時は第二次大戦。各国の依頼を受ける傭兵軍に入隊したマツムラ。
マツムラ、ビック、隊長の三人で構成された第6混成隊は初戦で隊長を失い、解散の危機に陥る。
残されたマツムラとビックはそれぞれ別の任務に就くことになる。
仕事を選ぶ余裕もないマツムラは、日本軍の依頼を受け、飛行艇に乗りこんだ。
日本軍の飛行艇に乗ったマツムラであるが、実は飛行機の客席に乗ったのは初めてであった。
降下訓練の際に輸送機の格納庫に乗ったことはあるが、前に向いて席が付いている物には乗ったことがない。
操縦手A「マツムラさん、あんたが今座っているのは指揮官席さ。本来は指揮官殿が座るんだが、どうもドイツに用事があるようでね。あんたを迎えにいった憲兵は陸路で指揮官殿連れてドイツに行ったわけよ」
操縦手B「そういうわけ。これでのんびりやれるわ。おいてきたお偉いさんお帰り用の飛行艇は大変やろうがな。 マツムラさんも気楽になぁ」
マツムラ「は、はぁ…」
祖母以外の純日本人とこうして話すのは初めてだが、なんだか腑抜けした。基地で会った日本兵…憲兵とはまったく気質が違う。どこかのんびりとした、祖母やヨーロッパの人たちと変わらない性格の人達だった。
マツムラが乗っている飛行艇は H8K 二式大艇と呼ばれる機体だ。
航続距離は7000キロに及び、飛行艇の名の通り海等に着水できる。乗り込むときに見たその機体は非常に大きく感じた。ぱっと見ただけでは武装のようなものは見つけることはできなかったが、のっぺりとした水鳥のようなそのフォルムで、数多の敵制空権内を通り日本までたどりつけるのだろうか…
マツムラのそんな心配はよそに、飛行艇はヨーロッパを通り抜け、地中海とインド洋をつなぐアデン湾に着水した。日本海軍艦艇から燃料を補給し、また飛行。しばらくしてミャンマー沖合に着水し、同じく日本海軍の艦艇に接触する。
操縦手A「マツムラさんすまんな。陸に一回上がりたくなる頃だろうが、ここいらの国は色々と危ねえのよ。」
マツムラ「というと?」
操縦手A「俺たち日本という国が何をしているかは傭兵のあんたならわかるだろ?」
マツムラ「いや、太平洋戦線は初めてで…色々と詳しくないんだ」
操縦手B「そうかぁ。ま、簡単に言うとミャンマーを占領したのはいいんだが。ビルマ解放軍とか言って… とにかく日本人が街出歩けるような場所じゃないのよ。」
マツムラ「はぁ…」
操縦手A「あんたらの基地に行くときも寄ったんだが、陸さんの宿泊所に迫撃砲が撃ち込まれたとかなんとか騒いでたな」
どうも、日本軍も大変らしい。マツムラはふと疑問に思い口にする。
マツムラ「解放軍といっても大した規模じゃないんだろ?なぜ殲滅しないんだ?」
操縦手A「どうも軍内部に内通者がいるらしいとのうわさだ。物資を流せば阿片が手に入るとか」
マツムラ「阿片!?アヘンってあの薬物のか?」
マツムラもアヘンについてはよくしっている。祖父の書斎で読んだ本によると、医学において昔は鎮静剤として使われていたそうだが、国際連盟が設置されてまもなく麻薬として貿易禁止された薬物だ。
操縦手B「陸さんのような戦いじゃぁ薬も必要だわなぁ。 のんびりしてたら頭打ち抜かれちまうしなぁ」
操縦手A「そういうわけじゃないとは思うがな… まぁ、俺たち日本兵にとって金の価値がほとんどないここじゃ、薬が金の延べ棒みたいなものなんじゃないのか」
マツムラの傭兵軍の基地ではアヘンのような薬物は禁止されている。だが、傭兵軍内部には使用した事のある者、今も使用しているのではと思われていた人もいた。使用したことのある者と話したことがあるが、どうも体に入れると「楽」になるようだ。 なにが? とマツムラは思ったが、すぐにそのあと招集がかかって聞くことはできなかった。
操縦手A「よし、燃料補給が終わったようだ。一気に日本まで行くぞ。」
楽… 一体何が楽になるというのだろうか。
酒で得られる快楽とは違うのだろうか。いや、何も違わないだろう。酒に溺れる物の末路はマツムラはよく知っている。 薬だって同じだ。手を染めたら、もうそれは落ちる所まで落ちた証なのだ…
そんなマツムラの思考を置いていくかのように、飛行艇は海を割って空に向かって飛ぶ。
WarThunder原作であることを忘れそうになるくらい自由に書かせてもらってます。
戦記物イメージしつつ実戦もテクニック交え書いていきたいと思っています
批評、感想どしどしくれるとウレシイです