「ふぅ、久しぶりだな、ここまでくつろげるのは」
今までの仕事上、国民のため、国のために忙しく回っていた時間に、またこうして落ち着ける日が来るとは思ってもいなかった。
まだ就寝には程遠い時間か、ならCADの性能を試すのも悪くないだろう。
その後、バダップは自分のCADを調節と試験を繰り返しおこない、就寝した。
「オハヨー」
高校生活も二日目になり、昨日と同じように登校をし、教室の扉を開くと
「オハヨー」
「おはようございます」
昨日、知り合ったエリカ、美月が声をかけてきた。その雰囲気がまたどことなく懐かしさを感じさせた。
「おはよう、エリカ、美月」
軽い挨拶の後、自分の番号がある席を探した。席はエリカの席の斜め後ろにあり、知り合いが近くにいることに少し気が楽になった気がした。
ガラッ
扉が開いた方向を見ると、登校してきた達也がいた。
「おはよう達也」
「オハヨ~」
「おはようございます」
全員同じ挨拶ながらなぜか統一感がないのは個々の持った性格の現れなのだろう。登校してきた達也は少し笑ったように見えた。
達也の席は美月の横の席だったため
「また隣だが、よろしくな」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
と改めての挨拶をした。その言葉に美月は笑顔で返した。
「私達は仲間はずれ?」
エリカは達也をからかうかのような言い方をしたが、達也自体はすました顔で
「千葉さんを仲間外れにすることはとても難しそうだ」
と言い、一変してエリカが悔しそうな顔をした。
「…司波くんって、実は性格悪いでしょ」
「どちらも同じだな」
俺は二人の会話で思わず笑ってしまった。すると美月も笑いをこらえていたのかクスクスと笑っていた。
「…バダップくん、それはどういう意味かな」
「いじられる側というよりもいじるほうが好きな性格だろ?」
エリカはムスっとした顔をしたが、本気にはしてないようだった。達也はその会話を横目にインフォメーションチェックを始めた。
俺もやった方がよさそうだと思い、俺は端末にIDカードをセットし、以前の世界で使っていた目を全体的に覆う形状をした二つのリングが並んだ円冠状の器具を頭にセットした後、それが作動するようプログラムされた機器も端末にセットした。
俺は素早くチェックと受講登録を済ませた。器具を頭からはずし、同じくやっていた達也を見ると、達也もどうやら全て終わったらしく、軽く息を吐いた。
「…別に見られても困りはしないが」
達也は目線を前へと向けた。見ると、前の席で達也の手元をのぞきこんでいる男子生徒がいた。
「あっ?ああ、すまん。珍しいもんでつい見入っちまった」
「珍しいか?」
「珍しいと思うぜ?今時キーボードオンリーで入力する奴なんて、見るのは初めてだ」
確かに以前の世界でもキーボード入力だけでやる者はみなかったな。
「慣れればこっちの方が速いんだがな」
前方の生徒からは、「それで食っていけるんじゃあ」と言ったが、達也は「アルバイトがせいぜい」と卑下した。
「それに、俺も珍しいと思うやり方をしている奴がいるからな」と、俺の方を横目で見た。
「確かに、あいつのスピードも凄かったからな」
「バダップ、その機器はどうゆうものなんだ?」
達也は俺の機器を興味深そうに見た。
「これはキーボードで打った文字を脳内で変換したいと思った文字に素早く変換するするもので、変換の正確さはトップクラスだと思うぞ?」
「だが、脳内変換の機器にその形状のものは見たことがないのだが」
「これは俺の自作だ。もっとも自分で調節できないのは嫌いだからな」
「それこそ十分に食べていけると思うが」
先程達也の前にいた男子生徒は目を丸くしていた。
「……おっと、自己紹介がまだだったな。西城レオンハルトだ。お袋がクォーターの所為で、外見は純日本風だが名前は洋風、得意な術式は収束系の硬化魔法だ。レオでいいぜ」
「司波達也だ。俺のことも達也でいい」
「バダップ・スリードだ、バダップと呼んでくれ。よろしくレオ」
俺は左手を前に出すと、「おうよ!!」と力強く握手を交わしてきた。
「それで、達也、バダップ、得意魔法は何よ?」
「実技は苦手でな、魔工技師を目指してる」
「なーる…頭よさそうだもんな、お前」
「え、なになに?司波くん、魔工技師志望なの?」
「達也、コイツ、誰?」
話に首をつ込んできたエリカに、レオは引き気味で言った。これは討論が始まるな、俺はそう察すると、思った矢先に口論が始まった。
「それで、バダップ、お前は?」
達也はその口論をものともしないように冷静な顔で聞いてきた。……俺の目指すものか。そうだな、俺の選択肢としてはやはりこの世界でも
「俺も実技は苦手で、俺は…政治家を目指している」
達也は驚いた顔をしたが、横で聞いていた美月も同じように驚いた顔をした。
「珍しいな、普通は魔法に関連した仕事につきたいというのが普通だが」
「俺は、大きな視野で世界や物事を見る為に、まずその近くで今世界で一番必要とされる力である魔法を詳しく知るためにはいった」
「そうだったんですか…それとエリアちゃん、もう止めて。少し言い過ぎよ」
「レオもやめておけ。今のはお互い様だし、口じゃ敵わないと思うぞ」
美月と達也の仲裁により、二人の口論は収まった。
「…それで、バダップお前は何が得意なんだ?」
「そうだ、まだバダップくんの方お聞いてないじゃない」
二人が口論している間に話した事をまた聞こうと迫ってきた二人に、俺は切れた
「お前たちには少し頭を冷やさないとな」
その後、予鈴が鳴るまで、バタップはまさに鬼のごとく説教をし、達也からは自業自得とあきれられ、美月からは水晶眼でバタップのオーラから赤黒いものを感じとった。そして説教をされた二人はしばらく無言のままだった。
バダップが自作した機器の形状はSAOのアミスフィアと同じような見た目だと思ってください。それでは次回