For what?~冒険者達の物語~   作:如月冷羅
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『For what?~冒険者達の物語~』第10話です。

この話のタイトルの元ネタ、
ドラクエⅩやってるなら解る……よね!?

ついでに登場人物紹介に~ミミ~達復帰。


☆主な登場人物紹介

~ミミ~ Memi 性別:女 18歳
種族:人間?(対邪悪型殺戮兵器の人ならざる者) 職業:どうぐ使い

『サンガイジートテネブライ』
元人間。ミローアの姉。世界や時代を越えて旅をし、活躍する冒険者の1人であり、
そのパーティリーダー。恰好つけているだけかもしれない性格。ジンの真友。
ジン達がカエデと対峙していた時、彼女は1000年前のグランゼドーラにいた。


ミローア Milloah 性別:女 13歳
種族:人間 職業:武闘家

『青の戦乙女』
~ミミ~のパーティメンバーで、~ミミ~とはいろいろな部分が正反対の妹。
口調や性格などは明朗で可憐な乙女だが、それ以上の力強さを秘める。
~ミミ~と共に、1000年前のグランゼドーラを旅していた。


ロージエリウル Rowesieriull 性別:男 22歳
種族:ウェディ 職業:賢者

『マインドワイズ』
通称、ロゼウ(Roseu)。~ミミ~のパーティメンバー。
悟りよりも人の心を開きたいという、少々変わった願望を持つ。
1000年前のグランゼドーラには、~ミミ~のサポート仲間として旅をした。


クラッケ Clacke 性別:男 15歳
種族:プクリポ 職業:レンジャー

『フォレストベルセルク』
~ミミ~のパーティメンバー。~ミミ~達とは『カフェ・ルビーア』で知り合う。
非常に活発で楽観的な、パーティのムードメーカー。ミローアとは気が合う親友同士。
ロゼウと同様、過去に行くときはサポート仲間として~ミミ~と共に旅をする。


ジン Jin 性別:男 18歳
種族:人間 職業:バトルマスター

『双刀剣聖』
王都カミハルムイ出身。あやな達を率いるパーティリーダー。
~ミミ~の元パーティメンバーで真友の関係であり、彼女をセセラと呼ぶ。
~ミミ~同様、自身の進む道に迷った時に、夢の中の白い丘でミユナと会う。


あやな Ayana 性別:女 19歳
種族:ドワーフ 職業:踊り子

『バイレデプリマベーラ』
ジンのパーティメンバー。ボクっ娘。グランゼドーラ王国出身。
歌と踊りに関する記憶力が物凄く良い。得意な踊りは『つるぎのまい』。


ガネート Ganaet 性別:男 25歳
種族:オーガ 職業:パラディン

『柘榴のバトルウォール』
ジンのパーティメンバー。数年間ルリと共に行動していた、元バトルマスター。
標準語を使うが、出身地の都合で目立たない程度に関西弁(大阪弁)が混じっている。


ルリ Ruri 性別:女 21歳
種族:エルフ 職業:僧侶

『瑠璃瞳の聖女』
ジンのパーティメンバー。元旅僧侶団体『治癒(どり)』の僧侶。
両目には、あらゆる遠距離攻撃を『放つ前に打ち消す(不発化させる)』力がある。


ミユナ Miyuna 性別:女 年齢不明
種族:不明(有黒片翼(ゆうこくかたよく)の人ならざる者)

~ミミ~やジンが、夢の中にある白い丘で出会った少女。ほぼ全てが謎に包まれた存在。
『人ではいられなくなった』ということから元人間だと思われるが、詳細は不明。


カエデ Kaede 年齢不明(800以上と思われる)
性別:女 種族:大蛇喰い

コロシアムに現れた化物。800年前までは人間だった。
プペラホールにてマオのパーティーを殺害した後、ジン達との戦いに敗れ姿を消す。
ジン達を『問題児の冒険者(マリオネット)』と呼んでいたが、果たして……。


さて、ロゼウとクラッケはどうやって1000年前を旅したのか、いろいろ考えたんですが、
『サポート仲間』として共に旅をするという形になりました。
それについては、そのうち触れると思います。

あと今回、『能力は個性を壊すのか』の内容をちょっと含みます。
たぶん、最終話~エピローグぐらいの範囲。


第10話「眠れる盟友」

『グランゼドーラ城 賢者の執務室』

グランゼドーラ城の3階にある、賢者ルシェンダの部屋。

グランゼドーラが関係する問題があった時、~ミミ~達はここに呼ばれる。

 

 

あの夢を見てすぐ、オレはパーティメンバー達に夢の内容を語った。

3人は暗い表情でオレの話を聞いていた。

それはそうだろう。

知り合いとは言い難くても、人の身に何かが起こるのだから。

 

その後の3日間。

オレ達は自分のやりたいことをすることになった。

お洒落好きのあやなはルリのピアスを買いに近くのバシルーラ屋を利用してヴェリナードへ、

ガネートは仲間の武器を鍛え直したいと街の鍛冶施設に行った。

一方ルリは、少しでも狩人(ヴェナディ)の情報を集めたいと、大量のきつけそうを片手に酒場に向かった。

彼女は自身が酔っぱらうのがとても怖いのである。

 

