私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
・・・と言っても最初半分は美結と由依ちゃんの会話ですけどね(笑)
「そうしたらさ、授業中にやっぱり寝ちゃってさ~!」
「うん」
「で、起きたらさー・・・って・・・」
「どうしたの、由依ちゃん」
由依ちゃんは急に話すのをやめ、私を見てくる。
「美結今日なんかいいことあった?」
「え?」
「なんかこう、会った時からなんとなくニコニコしてるなあーって思って」
「あー・・・」
言おうか言わないか、少し考える。いや、別に言ってもいいのだけど言ったら言ったで別になんでもないのになんか色々詮索とかされそうだなあ。
そう考えたことでもう既に彼女には何かがあったとバレてしまっていた。
「即答しないってことは何かありましたね美結さん!」
「あー・・・」
満面の笑みでそう言う由依ちゃん。私は簡単に説明した。
「へえ、美結も攻めるようになったね~!デートじゃん!」
いや、だから違うって今言ったでしょ!だからあんまり言いたくなかったんだよなあ。
「だからそんなんじゃないってさっき言ったから。たまたまだよ、たまたま」
「ふーん、まあその美結が言うたまたまって言うのはなんとなくわかったけどさー」
「う、うん」
「でもやっぱりそのたまたまでさ、休みの日に会うちゃうって言うのは嬉しいか嬉しくないって言われたら嬉しいんでしょ?」
「うん、まあ、そうだけど・・・」
そりゃあね、相手が『なんでもないただの男の子』ではなく、一応私の中では気になる部類に入る男の子だから、そこは認める。
「じゃあおしゃれとかもちゃんとしなきゃね~!ね、美結!」
「あー、それは、ねえ・・・」
私はその問いに対して歯切れの良い答えが出せない。
「あれ、私なんか聞いちゃいけないこと聞いちゃった?」
「ううん、そういうわけじゃないけども」
「そう?もし美結が言ってくれても大丈夫なら話聞くけど・・・」
ちょっと心配そうにそう尋ねる由依ちゃん。私も悩んでるし、ここは聞いて貰おう。
「えっとね、ほら、今日もこんな格好でしょ?再会してから私、普通にずっとこういう格好だし」
前にもちょっと説明した通り、今日もシンプルなカットソーにジーパンという感じ。
「なんかね、今更になっておしゃれな格好で会うってなるとさ、なんか変に意識しちゃってるみたいでしょ。それとこれは私の妄想も入っちゃうからどうなのかわからないけど・・・向こうにもさ、変に意識させちゃったら、私に対して話しにくくなっちゃったりしてさ、そしたら私もやりにくいっていうか・・・」
私がそう少しため息混じりに話すと、由依ちゃんはなるほどと1つ2つ相槌を討つ。
「うーん、確かに美結の言うことはわからなくはないなあ。まあ本当は『そんなの気にしないでおしゃれすべき!』って言いたいけどそうもいかなそうだよね~」
こらこら、余計なことが聞こえてるよ由依ちゃん!・・・いやまあ悩んでくれてるからいいんだけども。
「美結の気持ちはまあうまくやるしかないよね、って思うけど、彼の気持ちはどうにもならんしなあ・・・」
「一理あるけど私も大変なんだよ?」
「あははっ!わかったわかった!」
由依ちゃんはそう笑い少しむむむと考える。私も再度考えてみる。
少し時間が空いた後、由依ちゃんが口を開く。
「・・・でもなあ」
「うん?」
「その格好はないよね」
私の今日の服装を見ながらそう言う。
「だよね、私もそれは思う」
「プライベートで今日美結に会ったら私だってなんかヤダかも(笑)」
「激しく同意します。恥ずかしいっていうか」
「だよね~!うーん、じゃあアレだ!」
何か良さそうなこと思い付いたのかな?
「ショーパンにタイツでどう?おしゃれ頑張ってる感ないし、かといって私も一緒にいて恥ずかしくないかな~?季節的にもまだセーフでしょ」
「タイツ暑くない?」
「薄いのあるでしょ!それと少しは我慢しなさいよ!」
「はーい。うん、なるほどね、いいかも。それなら大丈夫そう」
私は姿を想像にイメージを膨らませる。
「でしょ!上はまあ多少おしゃれしても地味でもなんでも合わせ易いと思うし美結が持ってるのとうまく組み合わせれば問題ないかなって感じかなー」
他にもアドバイスをくれる。本当に助かる。
「さすが由依ちゃんだね、相談して良かった」
「ふっふっふっ!向こうからは多分言ってこないと思うから、美結から服装のこと聞いてみれば~?似合ってるかなー、みたいな」
「えー・・・難しいなあ」
「でも気になるっちゃ気になるでしょ!?」
まあ、そりゃあどっちかと言えば、ね。
「ま、まあそうだけど」
「むふふ!まあとにかく色々頑張れだねー!美結ならうまくやれるよ!」
「うん、ありがとう」
× × ×
日曜日、いつもは特に予定もないのでだらだらと過ごしているのだけど今日はそうもいかない。
大学に行く時間よりかは遅いがそれでも9時頃には身支度をしなくてはいけない。それに・・・。
「着て行く服っていつも通りで大丈夫だよね?・・・いやいや、そもそもこれは友達と会うだけたがら・・・」
昨日も何度か自分に言い聞かせた言葉を再度自分に言う。
それにしても不思議なことが起きた。まさかあの流れで僕まで一緒に行くことになるとはって感じだった。
いや、仮に同性だとしたら一緒に探し、そのまま一緒に行こうというのは自然な流れかも知れない。1人で決めるよりも2人で決める方がなにかといいに決まってるからね。そう、ほら、高森さんは友達なんだし普通、普通・・・。
