Deap Ocean   作:ナルミヤ

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入学&USJ編
No.2 新たな出会い


 受験から1週間が経った。

 そろそろ合格通知が来る頃だ。

 

「受かるとは思うけどやっぱり落ち着かないな」

 

 そう、自信はある。しかし、あの雄英高校だ。はっきり言って受かれば奇跡だと思う。

 そう思っていた矢先、

 

「大河ー。雄英から封筒きてるわよ」

 

「わかったよ叔母さん。今行く」

 

 

 *

 

 

 叔母さんから封筒を受け取った俺は、自分の部屋に戻り封筒を前に床に座り込んだ。

 やっぱり緊張するな。

 

「よし、開けるか」

 

 意を決して封筒を開ける。すると、中から丸い機会が転がり出てきた。

 

「何だこれ?」

 

 拾い上げてよく見てみる。

 あ、底にスイッチっぽいのがあるな。押してみるか。

 

 『私が投影された!!!』

 

 「うぉっ!?オ、オールマイト!?」

 

 な、何でオールマイトが出でくるんだ?

 

『ハーーッハッハ!!何故私が出てきたんだ、と思っているだろう。それは私が今年から雄英に教師として勤めることになったからさ!!』

 

 いやオールマイト、何で考えてること分かるんだ。

 

『天海少年。早速だが君の合否についてお答えしよう。筆記は十分合格ラインに達している。そして、実技試験。これも合格ラインに達している。よって、君は合格だ!」

 

「ご、合格‥‥!」

 

 俺は喜びに打ち震えた。狭き門をくぐり抜け、雄英合格という切符を掴み取ったのだ。これがうれしくないわけがない。

 

『さて、既に合格を言い渡した君からあまり興味がない話かも知れないが、実は先の実技試験、何も敵Pだけを見ていたわけではないんだ』

 

 ?どういうことだ。

 

『天海少年。君は少女を助ける際にこんなことを叫んでいたね。「ヒーローになろうとしている奴が目の前の人間救けねーでどうする!!」ってね』

 

 うわ、アレ聞かれてたのか。後で考えたら結構恥ずかしかったんだが、あの台詞。

 

『君の言う通りだ。ヒーローは人を助けてなんぼだ!人助け(正しいこと)をした人間を排斥しちまうヒーロー科なんてあってたまるかって話だよ!!審査制の”救助活動(レスキュー)P”!!これが我々雄英が見ていたもうひとつに基礎能力だ!!君には敵P41Pに加え、救助活動P30Pが与えられたのだ!!まあ私としてはもう少しあげても良かったと思うんだが、君が倒した0P敵が横の建物群に倒れていっただろう?あれが二次的被害を出したということで減点をくらってね。道路に倒れこませるなどして被害を抑えていれば入試トップも狙えただろう』

 

 しまったな。あの時は何も考えずに倒したからな。街のことまで頭が回らなかった。

 

『まあ何はともあれ君は合格だ。送った封筒に入学に関する書類が同封されているから目を通しておいてくれ。それでは、今度は学校で会おう!!』

 

 オールマイトがそう言い残すと映像はそこで途切れた。もう一度スイッチを押すと、また映像が流れだした。どうやら録画映像らしい。

 

「しっかし、オールマイトが教師か」

 

 ”オールマイト”。数多の伝説を生み出し、”平和の象徴”と揶揄されるNo.1ヒーロー。そんな人が教鞭をとってくれる。それだけでも雄英に行く価値がある。

 

「まあ、とりあえず報告しに行くか」

 

 そう言って俺は一階へ降りて行った。

 

 

 *

 

 

 雄英に通うにあたって、俺は雄英近くの駅前のマンションに下宿することになった。一緒に住んでいた叔父さんと叔母さんとは離れて3年間は一人暮らしだ。一人というのは少し寂しい気もするが、内心楽しみにもしている。

 

 そして今日は入学式当日。

 

「あーくそ、ネクタイなんて結んだことねーよ。どうなってんだこれ?」

 

 俺は鏡の前でネクタイ相手に悪戦苦闘していた。

 雄英の制服はブレザーなのだが中学校は学ランだったため、ネクタイを結んだ試しがない。そのため、スマホ片手にかれこれ10分近く格闘していた。

 

