終わらせるモノ 作:ハーミット
「ソフトの評価値が安定しません!!」
竜王戦第4局
この対局に俺は今まで積み上げてきたもの全てを吹っ飛ばされた気がした。
『先後お互いに最善手を指し続けたら?』
この質問に答えるのは、ときの名人でも、竜王でもなく、俺だと思っていた。
所詮元奨でしかない、この俺が。
将棋ソフト。俺は奨励会の退会を止む無くされた後、これの作成に全力を注いでいた。
プロになるような将棋の才能は無かったのかもしれない。
だが、将棋ソフトひいてはコンピュータに関する才能は、自分で言うのもなんだが、抜群にあったらしい。
俺の作ったソフトは、於鬼頭先生を倒した。
更にそこから進化を遂げ、まさしく将棋界No. 1の地位を獲得したと思っていた。
プロ棋士にとっては優劣不明な局面でも正確に数値でそれを表し、
プロ棋士にとっては指し手が見えにくい難解な局面でも奇手・妙手を示した。
竜王戦挑戦者決定戦で、名人が神鍋先生に繰り出した銀捨ての妙手もこのコンピュータは僅か1秒。
盲目の天才棋士、月光先生の77桂打に至ってはまさに一瞬で導き出す。
だが、あの対局だけはそうでは無かった。
竜王戦第4局
九頭竜先生を神の次元に押し上げた1局。
あの対局だけは、ソフト最善を超える一手がこれでもかというくらいに現れた。
さらに、評価値も二転三転。
本来、有り得ないことだ。
これは“人間がソフトを超えた”ということを表す1局だ。
有り得ない。
有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない………………………………………………………………
確かにソフトはまだ完璧とは言えない。言えないが、人間より遥かに完璧に近い。
俺の組み込んだソフトのディープラーニングにより、今や作成者の俺でさえ“あれ”がどうなっているのかわからない状態だ。
プロ棋士間で示されるレーティングも3000とも4000とも言われる数値の実力を持つ。
九頭龍先生も、名人も所詮2000点前後の実力だろう。
その2人が何でソフトを超えられる?
わからない。
ネットでもこの2人がソフトを超えると期待されている。
なんで?
ソフトよりも面白い将棋を指すから。
面白い将棋?ソフトの将棋はつまらない?
どうして?
伝説とも言われる数々の妙手、ソフトは最善手として一瞬で指せるよ?
それでもつまらない?
なら、本当につまらなくしてやるよ。
将棋を終わらせるのは、この俺だ。
次からはこめでー
主人公が作った将棋ソフトは、グー●ルさんが作ったアレくらいに強いという設定。