だが、オレは何もしなかった。

何もできなかった。

何かをして、気を(まぎ)らわしたかった。

 

セセラはこうやって何もせず、自分のことに縛られることを望んではいないはず。

それは常に思っていた。

それでも、何故か彼女のことを思い、そして胸が苦しくなる。

そんな自分の思いに縛られ、何もできなくなる。

あのことは正直、「知らない方がよかった」と、そう思った。

 

それから、ミユナの言っていた3日後。

上空にあったはずの終焉の繭がすっかり消えた、グランゼドーラ城の勇者の橋を渡っていた時。

 

「ジンじゃないか!

 丁度よかった」

 

城の方から、セセラのパーティメンバー『クラッケ』が、慌てた様子で走ってきたのだ。

 

「…どうした?」

 

既にオレ達はセセラの容態を知っている。

彼女は意識不明。

だが、そのことはあえて聞かなかった。

 

勿論、息切れしながら返ってきた彼の答えも、その通りである。

 

「~ミミ~が、目を覚まさないんだ!!」

 

 

 

そのため今は、賢者の執務室に運ばれたセセラの様子を(うかが)いに来ている。

賢者ルシェンダやミローア、ロゼウによると、不死の力を持つ無限獣ネロスゴーグを倒すために、勇者姫アンルシアと共に禁忌の秘術を使った。

その反動のためか意識を失い、目を覚まさないらしい。

命に別状は無いようだが……。

 

「姉さん、生きていてよかったわよ。

 禁忌の秘術を使ったんだから、てっきり化物になっちゃうんじゃないかと……」

 

禁忌の秘術の1つ『邪魂の鎖』は使用者の魂を汚す。

そのため、勇者と盟友の2人が、心を1つにして使わなければならないのだ。

魂が汚れてしまっては、人として生きることはできない。

セセラの()はもともと人間とは異なるものだと聞いたが、

そうなってしまっては心までも化物と化すだろう。

 

本人は人とは異なる体を得てから、

いつかは人ではなくなるのではないかと不安を抱いていたらしい。

それでも人としてのカタチを保てたのだから、内心では喜んでいただろう。

……今、彼女は意識不明のまま眠り続けているが。

 

「ロゼウ」

 

オレは彼の肩を、軽く叩いた。

こんな時に求めるのもあれだが……。

 

 

 

ロゼウ達は、オレの私欲に似た願いを、悪い顔せずに諒恕(りょうじょ)してくれた。

 

 

――そう…よね。

  大切な人だもんね。

 

 

――再会した時にすぐ別れてしまって、

  ようやく再開できたと思ったら、相手が意識不明ですから。

  積もる話は、たくさんあると思います。

 

 

ルリの言っていた通り、再びセセラと再会できたと思ったら、彼女は意識不明の状態で賢者の執務室(この部屋)に運び込まれていた。

禁忌の秘術とやらが術と引き換えに体力まで奪ったのか、神が休息を必要として眠らせたのか。

どちらなのかはよく解らないが、自分にとってはどちらにしても「悲しいこと」と捉えるだろう。

 

オレは眠る彼女の頬に触れた。

あの頃からずっと変わらない小麦色の肌。

だが、彼女の唇にはいつの間にか、桜色の口紅が塗られていた。

美容をそこまで気にしない彼女が口紅を付けているのは、かなり珍しい。

 

オレは、桜には縁があった。

故郷のカミハルムイの万年桜だったり、オレの瞳の色だったり。

自分が彼女に黒牡丹の(かんざし)を贈ったように、彼女もまた、オレを想ってくれていたのだろうか。

今は意識不明だが。

 

触れた彼女の肌からは、僅かに体温を感じた。

冷たくはない。

禁忌の秘術は彼女の体力の大半を奪ったが、生命までは奪わなかった。

勇者と共に、2人で心を1つにして使ったため。

それでも、ここまで使用者を弱らせてしまうとは、やはりその秘術は禁忌だ。

もうこのような術を使わなければいけない魔物など、現れてほしくない。

 

「セセラ。

 貴方には、話したいことがたくさんあるんだ。

 貴方が託してくれた化物の件、あれにも進展があって……」

 

それからオレは、無意識に語った。

いつの間にか、再会したら話したかったことを、片っ端から語り聞かせていた。

相手が聞いていないことなんか忘れて。

 

「皆に時間を取ってもらってるので、そろそろいくね。

 ……できれば早く、目を覚まして」

 

話すことが無くなってきた頃に、ようやく我に返った。

オレは彼女のそばを、そっと離れる。

一度振り向いても、彼女が頷くように顔を傾ける………なんてことはなかった。

 

 

 

白い丘……か。

だが、前に来た時と違い、ところどころ黒い花がある。

何故だろう。

 

いつものように、丘の上にいる有黒片翼の彼女に訊ねてみた。

 

「冒険者狩り」

 

彼女は一言(つぶや)いた。

 

狩人(ヴェナディ)と呼ばれる者達が、冒険者を大量に殺している。

 お前が知っているものだと、ジェシカがその殺された冒険者の1人だ」

 

ジェシカ……。

出会った時はコーペラントの傭兵だった、元冒険者。

出合ってすぐに、彼女は殺された。

 

ガートラントの酒場での情報はなかったが、冒険者が殺される事件は確かにあった。

初めてミユナにあった時に彼女gs言っていた、冒険者狩りだ。

そこで狩られた冒険者が、この白い丘の黒い花なのか?

