Deap Ocean   作:ナルミヤ

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約一ヶ月ぶりの投稿となってしまい、すいません。本当はアニメ開始までに投稿したかったのですが思った瞬間的以上に筆が進まなくて・・・。今後は出来るだけ投稿頻度を上げていけたらなと思います。


No.11 呉越同舟・・・?

「"上を行く者には更なる受難を"。雄英に在籍する以上何度でも聞かされるよ。これぞPlus Ultra! 予選通過一位の緑谷 出久くん、持ちP(ポイント)1000万!!」

 

 予選を通過した生徒たちの双眸(そうぼう)が一瞬にして緑谷に向く。それらは全て、獲物を狙う獣のようだ。

 ミッドナイトの説明はまだ続く。

 

 制限時間は15分で、振り当てられたPの合計が騎馬のポイントとなる。騎手はそのPが表示されたハチマキを首より上に装着し、終了までにそれを奪い合い保持Pを競い合う。

 そして最も重要なのが、ハチマキを取られたり騎馬が崩れてもアウトにはならないということ。つまり、参加する騎馬は終了までフィールドに残り続けるのだ。

 

 "個性"の発動はアリだが、あくまで騎馬戦であるため悪質な崩し目的の場合は一発退場となる。

 

「それじゃ、これより15分! チーム決めの交渉タイムスタートよ!」

「「「15分!!?」」」

 

 長いようで短い15分という時間に生徒たちは驚きの声をあげる。四十ニ人もいると最低でも半数以上は初対面なのだ。普通科やサポート科ならほぼ全員だ。

 しかし、うかうかもしていられない。そうしている間にも時間は進んでいるのだ。

 

「さて、どうするか」

 

 周りの生徒が交渉を始め合う中、天海は顎に手を当て考える。

 

(緑谷と組んで逃げ切りってのもあるが・・・どうせなら1000万を奪ってやりてーな)

 

 天海の"個性"は攻防どちらにも応用が利くため、時間いっぱい逃げ切ることは不可能ではない。しかし彼の性分は少し好戦的な方であるため、手堅く勝つより下克上的な戦法が彼としては望ましかった。

 

(そうなると・・・アイツと組みてーな)

 

 

 

 *

 

 

 

 チーム交渉が始まってすぐ、

 

「────おめェどうせ騎手やるだろ!? そんならおめェの爆発に耐えられる前騎馬は誰だ!!?」

 

 切島は多くの生徒に引っ張りだこの爆豪の元に向かった。切島の質問に対して爆豪が発した答えは、

 

「根性ある奴」

「違うけどそう!! 硬化の俺さ!! ぜってーブレねえ馬だ! 奪るんだろ!? 緑谷(1000万)・・・!」

 

 切島のその言葉を聞き、爆豪は(ヴィラン)も顔負けの笑みを浮かべる。爆豪が狙うのは一位ただひとつ、それだけだ。それより下など毛ほども興味がない。それ故に切島は爆豪にとって手を組むに値していた。

 

「お、いたいた」

 

 そんな二人の元に天海がやって来た。爆豪は彼を見ると、一変して険しい表情を向ける。

 

「爆豪、俺と組んでくれよ」

「あぁ? ふざけんな、誰がてめえなんかと・・・」

「いいぜ! 四位の天海が入ってくれりゃ頼もしいぜ!」

「勝手に話進めてんじゃねえ、クソ髪!! 俺はこいつと組むつもりはねえ」

「おいおい、話くらい聞いてくれよ。悪い話じゃねーと思うんだがな」

 

 開口一番で拒否した爆豪に対して、天海は困ったように笑いながらも話を続ける。

 

「爆豪のことだ。狙うなら当然一位だろ? それなら一番目障りなのは・・・轟なんじゃないか?」

 

 天海の言葉に爆豪がピクリと反応する。

 

「俺の"個性"を使えば、轟の氷結を食い止められる。万が一熱を使ってきても、それも対処できる。それに、俺の"個性"は射程も長いから広範囲をカバーできる。どうだ、悪い話じゃないだろ?」

「確かに俺の"硬化"も凍らされちまったら意味がないしな。爆豪、組んでもいいんじゃないか?」

「・・・・・・」

 

 切島は爆豪に意見を求めるが、爆豪は無言を貫いたままだ。

 

(仕方ねーな。こうなりゃ一か八かだ)

 

 天海はため息をつきながら、最終手段にでる。

 

「はぁーあ、これがトップヒーロー目指してるやつの態度かね?」

「・・・・・・あ?」

 

 天海の物言いに、爆豪がこめかみをひくつかせる。

 

「前に緑谷が言ってただろ? ヒーローは現場で他事務所と急造チームアップをすることがある。その中には仲の悪い奴だっているが、そんな時に駄々こねてられないだろ」

 

