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それではどうぞ
生徒会のメンバーが去った後、一科生の一人である森崎という男子生徒に捨て台詞を吐かれ、険悪な印象を持たれながら一科生はその場を解散していった。
「お兄様、もう帰りませんか?」
「そうだな。バダップ、レオ、千葉さん、柴田さん、帰ろう」
俺はともかく、他の全員は精神的にも疲れただろう。俺達はその場を離れることにした。しかし、その場を遮るようにある女子生徒が立った。
「光井ほのかです。さっきは失礼なことを言ってすみませんでした」
この女子生徒は確か、魔法を発動させようとしていた…。ほのかという女子生徒は深々と頭を下げた。
「庇ってくれて、ありがとうございました。大事にならなかったのはお兄さんのおかげです」
先程の一科生とは一変して、礼儀正しい優しい口調をしたものだった。
「どういたしまして。でも、お兄さんはやめてくれ。これでも同じ一年生だ。名前は達也でいい」
「分かりました。それで…その、駅までご一緒してもいいですか?」
同行の許可を願うほのかに、全員が互いに顔をみあった。別に拒む理由も道理もない俺達はそれを了承した。
「えっ?その警棒、デバイスなの?」
俺達は少し歩いたのち、空気の悪さから、少しでも変えようと先程のことを話し合いに出した。
「普通の反応ありがとう美月。みんなが気づいてたんだったら、滑っちゃうところだった」
エリカの持っている警棒がデバイスなのはわかっていたが、その後の話でエリカはデバイスの振り出しと打ち込みの一瞬だけにサイオンをいれていたという荒業だった。その時全員はこの学校自体が、普通ではない有力な生徒を集めていると再確認した。
「あ、そういえばバダップくんはどうやって一科生の後ろまで行ったの?」
「そうだな、あそこまで行くのもそうだが、全てのCADも回収するのはかなりのことだが」
先ほど話題から全員が俺の方に視線を向けた。
「ああ、あれは加速魔法とただ武装を解除、いや簡単に言えばスッたといったほうがわかりやすいのか?」
全員が首を捻り、達也からは指摘があった。
「待て、魔法式を展開していたのなら誰かしらが気づくはずだが」
指摘はもっともだったが、バダップの答えは単純なものだった。
「気づかなかったのは俺が持っているデバイスに秘密があるんだが、俺のデバイスはこの靴自体なんだよ」
バダップは靴の方に指を指すと、軽く魔法式で弱い風をふかせた。どうやら達也は気づいたようだな。
「そのデバイスは、靴の裏に魔法式が展開されているのか」
「正解だ、達也。俺のデバイスは魔法式を展開するときには相手に見えないように靴裏に展開するように調整してある。単純な魔法式なら足の裏で十分だが、大きいものを出す場合は服の内側に展開する」
CADの形として、ほとんどは腕に装備するように設計されているが、バタップのデバイスは足に装着するように設計されているため、誰もが考える概念を壊すものであった。
「なるほど、そりゃあわからないな。でもよ、それでもあの距離を高速で移動するのは並のサイオンの量じゃあできないぜ?」
レオの指摘は最もだった。足にCADを装着していたとしても、あの移動は一科生の域も超えていた。
「いや、そうでもない。ポイントごとに複数の反発魔法を置いておけば加速ができる。エリカが力をいれるときにサイオンを流すように、俺もそのポイントにだけサイオンをいれているだけだよ」
その発言に、全員が苦笑いするしかなかった。
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その後、俺は駅でエリカやレオたちと別れた後、自分も帰ろうとしたが、達也が突然声をかけてきた。
「少しいいかバダップ」
「どうした達也?」
先ほどの会話の時とは一変して、達也の顔は強張った表情をしていた。
「お前は一体何者なんだ?お前の魔法式からは何の術式も構築されてなかった。その魔法式には0しか入っていなかった」
さっきのはやはりハッタリじゃなかったか。達也も並の人間じゃなさそうだな。
「本当に魔法式を読み取れているんだな達也。隠すこともなかったが、色々な情報からこの能力は面倒事になりそうだったからな」
「どういう事ですか?」
「俺は二科生であって、二科生じゃないということですよ」
だがまだ、話すべきじゃないか。いずれ話すときがくるかな。
「それは…」
「また明日、達也、深雪さん」
「待て、話は終わって…」
「ヘブンズタイム」
バダップが指を鳴らしたと同時に達也と深雪の動きは止まった。
(これは!?)
達也の意識は止まった時間でもしっかりと保っていた。しかし、達也はバダップから魔法式を読み取る。起動すら気付かなかった。しばらくして、達也と深雪の体の硬直が解けると、そこにバタップの姿はなくなっていた。
「お兄様…」
「あいつの能力は不明な点が多い、俺達の脅威となるのなら排除するまでだ」