助け出した女の子がアイドルだった件について   作:暁月 聖人

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驚きで口が開きっぱなしである私なのです。

そんなわけで、本編です。どうぞ!


初めて異性の友達を誘うのってスゴく難しい……え?そうでもない?そんなバカな……

 いつも通りの朝、俺と紫乃は二人で朝飯を食べていた。

 

 テレビに映る天気予報を見るとお天気お姉さんが晴れるといっていたが、半信半疑だ。昨日の恨みがまだ残ってる証拠だな。よし、今日は折りたたみ傘持ってこ。

 

「兄さん」

 

「ん?」

 

「昨日、何かあった?」

 

「へ?」

 

 柴乃がジト目でそんなことを聞いてきて、俺は呆然としてしまった。

 

「兄さん、すごい機嫌がいいもん」

 

「そんなことないぞ」

 

「そんなことある。私にはわかる」

 

 柴乃の目にさあ話せと言ってるのが分かる。

 

 妹には何でもお見通しらしい。まあ、大した話じゃないし、話してもいいだろ。

 

「友達ができたんだ。それも、とびっきり可愛い女の子だ!」

 

「……4月は過ぎたよ?」

 

「嘘じゃねぇ!!」

 

 そんなに信じられないんか!?

 

「まあいいや。ごちそうさま」

 

 俺は朝飯を終えると食器を持って台所に向かった。

 

「兎に角、俺はもう健之以外にも友達ができたの。わかった?」

 

「ん。あんまり信じてないけど、わかった」

 

「いや、信じろよ……」

 

 食器を流しに入れた俺は支度をして家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はいつものように登校すると窓際の席についてボーッと外を眺めていた。

 

「一哉!!」

 

 そんなとき、突然健之が俺の机を叩いて声をかけてきた。

 

 え?何?俺、なんかした?

 

「これはとある女子から聞いた半信半疑な情報なんだけどな」

 

 あと、気のせいかな。周りが聞く耳をたてているような気がするぞ。

 

「お、おう。半信半疑な情報?」

 

「お前……昨日渋谷さんと帰ったって……マジか?」

 

「ん?帰ったけど」

 

『ナニイイィィィ!!!』

 

 周りがあり得ない!と言わんばかりに驚いていた。

 

 おい、お前ら!俺が女子と帰るのにそんな驚愕することか!?

 

「あの、柊木が……?」

 

「私、絶対二人きりなんて怖くて耐えられないわよ……」

 

「私なら全力で逃げ出す」

 

「体代われ。俺が柊木になる」

 

 散々な言われようだ。つうか、最後のやつ、意味がわからないからな。

 

「お前、アイドルと親しくなるようなこと……しそうだな」

 

「は?」

 

 渋谷がアイドル?あ、あれか。学園のアイドルってやつか。いるよなぁ、その手のポジにいる人。

 

 渋谷、普通に可愛いからな。絶対何人か告られてるに決まってる。

 

「言え!何があった!俺を除いて友達ができなそうなお前が渋谷さんと仲良くなるなんて……地球が滅びるのか!?」

 

「よし、そこに直れ健之。今すぐお前に一発きついのお見舞いしてやる」

 

 紫乃といいお前といい俺のことどう思ってるかよくわかったぞ。

 

 まあ、わかるけどな。正直に言うと俺も驚いてるから。

 

「全員席につけ。ホームルームを始めるぞ」

 

 丁度いいところに担任が入ってきた。それに健之は軽く舌打ちしつつ自分の席に戻っていった。

 

 どうやら、余程俺と渋谷の関係が気になるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼休み、俺は屋上で弁当を広げていた。隣には珍しく健之の姿があった。

 

 というか、俺と渋谷について聞きたかったってところだろう。

 

「それで、渋谷さんとはどういう関係だ?」

 

 ほらな。予想通り過ぎる。

 

「友達だよ。LINE交換しただけの」

 

「マジで!?お前、やるな」

 

「あのなぁ。渋谷はただの女子高生だぞ?そこまでのことか?」

 

 そう言って弁当箱から卵焼きを箸でとって口にはこんだ。

 

 因みに、弁当はいつも前日の夜に紫乃が作ってくれてる。ありがたいことこの上ない。

 

「いや、ただのって……渋谷さんはアイドルだぞ?」

 

「はいはい。そうだな」

 

 学園の、だろ?分かってる分かってる。

 

「その顔……まさか、勘違いしてるんじゃ……」

 

「勘違い?」

 

 何の?

 

「一哉、アイドルと俺は口にしてるけど、何のアイドルだと思ってる」

 

「学園のアイドルだろ。ほら、学園系漫画とかでよくある」

 

「…………」

 

 え?なにいってるの?みたいな視線はなに?俺、何か間違ってる?

