魔法少女リリカルなのはvivid 車椅子の魔導師   作:夜影

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八話

放課後、あれからミルテの尋問をなんとか耐え抜き、今はアインハルトさんと町の方に来ている

 

「良かったのですか?図書館の方は……」

 

「あ、うん。テストの準備期間中とテスト期間中は放課後開けないようにしてるんだ。昼休みの解放日なら、開けるんだけどね」

 

それにあっても、用事は優先してくれるって言う約束だしね。アインハルトさんが誰とスパーするのかも気になるところだし

 

「昨日はすみませんでした」

 

突然の謝罪……

 

「なんで謝るの?あれは悪いのは僕だよ?」

 

僕はすぐに何の事かは予想がついた。昨日の戦いの事だ……

 

でも君の誇りを汚し、戦意を煽ったのは僕だからね

 

「それに僕はアインハルトさんの拳を一度も受けてないよ?」

 

「はい。たった30秒で沈められるとは私も思っていませんでした……」

 

僕も30秒で気絶まで行けるとは思ってなかったよ?

 

「ですが、殴りかかってしまったのは同じです」

 

「頑固だね」

 

「お互い様です。ホントなら署にもついて来なくてよかったはずです」

 

あはは…。まぁそうなんだけどね

 

「でも喧嘩に加わったのは紛れもない事実だよ。不本意ではあったけどね」

 

「どう言う事ですか……?」

 

んー正直、そこまでの実力はないと思ってた。だから、ノーヴェさんが負けるのはないかなって思ってたんだ

 

「それで不本意ですか……」

 

「うん。あそこまで無鉄砲って思わなかったからね。たかがカウンターバインド一発の為にガードもなしで正面からあの蹴りを受けきっちゃうんだもん。規定外過ぎるよ」

 

どんだけ丈夫な体してるの?って話になっちゃうからね

 

「あ、一応だけど頭の方、異常ない?」

 

「それは私の頭が異常だと言いたいんですか?」

 

あれー?何か怖いよ?アインハルトさん……

 

「違うよ。昨日、城破鎚で思いっきり頭ぶつけたでしょ?」

 

あれって普通に使うとしても手加減が必要だし。本気で使ったら、骨砕けるから…

 

「そんな技を私に使ったんですか?」

 

「我流の総合魔法格闘技って言っても、元々僕のスタイルじゃないし、ここ二年で本を読んだだけだから……」

 

理論上での総合魔法格闘技。はっきり言って、成功するなんて思ってもみなかったよ

 

「では鍛錬は……」

 

「この二年間してないよ。あくまで理論とかだけ」

 

最初の一年なんて塞ぎ込んでたから、鍛練どころじゃなかったしね

 

僕の専門外だけど、射撃魔法とかならマルチタスク使って練習してはいたけど……

 

「でも多分、普通の真っ向からの勝負でアインハルトさんと戦ったら、負けちゃうな」

 

「?何故ですか?」

 

「あの時のアインハルトさんは冷静さを欠いていた。だから、その隙に付け入って激情を煽り、30秒以内で沈める事が出来たけど。普通の冷静な状態での戦いだったら、逆に僕が30秒以内に沈められちゃうね」

 

やっぱりあの時の戦いで分かったから……。二年って言うのは大きいなって……

 

「ま、もうない事を言っても仕方ないけどね」

 

「……ない事ってどういうことですか?」

 

「あの時は成り行きで間に入ったけど、もうアインハルトさんと戦うことはないよ」

 

学校はテストが近くならない限り、体育も見学のつもりだしね。テストでも指名出来るのは女子は女子、男子は男子だから、戦うことはない

 

「その足だからですか?」

 

「それもあるよ。でも、アインハルトさんだって、二年も鍛錬をせずに理論だけ固めた奴とガチで戦りたくはないでしょ?」

 

「それは……」

 

何かを言いかけて、目を伏せてしまうアインハルトさん

 

「それでいいんだよ。さ、ノーヴェさんやスパーの相手の人も待たせたら悪いし、早く行こう」

 

「……はい」

 

何か納得がいかない表情のアインハルトさんだった

 

 

 

ノーヴェさんが待ち合わせに指定した場所は中央市街地のカフェテラス。その近くまで来ると騒がしいと言うか、賑やかな集団が……

 

「あ、ノーヴェさん達だったね」

 

「そのようです」

 

てか女の人ばっかり……。僕って場違いじゃないかな?

