本来“完全なる世界”の狙いは、破滅へと向かう魔法世界の住人たちを、平等に救うために“コズモエンテレケイア”へと送ることだった。
だが、その範囲はもとより曖昧。
魔法世界に赴いていた現実世界人を範囲に入れることもあれば、こちらの世界の魔法生物を含むこともあった。
おそらく魔法に関わるものはその対象になりえるのだろう。
だとすると今、この世界は全てが魔法に関わることになろうとしている。
もとより“彼”にとっては全てが等しく、救いの対象。
「こちらの世界は現在、彼の強制認識魔法によって“魔法世界”と等しい状態になっています。そして落ちてきているのは火星そのものではなく、火星を依り代にして存在している“魔法世界”。火星の魔法世界と地球の魔法文明とをぶつけて、その衝突エネルギーを使って両世界規模でコズモエンテレケイアを発動させるつもりです」
全ての準備は整えられた。
魔法世界同士の衝突により発生するエネルギーを利用しての全世界同時コズモエンテレケイア化儀式。
世界の終わり。
「き、君たちが彼を逃したからっ!!! どうしてくれるんだっ!?」
行なわれている儀式のあまりのカタストロフィーを理解し、事態を呑み込めた魔法大臣が顔色を変えてネギを指さしてがなった。
ことがここまでに至った責任を追及すれば、きっとそれはどこにでもあって、ないようなものだろう。
咲耶の異能を開封した魔法使いのことを、ホグワーツが気づいていれば。魔法省が気づいていれば。
関西呪術協会やウェスペルタティア女王がリオンを庇護していなければ。
リオンが咲耶と出逢っていなければ。
ネギとエヴァが彼を転生という形で封じなければ。
そもそも“彼”が絶望するような世界を続けていなければ…………
だが、それは全て――――
「無意味な問答だな」
意味のないことであった。扉の開く音とともに告げられた言葉が魔法大臣を小馬鹿にしたように否定する。
「このままいけば、全ての人間はそんなモノを気にする必要のない夢の世界行きだ。責任の所在など考えるだけ無駄な話さ」
「なんだ君は! 子供が口を出すなっ!」
ガラリと扉を開けて入って来たのは白金の髪の子供の姿の少女。
その後ろには近衛木乃香やその娘、護衛もついているが、口を挟んできた少女は、どう見てもこの場の恐るべき危急の対処に相応しいとは思えない少女なのだ。
「
「ま、マスター?」
だがその少女に対して、ネギは出迎えるような所作を示し、魔法大臣は唖然と口を開けた。
「咲耶が起きたから連れてきたぞ、ぼーや」
呆けた間抜け面を晒している魔法大臣はまったく見向きもしない。一方で連れてこられた咲耶はどうしていいか分からず、珍しく彼女らしくもなくおどおどとした様子となっている。
そんな咲耶をおいて、白金の髪の少女は席に座る内の一人、ディズへと歩み寄りその顔を近づけた。
体格的にはホグワーツの一年生よりも幼く見えるその少女は、しかし怪しげな色香と妙な風格をもっており、ディズは警戒心を抱いて睨み返した。
「お前がリオンの弟子とやらだな?」
「…………」
ぞくりと冷たい何かがディズの背中を滑り落ちる。
まるで師であるリオンを前にした時のように、圧倒的に格の違う者を前にした時の感覚があった。
しばしディズを観察していた少女はつまらなそうに鼻を鳴らして顔を背けた。
「勘はいいようだが、随分と程度の低い弟子だな」
「なに?」
そして口をついて出てきたのは随分と挑発的な言葉に、思わずディズは睨み返した。
「この程度の弟子しか鍛えられんようなヤツでは、どのみち大した器ではなかったということだな」
「貴方は……何者だ」
師を侮辱しているような言葉に、ディズの瞳が険しく細まる。
「彼女はエヴァンジェリン・マクダウェル。リオンの……母親です」
