wt戦闘日誌   作:ゆずポン胡椒

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マツムラ戦闘日誌 二冊目 太平洋の雷雲 H

マツムラの乗る2号車と9,10号車がビーチを南の丘から見渡して、ビーチ西に位置するB中隊がじりじりとビーチで立ち往生している敵に近づき、敵を撃破していく。

 

敵の戦車隊は劣勢だと判断したのか、後退しようとしている。 

 

<<敵をまた撃破!残りの敵は隠れました!>>

 

先ほどまでビーチを埋め尽くしていた米戦車隊も、今や残骸となっている。

撃破した車両とみると、ビーチに隠れている米戦車はあと2,3両だろう。

川の南にいるであろう米戦車が気になるが。

 

「なんとか任務は達成できそうだな…」

 

マツムラは安堵し、腰を下ろす。 砲声も止み、島に静けさが戻る。

 

 

 

 

南を見張っているタナカに現状を伝えなければ、と無線をつなぐよう指示すると、通信手が動く前にタナカの声が聞こえた。

 

<<マツムラ、プロペラの音が聞こえる。十分に注意し――

<<こちら13号車、敵航空機を視認!海側、上方からきます!>>

 

戦車から身を乗り出し、敵の航空機を確認する。その航空機は、マツムラが傭兵軍訓練の際に搭乗した航空機,F6Fであった。

 

<<敵の航空機、さらに確認! 全部で3機!>>

「先頭の一機から撃ち落とせ!」

 

マツムラは叫ぶ。登り切った太陽を背に迫りくるF6Fには爆弾のようなものが見えたからだ。それもとてつもなく巨大な。

 

「車長!この位置じゃ機銃で狙えません!」

 

命令した後に気づいた。この戦車、チハ改には車軸の機銃があるが、もちろん仰角は高くなく、対空には使うことができない。

 

「全車、移動!敵の射線から外れるんだ!」

 

先頭のF6Fが機銃を撃ち、上を通り過ぎる。

<<こちら15号車、エンジンに被弾!>>  <<13号車、行動不能!>>

 

「消火器を使え!無理なら車両を放棄しろ!」

 

<<放棄!?そんなことはできやしません!>> <<まだ治ります!走れます!そうやすやすと―――

 

 

 

F6Fが落とした爆弾のような物が、13号車と15号車を仕留める。

 

<<こちら14号車!先ほどの爆発で履帯が損傷しました!12号の無線が不調、同じく履帯損傷とのこと!>>

 

行動不能であれば、また先ほどと同じように撃破される。

 

マツムラは車両放棄の指示をだした。

<<了解!離脱します!>>

 

<<11号車、敵戦車視認!>>

 

空へ向けていた視線を元の位置へとようやく戻す。

みると敵のシャーマンは、砲塔上についている機銃を構えていた。

 

「しまっ…」

 

横殴りの雨のように機銃が撃ち込まれる。

その向かう先はB中隊であった。

 

 

 

 

<< くそったれ! >>

 

 

 

 

顔を出していた2両のシャーマンは火を吹き上げる。

<<…こちら16号車。先ほどの脱出した乗組員は…>>

 

マツムラのミスであった。

確かに、履帯が損傷していれば航空攻撃からは危険にさらされるが、敵の目の前で生身をさらけ出させることはもっとマズい事だった。

 

「車長さん、気を負う必要はないよ…敵が彼らを殺したんだ」

 

通信手にそういわれたが、マツムラは自身の選択を悔やんだ。

 

しかし、まだ戦闘は終わっていない。

タナカの乗る1号車に、マツムラの乗る2号車。 2号車の傍らにいる9,10号車に合わせ、11号車、16号車の計6両がまだ生き延びていた。

 

敵の戦車も、確認できた16車の内、南で見失っている2両。それと航空機がまだ残っている。

 

敵の航空機の存在が大きい。マツムラは生まれ育ったヨーロッパには程遠いこの辺境の地で最期を覚悟した。




次話でマツムラ戦闘日誌「は」(\_(・ω・`)ココ重要!)最終回にしたいと思います。

SBの待ち時間や移動中、空RBの上昇中に見ていただいたと思いますが、よそ見飛行、わき見運転は危険ですのでお気をつけくださいね(笑

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