視える縁と視えない友人   作:三柱 暮葉

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今回は夏目サイドのプロローグです。
クロスまでもう少しかかると思いますので気長に待っていただけると有難いです。


第2話 終業式 [夏目 貴志の場合]

第2話 終業式 [夏目 貴志の場合]

 

 

一学期最後の登校日、終業式も終盤に差し掛かかり、最後の難所とも言える校長先生の話しに突入した。

さっきまで目を開けていた周りの生徒達の中に、こくりこくりと船を漕ぐものの姿を見受けられた。その中でも誰よりも先に意識を手放してしまっていたお調子者の友人をチラリと見て、少年はその頭上にある別の”もの”に目を向けた。

そこには人の頭位の大きさの毛の塊がモゾモゾと動き、次の瞬間別の生徒の頭の上へと移っていき、乗られた生徒を見事なロン毛にイメチェンさせては別の頭へ移り、被っては離れを繰り返していたが、被られた生徒達は割と大きなそれの存在に全く気付く様子はなかった。(別のクラスの列にいた若干長めの髪をした友人は被られた瞬間鬱陶しそうに髪を掻き分ける仕草をしていたが)

 

ーーー小さい頃から時々変なものを見た。他の人には視えないらしいそれらは、おそらく、妖怪と呼ばれるものの類。ーーー

 

その大きな毛玉をこの場で唯一視界に収めている少年、「夏目 貴志(ナツメ タカシ)」はいわゆる”視える人”である。普段なら毛玉を見て驚くなり何かしらのリアクションをとっている所だが、あの毛玉は以前からちょくちょく見かけていたし、何より”先生”から奴は人の頭に乗るのが好きなだけで害は無いと言われていたので、特に慌てるでもなく、毛玉が頭に移って行く様を眺めていた。

 

(あのクリボー、本当に頭の上に乗るのが好きだな。)

 

夏目は、その毛玉の事を小さい時にちらりと見たアニメの、ヒトデの様な頭をした主人公が従えてたモンスターに似ている事から「クリボー」と勝手に名付けていた。

そんな頭から頭へ移動していたクリボーが、ふとステージの上にいる、ひときは輝く肌色の頭の持ち主、校長先生を凝視していた。最初はどうしたのだろうかと思っていたが、急に嫌な予感が脳裏を過った。

 

(あいつ、まさかっ⁈)

 

そのまま引き寄せられる様に校長先生の頭へと向かって行くクリボー、まるでそこには最高の被り心地があるかの様な期待の眼差しを光らせて。

 

(まて!やめるんだ!!こんな大勢の前で、何よりこの沈黙の中で!)

 

そんな夏目の悲痛の思いも届かず、クリボーはとうとう校長先生の頭にたどり着いてしまった。

「ーーーーーー⁈」

夏目の目に移ったのは、校長先生の頭の上で予想以上のフィット感に被り心地を良さそうににしているクリボーと、サラサラロングヘアーの小太り中高年こと、校長先生の姿であった。

夏目はその光景から目を背け、肩をプルプル震わせ、吹き出さんと堪えていた。実際、校長先生のかつら(クリボー)は自分にしか見えてないので、笑いたくても笑えない、正に逆裸の王様状態である。

そしてさらに脳裏を過った裸の"王様”と言うフレーズで毛玉の主のヒトデ頭を思い出してしまい、肩の震えに更に拍車がかかる。

結局夏目は校長先生の話が終わるまでの間、他の学生達とは別種の難所を強いられる形となってしまった。

 

 




今回途中から何か別の物がクロスオーバー(?)してますが、ただ単にそれっぽい妖怪なだけですので、これから特にクロス作品が増えると言うこては無いのでご了承ください。

でも、「どうやら夏目はカードの精霊も見えてしまう体質みたいです」的な作品があっても面白いかなとおもいます。
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