実はまだ序章だったりします……。
では、本編どうぞ!
バラエティ番組前、私は楽屋でユニットメンバーである卯月と未央の三人で話をしていた。
「それにしても、しぶりん。最近機嫌いいよね」
「え?そう?」
「はい!私も同じこと思いました!」
うーん。そんなことないと思うけどな。もし、そうなら柊木君のお陰なのかな?
「もしかして……男ができたとか?」
目をキラリとさせた未央のいってることは間違ってないけど、柊木君のことをいうと面倒なことになりそうだから伏せておこう。
「そんなことないよ」
「本当かなぁ?」
ニヤニヤと私に向けて笑う未央。どうやら、私に男ができていると疑ってるようだ。
「凜ちゃん、男がいるの!」
卯月まで乗ってきたし……。卯月、目をキラキラとさせないで。
「卯月、凜、未央。そろそろ始まるから準備して」
「はーい!」
「わかった」
「はい!」
楽屋に入ってきたプロデューサーに言われて私達は支度して控え室を出る。
「り、凜さん!」
「?幸子?」
楽屋からでて、番組会場に向かうとき、幸子が私に声をかけてきた。
「えっと……その……か」
「か?」
「可愛いボクが!凜さんに話したいことがあります!」
「え?うん」
幸子はどやっ!とした顔で私に指差して言った。
私と言えば、状況が読み込めず、首を傾けるくらいしかできない。
「番組が終わった後!すぐに出ていかないでくださいね!!」
「……わ、わかった」
「では!失礼しますね」
幸子は言うことを言うと走り去っていった。
え?何だったの?
「ねぇ、しぶりん。今のサッチーだよね?」
「幸子ちゃん。何の用だったんですか?」
「話があるって」
私、幸子とはそこまで関わってないはずなんだけど……。
「しぶりんとサッチー。珍しい組み合わせだね」
「はい!一体なんの話なんでしょうか?」
「さあ。私もわからない」
疑問を抱きつつも私達は会場に足を向けた。
“頭脳でドン! Muscle Castle!!”というバラエティ番組の収録を終わらせた私達はスタッフ達に挨拶をして、軽く話をする。
その時、ふと幸子に呼ばれていることを思い出した。
「ごめん、卯月、未央。幸子のところ行ってくるね」
「はい!分かりました」
「サッチーによろしくねぇ」
二人に一言言って、私を待っている幸子のところへ足を運んだ。
「それで、話って?」
「えっとですね。とりあえず、ここではあれなので、カフェに行きませんか?」
「?別にいいけど……」
ここでは話せないことなのかな?
私は幸子と一緒に346カフェに入り、飲み物を適当に頼んだ。
幸子は目を泳がしているけど……どうしたんだろ?
「どう切り出せば……?」
「幸子?」
「は、はい!?」
「えっと……大丈夫?」
「何せ、可愛いボクですから!大丈夫ですよ」
いや、大丈夫にはあまり見えないけど……。
「そ、それよりも、凜さん!えっと……」
「?」
何か話があるのは分かる。けど、中々切り出せないでいるみたい。
でも、一度頷いて私の顔を真っ直ぐに見た。意を決したみたいだ。
「昨日、な、何をしていたんですか?」
「……?」
……何が言いたいのかよくわからなかった。
「普通に友達と遊んでいたけど」
「普通にですか!?」
え?驚くこと?