 

「失礼します」

 

アインハルトさんが先に行ってしまった。取り残されると後々出づらくなるんだから勘弁だよ……

 

「ノーヴェさん、皆さん。アインハルト・ストラトス。参りました」

 

アハハ……。ホント固いな

 

「すみません。遅くなりました」

 

軽く頭を下げるアインハルトさん

 

「いやいや、遅かねーよ。クロムも来てもらって悪いな」

 

「いえ、気になりましたから」

 

「でな、アインハルト。こいつが例の」

 

「えと…はじめまして!」

 

立ち上がったのは金髪の子……って高町ちゃん!?

 

「ミッド式のストライクアーツやってます。高町ヴィヴィオです!」

 

「ベルカ古流武術、アインハルト・ストラトスです」

 

て言うことは……

 

「ノーヴェさんがアインハルトさんとスパさせたい相手って」

 

「ああ。ヴィヴィオの事だ」

 

大丈夫かな?確かに高町ちゃんも筋はいいんだけど、アインハルトさんは下手なプロの格闘家なら圧倒出来るくらいだし……

 

「あのアインハルト…さん?」

 

「――――ああ。失礼しました」

 

ん?どうしたんだろう

 

「まぁふたりとも格闘技者同士、ごちゃごちゃ話すより、手合せでもした方が早いだろ」

 

「話は手合せが終わってからでも遅くないよ。アインハルトさん、高町ちゃん」

 

「ま、場所は押さえてあるから、早速行こうぜ」

 

 

 

そしてノーヴェさんが押さえていてくれた区民センター内のスポーツコート

 

「はてさて、どんな結果になるかな」

 

どちらも動きやすい服に着替え、正面から対峙している。ノーヴェさんは審判って事で中央にいる

 

「ねぇ。クロム。どうなると思う?」

 

スバルさんがしゃがんで話しかけて来た……

 

「どうと言われてましても……。予想としてはアインハルトさんの勝ちでしょうね。高町ちゃんとは拳を交えた事がないので、ちゃんとした強さとかはわかりませんが、あの歳であそこまで行ける人は早々いないでしょう」

 

アインハルトさんに反撃の隙を与えなければ、見えてくるかも知れないけど……

 

「自分より強い相手に反撃の隙を与えずに戦うのは難しいわね……。確かに距離を取っても得意距離に持ち込まれて終わりだけど」

 

ティアナさんも会話に入ってくる……

 

「アインハルトとヴィヴィオも得意距離は同じだから、そこは関係ないと思うよ?やっぱり出て来るのは実力と経験の差かな~」

 

「そうですね。踏んだ場数はアインハルトさんの方が多いですからね」

 

通り魔の時だって、決して弱い人達と戦ったわけではないはずだからね。有段者がほとんどだったはずだし……

 

「じゃあ、あの、アインハルトさん!よろしくお願いします!」

 

「―――はい」

 

軽く拳を振って、ウォーミングアップをする高町ちゃん。それに対して、動かすを事はせず、静かにその様子を見ているアインハルトさん

 

「あのー司書さん?」

 

「どうかした?ウェズリーちゃん」

 

話しかけてきたのはウェズリーちゃん。そろそろ始まるから手短にお願いしたいな

 

「えっと、なんでアインハルトさんと一緒に?」

 

「なんでって、クラスメイトだしね。ノーヴェさんにも来ないかって誘われてたから」

 

「中等科の一年生だったんですか」

 

僕より先輩だって思ったのかな?

 

「それより、ほら始まるよ」

 

「あ、はい」

 

視線を二人の方に向ける

 

高町ちゃんは既に構えており、それに続いてアインハルトさんも静かに構え、足元に魔法陣を発動させる……。身体強化かな?いや、違うかな

 

「んじゃスパーリング4分1ラウンド。射砲撃や拘束はなしの格闘オンリーな」

 

魔法なしのガチな格闘戦か。これはアインハルトさんに分があるかな?

 

「レディ…ゴー!」

 

開始の合図と共に高町ちゃんがその場で細かくステップを踏み始めた……。

 

≪あれは…歩法ですか?≫

 

「少し違うかな。ボクシングで使うステップに少し似てるけど……」

 

あれって、ジャンプして着地の瞬間に動くから足元見てもどっちに動くかとかはよくわからないんだよね

 

アインハルトさんもどこで来るか見てるね。でも……

 

「っ!?」

 

高町ちゃんが移動したのは右でも左でも後ろでもない。あくまで正面。懐に潜り込む気だね

 

そう。そのステップは左右だけじゃない。それに縮地じゃないんだから、後ろに回られる事なんてまずない

 

でもガードされちゃうんだよね。流石アインハルトさん

 

