私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
前回では演劇を3人で続けることまでしか決めてなかったので、その続きです。
私、裕美子ちゃん、そして板倉くんの3人で演劇を続けようと決めた日から数日たったある日、私たちは改めて集まった。
理由はまあ、結局あのときは「続けること」を決めただけで、これからどうやって活動するとかは全く決めてなかったから。
割りと授業や前期の試験やらで忙しい日々が続いたため、集まったのは授業最終日の4限目終了後だった。
私が待ち合わせ場所へと行くとすでに板倉くんの姿が。
「こんにちは」
軽く手を振り挨拶を交わす。
「あ、こんにちは高森さん」
「早いね」
「あ、うん。4限の授業はなかったから」
「あ、そうだったんだ。なんか待たせちゃったみたいでごめん」
「いや、大丈夫。夏休みの課題さっそくやってたから」
「早っ!真面目なんだね」
「そういうわけじゃないけど・・・後で楽したいし、課題は早めに片付ける派かな」
「へぇ、そっか」
というような雑談をする。なんかこういうことを自然に出来るようになって普通に嬉しい。
それにしても今日は暑い。夕方16時を過ぎているが、まだいったい何℃あるの?という感じ。遠い棟から歩いて来たこともあり、適当なファイルでパタパタと扇いでいる私。
「なんか今日は暑いよね」
「だね。高森さんは凄く暑そう」
「うん。D棟から来たからねー。暑い暑い」
とまあ、そんなことを言いながらついついってわけじゃないけど、カットソーの襟元を手で開けて風を送り・・・そうになってあ、っと気がついたときにはもう襟元を掴んでいた。
「あ・・・」
そのまま固まり、板倉くんの方をつい見てしまう私。
そんな私に見られた彼は、一瞬目があったがポケットからスマホを取り出し何事もなかったかのように私から視線を反らしそれをいじる。
いつぞやのように私が悪くはあるのだけど、なんとなく悔しくなった私はお決まりのセリフを口にする。
「見た?」
さすが(元)演劇部、多少の演技を入れそう彼へと告げた。
「・・・見てない」
私と同様に彼もお決まりのセリフで返してくる。動揺していところを見ると演技は通用していないのか、はたまた私に・・・いや、それは考えたくないが・・・。
そう思いながらも私は今日の自分の服装を改めて見る。年頃のはずなのに相変わらずの色気ゼロの上下。それを見てさっき思ったこともない話じゃないよなあ、と思いため息をつく。
「はあ~」
「・・・えっと、どうしたの?」
いきなりのため息に私の様子を伺いつつそう話す板倉くん。
「いや、うん、大丈夫」
苦笑いでそう答える。いい加減「コレ」とも少しは卒業した方がいいかなあと少し思っていたら。
「美結ちゃん!ハヤトくん!ごめん遅くなって!」
少し小走りで裕美子ちゃんが登場。
「ごめんごめん!最後の先生の話が長くてさあ~!ああ~暑い~!」
裕美子ちゃんはそう言いながら少し前屈みなって私と同じように、違うのはちゃんとしたうちわで、ブラウスのボタンを1つ外して胸元をパタパタと扇ぎだした。
「ううん、大丈夫だよ」と私は返事をしようと思ったけど、そんな彼女の行動と、少し火照った顔、髪を結ってあることによって見えるうなじ、太ももまで見えるミニスカートを見て別の言葉を言う。
「はあ、色気あるなあ・・・」
「へっ?」
「あー、気にしないで独り言だから」
「は、はあ・・・?暑さで壊れたの?」
「うーん?なんでもないよ?」
で、ちなみにそのときの板倉くんはというと、相変わらずスマホをいじり我関せずという様ではあったけども、チラチラと裕美子ちゃんを見ていたのはバレてました。
暑くてたまらないということもあり、その後すぐに空いてる教室を探して中へと入る。
「涼しいー!天国だー」
「ホント。今日暑すぎだもんね」
「だねー!って言うか私思ったんだけど、美結ちゃんジーパンで暑くないの?暑いときに短いの履けるの女子の特権だし」
決して悪気はないのはわかる。わかるんだけどさっき気にしてたことを蒸し返すとは・・・。
「そうらしいよ、板倉くん」
なんかちょっとアレな気分になったので、八つ当たりってわけじゃないけど、思わず彼に当たる。そこにいたから。
「ええ?そ、そうだよね、うん、まあ、確かに」
「ちょっとなんでハヤトくんに話振るのー!ね、ハヤトくん、美結ちゃん酷いー!」
「え!?えっと、確かに今のこっちに振らないでよ、とは思ったけど・・・」
2人で結託したみたいで、何故か私は悪者に。いやまあ、完全に私の逆恨みだから私が悪いけど。もちろん2人とも笑ってるから本気でそう思ってはいないことはわかる。
「はいはい、私が悪いですよー」
「あ、なんかつい。ごめん」
そんなことを言ったら真面目な板倉くんは一応、苦笑いだけど謝ってくれたので、私はちょっと調子に乗る。
「ううん、『板倉くんは』全然悪くないから!ありがとう、気遣ってくれて」
演技なのは明らかに、めちゃくちゃ笑顔でそう返事した。
「ちょっ!美結ちゃんそういうのズルイ!」
「ズルくないズルくない。板倉くんは味方だもの」
そんな子供みたいに取り合いをしてたら・・・。
「・・・あの、僕で遊ばないでくれる、かな?」
苦笑いではあるが、言い方はいたって真剣に彼はそう言った。
正直驚き、私は無言で固まった。私も、たぶん裕美子ちゃんもだと思う。彼がそうはっきりと私たちに主張したから。
「えっと、うん、ごめん」
「ごめん!私も調子に乗りすぎた」
彼で遊んだのは間違いないのは事実だから私たちはそう謝った。
「あれ・・・?えっと、僕も一応冗談で言ったんだけど・・・」
「え?」
「そうなの?」
「・・・なんか本気に聞こえちゃったんだ」
逆に戸惑っている板倉くん。えーと、まあ、そういうことならなんでもなかったってことだね?
