Deap Ocean   作:ナルミヤ

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前回スキュアラーの見た目をちゃんと書いてなかったので、ここで言っておきます。

スプラトゥーンにでてくるダウニーくん。彼を悪い顔にした感じです。




それと今回、ちょっと長いです。


No.7 自分がすべきこと

 天海がスキュアラーと対峙している頃、山岳ゾーンでは三人の生徒が危機に陥っていた。

 

「手ェ上げろ。”個性”は禁止だ。使えばこいつを殺す。」

「ウェ・・・ウェ~~~~イ・・・」

 

「上鳴さん・・・!!」

「やられた・・・!! 完全に油断してた・・・・・・」

 

 両手を上げる耳郎と八百万の向かいで、髑髏を模したマスクを被った(ヴィラン)が上鳴を人質に取っていた。

 

 山岳ゾーンに転送された上鳴たちはそこで待ち構えていた大勢の敵と戦闘を開始。途中、耳郎が電気を纏った上鳴を『人間スタンガン』と称し突撃させ、上鳴が敵を引きつけている間に八百万が電気を通さない絶縁体シートを創造。味方への被害を考えずに済むようになった上鳴はそのまま全力の放電をかまし、敵たちを一網打尽にした。

 

 までは良かった。

 

 全力の放電を行い脳がショートし、アホとなった上鳴を地面に隠れて難を逃れた敵が捕らえ、そして今に至る。

 

「同じ電気系としては殺したくないが、しょうがないよな」

「電気系・・・! おそらく轟さんの言っていた通信妨害している敵・・・!」

「おっと、喋りすぎたな。まぁいい。いまからそっちへ行くが、決して動くなよ」

 

 敵の発言から正体を暴いた八百万だったが、人質がいる以上満足に動けない。敵は妙な動きをしないよう釘をさした後二人に近づくが、

 

「・・・上鳴もだけどさ・・・電気系ってさ『生まれながらの勝ち組』じゃん?」

 

「は?」

 

 唐突な耳郎の発言に思わず疑問の声を上げる。それは傍にいた八百万も同様だった。

 

「耳郎さん? 何を・・・」

「だってヒーローでなくても色んな仕事あるし引く手数多じゃん。いや単純な疑問ね? 何で敵なんかやってんのかなって・・・・・・・・・・・・」

 

 そう言いながら、耳郎はゆっくりとイヤホンジャックを、敵に気付かれないように脚部に装備されたスピーカーに向けて伸ばしていく。それを見て、八百万は耳郎の発言の意図を理解した。

 

(なるほど! 耳郎さんならプラグさえつなげれば、ノーモーションで攻撃できる!)

 

 耳郎のスピーカーによる音波攻撃は接続さえできれば発動できるため、手足を動かす必要がない。さらに、その速度はまさしく音速のため防ぐことが難しい。

 

(あと少し・・・!)

 

 しかしプラグがスピーカーに接続されるまであと数センチというところで、

 

「気付かれないとでも思ったか?」

「くっ!!」

 

 敵が自身の指先から電光を放ち、それを上鳴に向ける。つなげる目前で気付かれた耳郎は歯噛みする。

 

「子どもの浅知恵など馬鹿な大人にしか通じないさ。ヒーローの卵が人質を軽視するなよ。お前たちが抵抗しなければ、このアホは見逃してやるぜ?」

 

 鋭い眼光を飛ばしながら敵は耳郎と八百万の元に近づいていく。捕らわれている上鳴はアホ面のままだが、恐怖からか涙を流している。

 

「他人の命か自分の命か・・・! さぁ・・・動くなよ・・・。」

 

 だんだんと近づいてくる殺意に二人は死を覚悟する。今まで自分たちがテレビやインターネット越しに見ていた状況に、今まさに当事者として立っている。その事実が二人の恐怖心を掻き立てる。

 

 絶体絶命、万事休すの状況。

 

 しかし次の瞬間、それは瓦解した。

 

「はぁっ!!」

「なっ・・・ぐぁ!?」

 