ネギは言葉を選ぶように間を空け、結局“母”という言葉を選んだ。
それがどれほど空虚な響きをもっているのか、他ならぬネギ自身が理解していた。
「なっ! 真祖の吸血鬼、闇の福音か!?」
だがネギの思惑など何の関係もなく、それを聞いた魔法使いたちは悪の権化を見るような眼でエヴァに怖れで満ちた視線を向けた。
「ええ。……マスター。それでリオン君の研究は……?」
そのような視線が向けられることは、腹立たしいことではある。だが、それだけの名であることは否定しようもないことであり、それよりも今は進めなければいけない話があった。
ネギからの問いにエヴァはちらりと咲耶に視線を向けた。
「……ぼーやの考えている通りだよ」
第100話 不死者の道
古代、人と神の境界は不明瞭であった。
ギリシャ神話、黄金の時代においては人は不老長寿の存在であり、神は人とともに営みを紡ぎ、人は神の存在を身近に感じていた。
だがやがて神は人の前から姿を消し、人は徐々に定命の定めを背負っていくことになる。
日本の神話においても、神は人の営みに深く関わりをもっていた。そして神はやがて人の世に子孫を残していった。
不死であった神から生まれた人の子。始まりにおいて、彼らには寿命をもたなかった。
神の血を引く血脈。
だが彼らもやがて限りある命の定めを負っていくこととなる。その定めをもたらした存在、不死を終わらせた神――――――それが木花咲耶姫。
「咲耶ちゃんには、その神と同じ力、不死を終わらせる力を再現する異能をその身に宿していました」
やんごとなき近衛の血脈に宿る特殊な力。神代の力を降ろす異能。
「けれどもそれは人の身に余る力。彼女の身にかかる負担を少なくして制御するための術式を、長年リオン君はとある目的のために研究していました」
身の丈に合わぬ袈裟は自らを滅ぼす。
咲耶の異能は咲耶自身の命を削るものだ。だからこそ、いくつもの封じをかけていた。
だがリオンはそれを、扱おうとしていた。たとえ咲耶の寿命が縮もうとも、自らの為さんとする目的のために。
「とある目的?」
「それは…………」
向けられた疑問に、ネギは答えることを躊躇した。
その答えをネギは知っている。
知っていて、それに正邪の答えをつけることを恐れていた。
「私を殺すことさ」
ネギが躊躇した言葉の続きを、エヴァは冷たい笑みを浮かべたまま述べた。
「えっ」
「エヴァちゃん! そないな言い方はっ!」
エヴァの、リオンの母のその言葉に、木乃香はバンッと机を叩いて抗議するように声を上げた。
「どう言葉を取り繕ったところで、アイツのしようとしていたことは同じだ」
木乃香からの強い視線を受けようと、エヴァの態度は崩れることはない。
けれどもそうではないのだ。
「リオンくんは……」
たしかに、“リオン”の為そうとしていたことは、“親殺し”の大罪。
まともな人間であれば、企図することすらありえはしないだろう。
だが、そこに込められていたのは…………
「アイツも気づいていたはずさ。咲耶の近くに居ればやがては神話通り、自身の命を縮めることもな」
「!?」
「私を殺すか、アイツが殺されるか。結局アイツはその賭けに負けた。それだけのことさ」
結局、残された事実というのは、リオン・マクダウェル・スプリングフィールドは母を殺すために何年も何年も研究を重ね、その力を手にしながらも躊躇し、最後には自滅した愚者というものでしかない。
たとえそこにどのような思いが、母に対する願いが込められていたとしても、それは誰にも明かされはしなかったのだから。
冷たく聞こえるエヴァの言葉を瞑目して聞いていたネギは、決意した瞳を開いた。
「リオン君の研究。咲耶ちゃんの力のコントロールは完成しているんでしょうか、マスター?」
