四葉を継ぐ者   作:ムイト

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第2話 魔法科高校へ

 数日後。学校で手続きを終えた智宏はある人物に言われて講堂の控え室に通された。

 

 理由は簡単。ついこの前に四葉真夜の息子として発表され、世間を騒がせていた人物が入学してくるのだ。なので全校生徒を集めてそこで智宏を紹介するとの事だ。

 

 智宏が携帯端末を弄っていると、ドアの向こうから智宏を控え室に連れ込んだ張本人の気配がした。

 それと同時にドアが開く。

 

 

 「ごめんなさい。待たせてしまって」

 「いえいえ。大丈夫ですよ」

 「そう・・・・・・?コホン、では改めまして。私はこの学校の生徒会長を務めている七草真由美です」

 「貴方が七草の・・・あ、四葉智宏です」

 「いろいろ聞きたい事があるのだけれど、とりあえず講堂で貴方の事を紹介するわね」

 「わかりました」

 「ついでになんだけど――」

 「何か言うんですか?」

 「・・・・・・そうよ。頼めるかしら?」

 「はい。大丈夫です」

 「じゃあ決定ね!もう準備はできたはずだからこっちも移動するわよ!」

 「は、はぁ」

 

 

 智宏は真由美に引きずられるようにして講堂のステージに向かう。

 

 舞台裏から講堂を見ると本当に全校生徒が集まっているようだ。後ろで立っているのは生徒会役員と風紀委員だろう。

 そして生徒達は今か今かと智宏を待っていた。

 

 

『それでは転校生の四葉智宏君です。どうぞ!』

 「ほら行って行って!」

 

 

 真由美に背中を押されながらも智宏は拍手が鳴り響くステージに出ていく。

 言い忘れてたが、智宏ははたから見てもかなりルックスがいい。その証拠に女子生徒から黄色い声が上がっている。

 

 そして学校内の実力者数名は智宏の実力を感じ取り、警戒や関心や興味の含んだ視線を智宏に向けている。しかし大部分の生徒は、裏でいろいろやっている四葉という家に恐れを抱いていた。

 智宏はマイク前に立つととりあえず自己紹介をする。

 

 

 「どうも。四葉智宏です。まずはこの1高に入れた事を誇りに思います。約3年という短い期間ですがどうぞよろしくお願いします」

 

 

 挨拶を終えると再び拍手が講堂を包む。

 ぐるりと講堂内を見渡した智宏は「やはりか」と思う。

 

 本来ならば学校側から提示された原稿用紙を読むのだが、ここから智宏は個人的な意見を言い始める。

 

 

 「さて、挨拶はここまでにして少し言わせてもらう。ここから見ても君達の実力は明らかだ。この学校には一科生と二科生がいると聞いていたが・・・そうだな、ここから向こうが一科生で反対側が二科生かな?」

 

 

 会場がざわつく。

 どうやって実力がわかったのだろうと。

 しかも敬語を使っていないし・・・とも。

 

 

 「それで一科生は二科生の事を軽蔑し差別しているとか」

 

 

 心当たりがあるのだろうか?何人かの一科生は智宏から目を背けた。

 逆に二科生達はなんだろうかと智宏をしっかりと見る。

 

 

 「言わせていただく。実にくだらない。なぜ差別をする?自分達より劣っているからか・・・?まぁそれはいいとして、この前のブランシュの事は聞いた。聞けば活躍したのは学校の役員以外ほとんど二科生だったらしいじゃないか」

 

 

 ブランシュの事件を思い出したのだろう。身に覚えがある二科生は下を俯いている。

 騙されていた彼らに罪はない。しかし騙されていなかった二科生も自分だったら賛同していたかもしれないと思ってしまうのだ。

 

 

 「一科生はその時何をしていた?全て風紀委員に任せっきりじゃないか。自分達の学校が襲われていたんだぞ?少しは協力したりしなかったのか?」

 

 