 天海は()()()煽るような口調で爆豪を諭す。爆豪は黙って聞いているが、その目尻はどんどんつり上がっていく。

 

「別に嫌ならいいんだぞ? ただ、そんなこと出来ないようじゃヒーローどころか、この体育祭で一位も取れな・・・」

「上等だよクソ水野郎!!! そこまで言うんだったら組んでやるよ!!」

 

 天海が言い終える前に、爆豪は活火山が噴火したかのように怒鳴り散らした。

 

「ただし、俺が役に立たないと思った瞬間、即ぶっ殺すからそのつもりでいろ!!!」

「任せろ。つー訳でよろしくな、切島」

「おう!! 頼りにしてるぜ!」

 

 切島と拳を合わせながら、天海は内心ホッとしていた。

 

 天海は爆豪と会話した回数こそ少ないが、ここ一ヶ月で性格は理解していた。

 彼は(ひとえ)に自尊心が高く、天の邪鬼なのだ。真正面から『組んでくれ』と言って『わかった』と言ってくれるような男ではない。だからこそ、爆豪から『組んでやる』と言うように仕向ける必要があったのだ。

 ただ、下手をすれば組めないだけでなく、爆豪に狙われる可能性があったのだが。

 

「よし、じゃああと一人誰にするか決めようぜ」

「うっせえ、俺に指図すんな」

 

 この後、腕からテープのようなものを射出できる男子生徒、瀬呂(せろ) 範太(はんた)を妨害兼遠距離要員として採用して、爆豪率いる騎馬チームが完成した。

 

 

 

 *

 

 

 

『さぁ起きろイレイザー! 15分のチーム決め兼作戦タイムを経て、フィールドに12組の騎馬が並び立った!!』

『・・・なかなか面白ぇ組が揃ったな』

 

 プレゼント・マイクの目覚ましコールを受けて、相澤は重たそうな瞼を開けながらフィールドの騎馬たちを見やる。

 

『さァ上げてけ(とき)の声!! 血で血を洗う雄英の合戦が今!! 狼煙を上げる!!!!』

 

 プレゼント・マイクの煽りを受けて、スタジアムのテンションは最高潮になる。観客たちは今や今やとスタートを心待ちにしている。

 

『よォーし、組終わったな!!? 準備はいいかなんて聞かねえぞ!! いくぜ!! 残虐バトルロワイヤル、カウントダウン!!』

 

『3!!!』

 

「狙いは・・・」

 

 前騎馬にフィジカルの強い切島、後ろに遠距離持ちの天海と瀬呂を据えた爆豪チーム。持ちP:730P。

 

『2!!』

 

「ひとつ」

 

 機動力のある飯田にサポートに富む八百万、加えて、こと迎撃に関しては無類の強さを誇る上鳴と組んだ轟のチームは、今回の騎馬の中では最も安定していると言えるだろう。持ちP:600P。

 

『1・・・!』

 

 そして、伸縮自在で相手を寄せ付けない黒影(ダークシャドウ)を従える常闇と触れたものの重力を無効化する麗日、そして豊富なサポートアイテムを携えるサポート科の発目(はつめ) (めい)という異色の構成の緑谷チーム。

 

 『START!』

 

 持ちP:10000310P。

 

「実質それ(1000万)の争奪戦だ!!!」

「はっはっは!! 緑谷くん、いっただくよーー!!」

 

 B組の鉄哲(てつてつ) 徹鐵(てつてつ)率いる騎馬と葉隠率いる騎馬が緑谷チームに一直線に突撃し、他のチームも後に続く。その中には当然彼らもいた。

 

「デクから1000万をもぎ取れえ!!」

「周りも見とけよ。敵は緑谷だけじゃねーぞ」

 

 昂る爆豪を天海が嗜めようとするが、爆豪は聞く耳を持とうとしない。彼には1000万しか見えていないようだ。

 

 大勢の騎馬に囲まれた緑谷チームだったが、緑谷が背中に背負っていたジェットパックを起動して、上空に逃れる。それを葉隠チームの耳郎がイヤホンジャックで追撃を仕掛けるが、常闇の黒影に阻まれる。

 

「着地地点狙え!!!」

「おい待て爆豪!! 右から何か来てんぞ!!」

「あぁ!?」

 

 追うように命令を下す爆豪だったが、切島の報告によってそれは中断される。

 

「行けえ宍田(ししだ)!! あの爆発野郎からハチマキ奪うぞ!」

「グォオオオオ!!」

 

 見ればB組の、襟足辺りを三つ編みで留めた少年の(りん) 飛竜(ひりゅう)を背中に乗せた、獣のような大男の宍田(ししだ) 獣郎太(じゅうろうた)が雄叫びを上げながら、四足歩行で爆豪たちの元に突進して来ていた。