咲耶の力は“神殺しの力”。まさに“
「負担は避けられんが、パクティオーと式神を使えばあと一度程度の運用はできるだろうよ。もっともそれがどこに向くかは遣い手次第だがな」
不死殺しの力の向かう先。
悪の権化たる真祖の吸血鬼を滅ぼすか、正道より堕ちし英雄を討つか、それとも…………
「ネギさんは……みんなは、リオンを殺すつもりなん……?」
咲耶の言葉は、場の緊張の糸を痛いほどに張り詰めさせた。
ネギにとっては、“リオン”はすでに亡い。だが、それに対して思うところがないわけではない。“リオン”を生み出したのは、ネギだといってもいいのだから。
そしてなによりも、少女に対して率直なところを告げるのは気が咎めた。すでに“彼”ではないとはいえ、“彼”だった存在に対して、殺すための道具にするのは…………
「勘違いするなよ小娘。リオン・スプリングフィールドなんてものはもうすでに死んでいるんだよ。たとえ未だに契約の絆が消えてなかろうが、ヤツはすでに“始まりの魔法使い”として蘇り、魔法世界を、いや全ての世界を消し去ろうとしている。最強最悪の不死者。それがヤツだ」
「ッッ」
冷酷な声が、斬りつけるように発せられた。
咲耶とリオンのパクティオーは未だ消えてはいない。だからこそ咲耶はまだ希望を捨てきれていないのであろう。だからこそ咲耶は泣きそうな顔で、声の主を、エヴァを睨み付けた。
エヴァにとって咲耶の視線になどなにほどの威圧もない。だが、エヴァは瞳に少しだけ憐憫を浮かべて咲耶を見返した。
「……いい加減、終わらせてやれ」
「どういう――――」
「不死者の苦悩は人間には分からん」
先程までとは異なる雰囲気に、咲耶は言葉を呑み込まされた。
「不死者とは失い続ける生を見続けるものだ。千年ですら人の人生なら10回繰り返しても釣りがくる。ヤツの過ごしてきたのはその倍以上。始まりの想いを腐らせるのには十分だ」
咲耶の生きてきた人生は20年にも満たない。まだまだ人の生き方も、社会も見てはいないのだから、エヴァの生きてきた600年どころか、数十年の年月ですら想像できない。
だから、リオンの――いや、“始まりの魔法使い”がどうして魔法使いを助けようとして創った世界を今になって壊してしまうのかは分からない。
「キサマが“ヤツ”の何にリオンを見たのかは知らんが、“始まりの魔法使い”はもはや壊れている」
繰り返される転生の果てに、
けれども
――「これが最後だ――――――俺を、殺しに来い」――
あの言葉は、他でもない“始まりの魔法使い”自身が、もはや終焉を望んでいるのだろう。
薄ぼんやりとした意識の奥底に残っている彼の言葉が、本心であることを咲耶は心のどこかで理解していた。
「けど…………」
だがそれでも、咲耶にリオンは殺せない。
いや、リオンでなくとも、咲耶は誰かを殺すことを是とはしないだろう。
それはエヴァもネギも分かっている。
「咲耶ちゃんの力は“始まりの魔法使い”に対して極めて有効です」
不死を終わらせるための力の研究は、リオン・スプリングフィールドが長年をかけて求め続けてきたもの。
理論と技術の開発の天才であるネギといえども、残りの時間でリオンの研究の域を超えることはできないだろう。
ゆえに、ネギは最後のピースを埋める。それが誰かにとってどれほど酷いことだったとしても。
「咲耶ちゃんにできないというのであれば、その力は白狼天狗に委ねます」
「え……?」
咲耶は自らの式神が居ることに、今更ながらに気が付いた。
白葉の姿は以前までの童姿ではない。暴走時の、手足の伸びた姿のまま、陰陽師を思わせる狩袴に身を包み、怜悧な刃を思わせる威圧感は以前の比ではない。
何よりも以前とは異なるのは目だ。
以前も他者に対しては興味関心のまったくない目をしていた。だが、今、咲耶に対しても冷酷な瞳を向けていた。