 背後に突如現れた影に突き飛ばされ、敵は耳郎と八百万の前に倒れこむ。その際に人質である上鳴を手放してしまった。

 

「今だ!! 耳郎さん!!」

「え? う、うん!!」

 

 状況が飲み込めない二人だったが、とっさの呼びかけで耳郎は立ち上がろうとしている敵にプラグを刺し込み爆音を流し込む。

 

「ぐっほぁ!!」

 

 敵は一度体をのけ反らせ苦悶の声を上げたが、そのまま動かなくなった。

 

「よかった・・・。うまくいった。」

「尾白(さん)!!」

 

 敵を奇襲した影の正体は尾白だった。級友の姿を見て二人は安堵の息を漏らした。

 

「助かりましたわ、尾白さん。無事だったんですね!」

「うん。火災ゾーンで天海に会った後こっちに来たんだけど、ちょうど二人が襲われているのを見つけてさ。隠れながら奇襲のタイミングを計ってたんだ」

「ホント助かったよ。あのまま尾白が来なかったらどうなってたか」

「とにかく、うまくいってよかったよ。それより・・・上鳴は大丈夫なのか?」

「ウェ~~イ(大丈夫だ)」

 

 アホ面でサムズアップする上鳴を見て、尾白は心配そうに尋ねる。

 

「上鳴は”個性”の使い過ぎでそうなってるだけだから大丈夫だよ。ところで天海は? 一緒に来たんじゃないの?」

「天海とは分かれて行動してるんだ。天海は水難ゾーンの方から回って出口に向かってる。あいつの”個性”と相性がいいからね」

「確かに天海さんの”個性”ならばその先の暴風・大雨ゾーンでも優位に立ち回れますわ。しかし、それを考慮しても別行動を取るのは危険ですわ」

「天海が言うには、俺たちなら敵相手でも大丈夫だってさ」

「それって天海からすれば、でしょ? アイツ強いからあんまウチらには参考にならないって」

 

 尾白の発言に耳郎はため息交じりに返す。

 

「とりあえず俺たちはこのまま土砂ゾーンに───」

「!? 皆さん、アレは!?」

 

 尾白の言葉を遮るように八百万が何処かを指さして叫ぶ。

 全員が八百万の視線の先に目を向けると、隣の火災ゾーンのドーム状の屋根を一筋の水柱が突き破っていた。

 

「アレって・・・もしかして天海?」

「ウェイ?(だよな?)」

 

 耳郎と上鳴はそろって首をかしげる。

 

「何でまだあそこにいるんだ? もう水難ゾーンに着いていてもいい頃なのに・・・・・・まさかまだ敵が!?」

 

 ただ、尾白は焦りの表情を浮かべる。あとの三人も尾白の発言を受け、瞬時に状況を理解した。

 

「天海は格上相手に戦うなって言ってた。それなのに戦ってるってことは、逃げ切れない強敵ってことじゃ・・・」

 

 そこまで尾白が喋ったとき、一人の生徒が駆け出した。

 

「ウェイ!!(耳郎!!)」

「耳郎さん!! 一体どこへ・・・!」

 

「天海んとこ!! 何か分かんないけど、すごい嫌な予感がする!!」

 

 耳郎は器用に足場の悪い崖を降りて、一目散に走って行く。

 

「私たちも行きましょう!! 耳郎さんだけでは危険過ぎますわ!!」

「ああ!!」

「ウェイ!!」

 

 後ろの三人も後に続く。

 

(天海、無事でいてよ! まだ入試の時の借り、返してないんだから!!)

