私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
書きたいことは後書きに色々書きますので、興味ありましたら是非読んで下さい!
由依ちゃんと話して気持ちが決心した私は早速部活の帰り道に2人と連絡を入れることにした。由依ちゃんに一緒なため、どんな感じで送れば無難か、2人で一応相談みたいな感じ。
「シンプルな感じでいいかな?」
「と言うと?」
「うん。メールとかで話すよりも会って直接話した方がいいかなって思って」
「どんな感じ?もう打ってみたー?」
そう聞かれたのでとりあえず打った内容を見せた。
「どうかな」
「えーと、ナニナニ~?『こんばんは。お話があるんだけど明日の昼休みって時間とれますか?』」
由依ちゃんは私が打った文を声に出して読み、ふんふんと少し考える。
「・・・なんかシンプルだね~!アハハハッ!いやね、そりゃ事務的な連絡だし簡潔な方がいいもんね~!大事なことだしね~!うんうん!・・・フフッ!」
一応大丈夫みたいなことを言葉では言ってるみたいだけど・・・。
「ちょっと由依ちゃん、さすがに笑いすぎ!」
「あー、うんうん、ごめんごめん!」
「・・・やっぱり堅すぎるかな?」
「んー、まあ、いいんじゃない?」
「適当な反応だなあ」
「気のせい気のせい!」
由依ちゃんはまだクスクスと笑っている。どうやらツボに入っちゃったみたい・・・ってそもそも私は何が面白いのかわからないけど。
ちょっと経ってようやく笑いが収まった後、改めて彼女に名前を呼ばれる。
「ねぇ美結~?」
「うん?」
「いやね、それはそんな感じでまあ大丈夫だとは思うけどさ、前から普通のメールとかでもちょっと堅いなあとは思ってたよ~!」
「あー・・・」
知り合ってから1年以上経って初めて言われた。まあ言われなくても彼女がそう思ってるだろうなあってことと、自分も多少は感じてことは薄々わかってたいたけど。
面と向かってはっきりそう言われると、ね。
「別にダメとかそういうわけじゃないけど、なんか最初のうちはどんな気持ちで送ってるのかなとかわからなかったから、ちょっとやりにくかったなあ、とは思ってたよ~!」
「うう・・・」
由依ちゃんの言うことは間違ってない。確かに自分でも自覚は少しあった。
「あー、ごめん!もしかしてちょっと言い過ぎちゃったかな?」
「・・・ううん、大丈夫。本当のこと言ってくれた方が私は嬉しいよ。まあ確かに少しはグサリときたけどね。ははは・・・」
そう苦笑いし彼女へと本音を伝えた。
「そかそか~!まあ変えるも変えぬも美結次第ではあると思うけどね~!」
「あはは、そうだよね」
そう適当に返したものの、本当は堅いのはなんとかしたいとは思ってる。実際、初めて板倉くんにメールをしたときは顔文字とか使ってみた。・・・まあ、結局なんか私らしくないなあって思ってそれっきりにしちゃったけど。
「結局2人へはどんな文面で送れば・・・」
話を戻す私。ここからあんなこと言われるなんて思っても見なかったなあ。
「う~ん?さっきも言ったけど堅くていいんじゃない?」
「そうなの?」
「んまあ何にもなければ『え、なんだろう・・・?』って深刻に捉えられちゃうかもだけど、2人は話があるって聞いたら演劇の話だってわかりそうだからー」
「あー、確かにそうかもね」
連絡して、連絡するって言ったしその通りだ。
「そうそう!よし、じゃあ送っちゃえ!」
そう促された私はメールを2人へと送った。
「なんか返事がくるまでドキドキするかも」
「何その好きな人に送ったみたいなのはっ!」
あっ!っと一瞬言いそうになったが堪える。今はバレたくないもんね。
「大丈夫!きっとうまくいくよ~!なんとなくだけど私わかるよ!」
「由依ちゃんありがとう」
決して根拠などない彼女の発言だけど、今はそういう言葉だけでもホッとする。
「あっ!でもねー」
「え?」
「なんだかんだやっぱり堅すぎかなって~!あははっ!」
「・・・っ!ひどっ!」
せっかく由依ちゃんに感謝したけど、最後の最後に余計なこと言うのは原点だね!