今まで向けられたことのない冷たい眼差し。
「白、葉………?」
漠然とだが、咲耶は理解してしまった。
この白狼天狗は、もはや近衛咲耶の式ではない。正真正銘、神に連なる天狗の末席たる妖異。
ネギは白狼天狗が、守護していた少女との縁を断つように視線を逸らしたのを合図にするかのように仲間たちに指示を出した。
「これから彼とともに魔法世界にて、“始まりの魔法使い”討滅戦を行います!」
刹那の、フェイトの、アスナの顔が引き締まる。
「木乃香さんはあやかさんやISSDAと協力してこちらの世界の混乱を抑えて下さい! 刹那さんは木乃香さんの護衛を! 明日菜さんはゲーデル議員やベアトリクス総長と連携して、そちらの混乱を抑えて下さい!」
この戦いは世界存亡を賭けた戦いになるものとはいえ、全てを投げうって討ちに出る訳にはいかない。
こちらで起こるであろう混乱に備えることも危急であるし、何よりも敵は不死者。
そして以前とは違い、ネギパーティの力を借りる訳にはいかないのだ。彼女たちにはそれぞれ立場があり、好意に甘えて危機に晒すわけにはいかない。
勿論彼女たちはネギが申し出れば駆けつけてくれるだろう。
だが敵地はすでに大量の召喚魔がひしめく死地。すでにネギとの仮契約を終えている彼女たちを連れていくわけにはいかない。
「ちょっ! 待ちなさいネギ! 私も―――」
「明日菜さん! 今アナタがオスティアを離れれば魔法世界の安定が崩れるおそれがあります」
「けど!」
「二人の黄昏の姫巫女の力で安定させる必要があります」
そしてそれはネギの初代ミニステルマギ、神楽坂明日菜とて同じ。
現在火星―ムンドゥス・マギクスの繋がりは非常に危うい状態になっている。
元々崩壊の危機にあったムンドゥス・マギクスを、“もう一人”の黄昏の姫巫女を人柱にすることで何とかの安定を保っていた。だが今、無理やり火星表面から人造異界“ムンドゥス・マギクス”を引き剥がしたことにより、世界そのものが不安定になっている。
ゆえにアスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシアは戦いに赴くわけにはいかない。
戦いのために彼女がその力を奮えば、二人の“黄昏の姫巫女”によってなんとか繋ぎ止められている世界が、“コズモエンテレケイア”が発動する前に崩壊してしまうだろう。
だからこそアスナを呼ぶことはできない。
「代わりに龍宮さんとクウネルさん、それからザジさんに連絡をとってください」
だが、今度ばかりは逃すわけにも、仕留めそこなうわけにもいかない。
「アルビレオ・イマはともかく、龍宮さんとザジさんにも?」
“紅き翼”の中で、現在唯一“始まりの魔法使い”と戦うことのできる魔法使い――アルビレオ・イマ 。
歴戦の傭兵にして半魔のスナイパー――龍宮真名。
魔界の王族にして人と魔を繋ぐ姫――ザジ・レイニーデイ。
「はい。こちらからは僕とフェイト。それから……」
ウィンドウに映る盟友、フェイト。そして師であるエヴァンジェリンへと視線を向けた。エヴァンジェリンは「ふん」と鼻を鳴らして機嫌悪そうに了承の意を告げた。
ネギの望む本気のメンバー、常人ではない者達による討伐チームだ。
そこには旧世界最強クラスの剣士も、最高の治癒術師も、欧州最高の賢者も、加わる余地はない。
アスナには、ネギの選んだメンバーが、彼の覚悟のほどを告げているように感じられた。
「俺も連れて行ってください」
言葉を差し挟んだのは、ディズだった。
「クロス君……」
「マスターが俺を鍛えたのは、自分の目的を果たせなかった時の代わり。そうじゃありませんか?」
リオンの弟子としての役目。
