そして、お気にいりが250超え!?私ビックリしすぎて吹きました。私の小説を読んでくださってありがとうございます!
私、柊木紫乃は悩んでいた。
それは夕食のときのことだ。
私と兄さんはいつものように夕食を食べていた。因みに、今日の主食は麻婆豆腐だ。
「あ、紫乃」
「何、兄さん?」
ご飯を口に運びながら返事する。兄さんは私の顔を見ると爆弾を投下した。
「俺、前に言った友達と出掛けてくる」
私の手が止まり、私の時が止まった気がした。
「兄さん、その友達って健之さん……?」
「バカ言うな。あのタラシ、女の子とデートのはずだぞ」
それは確かに言えてる。
「じゃあ、女友達の……?」
「そう」
それってデートじゃないの?
「デートじゃないからな。友達と出掛けるだけだ」
まるで、私の心を読んだように言う兄さん。念のために言ったのだろう。
「デートと言うのは男女二人きりで出掛ける「と・も・だ・ち、と出掛けるだけだ!何度も言わせるんじゃない」えぇー」
でも、超がつくくらいの上機嫌な表情で、なおかつ、浮わついた雰囲気で言われても説得力ないよ。
「……と、ところでさ。紫乃に聞きたいんだけど」
「ん?何?」
「どんな服でいけばいいのかな?」
……やっぱりデートじゃないの?
私はいつもの服装でいいと適当なアドバイスして食事を終え次第自室に戻る。
あー、どうしよう。
「目茶苦茶気になる」
私はぬいぐるみを抱き締めるとベッドに寝転がり、ゴロゴロと左右に転がる。
悪い虫だったらどうしよう。騙されていないか。そんな悪い考えばかりが私の頭に浮かんでくる。
「こうなったら……」
私はベッドから降りて立ち上がると、拳を作って宣言した。
「尾行、あるのみ!!」
でも、一人じゃあれなので、誰かを誘おう。
私はスマホを取り出してLINEを開く。
私が連絡を取ったのは“SACHIKO♡”というものだった。
兄さんから集合場所、時間、出掛け先を聞き出し(普通に聞いたら教えてくれた)、私ともう一人は集合場所近くで変装した姿で兄さんを監視していた。
「集合時間から1時間も前から待ってる」
確かに、女性を待たせないために早めに来るのはいいことだけど、少し早くない?
「それにしても、誰なんですか?その女友達というのは?」
私にそうやって聞いてきたのは帽子にグラサンをかけた少女である。
彼女の名は輿水幸子。言わずと知れたアイドルだ。
何故アイドルと知り合いになっているのかというのは席が隣だったからとしか言いようがない。それ以上も以下もない。
しかし、友達の中では一番相談できる相手だとは思っている。今回のようなものも翌日に仕事が控えてるにも関わらず協力させてしまったし。
「あ、来たみたい」
「あの人ですか」
向こうから兄さんに向かって走ってくる女性がいる。兄さんもそれに気づいてそちらに目を向けて、固まった。
見惚れているのだと思う。
「「……え……?」」
私達も固まっていた。見惚れたわけではない。来た人物に驚愕してしまったのだ。
「渋谷……」
「凜さん……!?」
テレビを見ているものなら知っているものも多い人気アイドル、渋谷凜。身近にいること自体あり得ないその人が兄さんに向かって走ってきたのだ。
え?どう言うこと?これは夢なの?
「痛い痛い!痛いです、紫乃さん!」
試しに幸子の頬をつまんでみたが現実らしい。
「可愛いボクの頬を引っ張るってどう言うことですか!?」
「いや、夢かなって思ったから」
「自分の頬を引っ張ってくださいよ!」
だって、痛いでしょ?
「まさか、凛さんとデートなんて……斜め上をいく人ですね……」
「でも、アイドルと友達なんて簡単になれることなの?」
「いや、現にここにいるじゃないですか!!その友達の可愛いアイドルが!」
「芸人の友達ならいるけど……」
「ボクは芸人じゃないですよ!?」
私は一言も幸子のこととは言ってないけど、自覚があるの?
