wt戦闘日誌   作:ゆずポン胡椒

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マツムラ戦闘日誌 二冊目 太平洋の雷雲 G

<<こちら1号車、各車、防戦第一であることを忘れるな!時間を稼げればいい!>>

<<右前方、敵4両崖の上!>>  <<3号車がやられた!>>

 

「敵、こちらで視認できません!マツムラさん!」

 

「わかった! タナカ、このまま止まってても的になるだけだ 前方の丘まで一気に進みたい」

<<了解した 1、2、4号車で前進する 5-8号車は道路を進んで崖の横に周りこめ>>

 

 

突如として戦闘が始まり、次から次へと無線が流れていく。それは空戦では体験しなかった騒がしさで、横にいる3号車の残骸を見て僚機が居ても敵を確認できずに死んでいくことを考えると背筋が凍った。

 

また、崖の陰に敵4両が隠れてから、静かなのがまた不安をあおる。

 

<<敵12両川を横断!ビーチに入ってきた!>> <<こっちは8両だけだぞ!やられちまう!>>

<<B中隊、落ち着け!9号車と10号車は川を横断、中央の丘に陣取れ 残りはその場で敵を引き付けるんだ>>

 

<<1号車へ、こちら7号車!敵4両確認!撃ちます!>> 

 

パン、パンと発砲が4連続で鳴り響くのが聞こえた。

 

<<敵2両を撃破確認…装填!急げ!>>  <<こっち向いたぞ!動け!>>

 

 

 

「2号車は丘の上に着いた!ビーチを横断する敵を視認!」

<<まだ撃つな!完璧に挟める時まで待て>>

 

 

 

先ほどとは違う砲撃音が二発聞こえた。

 

<<6,8号車被弾、応答無し!>> <<こっちの番だ!撃て!>>

<<バン―――>>

 

<<馬鹿、無線を押したままにするな…>>

 

 

<<ば、化けm――――

 

<<こちら7号車、5号車被弾!敵2両依然としてこちらを視認――ガガガガガガガ…>>

 

 

<<5-8号車、戦線を離脱!敵2両南の崖にいるぞ!全車気を付けろ!>>

 

<<こちら9号車。10号車と共に丘に到着。砲撃用意よし!>>

 

 

<<2号車へ。1号車は崖を見ておく。ビーチの指示は任せた>>

 

 

 

――えっ?

 

<<2号車、指示を!>>

 

指示を任されるなどと考えていなかったので、気が動転しているのを隠せない。

 

「えっえー…11号車、敵をそのまま引き付けろ 9,10号車はビーチ中央の丘にいる敵から撃破するぞ!」

<<了解、撃ちます!>>

ドン!ドン! 力強い砲撃音が、地面を通って伝わってくる。

 

「車長!俺も撃っていいですか!」

 

砲手に言われて自車に指示を出していないことに気づく。

今一度目標を確認すると、ビーチ中央で敵戦車が2両煙を上げていた。

 

「いや、まだだ。  『b中隊で敵を引き付けていたものは一度敵から隠れろ! 9,10号車、機銃を撃ってくれ』 操縦手、前進、敵に気づかせろ!」

 

「車長、こっちも機銃撃ちますよ!」 

 

「ああ、頼む!」

パパパパ と乾いた音が鳴り響く。

 

 

 

機銃に気づいたビーチの中にいた敵車両の半数以上はこちらに車体の向きを変えようとしている。

 

「9,10号車 2号車に砲撃あわせ! てーっ!!」

3両の戦車が同時に砲撃をすると、こちらに車体を向けようとしていた敵の内2両を撃破することができた。

 

<<クソっ、砲塔が硬い!シャーマンってのは強いって聞いたが…>>

<<2号車!敵が全部こっちに来ましたが!?>>

 

自車の指示で敵を撃破できただけで安堵していたマツムラがはっと我に返る。

 

「11号車から16号車まで!全車ビーチを前進!車体横を狙って、敵を蹴散らせ!」

 

 

次々と鳴り響く砲撃音。無線から聞こえてくる敵撃破の報告。

遥か上空でなるプロペラ音には、マツムラ達が気づくことはなかった。

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