 一科生は何も言い返せなかった。

 席を立って言い返そうとしたが周りの空気が重すぎて結局立てなかった生徒や、克人や摩利が頷いているのを見て「うっ」と思った生徒が多数いた。

 

 二科生からもうんうんと頷いている生徒が多く見られた。

 

 

 「だから俺はブルームやウィードなどの差別を認めない。そうそう。見た感じ二科生の中には一科生よりも強い人が何人かいるみたいだから足をすくわれないように。以上です」

 

 

 智宏は言いたいことを言い終わると、とっととステージから去っていく。

 消えた途端講堂内はガヤガヤとざわつき始め、様々な意見を言っている生徒がいた。二科生の女子で泣いている生徒も何人かいる。もしかすると彼女達は差別されるような言葉を何回も言われてきたのだろう。

 

 真由美は満面の笑みで智宏を送り、摩利や克人は満足そうにしていた。

 智宏は講堂を出て初めて自分が真由美に使われたのだと察する。しかしあの言葉は嘘ではなかったのであまり気にはしていなかった。

 

 智宏のクラスは1年A組。なんと深雪と同じクラスだ。そして教室に行くと「まじ?」と言いたげな生徒が何人かいた。そんなに四葉が怖いのか。

 休み時間、智宏はクラスメイト(主に女子に)話しかけられる前に深雪の所に向かう。

 深雪もそれに気が付き、周りにいた2人の女子生徒を分けて智宏の前に立った。

 

 

 「初めまして、俺は四葉智宏です。貴女が司波さんですか?」

 「はい、私が司波深雪です。深雪で結構ですよ」

 「・・・ではそうする。事件当時の活躍は聞いた。すごいじゃないか」

 「私などお兄様には及びません」

 「お兄様?ああ、そういえば兄がいたのか」

 

 

 もちろん初めて会った(・・・・・・)という演技はする。シナリオは、真由美にブランシュの事件の内容を聞き、活躍した深雪に興味を持った。という風にしてある。

 多少なりとも2人の演技はクラスメイトは騙せただろう。周りのクラスメイトは違和感など覚えずにこちらを見ている。それに智宏と深雪の話を聞いて智宏の印象をクラスメイトに対して少し良くする事ができただろう。

 

 ここで深雪は隣にいる2人の紹介をしてくれた。

 

 

 「四葉・・・さん」

 「智宏でいい」

 「では智宏さん。こちらは北山雫さんと光井ほのかさんです」

 「よ、よろしくお願いします!」

 「よろしくね。私達の事も名前でいいよ」

 「おう、よろしくな。ほのか、雫」

 

 

 ここで智宏は「おや?」と思った。

 深雪の周りにいた雫とほのかの事だ。

 北山と言えば雫の父親は国防軍に武器を生産して売り渡している超がつくほどの兵器メーカーの社長。日本では唯一といっていいほどの巨大な兵器会社なので、特に国防軍の中枢からは重要視されている。ちなみに雫を名前で呼んだ時に彼女の頬がぽーっと薄く赤くなったのは気の所為だろう。

 

 片やほのかはあの光のエレメンツの末裔だとすぐにわかった。ちなみに『エレメンツ』とは日本で最初に作られようとした魔法師である。そしてエレメンツの1族は、裏切りを避けるために忠誠を絶対のものとした。その血は子孫にも流れ、強い依存癖があるのは間違いない。ほのかもそれを自覚している。

 

 休み時間が終わり、そのままこの日は普通に過ごして終わった。

 放課後、智宏は再び深雪の所に行こうとすると、1人の男子生徒が行く手を阻む。

 

 

 「なんだ?」

 「俺は森崎駿だ。話がある」

 「手短に頼む」

 「なんで講堂であんな事を言った」

 

 

 この言葉に教室内の室温は一気に下がる。

 それは深雪が関係しているのかと言われればそうではない。あの四葉に対抗する素振りを見せた森崎に対してクラスメイト達が青ざめたのだ。今まで四葉に消されてきた人は数知れず、国家に反旗を翻す国賊を粛清している噂も流れている。

 