「もうこれでいいや。だいたい形になってるし」

 

 何とか結べたネクタイを少し緩めながら鞄を背負う。

 

「じゃあ父さん、母さん。行ってくるよ」

 

 俺は部屋に飾られた家族写真にそう言って、家を出た。

 

 

 *

 

 

 家から徒歩で10分ほどで雄英に着いた。早めに出たこともあり、まだ校舎内の人は多くない。

 案内板の指示通りに教室に向かう。

 ヒーロー科のクラスは1学年2クラスだし間違えることはないだろう。そんなことを考えているうちに俺のクラス、1-Aに着いた。

 

「扉でかいな」

 

 教室の扉が異様に大きい。5mはあるな。

 たぶん異形型対策のバリアフリー設計なのだろう。そんな大きい割に軽い扉を開けて、俺は教室に入った。

 

 中には生徒が一人。黄色い短髪で細目、腰の辺りから彼の”個性”であろう逞しい尻尾が伸びている。見た目から既に良いやつそうな雰囲気があるな。

 

「やあ、おはよう」

 

「おう、おはよ。俺は天海 大河だ。よろしくな」

 

「俺は尾白(おじろ) 猿夫(ましらお)。これからよろしく。席は名簿順だから、天海は廊下側の前から三番目だよ」

 

「おお、そうか。ありがとな」

 

 尾白に礼を言って、俺は自分の席に荷物を下ろす。聞いてもいないのに席を教えてくれるあたり、尾白は本当に良いやつみたいだ。

 

「大きい尻尾だな。尾白の”個性”は『猿』か何かか?」

 

「いや、俺の個性は『尻尾』。ただ尻尾が生えてるってだけだよ」

 

「それだけか?それで試験通るなんて大分苦労したんじゃないのか」

 

「かなり頑張ったよ。一発で形勢逆転できるってタイプの”個性”じゃないからね。天海の”個性”は何なんだ?」

 

「俺の”個性”は『水』だ」

 

 そう言って徐に俺は掌に野球ボールぐらいの水の球を作り出す。

 

「水を作り出せる。あと直接触れている間なら、水を自在に操れる」

 

「へえ、いい個性だね」

 

「ただ使いすぎると脱水症状になる。あと生み出せても、戻すことができないんだ」

 

「え?じゃあそれどうするんだ?」

 

 尾白は俺が持っている水の球を指さす。

 

「こういう時は・・・・」

 

 俺は天井に向かって水の球を投げつけるように腕を振るう。すると水の球は霧状になって散っていった。

 

「こうする」

 

「び、びっくりした・・。天井に叩き付けるのかとおもったよ」

 

 さすがにそんな事はしない。

 

 

 

 その後、後から来た赤いツンツンヘアーの『切島(きりしま) 鋭児郎(えいじろう)』とピンクの髪と紫っぽいピンクの肌の『芦戸(あしど) 三奈(みな)』と席が近いこともあり談笑していたところ、

 

「あ」

 

「お」

 

 教室に入ってきた、入試の時に助けたアイツと目が合った。

 

「久しぶり。受かってたんだ」

 

「そっちも合格したんだな。脚は大丈夫だったか」

 

「うん。あの後すぐに治療してもらったし」

 

「なになに?二人とも知り合い?」

 

 俺たちが話していると芦戸が話に入ってきた。他の二人も気になっているようだ。

 

「ああ、入試のときにな。そうだ、自己紹介まだだったな。天海 大河だ」

 

「そういえばしてなかったね。ウチは耳郎(じろう) 響香(きょうか)。よろしく」

 

 その後、俺以外の三人と耳郎が自己紹介を終えると尾白が質問をしてきた。

 

「それで、二人はどういう経緯で知り合ったんだ?」

 

 まあ折角だし話しておくか。

 

「実技試験で耳郎が0Pから逃げられない状態でいてな。そこを俺が0Pを倒して助けたんだ」

 

「天海、アレ倒したの!?」

 

「スゲェじゃねえか!今年の試験で0P倒したのが二人いるって聞いてたけど、まさか天海だったなんてな!」

 