× × ×
2人へ送った連絡はすぐに返事が来て、何回かやり取りし、結局翌日のお昼休みに会ってくれることが決まった。
「美結ちゃん」
「あ、裕美子ちゃん!・・・と」
話しかけられ後ろを振り向くと裕美子ちゃんがいたのは当然、板倉くんも一緒にいた。
「あはは、どうも」
「板倉くんも一緒だったんだ」
「うん、そこで会ってね!って言うかね、ハヤトくん酷いんだよ?私と目が合ったのになんかスルーしてさー」
「あ、いや、それは・・・」
なんか私と会う前に面白いことがあったみたい。
「私のことはもう忘れちゃったんだねって思うと・・・うっ・・・」
「ええっと・・・」
裕美子ちゃんはおいおいウソ泣きをする。ウソとはわかってるだろうけど、どう対応すればいいかわからない板倉くん。なんか面白い。
「あはは、2人見てなんかホッとしたよ」
内心ちゃんと言いたいこと言えるかと心配だったけど、なんか緊張も解れた。
そんなに時間あるわけじゃないけど、立ち話もアレなんで適当な教室へと入る。
さっそく本題を話そうとしたところ。
「私美結ちゃんから本当に連絡来て凄く嬉しかったよ~!まだこれからも演劇出来るんだって」
「え・・・?」
先にそんなことを裕美子ちゃんから言われてびっくり。彼女の言葉に私が答えられないでいると。
「・・・ってアレ!?そういう話をしてくれるために連絡くれたんじゃないの!?もしかして違ったの!?アレレ~!ハヤトくんもそう思ってたでしょ!?」
「えっ!?う、うん、まあ、そう、かな?」
いきなり話を振られた勇人は驚きつつも肯定する。そんな勇人の言葉にまた美結はびっくりする。勇人は続ける。
「いや・・・ね。僕自身もね、昨日・・・その、高森さんと別れる前、本当はこう言いたかったんだ・・・」
少し緊張しつつも、一句一句ははっきりと話す。
「もしこの大学に演劇部があったらさ、もし、だけどね?入ってたかなあって。・・・まあ、結局なかったわけだからその『もし』なんてわからないけど・・・」
勇人の話を美結だけでなく、裕美子も真剣に聞いている。
「それとさ、本当は高森さんさえ良ければ、とこれからも高森さんと一緒に演劇やりたかったなあ、ってこと」
言い終わったあと、チラチラと2人の様子を伺った勇人は、自分が言ったことに対してなんとなく恥ずかしくなる。
「あ、いや・・・僕なのにこんなこと言ったらアレだよね・・・」
「・・・ううん。ありがとう。思ってること、全部聞けて私は嬉しい」
その言葉を聞いた私は本当に嬉しかった。だって無理矢理誘って、そのまま無理矢理やってじゃなくて、本当に彼が演劇を続けたいと言ってくれたから。本当に連絡した意味はあったのだから。
「全部・・・」
「え?」
「全部、じゃないけど・・・まだ、思ってることあるというか・・・」
たはは、とそう苦笑いで答える板倉くん。あ、これさっき私は「全部聞けて嬉しい」とか言っちゃったけど、実はまだ言えてないことがあって戸惑ってるパターンだよね。
「ううん、全部じゃなくても大丈夫だよ。余計なこと言ってごめん」
私は彼に無理強いはさせてはいけないとそう答えたが・・・。
「言っちゃいなよ~!」
「「え?」」
「言いたいこと全部言っちゃったほうがさ、すっきりするよ!」
とまあ、横から裕美子ちゃんがそんなことを。確かに言いたいことがあるのに言えないでいるとずっとモヤモヤした気持ちではあるけど。それに私もあそこまで言われっちゃったら何を話したいのか気になると言えば気になる。
「「・・・・・・」」
2人で無言で苦笑いになりつつ見つめ合う。
「あ、えっと、無理に話さなくても大丈夫だからね?」
私は気にはなるものの、嫌なことを無理に言う必要はないと思い、改めて言うが・・・。
「そうは言ってるけど美結ちゃんだって気になるんでしょー!」
「うん、まあ・・・って!」
おいおい!裕美子ちゃんに乗せられてうんとか言っちゃったんですけど!