 

 耳郎は脇目も降らずに走りながら、天海の無事を祈る。

 

 この選択が吉と出るか凶と出るか。この時の彼らには知る由もなかった───

 

 

 

 *

 

 

 

「どうしたァ? 顔色が悪いぞォ」

「うるせー・・・! 余計な口を叩くな!!」

 

 ニヤニヤと嘲笑うスキュアラーに対して傷だらけの天海は水を打ち出すが、相手はそれをヒラリと躱す。

 

 戦闘を開始して数分、天海はスキュアラーに対して有効打を与えられずにいた。遠距離から攻撃しても巧みな身のこなしで躱され、肉弾戦を仕掛けても"個性"の針で迎撃される。

 加えて、天海の動きは精彩を欠いていた。それにはいくつかの理由があった。

 一つは火災ゾーン内の気温だ。

 火災ゾーンはその名の通り、大火災に見舞われた街を模したドーム状の建物だ。ドームのせいで、炎から発生する熱の逃げ場がない。すると、ドーム内は身を焦がすような暑さとなり、当然人は汗をかく。天海の"個性"は使えば使うほど、自身の体内の水分を消費する。汗をかくことで、天海は"個性"をむやみやたらに使うことができなくなっていた。もし、重度の脱水症状にでもなったらその時点で詰みだ。

 二つ目はスキュアラーの毒だ。

 彼の"個性"でもあるガンガゼの毒は少量であっても激痛を生む。さらに、その量が増えると吐き気や麻痺、最悪の場合呼吸困難を引き起こす。現に天海は全身に穿たれた針から回った毒の影響で、四肢の感覚が殆どなく気力で何とか動かしてる状態だ。

 今の二つが肉体的理由とすれば、もうひとつ精神的理由がある。

 

 三つ目の理由。それは先程尾白にかけられた言葉だ。

 

『───人を殺したら、それこそ敵と同じなんじゃないか?』

 

(こいつをここで殺せば・・・。ただ・・・殺せば敵と同じ? そんなの死んでも御免だ! でもこいつは父さんと母さんを・・・・・・くそっ!! どうすりゃいい!?)

 

 これが天海の中に葛藤を生み出す要因となっていた。

 

 天海は目の前のスキュアラー含め、大概の敵を心底嫌悪している。何なら殺してもいいと思うほどに。親の仇となればなおさらだ。

 目の前には親の仇。討ち取れば復讐が果たされる。しかし、人を殺せばそいつと同じ。天海にはそれが耐えられなかった。

 

(・・・とりあえず、今は"倒す"ことに集中しろ。考えるのはその後だ)

 

 天海は迷いを振り払うようにかぶりを振った後攻撃を仕掛けるために一歩踏み出すが、その瞬間視界がガクンと下がった。

 

(!? 脚が・・・!)

 

 気づけば地面に膝をついていた。立ち上がろうにも脚が震えるだけで力が入らない。

 

「おいおい。わざわざ座り込んで・・・どうしたァ!?」

「ぐはっ!!」

 

 スキュアラーはその隙を見逃さず、一瞬で近づき天海の顔面にサッカーボールキックをお見舞いする。

 思い切り蹴り上げられた天海は宙を舞う。何とか体制を立て直そうとするが体が言うことを聞かず、そのまま地面に叩き付けられる。

 

(くそ・・・このままじゃマズイ・・・!)

 

 横たわる天海はなお近づいてくるスキュアラーに向けて掌を向けるが、もはや目の焦点も合わず”個性”の使用すらもままならない。そんな天海を見て下卑た笑みを浮かべるスキュアラーは攻撃に移る。自身の体から毒針を四本伸ばし、それをへし折る。折った毒針をスキュアラーは天海に向かって投げつけ、それらは天海の両手足に深く突き刺さり動きを封じる。さらに追い打ちをかけるようにスキュアラーは空中に飛びあがり、そのまま落下の勢いをつけた膝落としを天海の鳩尾(みぞおち)に叩き込んだ。

 

「がふっ!!」

 

 肺から空気を絞り出されると共に、天海は血を噴き出す。スキュアラーは天海の首を掴み、持ち上げる。宙ぶらりんとなった天海の手足の先からは血が滴り落ちる。

 

「いいなァ、その苦しそうな面。どうだァ? 親の仇にいいようにやられるのは?」

「だ・・・黙れ、くそ野郎・・・が。地獄・・・に落・・・ちろ・・・!」

 

 天海は震える右手でスキュアラーの腕を掴むが、拘束を解くことは叶わない。

 

「だ-から、ヒーロー志望がそんなこと言うなよォ。・・・さて、そろそろ飽きてきたし殺すかァ」

 

