真夏の昼下がり。 地上に出て七日間という短い生命を謳歌するが如く、蝉たちの必死の叫びがこだまする。
現在、全国シニアリーグの地区大会決勝が行われている、パワフル県営球場には、最後の夏に決死の想いで挑む球児たちがいた。
肌を焼く太陽の照りつけと、うだるような暑さの中、観客達の歓声や球児たちの応援歌、激励の叫びなど、様々な音が混じりあって球場に響き渡る。
「天川っ……!!」
バッターボックスに立つ少年は、強豪『青空レインボーズ』のエース、『
輝くような長い金髪を紫のリボンで結んだ少年で、多彩な変化球と糸を引くような直球が持ち味の自他ともに認める天才投手である。
野手としての能力にも優れており、身体能力が高い選手だ。
そして、彼がキッと睨みを利かせて見据えるのは、炎天下のマウンドに立つ一人の黒髪の少年。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
荒い呼吸を繰り返す『星空ボーイズ』のエース、『
名門シニアであるレインボーズを相手に、七回を投げて被安打四、奪三振九、自責点なしという驚異的とも言える記録を叩き出していた。
万年初戦敗退が板につくほど弱小であった星空ボーイズが、強豪ひしめく地区大会の決勝まで駒を進められたのは、ひとえにこの天川の力があったからと言っても過言ではないだろう。
そして今は八回裏の青空レインボーズの攻撃。
なんと2対0で弱小星空ボーイズがリードしている状況だ。
さて、緩やかに呼吸を整えた天川は、自身を睥睨する虹谷に視線を合わせる。
(負けられない……まだ終われないっ!!)
滴り落ちる汗。 今すぐにでも倒れ込みたいほどの疲労感。 緩やかだが確実に襲ってくる右腕の痺れ。
それでも天川は内なる闘志を燃え上がらせ、痛む身体を奮い立たせる。
(あと二回……)
スっと振り上げれた豪腕。 ワインドアップモーションから左足を上げて、五角形のホームベースに向けて真っ直ぐに踏み出す。
それにならうように右腕が鞭のようにしなり、手に持つ硬式ボールが放たれた。
空を切り裂くノビのある直球は茶色のキャッチャーミットを目掛け、唸りを上げて真っ直ぐ進んでいく。
(皆と一緒に……全国にっ!!)
虹谷のスイングを掻い潜り、ミットの乾いた音が爽快に響き渡る。
観客や球児たちの爆発的な音は、それに合わせたように更に音量を上げた。
だがその日、炎天下の中で行われた全国シニアリーグ地区大会決勝は、2対3という結果で、星空ボーイズは敗退した――
読んで頂きありがとうございます。
初めましての方も、そうでない方も、楽しんでもらえると幸いです。
気まぐれに投稿させて頂きます。