wt戦闘日誌   作:ゆずポン胡椒

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マツムラ戦闘日誌 一冊目 ヨーロッパの空 G

5機のグラディエーターは高度2800mを維持し、敵爆撃機を探す。

 

   味方戦車部隊<<まもなくこちらは片付きそうだ 援護感謝する>>

 

   分隊長「いや、まだ早い。爆撃機が一機残ってる」

 

   味方戦車部隊<<そうか。 全車、ターレットにつけ!機銃を使って落とすぞ!>>

 

ここまでくれば負けることはない。マツムラ達は安堵した。 主目標である味方戦車部隊の護衛も、あと一機スツーカを落とせば完遂できる。

 

 

 

―――突如、サイレンが空に鳴り響く。先ほど、飛行場で聞いた音と同じだ。

 

   分隊長「サイレンが鳴っている…スツーカだ!地上部隊を狙っているぞ!」

 

   ブライ「どこだ!」

 

   アレクシス「どこにもいねえぞ!」

 

5機のグラディエーターは自分たちのいる2800mから緩やかに降下し、敵機を探す。

しかしどこにも敵影は見当たらない。 空に不気味なサイレンが鳴り響くだけだ。

 

   ビック「マツムラ、この音大きくなってないか…?」

 

5機の中で上方を飛んでいたマツムラとビックはサイレン音が大きくなっていることに気づいた。

マツムラははっと気づく。

 

   マツムラ「上…!!」

 

当たり前と言えば当たり前だ。 飛行場と同じ音が聞こえるのだから、上から来るに決まっている。

しかしまさか、爆撃機が単機で戦闘機を落としに来るとは―――

 

   ブライ「待ってろ、今そっちへ向かう」

 

   アレクシス「避けろ!」

 

はっと我に返る。視界に写っているのは飛行場で見たのと同じ光景…いや、それとはまた別だった。

Ju 87は、マツムラ目掛けて降下してくる。

 

   マツムラ「ひっ…」

 

 

視界にJu 87がいっぱいに写る。 

 

 

   分隊長「マツムラ――!!」

 

直後、Ju 87 は爆発した。 先ほどまでマツムラ目掛けて落ちてきた物は、それまでの形とは違い鉄の塊となって明後日の方向にぐるぐると落下していく。

 

マツムラは何が起こったのか分からなかった。

 

 

   アレクシス「なんてこった…!」

 

   ブライ「今どきラムアタックなんて流行らない… まったく」

 

Ju 87 と共に、一機の複翼機が落ちていくのが見えた。

破片の中には、分隊長のマークが見える。

 

   ビック「嘘だろ…おい」

 

 

マツムラはようやく理解した。

マツムラ目掛けて飛んできたJu 87 に分隊長が体当たりしたのだ。

無論、そのようなことをしてタダで済むはずがない。 パラシュートも確認できない。

何故、ここまで…

突如、無線が入る。

 

   分隊長「無線はいかれて無いようだな…」

 

分隊長の声が聞こえる。

 

   マツムラ「なんで…なんでですか!」

 

   分隊長「マツムラ お前はまだ若い これからじゃないか」

 

   分隊長「それに私の部下が…初戦で死んだなんて知られたら… 私の名に傷がつく」

 

 

   ビック「早く脱出を!」

 

   分隊長「無理だ。 操縦席に杭を打たれてしまった。」

 

分隊長の無線には息が漏れるような音が聞こえている。 おそらく、航空機の部品が体を貫いているのだろう。 敵機が爆散するほどの勢いだったから、こうして無線交信できるだけ奇跡だ。

 

   分隊長「ビック、隊を頼む…切るぞ」

 

無線が切れた。

マツムラ達にはまだ伝えたかった言葉があったが、出かけた言葉を飲み込むしかなかった。

 

緩やかに降下していくグラディエーターが地面に衝突し、そこから一筋の煙を空に描くのを見届けると、4人は各々が所属する傭兵軍の飛行場への帰路へ着く。

 

ブライ、アレクシスと別れをつげ、帰還する。

数時間前まで同じところを浮かんでいた三本の飛行機雲も二本になり、どこかか弱そうな線を描いていた。

 

 

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