私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
少し飛んで本番前日から始まり、本番を飛ばしてその後という形になります。
本番を飛ばした理由は・・・話の中で別に大事じゃないから、っていうのが一番ですかね?本番をやったところでメインの3人の出番は多くないし、彼女らのこれからな思いはそこでは表現出来ないですからね(・_・;)
まあ、不平不満はあるかも知れませんが、本編をどうぞ!
演劇の授業、最後の授業の前日、つまり本番前の前日になるが、私たちのグループは夕方全員の授業が終わった後に集まり、一度だけ通し稽古を行った。
私から集まろうと言ったわけではなく、どこからともなく先週の授業の最後にそういう話になったのである。
ただの授業の一環とはいえ、一応一般公開しており普通に知り合いとかも見に来る人もいるからだからなのかはわからないが、みんな最後まで結構真剣に稽古に取り組んでいた。
今はその帰り道、適当に仲がいいもの通しで帰る中、私はやっぱり板倉くんに声をかけていた。
「いよいよ明日だね」
「そう、だね」
そう答えた彼はどこか不安そう。
「大丈夫だよ。今日みたいな感じでやればね」
「そう・・・かな?」
「うん。本当に大丈夫」
私はそう言ったが、決してお世辞で言って励まそうとしたわけではない。
確かにまだまだな部分は多いけど、最初の頃に比べたら自信を持って演じているのが伝わってくる。だからこその言葉。
「高森さんがそう言ってくれるなら・・・」
「そうそう」
「うん、明日で最後なんだし頑張らなきゃね」
「あ、そっか・・・」
最後という言葉を聞いた私はそれを少し考えてしまう。
板倉くんが言った最後とはもちろん演劇の授業が、ということなんだけども、それはつまり私にとっては2つのことを意味していたから。
1つは毎週のように会い、共に頑張ったみんなとお別れだということ。もちろん板倉くんも。
もう1つは・・・。
「高森さん・・・?」
「えっ!?」
「どうしたの?」
「あっ・・・。いや、ごめん、ちょっと考えごとしてて」
私はその言葉も少し低いトーンで言ったから、何か深刻な感じで受け取られてしまったと思う。板倉くんがそれに対してどう反応していいか、わからなくなっていたから。
「・・・」
「・・・」
私たちの間に沈黙が訪れる。ただその沈黙はすぐに破られる。
「どうしたのー!?美結ちゃんもハヤトくんも暗くなって~」
後ろから裕美子ちゃんが割って入ってきた。
そんな彼女の姿を見た私はいつも通りに戻る。
「裕美子ちゃん、びっくりさせないでよ!心臓に悪いから」
「あはは、ゴメンゴメン!美結ちゃん明日頑張ろうね!あ、もちろんハヤトくんも!」
「うん、頑張ろう」
「お互い頑張ろう」
私に続き板倉くんもそう答える。
「あ~、明日で終わりか~!なんか終わるとちょっと寂しいよね。演劇楽しかったし。ミユちゃんもそうでしょ?」
「寂しいか寂しくないかって言われたら寂しいね。私演劇大好きだし」
特に隠すわけでもなく、そう答える。
「だよねー。私も美結ちゃんと一緒にやってさ、演劇ってこんなに楽しいんだって思った。養成所でもやってたけどね、なんかみんな必死というか、なんかピリピリしてて楽しさとかそういうの全然なかったから」
「あー、なるほど」
「もちろん養成所は大事だし、私声優になりたいけどね、ミユちゃんとなら演劇続けたいなあって思っちゃうよ~!」
「あはは、何それ」
冗談なのかそうでないのかはわからない彼女の話に笑ってそう答えたけど、心の中では別のことを思っていた。
「ちょっと反応テキトー過ぎっ!?」
「はいはい、嬉しい嬉しい」
「感情込もってないじゃん!おい、演劇部~!」
「今は違うからいいの!」
・・・結局それからはそういう話はせず、世間話やらオタク話やらをして、その日は2人とは別れた。
× × ×
「みなさん今日は見に来て下さいましてありがとうございました」
本番が終わった後、私は一応グループの代表として挨拶をした。
演技の方はどんな感じだったかと言うと、今のお客さんからの拍手や笑顔からもわかるように普通に大成功した。後の順番だった私たちのグループが終わりお客さんがはけた後、机などを戻して先生の話を聞き解散となった。
それぞれ仲のいい子同士で雑談をする中、私は裕美子ちゃんに声をかけられた。
「美結ちゃん!」
「あ、裕美子ちゃん。今日凄く良かったよ」
「うん、ありがとう!美結ちゃんもだけどね!」
「私は・・・まあ、うん、ありがとう。それと今日までのありがとうもね。声優、なれるように頑張ってね」
今日が授業の最後ということもあり、まあ、もちろん連絡先は知ってるし会おうと思えば会えるけど。一応お別れの挨拶という感じでそう言った。
彼女からも私と同じような言葉が返ってくると思っていたら、笑顔だった表情が突然真顔になり・・・。
「美結、ちゃん?」
そんな表情の裕美子ちゃんに私は困惑する。
「え・・・」
「美結ちゃん、私そう言う話をするために美結ちゃんに話しかけたわけじゃないよ?」
「え・・・?」
何を言っているのかわからない裕美子に対して美結はまだ困惑している。そんな彼女に対し、裕美子は笑顔で、それでいて強い口調で彼女へと告げる。
「美結ちゃん!昨日言ったよね!美結ちゃんとなら続けたいって、演劇!」
「あっ・・・!」
そう言われて昨日のことを思い出す。あの時はどんな意味なあんな言葉を彼女が言ったのかわからなかったけど・・・それは・・・。
「裕美子ちゃん、それって・・・」
