私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
あ、タイトルでは美結が演じるっぽいかな?って感じですが、美結は今回のお話では演技はしません(笑)
「・・・という感じで進めてみようと思うんだけどどうかな?」
翌週、授業が始まりすぐに私は板倉くんの案をみんなに提案してみた。
「いいんじゃない?」
「ああ、俺もそれでいいと思う」
「うん、私も」
「じゃあ反対の人は挙手~!」
少しずつの賛成意見が出ると、ユミコちゃんが私に代わってそうみんなに聞いてくれた。周りを見るが特に挙手するものはなし。とりあえず大丈夫ととらえていいね。でもちょっと気になるので一応台本を書く2人には聞いてみた。
「最後に一応の確認だけど、実際に台本書いてくれるヒロマサくんとショウくんも大丈夫?」
「問題ないね。どんくらい書くのが難しいかわからないしそのときになってから決めればいいっていうのは助かるよ」
「だな。俺らこともちゃんと考えてくれてありがとう。ちょっとイヤでも経験者の言うことに反論出来ないなあとか思ってたけど、文句なしだな」
「そうそう、ありがとう」
2人は少し笑顔を交えながらそう言ってくれた。凄く嬉しいのだけど、私の考えた意見じゃないのでなんとも言えない気分。
「うん、わかった。じゃあこれで進めよう」
そのとき私はチラリと板倉くんを見た。キミのおかげだよって感じで笑顔で頷いたら向こうも頷いてくれたのが私は嬉しかった。
「次に進めるね」
次は登場人物の確認。現時点で何人いて、およそどのくらいのセリフが各登場人物にあるのかを大まかに伝える。
だいたいの人が一度でも読んでくれたみたいで1人足りないのを気がついてくれていた人もいた。話が早く進みそう。
「それで1人足りないけどどうしようかなって思って」
私はまず自分の意見(無理やり1人増やす)を言う。あ、ちなみに板倉くんにもああ言ったこともあり色々考えてくれてはいた。結局前日になって何も浮かばなかったと連絡が来たけども。
その意見に対し、質問が飛ぶ。
「増やすのは誰がどうやって?」
その質問に美結は用意していた解答で答える。
「うん、それは私の方でやろうと考えてるかな」
その答えに対し、また質問が飛ぶ。
「ミユさんばかりに負担をかけるのは良くないんじゃない?」
うーん、私は別に構わないけども・・・でも人の好意を無駄にしちゃいけないかなあとも思う。
そう思っていると・・・。
「私やります!」
ピシッ!っという音が聞こえそうなくらいキレイにはっきりと挙手をし、そう発言したのは私が最近お友達になった子だった。
私がちょっとびっくりしたので黙っていると。
「ア、アレ~?私じゃ力不足!?」
あ、なんか変なことになってる。早く答えなきゃ。
「ううん、誰だか忘れちゃって思いだそうとしてただけ。お願いします」
私は照れ臭いのを隠したたかったこともあり冗談も交え笑顔でそう返事をした。
「ちょっと!ミユちゃん酷い!あんなに語り合ったのにもう名前忘れるなんて!」
おいおい泣き真似をしながらそう言うユミコちゃん。そんな私たちのやり取りを見てどっと笑いが起きる。ふふふ、みんなもこんな調子で楽しくやっていこうねというメッセージを今ので伝えられたらいいな。
そんなこんなで進め方や役回りは決まり、次は誰が誰を演じるかを決めた。
これも前もって決めてくれてた人も半数くらいおり、その人たちを優先にスムーズに、ほんの10分ほどの決まった。
時計を見るとまだ時間は割とある。
「時間も惜しいし早速始めから稽古をやってみようか」
私のその一言にうん、と一同頷く。決まりだね。
机を下げ、スペースを作り、先生に言われた舞台のサイズを床にテープを貼って場見る。角はL型、中心はT型にね。
ささっと準備する私を見て何故かみんな感心。別にそんな凄いことじゃないよ?