「ボクは、世界一可愛い」
「動いた」
私は完全に幸子の言ってることを聞かずに二人を追いかける。
「って、聞いてるんですか、紫乃さん!?」
幸子も慌ててそのあとに続くのだった。
出掛け先……というより、デート先は駅前のショッピングモールだ。何でもあるあそこだ。
まず、兄さん達が向かったのは映画。デートではありきたりなところだろう。
「チケットなんてもってたんですね」
「……兄さんがチケットを買うと思う?」
「……ないと思います」
ゲームも予約などせずに現場購入する兄さんだ。事前に買うとはあまり思えない。
私の頭の中に歯を見せて、笑っている爽やかなイケメンが浮かんだが、息を軽くつきながらすぐに消した。
「しかし、待ち合わせ場所でもそうでしたけど、お兄さん、かなりからからかわれてますよね」
幸子は少し同情した視線を送りながら言う。
私は渋谷さんのからかいに幸子とは違う捉え方をしていた。
「……うん。でも、幸子。それはつまり、
兄さんは思っていることとか顔に出やすい。なので、
「……でも、まだ足りないな」
信頼に値しない。もう少し監視させてもらおう。
「紫乃さん……ブラコンも程ほどにしてくださいね」
「私は兄さんが大好きなのであって、ブラコンではない」
確かに、すこし心配しすぎかもしれないけど、兄妹なら当たり前。
「いや、あのですね……大好きとかいってる時点で……」
「違うからね」
「ブラコン……」
「違うからね」
「はい。分かりました」
幸子はいい加減諦めたのかガックリと項垂れると“もう何言っても無駄ですね”と呟いて監視に戻った。
全く、一体どこがブラコンだというのだ。私はただ、兄さんが大好きな妹ってだけなのに。
映画を見終えた二人はショッピングモールを歩き回る。
すると、渋谷さんから服屋に寄りたいと案を出した。
「なっ!?」
「え?」
そして、あろうことか渋谷さんは兄さんの手を握り、服屋へと引っ張っていった。
「だ、大胆ですね」
「強引……」
というか、最早、友達と言うより……。
「「まるで、恋人同士(です)」」
私達は服を選ぶふりをしつつ二人を監視しながら呟いた。
「え?付き合ってないんですか、あの二人?」
「多分……ない。兄さん、友達としか言ってないし」
「確かに、あのお兄さんが嘘をつくとは思えませんよねぇ。特に、可愛いボクには!」
「あーうん。そうだね」
「な、何か適当にあしらわれてませんか……?」
「気のせいだよ。それにしても、兄さんかなり挙動不審」
店内は女性しかいないからか渋谷さんが試着している間、あっちをチラチラ、こっちをチラチラしてる。
挙動不審にもほどがあると思う。最早、不審者だよ。
「あの……周りの人が怖がってるんですけど。ヒソヒソし始めてるんですけど」
幸子の言う通り、兄さんの行動を不審に思っている人が出始めている。
「まずいね。この調子だと警察に捕まる」
兄さんは何でこう通報されやすいことばかりやるのだろうか?
「誤解をさせないように言い回ろ」
「えぇー。何でそうなるんですか?」
「兄さんのデートのため。それに、とっても可愛いラブリーエンジェル幸子ならできると信じてる」
「し、仕方ないですね!やってやりますよ!」
チョロい。本当にチョロいねこの子。私、何だか心配だよ。
私達が言い回しをしている間に、二人は服屋を出ていた。
時間は昼。そろそろお昼をとるところだろう。
フードコートへ向かうとす○家で牛丼を買っている兄さんを見つけた。
「ってやばいです!」
「こっち見た……バレた?」
一瞬こっちを見た兄さんに私達は咄嗟に隠れた。
すぐに視線を戻したところを見るとバレてないようだ。
「良かったです……バレてませんね」
「うん。とりあえず、私達もお昼にしよう」
私達は○亀製麺でうどんを買うと兄さん達が見える位置で食事をとることにした。
兄さん達はといえば、楽しく談笑している。兄さんは渋谷さんにスマホで何かを見せているが、会話が聞こえないため、何を見せているかわからない。
「それにしても、お兄さんは凛さんがアイドルって知ってるんですかね?」
「知らないと思う。兄さん、テレビなんて滅多に見ないし、見たとしても朝の天気予報やニュースくらいしか見ないから」
唯一テレビをつけている朝なんてNHKをかけてるんだよ。まず、アイドルを見ることはないね。
「世界一可愛いボクのこともアイドルとは思ってないくらいですしね」
「いや、幸子の場合、性格が災いしてるだけ」
「どういう意味ですか、それ!?ボクのような可愛い女の子がアイドルなんて当たり前のことですよ!」
だから、そういう自分可愛いってところがアイドルという妄想にとらわれていると思われているんだよ。何で気づかないの?
