッドセットを被り、ヘッドセットの横面についた起動スイッチを入れ、ゆっくりとベッドに寝転がる。
キュイーンとゲーム機特有の、しかしながら馴染みのある起動音を響かせ、次の瞬間、独特の浮遊感と共に俺の意識は電子の海へと移された。
「おぉ、お?」
初期設定時もフルダイブ特有の感覚は体験したものではあるが、やはり慣れていないのもあるのか、若干ふらついてしまう。
しかしながら、見事なモノである。
真っ白で、しかし縦横無尽に線の入ったこの空間は、まさに多くの人々の思い浮かべる電脳空間といえるだろう。
「えーと、ここを、こうするんだっけか」
そんな呟きも、思わずこぼれてしまう。
だが、声自体は俺の声ではない。だが、無機質で平坦な声と思ってもらって構わない。というか、それしか言いようがないほど、無機質な声なのである。
まぁ、ここらへんは俺の声帯を使ってないので、当たり前っちゃあ当たり前か。
そんなふうに勝手に自己完結して、俺はさっさとゲーム選択画面を出してその画面に一つだけ表示された、heroes memory onlineをタップ。
新しいゲームを始める時特有のワクワク感を抱きながら、広大な冒険に胸を踊らせていたのだった。
「オルガ、いよいよだね」
「えぇ、レフ。まさかこういう手段を使うとは我ながら思いつかなかったけれど、思うよりうまく行けるものね」
薄くグレーの入った、どこか冷たげな色の廊下で、緑色の服を着た紳士感のある男性と、オレンジと黒を交え、均衡の取れた服装を身に纏った、銀色の美しい髪の淑女が、廊下に声を響かせながら、しかしながら静かに声を交わす。
「゙彼゙の言うことはどこか逸脱しているところがあったが、まさかこの方法を提唱するとは思わなかったよ。だが、理には叶っている。人理修復中に仮想アバターを投影し、ソレをネットゲームとやらの風貌と組み合わせて、ネットゲームをやっていると思い込んでいるプレイヤーたちの意識と仮想アバターをリンクさせ、マスター達の動きをうまくサポートさせる......」
「でも、改めて考えてみるとすこし不安が残るわ。仮想アバター......いわゆる依り代を用意するとはいえ、プレイヤー意識は時空を超えて繋いでいるわけでしょう?そうなれば、本体の方にも影響が出ると思うのだけれど......」
「あぁ。私もそこが気になったんだが、゙彼゙が言うには、意識と仮想アバターとを繋げる時空間のリンクを上手く繋げることができるようにしてる上、本体の方にはあまり影響が出ないようにしているそうだよ。せいぜい、影響が出るとしても軽い倦怠感くらいらしい。もっとも、安全性を考慮したので性能的には下級魔術師より一回り二回り低いそうだが。まぁ、数合わせにはなるはずだ」
「そう、そうよね。ごめんなさい、レフ。変なことを聞いてしまって」
「いや、いいんだ。それよりも、オルガ。会議の時間まで後もうすぐだよ。急いで向かうとしようか」
歯車は、動き出す
To be continued......
拙作をご覧いただき誠にありがとうございます。今後も、どうかよろしくお願いします。