「あれのどこがですか……?」
「あの……本当に大丈夫、幸子?病院に行く?」
「いえ!精神病院に行かなくても大丈夫ですよ!可愛いボクですからね!」
誰も精神病院とは言ってないけど……。
「それで、その友達とは誰ですか?」
「えっと……話さないといけない?」
「……まあ、そうですね」
幸子は一体何を話したいのかますます分からなくなってきた。
「お待たせしました。カフェオレ二つです」
飲み物をきたので、口に入れて、一呼吸入れる。
しかし、この質問……正直に答えていいのかな?だって、友達とはいえ男子なわけだから……。
「……同じ学校の人だよ」
うん、この回答は間違っていない。クラスが違うだけで、同じ学校の生徒だし。
「ぶはっ!?」
幸子は予想外の回答だったのか飲んでいたものを吹いてしまった。
「ごほっ!ごほっ!」
「だ、大丈夫?」
「だ、大丈夫です。驚いただけですから……」
……そんなに驚くなの?同じ学校の友達と遊ぶことって当たり前のことだと思うけど。
「……えっと、実は、ですね。凛さんがショッピングモールで男の人と歩いてるのを見たんですよ。これ、そうですよね?」
幸子がそう言って私に私と柊木君の写真を見せた。
何となくだけど、話が見えてきた。つまり、私と柊木君の関係が気になるんだ。
というか、見られてたんだ。何かこうしてみると恥ずかしい……。
「うん。私と柊木君だよ」
「彼氏さんですか?」
「ううん。さっきも言ったけど、友達だよ」
「……本当に?」
「うん」
私は幸子の質問に答える。
幸子は少し考えるそぶりを取ると次にこんな質問をしてきた。
「あの、その友達とはどうやって知り合えたんですか?」
「うーん。私が不良に絡まれているところを助けてくれたのが最初かな。同じ学校だとはお互い知らなかったんだ」
「へ、へぇー。そうなんですね。……流石お兄さん……」
「え?何て?」
「いいえ!!何でもありませんよぉ!!!」
幸子はオーバーに否定する。こういうところが芸人っぽい。
「それで、ですね!凛さんってその人のこと、どう思ってるのかなぁって思いまして……」
「柊木君のこと?友達としか……」
「いや、もっとあるでしょう!?こう、ドキドキするぅとか!この人といると楽しいとか!!」
「ドキドキは分からないけど、楽しいとは思ったよ。でも、それは当たり前のことじゃないの?」
幸子は机に突っ伏すとあーと唸るような声を出す。
一体何を求めているのかよくわからないんだけど……。
「もういいです……。自覚がないのか、はたまた、本当にそうなのか……何て報告しましょう……」
てっきりからかわれると思ってたけど……違うみたい。
「ボクはこれで、聞きたいことは聞きましたし」
「幸子、できればなんだけど……」
「バレないようにですよね?フッフーン。可愛いボクですもの。わかってますよ」
何でそこでどや顔?
「それじゃ、またです」
「うん」
私と幸子はそこで解散になった。
普通ならそこで話は終わりのはずなんだけど……。
「しーぶりん!」
「え?未央に卯月?」
「あ、あはは……」
店を出てすぐに未央と卯月に声をかけられた。
何故か、後ろから。
「すみません、凛ちゃん」
「話、聞いちゃったんだよねぇ」
「……盗み聞きしたの?」
どうやら、二人はあの店にいたようだ。もしかしたら、私と幸子のことが気になってはじめからつけていたのかも。
「聞いたよぉ。彼氏さん……いるんだって?」
「違うって。ただの友達で……」
「でも、男友達なんですよね!」
卯月がキラキラとした目で見てくる。未央もワクワクとした調子でこちらを見ていた。二人とも、興味津々だ。
というより、女の子というものは恋バナが好きなだけということなのかもしれないけど。
「しかも、不良から助けてもらった……ヒーローじゃん!!いや、私だけの王子様?」
「だから、柊木君とは……」
「聞かせてください!凛ちゃん!!」
「さあさあ!カフェで語ってもらおうか!!」
「あの、二人とも!?」
私はなすがままにカフェに連れ去られた。
この後、根掘り葉掘り柊木君のことを聞かれた。こうなるから言わないでいたのに……。
『という感じです』
「……ありがとう」
私、紫乃は幸子から電話で結果を聞いて、思い悩んだ。
聞いた通り、兄さんと渋谷さんは友達の関係で、それ以上でも以下でもない。
脈は……はっきりしない。好きなのはわかるけど、それはLikeというだけで、Loveというわけではないみたいだけど……。微妙なところだ。
『今度はお兄さんの方を聞いてみてはどうですか?』
「それもそうだね……」
ついでだ。つけていたことも話そう。そして、渋谷さんのことも。
「因みに何だけど、つけていたことは?」
『言ってませんよ。可愛いボクですから!それくらい隠せます!!』
「……自爆しなかったんだ」
珍しいこともあるもんだ。
『フッフーン。ボクがそんなへましませんよぉ!』
ごめん、する未来しか見えなかった。
「もう夜遅いし、切るよ」
『はい!お休みなさいです、紫乃さん』
「ん。おやすみ」
電話を切るとベッドに寝転がって息をつく。
「兄さんに……恋人か……」
兄さんの幸せを考える私としては是非できてほしいものだ。