食事の次に向かったのはゲームセンター。渋谷さんはテレビとか見る限りでは行かなそうなイメージだが、兄さんの案ということらしいから納得だ。
クレーンゲームから遊ぶようだ。何やら、渋谷さんが犬のぬいぐるみ欲しさにプレイするみたいだ。
「ちょっ!?凜さん、どんだけ注ぎ込んでるんですか!?」
「相当欲しいみたいだね」
渋谷さんが使った金額は既に5000は飛んでる。余程欲しいらしい。
見てられなくなった兄さんが渋谷さんをどけてクレーンゲームに100円を投入して、ぬいぐるみをゲットした。
「「うわぁ」」
それはないよ、兄さん。確かにね。とってあげるのは悪いことではないけど、渋谷さんの面子丸潰れだよ……。
「お兄さん、全くわかってませんね」
「友達付き合いがなかったから仕方ない」
だが、渋谷さんはぬいぐるみを兄さんから受け取るとやはり取ってくれたのが嬉しかったのか少し笑顔を見せた。
その後、いろいろなゲームを楽しんだ兄さんと渋谷さんはゲームセンターを後にした。
時間的に帰るみたいだが、私と幸子は帰りまでは付いていかず、適当な店で今日のことを話すことにした。
「ということで、あの二人、どう思う?」
「……恋人同士としか思えませんでした」
「うん。甘々だったね。ブラックコーヒーが欲しかったね」
友達とお出掛けと兄さんは言ってたけど、あれはどう見たってデート以外の何ものでもない。
「でも、付き合ってないんだろうね」
「でしょうねぇー。それにしても、お兄さんが凜さんと……何をどうやったらそうなるんですかね?」
「それは私も知りたいよ。でも、ほら。兄さんだから」
「ああ、アイドルを不良から助けたとかですか?お兄さんならあり得そうですね」
でも、大抵のパターンは兄さんのことを怖れて逃げ出すか、警察官に連れてかれるかになるけど。
「……幸子、同じ事務所だよね?」
「凜さんとですか?はい、そうですけど……ってまさか……?」
そのまさかだよ。
「宇宙一可愛い幸子、お願い」
「宇宙一可愛い?そ、そこまで言われたらやるしかないですね!ボクに任せてください!付いていたことは伏せて、それとなく聞いてみますよ」
「うん、チョロ子、ありがとう」
「いえいえ!ん?チョロ子?」
「そんなこと言ってないよ。気のせいだよ」
私はスマホを取り出すと幸子に写真を送る。
「場合によっては使って」
「いつの間に撮ったんですか?」
今、幸子に送った写真は監視途中で撮った兄さんと渋谷さんの写真だ。しかも、服屋に引っ張られるところ。
これだけ見ると本当に付き合ってるように見えるよねぇ。
「それで、紫乃さん。お兄さんに凜さんのこと話すんですか?」
「アイドルやってるって?うーん」
正直どっちでもいい気がする。兄さん、相手が誰であっても平等に接するはずだし……。
「様子見かな?必要になったら話すことにする。それに、偶然知る可能性もあるし」
「ですね。それがいいかもしれないです。それじゃ、解散ですね」
「うん。勘定お願いね」
「ボクが払うんですか!?」
「冗談だよ」
幸子と別れた私は家に帰ることにした。
……今日の晩御飯、赤飯炊いた方がいいのかな?そんな下らないことを考えながら。