「・・・って完全に意識しちゃってるのね」
いや、意識しないのが無理なのでは。いくら授業の一環でプライベートではないにしろ、女の子と2人で、って初めてだし。
意識しない、意識しないと思ってること自体が既に意識しているわけだから。
「何も特に余計なことは思わない方がいいかも・・・」
なんだかよくわからない結論だが、意識しないのは無理だから仕方ないという感じに。
時間になり家を出て目的地へと到着する。割りと余裕を持って動くという性格もあり、20分くらい前に到着。10分ほど待った後、高森さんも到着。
「おはよう。先来てたんだね。私も10分前だからセーフだけど」
クスっと笑う高森さん。
「お、おはよう。うん、僕が早く着きすぎただけだから」
とりあえずありきたりな返しをする。うん、思ったよりは緊張してないかも。
会ってすぐに思ったことは、今日の高森さんはいつもとちょっと違う。
いつもジーパンしか見たことないからショートパンツにタイツの姿は新鮮に映った。男だから仕方ないんだけど、ついついそっちに目がいってしまう。
そんなことを思っていたことがバレたのかどうかはわからないがそれについて聞かれる。
「いつもジーパンみたいなのばっかりだけど、変じゃない?」
高森さんはあくまで自然というか本当に友達にそう聞くみたいに軽い感じだったので、なんとなく自分も変な緊張はしなかった。
「うん、大丈夫だよ」
「そかそか。良かった良かった。笑われたらどうしようかと思った」
「あはは」
「あ、笑ったじゃん」
あ。・・・いや、これは違うでしょ。
「そういうんじゃないと言うか・・・」
「うん、わかってるよ」
「あー・・・」
なんとなくペースを握られてしまったりしたけども、高森さんが凄く自然だったので、予想よりも出だしはうまく振る舞えたかな。
「とりあえず最初のところに行こうか」
「あ、うん」
そこの最寄り駅を集合場所にしたのでそこへ向けて歩き出す。
「ここの辺りはそこそこ知ってるんだよね?」
「うん。そんな詳しいわけじゃないけど、買い物とかするときはここまで出てくることは多いかな」
まあいわゆる地方から電車なりが集まっているターミナル駅みたいなところ。そこの沿線なら自然と来るだろうってところあるよね。
「じゃあ道案内任せました」
ニコりと笑う高森さん。期待されると迷いそうなのでやめてくれないでしょうか・・・。
そうは言ったものの、一応隣を歩いてくれる。適度な距離だけど。
「そう言えば眼鏡今日はないね」
「あ、うん。そんなに悪いわけじゃないから授業中だけ」
「そうなんだ」
会話は続かない。うまく繋げられない。沈黙も多い。それでも高森さんがずっとニコニコしているからか、そんなにイヤな沈黙ではない気はした。
10分ほど歩く。
「ええと、これの裏かな」
ぐるりと道を周り裏へと行くが・・・。
「あれ・・・」
表側の建物の裏口だった。
スマホで検索した地図を確認し、現在地と目的地をもう一度照らし合わせる。
「あれ・・・?今ここだよね?なんで?」
高森さんも一緒に覗いてくれる。
自分では合ってると思っていたんだけど・・・。
「これ向き逆じゃない?道の形とか似てるから間違えちゃったんだね」
どうやら見間違えたらしい。
「本当だ、ごめん・・・」
「ううん」
正直なところ実は道案内とか苦手だった。でもなんか期待されたり、そもそもいきなりそんなことは言えないし・・・。
でも出来ないってわかっていたら最初に言うべきだったよね。そんなことで高森さんは怒ったりすることでない人はわかっているし、きっと迷わないように最初から色々してくれたはずだ。
まだ今からでも遅くない、本当のことをちゃんと伝えなきゃだめだよね。
「・・・高森、さん」
「え、どうしたの?」
「あ、いや、ね、実は道案内とかそういうの苦手で・・・最初に言えば良かったって・・・」
少し途切れ途切れではあったけど、一応言えた。ってまあ、そんな大変なことでもないけれど。
「え、それだけ?凄く改まってるから何か大変なことがあったのかと思っちゃったよ」
僕の言葉を聞いた高森さんは目をパチパチさせて返事をする。高森さんはそう思うかもだけど、僕にとっては大変なことですよ!
「うん、はい、それだけです・・・」
「なんだなんだ。全然私は気にしないし、むしろ言ってくれて良かったよ」
「そう、なの?」
「私、女だけど結構得意だし。それになんでも完璧にこなせる人なんていないし助け合えばいいじゃんって」
ニコっと最後に笑いそう言ってくれた。彼女にフォローして貰っているけども、いつもの気恥ずかしい気分ではなく、ホッとした気持ちになった。
「そっか・・・なんかそう言われると考え過ぎてたのかなって思った」
「うんうん、きっとそうだよ。ほら、行こ」
高森さんは体を前に向け、顔だけ振り返りながらそう僕に優しく声をかけてくれた。
最初は男の自分がしっかりしなきゃと気を張りすぎていたけども、彼女とそんなやり取りをして、お互い立場は同じなんだし別に無理する必要はないんだと思った。
勇人は何かと不安はありつつも、美結とは仲良くなれそうだと思った瞬間でもあった。
ちょっと途中になってしまいましたが、まあもともと1話で終わらせる気なんてなかったので(笑)
ここでちょっと後半部分の補足、美結がニコニコしてた理由ですが、真顔でいるよりも笑っていた方が勇人も一緒にいて緊張しないかと思ったから。それと美結自身も明るい気持ちでいたかったから。
・・・という感じで作者はそう書きました('ω')ノ