私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
さて、ユミコちゃん改め裕美子ちゃんですが、携帯番号を交換したことにより美結自身(もちろん裕美子側も)が彼女の名前の漢字がわかったということで、小説内ではこれから漢字に変わりますよ~!2人の仲が深まったと捉えていただければ・・・。
今回はそんな2人のお話です(^^)/
裕美子ちゃんと約束をした月曜日、の1日前の日曜日の夜、裕美子ちゃんから連絡が来た。
最初はメールでやり取りするつもりだったみたいだけども、何度もやり取りする手間を考え、私の方から電話しようと言った。
「もしもし?裕美子ちゃん?」
「はーい、裕美子です!あ、なんか美結ちゃん電話だとちょっと声違うね~!」
「え?そうかな?あんまり言われたことないけど」
「そうなの~?なんか電話の感じだと凄く大人っぽいというかな~!」
大人っぽいか・・・意識はしてないけど確かに電話の時は落ち着いた感じで話しているかも。
「そうなんだ。確かに電話じゃ雰囲気変わる人もいるもんね。裕美子ちゃんはいつも通りにテンション高いね」
「私は変わらないってことだねー!うんうん!」
しばし雑談。別に時間がないわけじゃないけど、私は本題を切り出す、
「あ、それで今どういう感じなの?」
「あー、うん、とりあえず自分で1回作ったんだけどね・・・」
「うん」
裕美子の話し方からしてうまくいかなかったと予想する美結。
「一応話に矛盾がないようには書けたのだけどね~、セリフが2つしか入れられなくて・・・」
「そっか」
「うん。それで今止まっちゃった感じかなー」
私が思ってたよりも進んでるみたいである意味良かった。正直、最悪「まだ全然書けてないよ~!」まで想定してたので。
「だから明日どうすればいいかなって美結ちゃんに相談してみようって思ってたんだけど・・・」
そこまで聞いた私は特に考えることもなく、いや、考えるまでのことでもなく、が正解か、彼女へと結論を出す。
「うん、わかった。とりあえず明日台本見せて。私もそれからどうするか考えるから」
「ありがとうっ!」
顔は見えないからわからないけど、声色からは凄く嬉しそうな感じが伝わってくる。
「ううん、こちらこそ。私は明日4限の授業まででその後は特に予定ないけど裕美子ちゃんはどう?」
「私もちょうど4限までだから大丈夫だよ~!じゃあ終わったら講堂前に集合でいいかな~?」
「うん、よろしく。私からは特にもう何もないけど、裕美子ちゃんからは何かある?」
裕美子ちゃんは少しだけうーんと考えるけど、すぐに返事をくれる。
「うん!私も大丈夫だよ!明日よろしく!」
裕美子ちゃんも何もないみたい。まあ後は見てみなきゃわからないしね。
「ばいばい」
「うん、バイバイ」
私たちは最後にそう挨拶を交わし、お別れをした。
× × ×
翌日、授業がすべて終わり私は待ち合わせの場所へと向かった。
授業が終わってすぐだし、その場所付近は人通りも多くちょっと見つけるのに手間取ったが、先に着いた裕美子ちゃんからのメールを頼りに、それっぽい服装の彼女を見つけた。
「裕美子ちゃん。ごめんちょっと遅れた」
「ううん!私が早かっただけだし」
ちなみに裕美子ちゃんの服装は白いブラウスの上にベージュのカーディガン、アクセントのリボンが可愛い。下は膝よりちょっと短いワインレッドのスカート。スカートが割りと 目立ったおかげで見つけられたかな。
え?私?私はね・・・ボーダーの長袖カットソーにただのジーパンというまるでおしゃれのかけらもない服装。大学入った頃は私服が新鮮なこともあって選ぶのも楽しく、私なりにだけどおしゃれはしてた。それこそ裕美子ちゃんみたいにブラウス着てたりミニスカートとかショートパンツとか履いてたり。
でも夏休みを過ぎたあたりからやっぱり面倒になって来て、別に好きな人がいるわけでもないし、今みたいな感じになったかな・・・。
・・・まあ、私の話は置いていて。
「どうしよっか?空いてる教室でいいよねー?」
「うん。この時間ならすぐに見つかると思うし」
というわけで移動。空いてる教室はすぐに見つかり早速本題へと入る。
まずは改稿した台本を確認。ふむ、なるほど。
「確かに矛盾はないね」
「とりあえずそれは良かった~!」
「でも確かにこれじゃこの役の人はちょっと少なすぎてかわいそうだね」
「おっしゃる通りです先生」
誰が先生なの!とか心の中だけで突っ込む。
「せっかくだしこのままこのセリフは生かしたいよね」
「んまあ、出来れば?私がやったこと全部無駄になるし?」
ちょっと考える。改めて台本を見るがやっぱり完成し過ぎてなかなか難しいそう。うーん、そうだなあ・・・あ、思いついたかも。
「・・・裕美子ちゃんには悪いけど」
「うん」
「作ってもらったセリフは一度消して、場面を1つ追加することにしよう」
「・・・うん?」
具体的にはこう。とりあえず台本中盤あたりに「今までの内容の説明」と「これからどうなっていくか」を2人のキャラクターを入れてセリフで説明していく。まあようは「語り」みたいなものかな。これならただ台本の内容を説明するだけだし簡単だと思う。それに場面場面の繋がりは基本的にないため、今週の授業までに完成しなくても問題ない。
私の説明を聞き、うんうんと頷く。
「なる、ほど!それはいいかも!まあ私が考えたのが意味なかったのはちょっとアレだったけど」
「あはは、ごめんごめん」
「ううん、気にしないで!そもそも私がダメだったのがいけなかったんだからね~!」
ははは~、と笑う裕美子ちゃん。気持ちの切り替えは、まあ、出来てそう?