「じゃあまず1ページ目から次の切り替え場面・・・3ページ目の5行目までやろうか。この間言った通りまずは好きにやってみて下さい」
台本を持ち舞台に上がりお互いに立ち位置や動きを確認し合う。私はニコニコみてるだけ。うんうん、悩んで悩んで。
「ここでいい?」
「とりあえずいいんでない?」
「じゃあ俺はここで、でこっちに動いて・・・」
「とりあえず決まったみたいだね。じゃあ私が手を叩いたらスタートで。さっきのところまで言ったら終わりの合図送ります」
コクりと頷く一同。後ろから「おー、なんか映画監督っぽい。かっこいい」とか聞こえてちょっと嬉しい。
「じゃあいくよ?1、2、3、はい」
パン、と手を叩き演技が始まった。
・・・数分後。
「はい、そこまで」
パン、と叩き演技を止める。途中で止めなくても良かったし凄くうまくいったかな。
「やっと終わったー」
「結構大変だねー」
「楽しかった~!」
おのおの感想を言い合う。そんな彼らに私は基本的なことをまずアドバイス。
「横向いて話し合うときは体を開いて少し正面を向くように。お客さんにちゃんと見えるようにしないとね」
私がお手本を見せると真似をする。そうそう、そんな感じ。
「それと台本は片手で。最終的にはないと思って演じてくれたら」
私がそう言うとみんな揃ってうんうんと頷く。うん、大丈夫そうだね。
「とりあえず今はそんな感じかな」
基本的なことだけを皆に伝えただけで終わりにすると、まあ当たり前かな、疑問の声が飛ぶ。
「あのー、それだけ?」
「あ、うん、そうだよ」
「もっとこうしたらいいとかそういう指示はないの?」
「うん。動きやセリフまわしに矛盾はないし。そんな感じでいいと思う」
私がそこまで言うと、この間言ったことを思い出したのか、ああ、そっか、と納得する。
もちろんどうしても色々言って欲しいなら居残りでもなんでもいくらでもお付き合いしてご指導しちゃいますよー。なんちゃって。
「じゃあさっきのことを踏まえてもう1回やってみよう」
もう一度やり、とりあえずなんとなくのものは出来たので、次の場面へと進む。時間も限られてくるので、極力早めに1周しちゃおうかなという私の判断。
役者は少し入れ替わる。その中には板倉くん・・・改めてハヤトくんとユミコちゃんの姿もある。
さっきと同じようにまずはだいたいの立ち位置、動きを確認してもらう。
「うん、そっちでいいんじゃない?私はこう動くよー!あっ!その後はここに来てこうして円になって話す方が良くないかな~?」
その中でもユミコちゃんは中心になってやってくれる。さすが私と同じモグリ組だねと思った。
「ミユちゃん、だいたいオーケーだよ!」
「うん、じゃあ始めてみよう」
私の合図と同時に演技が始まる。
ユミコちゃんはさすがに声優の学校に通ってるだけあって、声は張る、動きもスムーズ、感情の起伏もしっかりと表現している。
対するハヤトくんは・・・まあ、うん、彼の性格的にある程度の予想はしてたけど、声がとても小さい。ユミコちゃん含め他の人はある程度出ているだけに余計に気になってしまった。
演技が終わり、まずさっきのグループのときにも言った2点を伝え確認、そして・・・始めてだしあまり言いたくはないのが本音だけども。
「ハヤトくん、ちょっと声が小さいかな。特にないもない会話でも普段と同じ声量じゃ舞台上じゃ小さすぎるからね」
私は言葉を選びながらそう伝える。
「あ、はい!頑張ります」
「その返事くらいで」
私が笑顔でそう言うと彼は「あ・・・」と言いながら苦笑いに。それを見たユミコちゃんが励ます。
「大丈夫大丈夫!焦らなくていいから頑張ろう!」
そういうことは私はちょっと苦手なことなので、助けてくれたみたいで私も嬉しかった。
「動きとかは大丈夫?」
「うん。もう一回いく?」
全員の相槌を確認、その後ハヤトくんに向かって「大きくね」とジェスチャー。改めてて頷いたのを確認し、演技を始めてもらった。
「はい、そこまで」
ふぅって一息吐くハヤトくん。声量に関してはまだ小さいかもだけど、随分良くなった。少し大きくなったことで、気がついたのだけど、感情変化とかはなかなかうまいなあと。何か理由があるのかと1人思う。
さあ2回やったし次の場面にいこうかと言おうとしたら。
「それにしてもユミコさん上手くね?」
「思った!」
「経験者じゃないんでしょ?」
演技を見ていた人たちがそう彼女を褒める。そんな言葉に対してユミコちゃんは。
「ありがとう!・・・なんだけど、まあ私もちょっと演劇経験はありまして~。ほんのちょっとみんなより経験あるだけだからたいしたことないって!」
たははと笑いながらそう答えた。そこまでは良かったんだけど。
「それにさ、私なんかより、ほら!この子!バリバリの経験者の、素晴らしい演技のが楽しみだよね!」
・・・余計なことを。いつか仕返ししてやるんだから!
私はこうやって持ち上げられるのはちょっと苦手なのもあり、苦笑いだけで対応するが・・・。
「確かに!」
「この間のも凄かったしね!」
「めっちゃ楽しみ!」
「プロの女優くらいなんじゃね!?」
「だねー!」
とてつもなく、これでもかと言うくらいハードルは上がる上がる。
私は恥ずかしいとか照れ臭いとかそういう色々な感情な入り交じり、とにかく話を反らしたくなり、パンっと手を叩き、
「はい!この話は終わり!時間も限られてるんだから次行くよ!」
とそんな感情を吹き飛ばすように叫んだ。
でも叫んだ、とは書いたけどみんなが笑顔で答えてくれたように、私の中ではそう言われて嬉しい感情も大きかったと思うし、またみんなとの距離も縮まった気がする。だからああいうことを言ってくれたユミコちゃんにはちょっと感謝かもね。
美結ちゃん、ユミコちゃんのおかげもあって経験者なのに全然浮いてなくて、みんなに馴染めて幸せそうですね(^^)/
ちなみにお話の中で出てきた、「場見る」と言う言葉ですが、演劇用語で「出演者や道具の舞台上の位置を決め、テープを張ったりして目印を作る」っていう感じの意味です。
ではでは、また次回('ω')ノ