助け出した女の子がアイドルだった件について   作:暁月 聖人

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少し長くなりそうなので、前後編に分けました。
しぶりんとのデート回です。どうぞ。


女の子とお出掛け。あれ?これってデート? 前編

 渋谷と出掛ける約束をした俺。だが、よく考えればなんという無茶な約束をしてしまったんだ?と思い始めた。

 

「俺、健之以外友達なんていやしないのに」

 

 この目付きのせいでボッチ生活が長い俺。健之は俺と遊んでくれはするが、そんなもの2ヶ月に一回ぐらいだ。

 

 しかも、家でゲームするだけというね。外でなら1、2回ゲーセンに行ったくらいだ。

 

 そんな俺が女の子とデートしろという。いや、デートじゃなくてお出掛けなんだけど。

 

 兎に角、無茶であることに変わりはない。

 

「どうしよう」

 

 健之に相談してみたが、あいつからは流れに任せておけばなんとかなるもんだよと誘い方と同じように役に立たないこと言われたので、一発入れてしまった。

 

 流れってなんだよ。どうやったらわかんの?

 

「集合場所はここでいいのか?」

 

 できるだけ挙動不審にならないで渋谷を待つ。挙動不審な行動とったら間違いなく通報からの警察行きだからな。

 

 時間は集合時間の1時間前だ。なぜこんなに早いかと言えば、あまり女の子を待たせたくなかったからだ。

 

「待った?」

 

 時間的には十分早いにも関わらず渋谷はもう来たらしい。俺は振り向いて挨拶しようとするが、

 

「いや、待って───」

 

 渋谷の私服姿にしばらく見惚れてしまった。

 

 半袖にジーンズとラフな格好の渋谷。その姿に俺は綺麗だと、可愛らしいと思った。

 

「柊木君?」

 

「へ……?あ、いや!今来たところだよ」

 

「そうなんだ」

 

 渋谷の声で正気に戻った俺はすぐに見惚れていたことを誤魔化すように答える。

 

「見惚れてた?」

 

「な、ナンノコトカナ?」

 

「そんな視線を泳がされたらバレバレだよ」

 

「うっ」

 

 クスクスと笑う渋谷に俺は恥ずかしくなって顔をさらに赤くさせた。

 

「い、行くぞ!折角の休日だしな!」

 

「そうだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺と渋谷はショッピングモールに着くと中に入る。

 

 このショッピングモールは服屋から映画、雑貨屋、ゲームコーナー、靴屋、CDショップと何でもござれなところだ。

 

 流石、都会の駅前にあるショッピングモールである。だが、何でもあるからこそ、人もかなりいて、混んでるな。

 

「映画館に来たはいいけど、何見る?」

 

「恋愛にホラー、アニメ……色々あるね」

 

 あ、“君の名は。”がある。ここでは一部の映画を再公開してるみたいだ。

 

 これって何かスゴく人気あるアニメ映画だよな。少し見てみたい。

 

 でも、渋谷に合わせよう。レディーファーストってやつだ。

 

「何にする?」

 

「渋谷が決めていいよ。俺は何でもいい」

 

「じゃあこれ」

 

 渋谷が差したのは俺が見てたアニメ映画だった。

 

「奈緒から面白いって話聞いたし」

 

「へぇー」

 

「柊木君が見てみたそうにしてたし」

 

「うっ」

 

 バレてる……! でも、ここはポーカーフェイスで見栄を張るか。恥ずかしいし!

 

「別に、見たいとか思ってないし」

 

「そうかなぁ。顔が真っ赤だよ」

 

 ニヤニヤとこっちを見やがって……!

 

「じゃあ、こっちを見て言って。見たいと思ってなかったんだね?」

 

 渋谷のいう通り真っ直ぐこちらを見る渋谷の目を見つめる。

 

 何か、こうしてみると綺麗な瞳してるよなぁ。

 

「お、思って……」

 

 …………あの、その、そうやって見つめられると……。

 

「思って……ま……」

 

 スゴく、照れるんですが……。

 

「すみません、思ってました。なので、こっちを見つめるのを止めてくれませんか」

 

「照れた?」

 

「照れてない」

 

「嘘。だって、顔が真っ赤だよ。視線もそらしてるし」

 

 くっ。渋谷め、とことん弄りやがって……俺は西片くんか!

 

「照れてないから!これは……熱だよ」

 

「苦しい言い訳」

 

「うっせぇ!!」

 

 俺と渋谷は見る映画を決めるとチケットを係員に渡して会場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 映画を見終えた俺達はとりあえずどこに行くかぶらついていた。

 

 意外とよかったな、あの映画。ただの入れ替り系かと油断してしまった。クライマックスなんて鳥肌たったし。

 

「奈緒から聞いてたよりずっと良かったね。見て良かった」

 

「俺もだ。あのできなら人気爆発するのも納得だな。さて、次はどこに行く?」

 

「そうだね……あ、服屋。ちょっと見ていっていい?」

 

「いいぞ。っておい!引っ張るな!」

 

 俺は渋谷に手を引っ張られながら服屋に入っていく。

 

 というか、この人平気で俺の手を握ってるけど、慣れてるの!?男慣れしてるの!?

