私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~   作:かもにゃんこ

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さあさあ、迷って迷って結局あの時は言えなかった美結。今話ではそんな美結と由依ちゃんの、2人のお話となります(^^)/


「鉄は熱いうちに打てさ!」

板倉くんと別れた私は部室へと向かった。まだ少し気持ちが整理出来ていない部分はあるけども、切り替えないといけないと思い少し気持ちを落ち着かせ扉を叩き中へと入る。

 

「失礼します」

 

「やっほー、美結」

 

いつも通り、毎週この時間は由依ちゃんがいる。

 

「由依ちゃんお疲れさま」

 

「ねぇ美結~?」

 

「うん?」

 

「今日本番だったんでしょ?どうだったの?うまくいった?」

 

由依ちゃんは少しわくわくした雰囲気でそう聞いてくる。本番自体は普通にうまくいったので私も笑顔で答える。

 

「うん、うまくいったよ。結構ドキドキしながら見てたけどみんながみんな本当に良かった」

 

「そうだったんだ!美結がそう言うなら本当に良かったんだねー!私も授業サボって見に行けば良かったなあ」

 

ケラケラ笑ってそんなことを言う由依ちゃん。サボるのは良くないとは思うけど、同じ学科の友達もいたみたいだし、見に来て欲しかったと私もちょっと思った。

 

「あはは、気持ちだけ受け取っておくよ」

 

そう私が言った後、少し間が空き、由依ちゃんから笑顔が消え真面目な表情で私に話しかけてきた。

 

「ねぇ、美結」

 

そんな雰囲気の彼女に、私も改まる。

 

「・・・うん」

 

「今日で演劇の授業終わっちゃうんだよね?」

 

「え?う、うん、そうだけど・・・」

 

私は彼女の言葉に少し戸惑う。改めてそんな事実を言ってどうするのか。

 

そう疑問に思っていると、その疑問に対する答えを由依ちゃんは言う。

 

「そうだけど、じゃなくてさ、授業が終わって、演劇もそれで終わっちゃっていいの?」

 

「え!?あ・・・えっと・・・」

 

そう言われた私はハッとする。私はそうはっきりと言われるまで、由依ちゃんが心配していることに気がつかなかった。いや、本当は気がついてたのかも知れない。核心を突かれるのが嫌で、そこから逃げようとしていたのかも知れない。

 

私が少し戸惑っていると、たまらず由依ちゃんは次の言葉をかけてくる。

 

「せっかく演劇に興味がある子たちが集まって、授業が終わってもさ、これからも演劇やろうって、そういう人を探す為にも私は美結にあの授業を紹介したんだよ?」

 

「たった半年間だけのっていうのは美結だってわかってたはず。その後もその楽しい時間を継続して欲しいって・・・だって美結が演劇出来なくてつらそうにしているのを一番見ていたから」

 

由依ちゃんは少し私に訴えるような、そんな口調で私に話す。私は彼女がそんな気持ちで私に紹介してくれていたなんて気がつかなかったことに、今更ながら後悔する。

 

「由依ちゃん・・・私、ごめん、そんな由依ちゃんの気持ち受けとれなかった・・・」

 

彼女にそんなことを言ったって仕方ないことはわかる。だって損したのは私だけだから。

 

それでも由依ちゃんはそんな気分を落とした私を笑顔で励ましてくれる。

 

「なんだよ~、美結~!そんなに落ち込むなって!いやね、私も美結があまりにもアレだったからちょっと言いたくなっただけだから!最初に言わなかった私が悪いって!ね?だから元気になってー!ほら、ぎゅ~!」

 

「うへ!大丈夫大丈夫!ありがとうありがとう!元気になったから、抱き締めるの止めて~!」

 

そうは言ったけど、私は本当は抱き締めてくれたことも含めて本当に嬉しかった。こんなに心配してくれて、励ましてくれる友人がいることに。

 

私だって、言われっぱなしじゃないから。言おうか言わないか迷っていたけど、由依ちゃんのそんな言葉を聞いた私は迷わず話した。

 

「ねぇ、由依ちゃん」

 

「うん」

 

私の改まった態度に彼女も真剣に聞いてくれる。

 

「その、由依ちゃんが思っていてくれたことは正直わからなかったけど、一応ね、これからも続けてくれるかも知れない人はいたりする、かな・・・?」

 

「え!そうなの!?」

 

まさかの展開に普通にびっくりの由依ちゃん。そりゃまあ、そうか、あんな話の後だもんね。

 

「なんだよ美結~!最初から言ってくれればよかったのにー!」

 

「あはは、ごめん。言えなかった理由はね、確証が持てなかったし、それに誰かに言う前に自分で解決したかったから。曖昧なままで言いたくなかったって感じかな」

 

「へぇ、そかそか」

 

「うん。今のところは2人いるんだけどね、どっちも連絡してじっくり決めてみようって感じかな」

 

「そっか~!うんうん、なるほどなるほど、そういうことねー!」

 

いつも通り私の考えに同意してくれる・・・と思ったけど、今回は違った。

 

「ねぇ美結!」

 