 そう言って、スキュアラーは自由になっている腕を針山にする。

 

「じゃあな、ガキ。あの世で親に会わせてやるよォ」

「く・・・そが・・・・・・殺してやる・・・!!」

「そういうことは強くなってから言え」

 

 天海の言葉を一蹴し、スキュアラーは腕を引き絞る。狙うのは頭。その凶拳が天海の命を奪おうとしたその時、

 

 

 

「天海!! 耳塞いで!!」

 

 

 

 聞き覚えのあるハスキーな声が響いた。

 

 

 

 天海は何とか耳まで持っていき、耳を塞ぐ。その直後、耳を(つんざ)くような爆音が二人を包んだ。

 

「ぐあああ!!! 何だァ!? 耳が・・・!!」

 

 スキュアラーは天海を離し、耳を押さえながら地面を転がる。解放され倒れこむ天海は虚ろな眼で声をした方を見やる。そして、そこに立っている人物を見て目を見開く。

 

 

「天海、救けに来たよ!!」

 

 

 肩を上下させながら天海に向かって耳郎は叫ぶ。

 

 ピンチに颯爽と現れ救けてくれたその姿はまさしくヒーローだ。本来なら喜べる場面だろう。

 

 だが、天海の胸中に浮かんできたのは焦りと恐怖だった。

 

「何で・・・何で救けに来た!!」

「何でって・・・アンタの水が火災ゾーンの屋根を突き破ってるのが見えたから来たんだよ。」

「バカ野郎!! 俺なんかに・・・構うな!! 早く逃げろ!!」

「バカって・・・! ねぇ天海、アンタ入試の時に言ってたじゃん!! ヒーロー目指してるのに目の前の人を救けないでどうするのさ!!」

 

「耳郎さんの言う通りですわ!!」

 

 天海と耳郎が言い合っていると建物の陰から八百万と尾白、そして上鳴が未だ地面に(うずくま)るスキュアラーの背後に向かっていく。

 

「我々はヒーロー志望!! 傷ついた友人を見捨てて逃げるようなことはできません!!」

「そうだぜ天海!! だから逃げろなんてウィうなよ!!」

 

 八百万は創造した武器を構え、ある程度回復した上鳴は八百万と同じ武器に電気を(まと)わせ、尾白は自慢の尻尾を振りかぶりながら、スキュアラーにとどめを刺そうと接近する。

 

 しかし、

 

「鬱陶しいなァ・・・・・・ガキがァ!!!!」

 

「きゃああ!!」

「ぐあっ!!」

「うああ!!」

 

 スキュアラーの背中全面から飛び出した針に貫かれ、(ことごと)く返り討ちにあった。

 

「あ~頭がガンガンする。あのガキがやったのかァ? せっかく殺すところだったのになァ。・・・・・・そうだ」

 

 いらついた様子で立ち上がりながら耳郎を睨みつけるが、ふと何か思いついた様子で天海に顔を向ける。

 

「お前を殺そうと思ったがやめだ。先にアイツを殺してやるよォ」

「!! やめろ・・・! お前の相手は俺だ・・・。あいつらは関係ないだろ!!」

「ハハハ!! いいなその顔、昔を思い出す。あの時と同じ顔、もう一回見せてくれよォ!!!」

 

 天海はスキュアラーを止めようとするが、その甲斐空しくスキュアラーは猛スピードで歪んだ笑顔を浮かべて耳郎に迫る。

 

 耳郎は爆音をもう一度放とうと試みるがそれより早くスキュアラーは毒針を投擲する。それらは寸分の狂いなく耳郎の脚をスピーカーごと貫いた。

 

「ぐぅっ!!」

「「「「耳郎(さん)!!」」」」

 

 耳郎はたまらず膝を折る。その間にもスキュアラーは目の前まで迫っている。

 

(やめろ・・・やめろやめろやめろやめろ!!!!)

 

 天海は心の中で叫ぶ。

 

 胸の奥がズキリと痛む。

 

 眼の前の光景が過去の忌々しい記憶と重なる。

 

(動けよ、俺の体!! また・・・また繰り返すのか!!)