と、ここで質問を受ける。
「あのさ」
「うん」
「今更だけどこれって2人だよね?ってことは全員出たとしても誰か2役ってこと?」
その答えは用意してありますよ、裕美子ちゃん。
「えっとね、この場面は1人芝居のつもり」
「1人芝居!?え、いきなりそれは難しくない!?」
「ふふふ、だからこその私だよ」
「あ~!」
そう、私実はまだちゃんとした役はまだなかった。台本を書くショウの代役という形で受け持ってはいたけど。
「どうかな?」
「私は文句なしだね!それに美結ちゃんがやってくれるなら上がりはいつでも問題ないもんね~!」
「こらこら。本番ぎりぎりとかはやめてよね?」
さすがに冗談なのは私にもわかるため、笑顔でそう言いながらコツンと裕美子ちゃんの頭を軽く叩いた。
「あた!まあさすがにそれはないようにちゃんと頑張ります!」
というわけで問題が一つ解決した。
「あっさり決まって良かった!」
「私もちょっとホッとした。さっきのもパッと思い付いた感じだったから」
これは本当。ひらめきみたいな感じだった。
「やっぱり経験値だね~!じゃあ帰ろ!」
「あ、うん」
自然過ぎてちょっとだけびっくりしちゃったり。
帰りながら演劇の授業の話だったり、趣味の話だったり、世間話だったり楽しく話す。一段落したとき、せっかくだし裕美子ちゃんに聞いてみたいと思っていたことを私は聞いてみた。
「ねぇ裕美子ちゃん、ちょっと聞いてもいいかな」
「うん?改まってどうしたの?」
そんなつもりはなかったけども、裕美子ちゃんにはそう捉えられた。
「あはは、そんな大したことじゃないんだけどね、裕美子ちゃん声優の養成所に通ってるじゃない?だからなんで声優になりたいのかなってこの間から聞きたくて」
「あ、そんなことだったんだ~!」
たぶん裕美子ちゃんはもうちょっと違う質問が来ると思ったのだろう。
「いやね、夢みたいなことって人に言いにくいものもあったりするからと思って」
「ああ、なるほどね。別に言いにくいことじゃないし」
「そっか、ありがとう」
そんなわけでちょっとわくわく。
「私中学生くらいからアニメとか見るの好きでね、で、きっかけとかはないんだけど、気がついたら好きなキャラクターのアテレコとかするようになってて」
「うんうん」
「もちろんその頃はまだ声優になりたいとかは思ってなくてただただ好きにやっててね~!」
私もアテレコやったなあ、と思った。
「で、転機?みたいなのはね、高校3年生になって同じクラスに現役で声優やってる子がいて」
「ええ!そんな子がいたんだ!」
ついつい興奮してしまう私。おっと、いけない。
「・・・っと、ごめんごめん」
「あはは!私も最初知ったときは美結ちゃんと同じような反応だったから」
そうだよね、芸能人、まではいかないかもだけど、ちょっとした有名人だもんね。
「もともと子役で舞台とか出ててそれで声の仕事もやるようになったみたいで。で、やっぱり身近にこんな人がいたらさ、嫌でも色んなことに興味が湧くじゃん!ましてや自分が興味ある分野なら尚更でしょ?」
「うん、わかるわかる」
「で、色々話とか聞いてるうちに自分でも色々調べるようになって。もともとアテレコなんてしてたし、私もなりたいって思うようになって」
「・・・で、今に至ると言うわけ!」
「なるほど・・・」
こういうこと思ってはアレかも知れないけど、ただ漠然とではなくて、色々なトリガーがあってちょっとびっくりしたところは感じた。
「まあでもねぇー、狭き門なわけですよ~!1つの枠をそれこそ何十人何百人で争うんだから。最後は結局才能だって言うしね」
そう言う裕美子ちゃんの顔は笑っていたけど、心は何か違う感情が渦巻いているような気がした。
「一応もともと期限はあってね、3年生の秋までに見込みがなかったから駄目なんだ。私としてもね、ちょうどその頃から就活がスタートする時期だと思うし、いいかなって言うのはあるかな」
彼女の言うことは最も。夢ばかり追い求めてうまくいくなんてそんな簡単にはいかないのが現実だから。でも、それでもこのときばかりは現実主義な私もそう言うことは出来なかった。
「そんなこと言わないでよ?私だって裕美子ちゃんのこと応援するから」
だからパッと浮かんだ言葉をとりあえず並べた。その言葉に意味なんてなくても。
「うん、ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ」
彼女は笑顔だった。けれど違う。いつもの、あの笑顔ではなかった。どこか心の中には闇を感じさせるような、そんな笑顔だった。
このときばかりはそんな感情を読みたくなってしまう私自身が嫌になった。
「ちょっと美結ちゃんどうしたのー?暗いよ~?」
「あ、ううん、大丈夫。なんか色々考えてた。私もそんな夢が欲しいなあって。あはは」
「夢はお嫁さんです!とかでいいんじゃないのー?」
「何それ」
そんな話をしたときは、既にいつもの裕美子ちゃんに戻っていた。
少し違う一面を見せた裕美子に、美結は戸惑いつつもむしろ彼女のことをもっと知りたい、それを知った上でもっと仲良くなりたいと思っていたのはこの時はまだ気がついてなかった。
何やら最後の方で少し今までと違った裕美子ちゃんが現れたような・・・?まあ、ここで説明するのもアレですし、もちろん後々回収していきますよ~!