「だからこそマスターは俺に、不死者と、吸血鬼の真祖と戦う術を教えていました」
もしも
それはリオンにとっては気まぐれであり、計画の遂行を遅らせる単なる言い訳にしたかったのかもしれない。だがどのような理由があるにしろ、ディズはリオンに吸血鬼、不死者との戦い方を教わり、それ以外にも生き抜くための力を与えられた。
ネギはディズの申し出に困り顔を見せ
「確かにな。だが、生憎と今回の戦いに貴様を入れる余裕はないんだよ小僧」
彼が答えるよりも先に、エヴァが不機嫌さを隠そうともしないで答えた。
「ヤツが居るのは“夜の迷宮”だ。貴様程度ではヤツに辿り着くまでの盾にもならん。どこぞの甘ちゃんが貴様を助けるために時間と魔力を無駄に消耗させられるのがオチだ」
世界存亡の危機なのだから出し惜しみをせずに戦力を投入すべき機ではある。
だがその戦力が、要の戦力の足を引っ張ってしまっては意味がない。
エヴァやフェイトはともかく、ネギはその“足手まとい”に気をとられかねない甘さがある。
“始まりの魔法使い”を仕留めることのできる刃は白狼天狗だが、その刃を届かせることができるのは、ネギをおいて他にいないのだから。
「なら、試してみますか?」
・・・・・・・
――――なんでなん、白葉?――――
もたらされたもう一つの決別は信じがたく、ボロボロになった少女の心にまた一つ罅を刻み付けていた。
――――私はずっと、ずっと後悔していました――――
信じていたのはこれまでの繋がり。
これまで続き、積み重ねてきた絆は、宝石のように煌く大切なもので、これからもずっと続いていくものだと信じていた。
――――あの時、あのお方の、我が主の傍に居なかったことを。主の命に異を唱えず、姫を守るために坐するのみであったことを――――
だが、大好きな彼が少女の傍から居なくなり、また一人、これまで少女の傍に居てくれた存在が去っていく。
――――この世界は、我が主が望み、戦って治めた世界の末の世。ならば、この世界を終わらせるわけにはいきませぬ――――
信じてきたもの、向けられていた想い、宝石の粒のようなものだったはずのそれが、まるで何の意味もない砂礫のように崩れていく。
―――― たとえ――――― ――――
「たとえ、主の御心を守れなかった、卑小な式といえども、主の敵は我が剣が討ち滅ぼすのみ」
真なる名と、姿を取り戻した、堕ちた神の末席が一柱、戦場へと舞い戻る。
平和の魁となる名を持つ剣を携え、その剣を未来の魁となすために。
・・・・・・・・
“不死狩り”の卵の少年の挑戦は、最強の魔法使い、真祖の吸血鬼の前に砕かれていた。
ネギは魔法すら見ることなくエヴァに打ちのめされた少年と、式に決別を告げられた少女を見やり、感情を押し殺した。
白葉とエヴァ、二人の行いはネギが万全の態勢で“始まりの魔法使い”に挑むために必要な行いだった。そのために心優しい少女を傷つけ、才ある少年の心意気を砕いた。
だが目的のために手段が正当化されるなどということはない。
ただ、それでも今は…………
「アスナさん、このかさん、あやかさん」
「…………」
彼が告げようとしている言葉に、アスナも木乃香も押し黙ろうとし、
「なんですかネギさん」
わずかな間をおいて、雪平あやかはネギに続きを促した。その姿は、計画の発起時より彼のことを1歩後ろで見守り、支え続けた彼女の覚悟が込められているかのようであった。
「この世界を、頼みます」
「ネギ。アンタ……」
「……お任せくださいネギさん。そしてどうか―—ご武運を」
世界の命運を賭けた戦い。
不死者対不死者。
――――予感がある。
これがおそらく最後の戦いになる。
ネギ・スプリングフィールドにとっての、いや、それよりも遥かに以前から幾度も繰り返されてきたエイエンの終焉に。