私がそう言い、続きを言おうとした時。
「ユミ、授業行かないと遅れちゃうよー?」
とまあ前にもそんなことあった気がする、裕美子ちゃんの友達が彼女を呼ぶ。
「あ!うん、今行く~!」
裕美子ちゃんは友達にそう言った後、私にも笑顔で言葉を伝える。
「あ~、なんか中途半端になっちゃったねー!ごめん!とにかく私はそういうことだから、連絡待ってるよっ!」
最後に敬礼ポーズをピシッとして裕美子ちゃんはバタバタといつぞやのように立ち去った。そんな彼女を見送った私は、言われた言葉の意味を考えた。
連絡待ってるって・・・私となら続けたいって・・・つまりそれは・・・。
「高森さん」
「あの、高森さん・・・!」
「・・・え?」
声に反応し振り向くと、板倉くんが声をかけていた。私それでハッと我に返る。
「っと、あ、ごめんごめん!ちょっと考え事してて」
「あ、ごめん・・・。えっと、話しかけても大丈夫だった?」
「うん、全然大丈夫。こっちこそ無視してごめん」
板倉くんは何の用事だったかと言うと、本番で舞台の捌け口に使ったパネルをどこに片付ければいいのかわからなかった。そこで前の時間、授業がなく準備をした私に聞いて来た感じ。
「・・・なんか気がつかないで話しかけちゃってごめん。考え事してるなんて思わなくて」
一通りの話が終わった後、彼に改めてそう言われた。
「気にしないで。そんなに言われると私まで気になっちゃうから、あはは」
「う、うん」
と言うことは、板倉くんも誰かと話してたりしてたみたいで、どうやら私と裕美子ちゃんのやりとりは聞いていなかったらしい。まあ、それなら普通に声かけちゃうよね。
次の授業がない5、6人の人手でパネルを片付ける。片付け終わった後、板倉くんから珍しく声をかけられた。
「高森さん」
「うん?」
「えっと・・・一応って言うわけじゃないけど、今日までのお礼言いたくて」
少しだけ目を反らし、少し緊張した表情で彼はそう言う。
「お礼なんていいのに」
「いや、演劇が楽しかったのはきっと高森さんのおかげだから・・・」
「あはは、まあうん、どういたしまして」
なんとなくそういうことを言われるのはちょっと照れ臭い。仕返ししてやろう。
「私も板倉くんと一緒で普通に楽しかったよ」
「いやいや!僕なんて迷惑かけてばっかりで・・・」
「あはは、そんなことないよ」
「笑ってるってことは・・・」
うん、まあ、指導するところは一番多かったからね。それでもそれを吸収していって、ちゃんとやってくれて、グループの中で一番伸びたのは彼だと思うけどね。
「んー、なんでもないよ」
笑ってそう答えた後、しばらく私たちの間に沈黙が訪れる。どういう理由なのかはわからないが、何かお互いに言いたいことを言えないような沈黙だと私は思った。
私の言いたいこと・・・なんだろう?まだ話したい、せっかく1年ぶりに会えたのにもうお別れなんて、これからも連絡したい・・・まだまだあるかも知れない。
そしていつしか部室棟の前に到着してしまっていた。
「じゃあ私はこっちだから」
そう言い、私は後ろ髪を引かれる思いで彼から振り向こうとしたその時。
「高森さん!」
今までよりも少し強い口調で呼び止められた。その声に無意識で振り返る。
彼は続ける。
「前にさ、興味があったから演劇やろうと思ったって言ったの・・・覚えてる、かな?」
覚えている。結局なんで興味を持ったのかは聞けてなかったけど。
私は頷くだけで、次の言葉を待つ。
「えっと、興味があったのは実は大学入る前からで、なんて言うかその・・・」
そこまでしか言えなかった勇人ではあるが、美結はなんとなく彼の言いたかったことがわかり、なおかつそれは彼にはうまく言葉に出来ないのではとも思った。
「それってつまり・・・もし演劇部あったら入りたかったってこと・・・?」
思ったことを思ったままに伝える。私が言ったことがもし本当ならば、彼が肯定をするならば、私は続けて言いたいことがすぐに頭に浮かんだ。が、板倉くんの答えは肯定も否定もしなかった。
「まあ・・・どう、なんだろう・・・」
彼は迷っているかのようにそう呟く。
「それは・・・あっ・・・!」
私はそれを聞いて、おそらく彼は自分でも本当にわからないからそう答えたのだろう、と思った。何故なら現実では演劇部はないんだから「あったら」なんてわかりようがないから。
ただ彼は、本当に私に伝えたいことを言うかどうするか迷ってるようにも見えた。だから私は、彼が今すぐその結論を出さなくてもいいように言葉を選び伝える。
「・・・あのさ、また連絡するね。授業は終わってもそれでバイバイってわけじゃないじゃん」
「え・・・あ、う、うん」
「私もね、頭整理しなきゃって思ったりしてるから、あはは。だからとりあえず今日はここまでで。じゃあ、また」
私は笑顔でそう言い手を軽く振り、そのまま彼から振り向いた。彼の反応を見なかったのは、いや、見れなかったのは、私自身も本当は言いたかったことが言えなかったからだろう。ああ言った手前、これ以上今は彼に関わったら、言いたくて仕方がなくなってしまうから。
・・・演劇をこれからも一緒にやろう、と言うことを。
いかがでしたでしょうか?相手の心情をうまく読み取りながら考える美結ちゃん。書き手としてはこういう話は書いてて凄く楽しいです(*^_^*)
一番最後の美結ちゃんが引くところ、個人的には凄く好きなシーン。お互い言ってしまえばハイ終了!じゃないですか!やきもきさせる2人が凄く「青春」してるなあって(^_^)v
・・・駄文でした。ではまた!