 

「俺がやる!!」

 

 右騎馬の天海が牽制がてらの水の弾丸を宍田に発射するが、宍田は物ともせず全く止まる気配を見せない。

 

「だったら・・・!」

 

 すかさず天海は、脚から水を地を這うように宍田の元まで広げる。宍田はそれを意にも介さず突っ切ろうとするが、突如ガクンと動きを止める。

 

「うぉ!? どうした、宍田!」

「み、水が脚に纏わりついてくる!!」

 

 鱗の問いかけに対して、宍田は焦燥と驚愕が入り交じった声を上げる。宍田の足元の水がまるで生きているかのように蠢いて、宍田の四肢を捕らえている。

 鱗はどうしたものかと考えるが、ふと視界の端から何かが迫ってくるのに気づいた。

 

「あっぶな!!」

 

 何かを見定める前に、咄嗟にウロコを纏った腕でそれを振り払う。

 腕から伝わる冷たい感触。鱗を狙ったものの正体は地面から伸びた水の触手だった。振り払われた触手は霧散したが、彼らの足元を取り巻く水からは次から次へと触手が伸び、ハチマキを狙ってくる。

 

「やっぱりB組も強いな、中々奪えねー。爆豪、もう少ししたら・・・」

「デクゥ!!!」

 

 宍田チームを足止めしている天海が話しかけようとしたが、爆豪は聞く耳も持たずに、再び上空に逃れている緑谷チーム目掛けて飛んでいってしまった。

 

「調子乗ってんじゃねえぞ、クソが!」

「常闇くんっ!!」

 

 爆豪は騎手の緑谷目掛けて爆破を仕掛けるが、常闇の黒影が彼らの間に広がるようにして緑谷を守った。

 

「瀬呂!! 回収頼む!」

「任せとけって!!」

 

 鱗チームの相手をしながら、天海が瀬呂に指示を出す。瀬呂の肘から伸びたテープはしっかりと爆豪を捕らえて、天海たちの元に引き寄せられる。

 

『おおおおおお!!? 騎馬から離れたぞ!? 良いのかアレ!!?』

「テクニカルなのでオッケー!! 地面に足ついてたらダメだったけど!」

 

 解説席から上がるプレゼント・マイクの疑問に、ミッドナイトはサムズアップしながら答える。もし、これがダメだった場合、遊撃兵でもある爆豪の戦闘力が大きく削がれるところだった。ただ、爆豪なら無視して飛び回りそうなものだが。

 

「飛ぶなら言ってからにしろって」

「うるせえ、お前らが合わせろ!」

「で、次は?」

「決まってんだろ!! 1000万狙うだけだ!」

「了解。じゃあ、さっさと行こうぜ」

 

 

 

「単純なんだよ、A組」

 

 

 

 不意に聞こえた声。声がした方を向くと、金髪の少年がハチマキを握りながら離れていき、同時に爆豪のハチマキがなくなっていた。

 

「後ろか!」

「んだてめェコラ、返せ殺すぞ!!」

 

「ミッドナイトが"第一種目"と言った時点で、予選段階から極端に数を減らすとは考えにくいとは思わない?」

 

 金髪の少年、物間(ものま) 寧人(ねいと)は、爆豪の怒声を意にも介さず、言葉を続ける。

 

「だから、おおよその目安を仮定し、その順位以下にならないよう予選を走ってさ。後方からライバルになる者たちの"個性"や性格を観察させてもらった。その場限りの優位に執着したって仕方ないだろう?」

 

(クラス)ぐるみか・・・!」

 

 物間の言葉の真意に気づいた切島が辺りを見渡す。いつの間にか、爆豪たちは複数のB組の騎馬に囲まれていた。

 

「まあ全員の総意ってわけじゃないけど良い案だろ? ()()()()()()()馬みたいに仮初めの頂点狙うよりさ」

 

 物間の物言いに爆豪がピクリと反応する。そんな彼の様子に気づいているかは定かではないが、物間の口は止まらない。

 

「あとついでに君、有名人だよね? 『ヘドロ事件』の被害者! 今度参考に聞かせてよ。年に一度、(ヴィラン)に教われる気持ちってのをさ」

 

 最早わざととしか思えない煽り文句を残して、物間は去ろうとする。勿論、爆豪がこのまま黙っているわけがない。

 

「お前ら・・・・・・予定変更だ。デクの前にこいつら全員殺そう・・・!!」

 

 実際に見えている訳ではないが、全身からドス黒いオーラが出ていそうな程の怒りを露にしながら、爆豪は物間たちを見据える。はっきり言って事情を知らない人が見れば、確実に敵に間違えられるレベルだ。

 

 これを皮切りに、この騎馬戦は荒れに荒れることとなる。




ちなみに芦戸は心操チームにいます
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