「高森さんがそう思ってるなら・・・言う、よ」
「あ、いや、さっきのはね、乗せられたというか・・・」
「いや、僕もやっぱりモヤモヤするし、言いたい」
流れでそうなったのかどうかはわからないけど、板倉くんがそう言うなら、と思い、私は静かに聞くことにした。
「うん、話して」
「うん・・・あのさ、前にさ、初めてあの授業で演技をやったときに、演劇のこと話してくれたの覚えてるかな?」
「あ・・・うん」
そう言えばそんなこともあったなあと、言われて思い出す。
「あの時にさ、高森さんが凄く嬉しそうに、楽しそうに演劇のことを話しているのを見て、自分にもそういう熱中出来るものが欲しいって思ったんだ」
「今までは中学も高校でも何かやってはいたけど、『なんとなく』やってるだけで熱中できることはなかった。まあ、僕の性格的にそういうものなのかも知れないけど・・・」
「それでも演劇やって、なんか今までにないような充実感とか楽しさとかあって・・・だからこれからも演劇が僕にとってそう言う存在に、熱中出来るものになれたら・・・だからこれからも続けられることが凄く嬉しかったって、演劇をそういうものにしてくれてありがとうって・・・」
言い終わった板倉くんは、ふぅっと少し長い息を吐き、照れ臭そうに顔や頭を手で掻いたりしていた。普段は口数は少ないけど、こういう、大事な時と言うか、そういう時にはちゃんとはっきりと本当のことを言ってくれる、そう言う人なんだと改めて思ったと同時に、私の何気ない言葉、私自身は特に何も思わず言った言葉をこんな風に捉えて考えてくれたことに私は何とも言えない気分になった。
「そっか・・・うん、えっと、うまく言えないけど・・・ありがとう」
とりあえずそう、感謝を言葉を伝えて私。改めて彼の言ってくれた言葉思い出す。もともと興味があったことに、少しでも私がそれをさらに楽しいものに出来たんだと思うと、自分に自信が付くというか、誇らしい気分になる言うか、とにかく凄くプラスの感情が表に出た私はたまらず笑顔になった。
「ふふふ・・・!なんか今凄く嬉しい!人生で一番嬉しいかも!」
そう言った私は壊れたようにずっと笑い続けた。
「うわ!美結ちゃんが壊れた!どうしよう、ハヤトくん!」
「え?僕に話を振らないでよ・・・?」
「いやいや!だってハヤトくんが話してからだし壊れたの!」
「ええ・・・って、あ・・・」
そんなやり取りをしていたら予鈴が鳴ってしまったようで、私は元に戻る。
「あ、もうそんな時間・・・?えっと結局・・・」
結局、これからも一緒に演劇をやってくれるの?と言いたかったけど、その言葉は裕美子ちゃんによって遮られる。
「とりあえずこれからもよろしくだね、美結ちゃん、ハヤトくん!詳しいことはまた今度決めよう!じゃね~!」
キリっ!と敬礼ポーズをした裕美子ちゃんは、荷物を持って足早に立ち去って行った。相変わらずだなあ、と思いつつも、ちゃんと決めてはいなくても、そうなったことに私はまた仲良くなれたんだなあとも思った。
「・・・行っちゃったね」
「・・・うん」
「なんか中途半端になっちゃってごめん、たはは・・・」
「いや!僕の方こそ話が長くなっちゃって・・・!」
「・・・ふっ!」
「ふふっ!」
「とりあえず授業行かなきゃだよね」
「うん、そうだね」
「裕美子ちゃんもああ言ってたし、詳しいことはまた今度ね、じゃあ、また」
「うん、また」
裕美子ちゃんが去った後、板倉くんとはそんなやり取りをし、お別れ。こういうやり取りが自然に出来るようになったことも、彼とも少しは仲良くなれたと思った。
時間はかかった。1年以上前のあの日から。それでもこうやってまだ演劇が出来ることがとにかく嬉しい。一度は途切れた私の舞台の続き・・・いや、続きじゃない、新たに始まろうとしているんだ。私の新しい舞台、いや、私たちの・・・3人の新しい・・・。
「私たちの『舞台』は始まったばかりなんだから・・・」
そう一人で呟いた私。真夏の暑さなんかに負けないくらい、熱く熱中しようと心に誓った
・・・はい、タイトル回収しました(笑)
とまあネタはさておき、前書きで書いた通りまるで最終回みたいなサブタイにしました。
理由ですが、この話をいわゆる1つの「区切り」にしたかった感じです。演劇の授業が終わり、美結たちは新しく演劇の活動を始める、そんな意味での区切りです。物語的にはですが、まだまだこれから、今までは「序章」という感じです。
次回からは美結たちの演劇の活動はもちろん、美結と勇人の関係など、人と人との関係のことも色々書いていくつもりです。
次話以降も、ぜひとも読んで下さったら嬉しいです(≧ω≦)b