 

「……面白そうだし、放っておくか」

 

「はい?」

 

「何でもない。紫乃ちゃんのミートボールもらい」

 

「なっ!てめっ!!」

 

 俺のミートボールを箸で奪うと言う健之の咄嗟の行動に俺は対応しきれずにやられてしまった。

 

「うまっ!?さっすが紫乃ちゃん。お嫁に欲しいぜ」

 

「お前みたいなタラシに妹は……やらん!」

 

「おっと」

 

「ちぃ!」

 

 俺も奪おうと試みるも失敗した。ガキかって?ガキだよ、悪いか!

 

「それで、渋谷さんと出掛ける予定あるんか?ん?人生の先輩に言ってごらん?」

 

 こいつ、上から目線過ぎてすげぇ腹立つ。殴りたい。

 

「そんなもん、知るかよ。大体、どんなことに誘えばいいんだ?」

 

 健之以外友達がいない俺だ。誘い方すらも知らない。

 

「フッフッフー。この俺様に感謝したまへー」

 

 そう言って懐から取り出して、ひらひらと見せびらかしたのは2枚のチケットだった。

 

「誘い方指南書もあるぞ。この映画のチケット2枚使って出掛けちゃえ☆」

 

「用意よすぎじゃね?お前、どこのギャルゲーの親友キャラだよ。あと、☆はウザいから止めろ」

 

 いつ用意したんだ?甚だ疑問である。

 

「いいのか、そんなこと言っちゃって?これ、やらんぞ」

 

「ください、お願いします、健之様」

 

 土下座して媚びる俺。プライドなど中学の頃にどっかに捨てた。

 

「ほらよ。頑張れよ、一哉」

 

「ありがとう、健之」

 

 俺は映画のチケットと指南書なるもの(メモ用紙)を受取り、お礼を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、問題に直面した。

 

 放課後になり、俺は携帯を開いてLINEを開く。

 

 そこで、渋谷を誘おうと文を作るが、誘い方が分からないのだ。

 

 尚、メモには、“流れで何とかなる”としか書かれておらず、無言でビリビリに切り裂いてやった。あいつには後でお仕置きである。

 

「どうしろと……」

 

 普通に誘えばいい的なことを健之は言いたかったのかもしれないが、俺はその普通が分からない。

 

 いきなり映画を見に行かないと言っていいのか?何か過程があるのではないか?そもそも、相手の都合とか考えるべきではないか?

 

 色々な思考が俺の頭の中を駆け巡る。

 

「柊木君」

 

「ひゃい!?」

 

 俺は突然声をかけられて声が裏返ってしまい、背筋をピンと伸ばしてしまった。

 

「あれ?驚かせちゃった?」

 

「し、渋谷か……」

 

 俺は声をかけたのが渋谷と知り、安堵する。

 

「どうしたの?何か一人でスマホとにらめっこしてたけど」

 

「別に……」

 

 お前を映画に誘うために文を考えてましたなんて言えるわけない……。

 

「ふーん。ねぇ、柊木君」

 

「何だ?」

 

「よかったら、一緒に帰らない?」

 

「いいけど……」

 

「よし、じゃあ行こう」

 

「ちょっ!?引っ張るなよ!!」

 

 俺は渋谷に手を引っ張られ、学校を出た。

 

 その際に後ろが騒がしかったが、気にしたら負けだと思った。どんなことで騒いでいるか大体想像がつくからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 帰り道、俺と渋谷の二人で歩く。

 

 昨日と同じでどこか気まずい。何か話さないといけない気がする。

 

 そうだ。今ここで土日の予定を聞いて映画に誘えばよくね?

 

 そうと決まれば有言実行───

 

「ねぇ、土日って暇?」

 

「え?まあ、暇だけど」

 

「どこか出掛けない?」

 

「お、おう」

 

 先越された!!何か知らないけど自然に誘われたんですが!?

 

 あれやこれや考えていた俺がバカみたいである。

 

 だが、これは好都合だ。映画に誘ういいチャンスだぞ。

 

「じゃあさ、映画を見に行かないか?友達からチケット2枚もらってな」

 

「え!?友達いたの?」

 

「いるわ!そりゃ、友達は作れない容姿してるけどさ……」

 

 しかも、友達なんて健之ぐらいしかいないし……。

 

「というか、渋谷は……その……えと……俺の、友達じゃないのか?」

 

 少し顔を赤くして視線をそらしながら言う。

 

「そうだよ。じゃなきゃ、誘わないって」

 

 渋谷はそんな俺をくすりと笑って言った。それに、俺は安心する。

 

 これで、違うとか言われたらショックで引きこもる自信あるわ。って、メンタル弱いな俺。

 

「それで、いつのどこに集合だ?」

 

「うーん。私、あい……バイトがあるし」

 

「花屋か?」

 

「ううん。それとは別」

 

 花屋とは違うバイトしてんの!?お金を貯めて欲しいものでもあるのか?

 

 てか、俺もバイトのこと考えないと……。どうしよかな。……おっと、それは家で考えよう。

 

「LINEで連絡するね」

 

「分かった」

 

 二人でお出掛けの約束を交わしていると花屋に着いた。

 

 俺は渋谷と別れると自分の家に帰った。

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