「二人?なぁ切島、俺以外に倒したもう一人って誰か知ってるか?」

 

「いや分からねぇ。他の奴が話してるの聞いただけだからな」

 

「俺知ってるよ。たしか、あそこにいる彼だ」

 

 尾白が指さした方向を見ると、緑がかった癖毛の少年が茶髪のショートボブの少女に話かけられ、照れているのか両腕で顔を隠している。

 

(あれって、たしか入試の日正門のとこにいた・・・・)

 

 

 

 

 「お友達ごっこしたいなら他所(よそ)へ行け。ここは・・・ヒーロー科だぞ」

 

 

 

 

 

 な、なんかいる。

 

 教室の前から寝袋を脱ぎながら入ってきたのは、ぼさぼさの黒い長髪に無精髭、首周りに包帯のようなものをまき、くたびれた服を着た男だ。

 いきなりの不審人物の登場に楽しそうに喋っていたクラスの面々も黙り込む。

 

「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね」

 

 また嫌な言い方するな。にしても、この人誰だ。

 

「担任の相沢(あいざわ) 消太(しょうた)だ。よろしくね」

 

 担任かよ!?

 たしか雄英の教師は皆プロヒーローって聞いたが、あんなヒーロー見たことないぞ

 

「早速だが体操服(コレ)着てグラウンド出ろ」

 

 頭の中で色々考えていた俺を含めたクラス全員に、相沢先生は自分の寝袋から体操服を引っ張りだしながら指示した。

 

 いや、そんなおっさんの寝袋に入ってた服着たくないんだけど・・・。

 

 

 *

 

 

「「「個性把握・・・テストォ!?」」」

 

 グラウンドに出て、いきなりテストをすると言われた俺たちは驚きの声をあげた。

 なんせ、全員今から入学式に出席すると思っていたのだから。

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事出る時間ないよ。」

 

 先程の茶髪女子の問いかけを相沢先生は一蹴する。

 

「雄英は”自由”な校風が売り文句。そしてそれは”先生側”もまた然り。

 

 中学の頃からやってるだろ?”個性”禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けてる。合理的じゃない。まぁ文部科学省の怠慢だよ」

 

 先生の言うことは間違いじゃない。今の社会、”個性”を持つものは総人口の8割を超えてる。そんな中、”個性”無しの平均を取っても何の指標にもならないからな。

 

爆豪(ばくごう)。中学の時、ソフトボール投げ何mだった」

 

「67m」

 

「じゃあ”個性”を使ってやってみろ。円から出なきゃ何をしてもいいから」

 

 相沢先生に言われて、爆豪と呼ばれた男子生徒がサークルに向かう。

 何かガラ悪そうなやつだな。

 

 ボールを持った爆豪は軽くストレッチをした後振りかぶる。

 そして、

 

「んじゃまぁ

 

 

 

 死ねえ!!!

 

 掌からでた爆風と爆音と共に腕を振りぬき、ボールは空の彼方にすっ飛んでいった。

 

 いや、ヒーローを目指すやつが『死ね』はどうだろう。

 

 しばらくすると相沢先生が持っている端末から音がなった。

 

「まず自分の『最大限』を知る。それがヒーローの素地(そじ)を形成する合理的手段。

 

 そう言って、先生は端末に表示された『705.2m』という記録を見せた。

 

「何だこれ!!すげー()()()()!」

 

「”個性”思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」

 

 クラスの面々が色めき立つ。

 たしかに面白そうだな。ただ・・・何だろう。

 

 相沢先生からスゲー不穏な空気が漂ってる。

 

「面白そう・・・か。

 

 ヒーローになる為の三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい。よし、トータル最下位の者は見込み無しと判断し、

 

 除籍処分としよう。」

 

「「「はあああ!?」」」

 

 ちょっと待て。それは予想外だ。

 

 初日から除籍処分って正気か?いや、あの眼はマジでする気だ。

 

「生徒の如何は先生(おれたち)の”自由”。

 

 ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」

 

 こうして、俺たちA組の波乱万丈の個性把握テストが幕を開けた。




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