「あー、そういうことか~!」
裕美子ちゃんも彼の話を聞きわかったらしい。
「なんかめちゃくちゃ気にしちゃったよ~!あはは」
「あはは、僕ももっとうまく冗談言えるようにならないと、なんて・・・」
「そかそか!じゃあそれも演劇やって身につけるしかないね!」
「こらこら!そういうのをうまく言えるようになるためにやるわけじゃないから」
「わかってるって~!ね!」
「うん、さすがに」
とまあ、裕美子ちゃんと板倉くんも思ったよりも仲良さそうで何より。
雑談も一段落したのち、さっそく本題へと入る。
「ちょっと余計な話もし過ぎたけど、さっそく決めちゃおうか」
私はとりあえずそう言った。
もちろんざっくりなことを言ったので質問が飛ぶ。
「まず何から決めるの?」
「そうだね、うーん、どう活動していく、とか?」
「というと?」
私はまず、これは私の意見なるけどと前置きし続ける。
「何か目標を起てて稽古をするのか、それとも特に定めないで稽古をするのか、にまず別れるかな」
うん、と頷く2人。
「前者ならいつ舞台を行うか決めてそれに向かった活動を、後者なら基礎や即興中心にとりあえず技術を上げる感じ。もちろん台本使ってもいいけどね」
「なるほど~!うん、わかった」
「僕もなんとなくわかるかな。最初の方なら演劇の授業のときみたいな感じだよね」
「うん、板倉くんの言う通りだよ」
どうやら2人とも私の言ったことはわかってくれたみたい。
「私的にはどっちもいいと思うかな。それぞれメリットデメリットはあるし、どっちかがいいとかはないしね。まあ前者は多少先に確認しなきゃいけないこともあるけど」
一応、舞台としてやるなら、いつ、どこで、どのような形で出来るかを大学側に確認する必要はある。ただまあ高校とは違い、かなり融通は効くとの予想は出来る。
「だから2人でやりたい方決めてもいいかも」
2人とも少し考える。時間はあるし、ゆっくりどうぞ。
少し経ち、板倉くんが発言。
「えっと、一応最初は3人でやるってことだよね?」
「あ、うん、そういうことになるね」
「だよね。それだとさ、3人舞台って大丈夫なのかなって思って」
「なるほどね。答えとしては、特に問題ないと思うよ。そういう芝居台本も普通にあるし、何より私自身に経験があるから」
そんなに人気ある部活じゃないから、高校時代は3、4人で活動した期間もあった。
「そうなんだね。ありがとう」
私の説明に笑顔で返してくれた。そういうの結構嬉しかったりするんだよね。
「私も聞きたいことあるけどいい?」
少し手を上げそう言う裕美子ちゃん。
「うん、どうぞ」
「余計なお世話だったらアレなんだけどさ」
「うん」
「台本1本やって舞台やるとなると時間も普通に結構必要にはなるよね」
まあ確かにそう。毎日出来た方がそりゃあいいに決まってる。
「それでまあ、私も夏休みはバイトやらないとなあ~、って思っていてその件もあるから、まあ、これは後で2人に相談して決めなきゃって思ってるけど・・・」
「・・・けど?」
裕美子ちゃんは1つ呼吸を整えた後、発言する。
「美結ちゃんは、部活入ってるじゃない?それは大丈夫かなって思った」
「あー・・・」
「あ、さすがにそれはどうするかは考えるよねー!あはは、余計なお世話でした!」
彼女はそう苦笑いで答えたが、私はというと・・・。
「・・・なかった」
「え?何ー?」
「考えてなかった・・・」
演劇を続けようと決めたけど、さっそく前途多難になりそうだ。
というわけで続きはまた次話で!
美結ちゃんと裕美子ちゃんの服装等の話も出たのでちょっと補足。美結ちゃんの服装はお話の中の通り、髪型は入学時はショートボブ、今は少し長めで肩まである感じ。裕美子ちゃんは可愛い感じの服装。下は大体ミニスカートイメージ。髪は長くポニテだったりサイドに結んでる感じで。1話と11話の挿絵もよかったら参考にして下さい(^^)/