 

「男慣れはしてないから」

 

「心読まれた!?え?エスパー!?」

 

「顔に書いてあったから」

 

 どんな顔だよ!

 

 そんな心のツッコミをしている間に服屋に入っていった。

 

 店内は女性ばかりで……ばかりどころか男が俺以外誰もいない!?

 

「お、俺、外で待ってるよ」

 

 俺は出口へ体を向けて、出ていこうとするが、すぐに渋谷に捕まれてしまった。

 

「ダメ。ついてきて」

 

「いや、でもね」

 

 スッゴい居づらいんだけど。

 

「ほら、行くよ」

 

「ちょっとぉ!?」

 

 俺は強引に服屋の奥へつれてかれてしまった。

 

 女には勝てないと思い知らされた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お、落ち着かねぇ!え?服屋ってこんな視線を気にするような店だっけ?

 

 どうしよ。俺、絶対挙動不審だよ。怪しい人だよ。でも、仕方ないじゃん。周りが気になるんだからさぁ。

 

「……くん……」

 

 今すぐ逃げたいです。回れ出口してゴーアウェイしたいです。

 

「柊木君!!」

 

「はい!外で待ってていいですか?痛い!」

 

 脛蹴られた!スゴく痛いんですけど!!

 

「ダメって言ってるでしょ……ほら、堂々とすればいいから」

 

「いや、無理だから。よく考えて、周り見て。俺以外店内女性だらけだよ」

 

「だからなに?」

 

 気にすることなの?みたいな視線を投げないで!

 

「それより、私、選んだ服を試着してくるから」

 

「え?」

 

「試着室の前で待ってるように」

 

「いや、あの、待って……」

 

 凛は俺に釘を刺すとなん着か服を持って試着室に消えていった。

 

 俺、ここに一人になる。

 

 待って!!俺を一人にしないでぇ!!

 

「…………」

 

 俺は冷や汗をかきながら試着室の前で渋谷が着替え終わるのを待つ。

 

 出ようと思えば出られる。しかし、何故だろう。そのあとがろくなことにならない気がするのは……。

 

 俺に与えられている選択肢は試着室前で待つ。これ一択のみらしい。

 

 そうだ。堂々とすればいい。渋谷も言ってたじゃないか。

 

 ん?でも待てよ?もし、堂々と待ってると俺ってどう見られるの?

 

 彼氏?デート中の彼氏?

 

「いやいやいや!!」

 

 違うよ。俺と渋谷は友達の関係であってな。決してやましい関係じゃない。いや、カップルがやましいわけじゃないんだけどさ。

 

 ヤバい。混乱してる。そうだ。素数数えよ。

 

「1、2、3、5、7、11」

 

「1は素数じゃないよ」

 

「ひゃばうわ!!?」

 

 突然声をかけられて俺は変な声を上げてしまった。

 

 渋谷が試着し終えたらしい。

 

「へ、変な驚き方……!」

 

「笑うな!」

 

 プククと笑いこらえている渋谷に俺は顔を赤くさせる。

 

 何か渋谷に会ってから恥ずかしい思いばっかしてるんだが、気のせいか?

 

「ねぇ、それで、この服どう?」

 

 渋谷は黒いワンピースをヒラリと揺らして自己アピールしながら感想を求めてきた。

 

「…………」

 

 やっぱり渋谷って何着ても似合うなぁ。流石、学園のアイドル。

 

「うん。似合うぞ。世辞は一切なしで」

 

「そう?」

 

「おう。お洒落のおの字もない俺だけど、純粋に似合ってると思う。あ、俺はこの手のやつは嘘はないぞ。妹からは気遣いは失礼と教えられてるから」

 

「柊木君の妹さん、よくわかってる。似合ってない服着て似合ってるって言われても嬉しくないから」

 

 そうなんだなぁ。よくわかんないけど。

 

「渋谷は可愛いから何でも似合いそうだけどなぁ。んー、でも、渋谷は明るい色はあんまり合わなそうだ」

 

「か、可愛い!?」

 

 あれ?何か顔が赤い?

 

「ほっほう。照れたか」

 

「…………」

 

「痛い!脇をつつくなって!痛い痛い!からかって悪かったから!!」

 

 照れ隠しからか顔を赤くしたまま連続で脇腹をついてくる渋谷。

 

 こういうことしなければ可愛いげがあると思うんだけどな!

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