 深雪も本来ならば教室を氷漬けにしてしまうところだが、深雪は相変わらず笑みを浮かべている。

 

 

 「別に?本当の事を言ったまでだ」

 「二科生を見下して何が悪い!魔法を使えないあいつらが悪いんだ!」

 「じゃあ森崎。お前は深雪の兄に勝てるのか?」

 「勝てる!」

 「無理だ。会長の言うことが正しければいくら森崎の魔法発動スピードが早くても避けられてやられるのがオチだな」

 「何!?」

 「なんだ?校内でのCAD使用は禁じられているはずだ。いくら風紀委員でも許される事ではないぞ」

 

 

 森崎はカッとしてCADを抜こうとした。

 しかし智宏に言われて慌てて腕を戻す。

 

 すると後ろで見ていた深雪達が止めに入ってきた。

 

 

 「森崎君!何やってるの!」

 「光井?」

 「今のは森崎君が悪いよ!」

 「ほのか、落ち着いて。智宏さんごめんなさい」

 「いやいい」

 「でも森崎君も実力で示したいようなので模擬戦をしたらどうでしょうか」

 「模擬戦・・・ね」

 「部屋の使用許可はとりますよ?」

 「・・・だそうだ。森崎?」

 「くそ!やってやる!」

 「では決まりですね。少し待っていてください」

 

 

 智宏と森崎の模擬戦が決まり、関係ないクラスメイトも何人かがついてきた。

 許可はすぐにおりたが、条件として立会人として生徒会と風紀委員が同行するらしい。

 

 深雪を先頭に演習室に向かう途中で、ちょうど真由美と摩利、克人や服部形部少丞範蔵(はんぞー君。あと以後服部で)

 と合流し、演習室に到着した。

 

 演習室に着くと、中心を2人に空けて他の生徒は全員壁際に寄った。

 審判は摩利が務めるようで、2人の間に立つ。

 智宏と森崎はCADを準備する。

 

 

 「ほぉ。四葉、お前のCADは指輪型なのか?」

 「はい。母上から貰った物です」

 「そうか・・・コホン。では模擬戦を始める。ルールは相手を降参させるか行動不能にするかだ。2人共いいな?」

 「はい」

 「はい!」

 「では・・・試合、開始!」

 

 

 模擬戦が開始され、森崎はCADを智宏に向けた。しかし智宏は何もしない。勝ったと思い込んだ森崎は、魔法を発動しようとする。

 だがその瞬間、演習室を夜が包み込んだ。

 

 

 「こ、これは!」

 

 

 驚愕する森崎に智宏は発動した魔法、《流星群》を続行した。

 智宏の頭上から無数の光が現れたと思うと、その正体は直ぐに明らかになった。星の集合に見えたそれはまっすぐ森崎に向かって降りていく。

 

 接近してくる光球に気がついた森崎は防御魔法を発動。森崎の周りを防壁らしき物がとり囲む。

 

 光球はまるで流れ星のように森崎に降り注ぎ、展開している防壁に命中した。

 普通なら弾かれるほどの大きさだが、今回は違った。光球は次々とシールドを貫通し、森崎に直撃した。それも1つだけではなくその全てが森崎に攻撃を浴びせている。

 威力は抑えてあるがこれ以上命中すれば九校戦に出れなくなる。そう判断した摩利は――

 

 

 「四葉!やめろ!試合そこまで!」

 「わかりました」

 

 

 試合を強制的に止めさせた。

 智宏が魔法を止めると森崎はドサッと床に倒れる。

 

 

 「うっ・・・」

 「森崎!おい、保健室に運べ!」

 「「はい!」」

 

 

 摩利は智宏のクラスメイトの男子2人に森崎を保健室に運ぶように指示を出す。

 智宏は横で見ていた深雪をチラリと見ると、深雪は満面の笑みで立っていた。最初から結果はわかっていたようだ。

 

 智宏が深雪の所に行こうとすると、今度は摩利が話しかけてきたのだった。

 




森崎は1回シバかれた方がいいと思うんだ。

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