 

 

(もう・・・嫌なんだよ、あんな思いするのは・・・!)

 

 

(もう・・・嫌なんだよ、何もできないでいるのは・・・!!)

 

 

(もう・・・嫌なんだよ──────)

 

 

 

 

 

(──────誰かが目の前で死ぬのは!!!)

 

 

 

 

 

「くたばれ、ガキィ!!」

 

 眼の前で振り上げられた針で覆われた拳を前に、耳郎は眼を瞑った。

 

 脳裏に響く、肉を貫いた音。しかし、いつまでたっても痛みはやってこない。

 

 恐る恐る眼を開けると、そこに思いもよらぬ光景が広がっていた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・! ぐ・・・・・・ごほっ!!」

「天海!!!」

 

 耳郎の前には、体を大の字に広げた天海が立っていた。腹にはスキュアラーの凶拳が突き刺さり、そこから青のコスチュームに赤い染みが拡がっていった。

 

「ハハ、お前もバカだなァ。せっかく殺さないでいてやったのに、わざわざ死ににくるなんてなァ。」

 

 スキュアラーはおかしそうに笑う。

 

「ああ。お前の言う通り、俺はバカだ。・・・何の関係もない友達をこんな目に遭わせちまってよ」

 

 それに対して、天海も口元から血を垂らしながらも返す。

 

「確かに俺は大バカだ。でもそんな俺にも・・・ごふっ、守りたいもんはある。今ここにいる友達なんかがそうだ。俺は絶対に負けない。あんな思い二度としないためにも、させないためにも・・・! 大切なもん守るためだったら──────」

 

 

 

 

「──────命なんざくれてやる・・・!!!」

 

 

 

 

「ッ!!」

 

 決して消えることのない眼光に射竦(いすく)められ、スキュアラーは思わず下がろうとした。

 

 それが彼の運命を大きく分けた。

 

「・・・逃がすかよ」

 

「なっ!?」

 

 天海の背中から伸びた二本の水の腕が、スキュアラーをしっかりと掴んだ。動きを封じられたことからの動揺で、スキュアラーの判断が一歩遅れた。

 

「うぉらぁっ!!」

「がぼっ!!」

 

 天海の掌から放たれた水の塊を顔面に喰らい、スキュアラーは大きく仰け反る。しかし、水の腕は彼がそこから離れることを許さない。スキュアラーは何とか反撃しようとする。だが、もう遅い。

 

「うおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 雄たけびを上げながら天海は水の弾丸をガトリングのように次々と打ち込んでいく。それら全てはスキュアラーの全身に当たると同時に鈍い音を立てながら爆ぜていく。スキュアラーも針を伸ばすが全て天海に届く前に叩き折られてしまう。

 

 しばらくすると、天海は攻撃の手をやめ両手を前に(かざ)す。すると、天海の体から湧き出た水がどんどん両手に収束されていく。

 

「これで・・・!」

「が・・・・・・ま、待っ・・・。」

 

 全身を痣だらけにしたスキュアラーは途切れ途切れの言葉で止めようとするが、

 

 

「終わりだああああああああああ!!!!」

 

 

 天海の言葉と共に解放された巨大な奔流に飲み込まれた。奔流は地面を抉りながら突き進み、そのまま燃え盛るビルに衝突すると大爆発を起こし水飛沫を上げた。水飛沫晴れると、そこにはビルの残骸に埋もれたスキュアラーがいた。ピクリとも動かないが胸が上下しているあたり、まだ生きてはいるようだ。

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。耳郎、無事か?」

「う、うん・・・」

「そうか・・・。そ・・・なら・・・よか・・・た・・・・・・」

「あ、天海!?」

 

 耳郎に安否を確認した天海は安心したような表情を浮かべ、地面に倒れた。名前を呼ぶ声が聞こえるが、もはや瞼を上げる力も残っていなかった。

 

 天海の意識はそのまま暗い闇の底に沈んでいった。




シリアス展開難しい・・・
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