魔法科高校の益良雄 作:RAINY
「
「全くの真顔で『かっこはんぎれかっことじ』って発音してるのですが」
「神様転生の序盤のテンプレは全カットな流れなのね」
神様より転生特典を貰い受けた俺氏こと今世での氏名『
ということなんで君たちが俺の転生特典である『
(こいつ、直接脳内に……!と、ウィル子は『will.co21』で間違いないのですよ、マスター)
「わざわざ『レイセン』『マスラヲ』であった脳内会議を試したかったのね。私も閣下が望む通りの『闇理ノアレ』よ」
何という事でしょう。ウィル子はネタで応えてくれるし、ノアレはこちらの意図を読み取って解説までしてくれる。
控えめに言って完璧だ!『
「マスター、『控えめに言って』から『我が世の春が来た』まで筒抜けなのですよ……」
そう呆れないでほしい。俺自身もテンションが高いことは分かっているが本当に君たち二人には相当憧れていたし、川村ヒデオに対しては尊敬もしていたんだ。
林トモアキ原作作品は前世の俺にとって愛読書と言っていい代物であり、その内『戦闘城塞マスラヲ』と『レイセン』は特にお気に入りだった。
「一様言っておくけど、私たちの能力は完全再現されてないし、私たちの存在はこの世界のルール準拠よ」
「それはしっかり神様から聞いてるよ。というか、お前たち二柱はカミなんだから如何に転生モノで毎度おなじみのご都合主義な神様でも無理があるだろう」
神といえど同列以上のカミは生み出せないわけで、彼女ら二柱の能力が弱体化する旨は事前に聞いていた。
「そもそも『01能力』や『眠り続けるものの召喚』なんてこの世界でもチート過ぎてて使えない。『
対価さえ払えば如何なる電子機器でも創造する能力も、あらゆるエネルギーを無に還すまで消えない闇の召喚権も持ったところで色々怖くて使えたものではない。と言っても、あらゆる電子機器を支配する神器と物質・物理エネルギー・魔法的エネルギーを消去する能力も十分以上に強すぎる。だからこそ『
「そういえば気になっていたのですが。
「この世界にも魔法が存在して、それが科学的に解析され始めているっていうのは知ってるし、『十師族』とかの世界常識も知ってるけど。さすがにどういうライトノベルの世界かは知らされてないわよ」
どうやら彼女たちは神様あたりからこの世界の基礎知識はしっかり知らされているようだ。説明の大部分が省けて大変楽である。一から十までとか言われたら日が暮れる。
「この世界の名前は『魔法科高校の劣等生』。科学的に魔法が証明された世界で、日本の魔法師評価基準からズレた天才の劣等生が送る高校生活って感じかな。私的なジャンル付けとしては『近未来ダークファンタジー』だな」
絶対お前劣等生じゃないだろってチート主人公『
『魔法科高校の劣等生』
「高校生活ってことは、閣下は原作前スタートってことかしら」
「たしかに。マスターどう見ても中学生ですね」
そう、俺の姿はどう見ても中学生なのである。
「12歳の中学一年生だな。えーと、西暦はっと。2092年、原作3年前スタートか」
ついでに日付は7月30日。夏休み中だ。因みに、俺自身この世界で川村家長男として12年間生きた記憶が植え付けられている。世界5分前仮説状態である。
「2092年で中1だから。たしか、主人公と同学年になるか」
「あら、見事に原作に巻き込まれそうね。閣下」
「マスター、原作改変ですよ原作改変!ウィル子達の力をこう、ドバーっと使って原作ブレイクですよー!」
暗黒微笑と無邪気な笑顔。対照的でありながらどっちもぶっ飛んでいる。さすが元暗黒神の端末と元超愉快型極悪感染ウィルスだ。
「俺としては原作に干渉はしたいがブレイクまではしたくないな。色々と面倒だし。後、人死にが稀によく発生するし、主人公も普通に人殺すが。俺は絶対に人殺しはしない。お前たちを、絶対に人殺しには使わない」
「へぇ~……」
「ウィル子としては、その心遣いは大変ありがたいのですよ」
片や試すような、悪魔のような視線。片や見守るような、女神のような微笑み。
「俺にとって君たちは川村ヒデオからの、
川村ヒデオは、ウィル子達を
「それで、友人で在りたいとかいいながらすまないが、君たちには多分に力を貸してほしいとも思っている。残念ながら無力な俺じゃこの世界で、彼のようになるどころか不殺も生き残ることも難しいと思う」
この世界は割とシビアだ。藪を突けば良くて蛇、悪くて鬼が出る。そんな中、転ばぬ先の杖すら用意できない無力な子供一人ではたやすく死の運命を手繰り寄せることになりかねない。
「だから、どうかこのどこぞの馬の骨に力を貸してくれ」
二柱のカミに祈りを捧げる。こちらから捧げられる贄はほとんど用意できないと理解しながら、ただ愚かにもカミの恩恵を授かりたいと縋るのだ。友情なんてものをかざしながら。
「いいですよ」
「いいわよ」
「割と軽い!?」
二つ返事でカミの恩恵を貰えるとは思ってなかった俺としては大変驚愕である。
「にほほほほ。カミとして祈る信徒には応えるのですよー。それに、
「私はあなたが自らトラブルに向かって行って、面白おかしく巻き込まれてくれればそれで満足よ。それに、
伊達にヒデオの友人たちではない。伊達では彼の友人は務まらなかったのだろう。彼の意志に当てられ続けたこの二柱は言動や行動が如何に悪魔的でも、その実、心優しい精霊なのだ。
「ありがとう。これからよろしく頼む」
「はい、マスター」
「ええ、閣下」
『魔法科高校の益良雄』は、ここから始まるのである。
この物語は、運命に翻弄される『劣等生』の物語でも、運命に阻まれる『優等生』の物語でもない。まして、運命を己が望む未来に書き換える『英雄』の物語でもない。
この物語は、運命に立ち向かう、『