でもそこからは高町ちゃんが攻撃の手を休めない。アインハルトさんもガードしつつ、後ろに下がっているが、高町ちゃんは食らいついて行く……

 

「ヴィ…ヴィヴィオって変身前でもけっこう強い?」

 

「練習頑張ってるからねぇー」

 

ティアナさんは予想外の強さに驚いている。それは僕もだ。まさかここまで動けるとは思ってなかったな。高町ちゃんはホント素質があるね

 

「でも、アインハルトさんにはまっすぐ過ぎるね」

 

 

アインハルトside

 

まっすぐな技

 

 

きっとまっすぐな心

 

 

だけどこの子は

 

 

だからこの子は

 

 

 

――――私が戦うべき“王”ではないし

 

 

 

――――私とは違う

 

 

アインハルトside end

 

 

クロムside

 

一瞬のカウンターでアインハルトさんの一撃が高町ちゃんを吹っ飛ばす

 

オットーさんとディードさんに受け止められ、無事な高町ちゃん。その顔には笑顔。すごいって思ってるんだろうね

 

≪いくら女の子とはいえ、掌底一発であんなに吹っ飛ばすとは……。ホントに規格外ですね≫

 

「そんな事言っちゃダメだよ。確かにあそこまで吹っ飛ぶとは思ってなかったけど……」

 

「お手合わせ、ありがとうございました」

 

急に背中を見せ、そう言うアインハルトさん。ありゃー

 

「あの…あの!!」

 

高町ちゃんがアインハルトさんに待ったの声をかける

 

「すみません。わたし、何か失礼を……?」

 

「いえ」

 

これは高町ちゃんのせいではないね

 

「じゃ、じゃあ、あの、わたし……弱すぎました?」

 

「いえ、()()()()()()()()()でしたら、充分すぎるほどに」

 

あちゃー……アインハルトさんも少しはオブラートに包むって事をしないと……

 

「申し訳ありません。わたしの身勝手です」

 

はぁ……。後で少し話さなきゃだね。うん

 

「あのっ!すみません…。今のスパーが不真面目に感じたなら、謝ります!」

 

高町ちゃんも食い下がるねー。納得いかないのはわかるけどね

 

「今度はもっと真剣にやります。だから、もう一度やらせてもらえませんか?今日じゃなくてもいいです!明日でも…来週でも!」

 

流石に困ったのか、チラッとノーヴェさんの方を見るアインハルトさん

 

「あーそんじゃまぁ、来週またやっか?今度はスパーじゃなくて、ちゃんとした練習試合でさ」

 

それがいいね。もう一回やれば、ちゃんとわかるはずだよ……

 

「ああそりゃいいッスねぇ」

 

「二人の試合、楽しみだ」

 

「はい」

 

ギャラリーは気楽だね

 

「――――わかりました。時間と場所はお任せします」

 

「ありがとうございます!」

 

ま、これで再戦の時は高町ちゃんもホントの本気だろうね。ホントに楽しみだ

 

 

その後、着替えやら何やらで外に出た時はもう外は暗くなっていた……

 

高町ちゃん達はウェンディさん達が送る事に、アインハルトさんと僕はノーヴェさん達に送られる事に

 

「アインハルトさん」

 

「はい……」

 

「さっきのスパー。あまりいいとは言えないよ」

 

「わかっています……」

 

そうだろうね。自分から言い出したんだしね

 

「高町ちゃんは自分の戦うべき王ではなかったって事かな?」

 

「……はい」

 

「そうか。じゃあ、次は本気でやるといいよ」

 

「!?」

 

驚いた顔をするアインハルトさん。自分で戦うべき王ではないと聞いておいてって顔だね

 

「次は本気でやらないと、負けるよ?」

 

「!!」

 

俯いてしまうアインハルトさん。少し意地悪だったかな?

 

「さて、帰ろうか。ロンド」

 

≪はい≫

 

「ちょっと待った」

 

車椅子を動かし、帰ろうとした時、ノーヴェさんに止められた……

 

「何か用ですか?」

 

「これから飯食いに行くけど、お前もどうだ?クロム」

 

「行っていいのでしたら、行かせてもらいますが……」

 

「んじゃ決定な。スバル、ティアナ。クロムも行くってよ」

 

半分強制連行気味で連れて行かれる僕だった……

 

 

 

≪今回は出番が少なかったような気がします≫

 

メタ発言は止めようか




八話です

更新が遅くなり、すいません

再戦は次の話に持越しです。

次の話は再戦とテストの前半です

感想、評価、誤字報告、指摘待ってます

では次のお話で……
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