 

そう考えた時点で、ミユナはいつものように頷いた。

どうやらミユナは、『人の考えを見透かす』能力を持っているようだ。

 

能力。

懐かしい響きだ。

アスフェルド学園で、能力に関する事件が起きていたことを思い出される。

 

最近あそこには通っていないが、あの4人は元気にしているだろうか。

特にユーセは現在、『方向を操る能力』を持っているから、

この先、力を借りる時が来るのだろうか。

 

内心でそう懐かしんでいるとミユナは例の能力を発動させて、話を強引に戻した。

 

「~ミミ~。

 お前は、私がある事を伝えるために、ここに来てもらった。

 ……その狩人(ヴェナディ)についてだ」

 

それから、ミユナの話は長々と続いた。

その中で特に驚かされたのは「自分達が既に狩人(ヴェナディ)の一部と面識があること」。

そして、「ジン達が狩人(ヴェナディ)の1人と対峙し、一時的に打ち負かしたこと」だ。

 

狩人(ヴェナディ)の一部と面識があった……というのは大体想像できた。

だが、正直信じたくない。

信じたくないというのは残念という意味ではなく、どちらかといえば疑問の意味だ。

あの者()は何故、こちらを襲わなかったのか。

私達が冒険者だということは、見た目からすぐ判断できるはず。

 

その疑問もそうだが、私にはもう1つ気になっていることがあった。

 

「ミユナ。

 私は今、どうなっている。

 終焉の繭がネロスゴーグを倒した後に現れた黒衣の剣士と共に姿を消し、

 彼の配下の異形獣……ヘルゲゴーグと戦っていた

 ファラスらしき双刀の剣士が倒れたところまで覚えているのだが……」

 

彼女にはこの話が理解できないだろうと思いながらも、私は必死に訊ねた。

この丘にいるのだから、自分が眠っていることは私にも解っている。

だからこそ気に立っていた。

 

ミユナは沈黙し、それからいつもの憂いの表情で静かに答えた。

 

「……意識不明のまま、眠っている」

 

「意識…、不明………?」

 

彼女の答えに衝撃を受けた。

私は、ただ眠っているだけではなかった。

意識不明ということは、倒れている。

 

私は焦った。

私はあの時、ジン達にコロシアムに現れた化物の件を託した。

私達の戦いに区切りがついたらジン達のところに行く、そう約束したのだ。

それなのに、私は自分の戦いで意識を失った。

ジン達を、待たせてしまっているのだ。

 

ミユナは泣きそうになる私の手を取り、話を続けた。

 

「このままだと、お前が目が覚めるまでに3週間はかかる。

 勇者のような定められた血に選ばれた者ではなく、

 盟友であるお前が禁忌の秘術を使ったのなら、避けることのできない代償だ」

 

ということは、アンルシアは目覚めているのだろうか。

または、少し力を奪われたぐらいで、倒れてはいないのか。

私はそれを羨んだが、すぐに自身の流れる血を悟った。

 

「だが、もし、お前が本当に早く目覚めるのを望むなら、

 その(・・)強い意志の力で意識の回復を早めよう」

 

できるのか!?

そんなことが。

私は嬉しくてたまらなかった。

ミユナの取った私の手をもう片方の手で強く握り、その力を使うことを求め、

真剣に強く頷く。

 

真友のジンや妹のミローア、パーティメンバーのロゼウとクラッケ、

ジンのパーティメンバーのあやなやガネート、そしてルリ。

自分を待ってくれている人は、大勢いる。

そんな人達のためにも、私は、このような所で立ち止まっているわけにはいかない。

 

「ならば、その者達(・・・・)を想い、強く願うがいい」

 

何故か彼女のその声が、私の脳内に直接訴えかけているように聞こえた。

思えば、そう聞こえたのは今が初めてではなかった。

だが、今はそう疑問に思っている場合ではない。

一刻も早く、彼奴らに会わなければ。

 

「そしてお前が目覚めたら、ジン達と共に風の町アズランの『ヒスイ』という少女を訪ねてくれ」

 

私に忘れないように次の目的を伝えると、ミユナは私の眼帯に手を伸ばした。

触れた手から僅かに力を感じる。

その力を増幅させようと、私は右手を胸元に当て、強く念じた。

 

「………眠れる盟友は、私が導いてみせる」

 

そんな彼女の声が、頭の中で(・・・・)聞こえたような気がした。




バージョン4.1のストーリーに
『ストーリー終了後、主人公が数日間意識不明だった』という描写があったので、
そこを使いたいなと思いました。
その結果がこれです。







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