「え!」

 

「美結の意見もわかる!じゅーぶんわかる!だけどね、コレに関してはじっくりとかじゃなくてイッキにいくべきだと私思うよ!」

 

彼女の活気ある言葉は私に刺さる。表情は笑顔であるが本当に芯まで伝わってくる。

 

「演劇熱が冷める前にガツンと言っちゃわなきゃ!じっくりゆっくりじゃ冷めちゃう冷めちゃう!鉄は熱いうちに打てさ!」

 

由依ちゃんは最高の笑顔でグッと拳を握りしめてそう私に話した。

 

確かにその通りだ。何も間違っていない。こればかりは勢いが大事だ。まあ私も彼女の勢いに飲み込まれてる部分はあるかも知れないけど(笑)

 

「そう、だね・・・!」

 

「うん、そうだ!よし、善は急げだよ!今すぐ2人の元へ行くんだ!」

 

「うん、私頑張るよ」

 

由依ちゃんに背中を押され、私は部室から駆け出した。今ならうまくいく、絶対成功する!

 

・・・って!

 

部室棟の入り口で私は引き返しオシブの部室へと戻る。

ガチャッと少しだけ勢いよく部室へと入る私。

 

「あれ?どしたの美結?」

 

せっかく由依ちゃんが背中を押してくれたのに私が戻って来たからちょっと不思議な様子。

 

「いやね、勢いに任せて出てったのはいいけどさ・・・」

 

「うん?」

 

「よくよく考えたら今どこに行けばいいのって感じだった・・・」

 

はあ、っとため息混じりのそう答えた私。板倉くんはもう大学から帰ってるし、裕美子ちゃんは今授業中だしで今の今、2人には会えないから。別に駆け出したことに後悔してるわけじゃないけども。

 

そう話した私に対して「そうだったね!ごめんごめん!」みたいな感じで返しが来ると思ったんだけど・・・。

 

「うん、そんなことかと思った!」

 

「・・・え?」

 

「授業中だしいきなり出てってどうするんだろうなあとは思ったよ?」

 

「・・・ええ!?」

 

「本当に行くとは思ってなかったからさ、私だってびっくりだよー!」

 

「えええ!」

 

「面白かったから止めませんでしたー!ごめんねー!」

 

や、やられた・・・。いや、まあ、ね、冷静になって考えなかった私も悪いんだけどさ・・・それでも・・・。

 

「ちょっとヒドいよ由依ちゃーん!私由依ちゃんに言われてホントに本気で今すぐ言おうって思っちゃったんだからね!?」

 

私にしては珍しく感情を大きく出す。「ごめんごめん!」

 

そんな私に由依ちゃんは一応身振り手振りを交えてそうは言ってるものの、顔は完全に笑っていた。・・・まあ、私が由依ちゃん側だったら確かに面白いからねぇ。

 

「・・・でもさ!」

 

「え、う、うん?」

 

「美結の気持ちは固まったでしょ!」

 

「あ・・・」

 

その通りだ。勢いに任せてだったかもだけど、何かと決めきれなかった私の気持ちは固まった。

 

「頑張れ!」

 

「・・・うん、ありがとう、由依ちゃん」

 

「いつもの美結に戻って良かった~!」

 

ホッとした様子の由依ちゃん。ああは言ってたけど、罪悪感も感じてたのかも。

 

何はともあれ私の気持ちは決まった。とにかく早いうちに連絡して、早いうちに話そう。

 

「あ!ねぇ美結?」

 

私がそう考えていたら、今思いついたみたいな感じで何やら唐突に私を呼ぶ。

 

「え?何?」

 

「演劇の授業終わるってことはさー、例の彼とはこれからどうなるのかなあって思って!」

 

「あー・・・」

 

「まあ、アレかー、美結から何も言ってないってことはあれから何も進展なしか~!」

 

「あー・・・ええと・・・・」

 

言おうか言いまいか、そこで少し考える。さっきの人の中に彼もと言うのは簡単だけど、言った後のことを思ったら・・・。

 

「ええとね、はい、由依ちゃんの言う通りだよ。進展なしかな・・・」

 

「そっか~!まあ連絡先交換してるし急がないのが美結のスタイルだもんねー!」

 

あ、こっちには同意してくれた。

 

「う、うん。また何か相談あったらよろしくね」

 

「おっけー!」

 

ウソはついてないもの。進展していないのは本当だし。

 

由依ちゃんに言わなかったのはね、言ったらきっと色々なアドバイスとかしてくれると思う。

 

・・・でも今の私には恋愛系のアドバイスを聞いてしまったらね、意識しちゃって本当に伝えないことが伝えられないと思ったから。

 

それにそもそもまだ「好き」だと決まったわけじゃないから。っていつもの言い訳に聞こえるか(笑)




由依ちゃんカッコいいですね!ぶっちゃけ由依ちゃんいなかったら話が進まないんじゃないかと今思いました(笑)

中盤以降の2人のコントみたいなやり取り、作者的には書くのは凄く楽しいですね。それで実際読者様にも楽しく読んでいただけたら嬉しいです(*'▽')

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