私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
基本は説明が多いですが、2人の少しのイチャつきもありますよ(笑)
私たちのこれからの活動の大まかな予定を決めた翌日、予定通り私は板倉くんとの練習をするために大学に行った。大学からの最寄りの駅を降りて向かう途中、彼の後ろ姿が見えたので少し小走り、声をかけた。
「おはよう」
私の声に気が付き振り向く。
「あ、おはよう高森さん」
「同じ電車だったんだね。まあ集合時間的に一緒になってもおかしくないね」
「そうだね」
「時間、ちょっと早いけど良かった?」
「うん、大丈夫だよ」
というのも集合は朝の9時。うちの大学の1限目のスタートと同じだから。わざわざただの練習になんでそんなに早くしたかと言うと・・・まあ、後でわかるでしょう。
「そっか、良かった。むしろ私の方のがちょっとツラいかも、あはは」
というのも朝早く起きたくないとの理由で1限目の授業を2年になって入れなかったから。1年の頃にまだそういうのよくわからずに調子に乗って3つも入れたら大変だった苦い過去がある。
「そうなんだ。朝は苦手だったりするの?」
「朝?うーん」
そう聞かれて私はなんとも言えない表情をする。苦手・・・ではないハズなんだけど、やっぱり大学生になって1人暮らしを始めるとどうしても1人で起きれないことがあったりする。決して意図せず目覚ましの設定を忘れてたとかではなくて、例えば後で設定しょうと思って気が付いたら寝落ちしてた、みたいな感じで。実家にいるときはそういう時でも家族が嫌でも起こしてくれたからね。
・・・で、結論は?
「・・・まあ欲に負けるときもあるよね、みたいな?」
なんだそりゃと自分で自分に突っ込みを入れた。
「なんとなくわからなくもないかも、それ」
ちょっと笑いながらそう話板倉くんに何か小馬鹿にされた(決してそんなことはないと思うけど)気分になった私は逆に聞いてみた。
「板倉くんはどうなの?」
「えーと・・・自慢じゃないけど・・・一応生まれて記憶がある分には、寝坊はしたことないかな」
自慢じゃん!いやまあ、それは普通に凄いことではあるけど。
「へえ、凄いね。何か秘訣でもあるの?」
「うーん・・・特に何かしてるわけじゃないけど・・・遅刻したら注目されるし、そういう感じになりたくないからかなあ」
「なるほどね。確かにそうかも。うん、心がけてみようかな」
そんな感じで適当に雑談し、大学へと到着。
「えーと、運動着持ってきてってことはまず着替えるんだよね?」
「うん、そうだね。適当にトイレにでも入って着替えよっか」
「あ、わかった」
というわけで大学の入り口から一番近いトイレに入り着替える。
夏と言うこともあり2分ほどで着替えを終える。ちなみに私は普通のTシャツに高校の頃の体操着。1年生の頃に必修であった体育の授業もこの格好で受けてたし別に恥ずかしくない。学校の制服とか体操着って妙に頑丈というか持ちがいいもので、まだまだ全然着られるし、カッコ悪いとか気にしないのでわざわざ買う必要もないかなって。
着替えを終えて出るとすでに板倉くんの姿が。私もかなり早く着替えたかなと思ったけど、髪を結んだ分、ちょっと遅れた感じ。まあ、どうでもいいね。
「お待たせ」
板倉くんも下は高校名が入っているものなので私と同じような感じ。
「あ、高森さんも高校の体操着なんだ。手持ちにこういうのなかったから迷ったけど同じなら良かった」
ちょっと笑顔の板倉くん。まあその気持ちはわかる。そういうのって言わなくても変に思われてることもあるし、安心したのかな。
「あはは、お揃い、って訳じゃないけどお揃いだね」
「着替えて、これから何をするの?」
率直な疑問だろう。授業でやった練習では特に運動着に着替えたりしなかったから。
「えっと、言った通り基礎練なんだけどね。あ、先に言っておくけど私が今までやってきたことをやる感じだからそれが正しいとかはないってことは一応」
「うん、わかったよ」
「じゃあまずは外で走るから」
「え?」
さらりとそういう私。まあそりゃいきなりで驚くよね。そんなのお構い無しに続ける。
「うん、隣に公園あるからそこでね。あ、荷物はオシブの部室に置けばいいから」
そう言って私は部室へと向かう。板倉くんは慌てて着いてくる。
荷物を置き、鍵を閉め、正門とは別の門を出て、道1本挟むとすぐにその公園がある。運動公園みたいな感じで割りと広いのは先に調べておきました。
「演劇って文化部だけど割りと体力いるからね。私もなまってるだろうし、この期間はガッツリ走るよ」
「う、うん」
「ちょっと驚いてる?」
クスっと笑いながらそう話す。
「まあ・・・。でも良く考えたらそうだよねとは思う」
「理解力があってよろしい。大丈夫、私も体力ないからゆっくりやろう」
「うん、ありがとう。・・・あっ、暑さがまだマシなうちに走る方がいいなら朝早くしたんだ」
「そうそう。まあこの時期はもう暑いっちゃ暑いけどね」
そんなわけで軽く準備運動をしてジョギング開始。
「とりあえずこの広場5週しよっか。じゃあスタート!」
× × ×
「ゴール・・・!」
「うはあ~・・・ヤバい、体力、落ちてる・・・」
およそ、見た感じ1周500mくらいのを5周だからたった2キロ半しかないんだけど・・・私も、いくらなんでも板倉くんだって高校は運動部じゃなかったしてなかったみたいだし、最近運動してるわけじゃないしで、と思っていたのだけど・・・あやうく周回遅れになりそうになったという・・・。
「はあはあ・・・水を・・・」
そう弱々しく発したときに思い出した。
「・・・部室に忘れた、っはあ~・・・」
ガクリとひざをつきその場でorzになる私。いや、ギャグ言ってる場合じゃない。
「・・・ええっと、あ!じ、自販機が・・・あ、財布なんか持ってきてないし・・・」
だよね・・・。
そう思った私の前に水筒が差し出された。
「・・・口つけるやつだけど・・・嫌じゃなければ・・・」
「・・・」
「ほ、ほら、もしだよ?喉乾いて死にそうな人がいたら誰から構わず助けるから、さ・・・」
ちょっとさすがに間接・・・はまずいとは思ったけど、確かにそうだ。そう、これは緊張事態なんだ、うん、そういうことにしよう。
とにかく潤いが今すぐ欲しい私は、私をそう納得させ、水筒から1口、2口と飲んだ。
「・・・はあー。ありがとう、命の恩人よ・・・」
ギャグを入れて言わないとなんとなく間が持たなそうな気がしたので。
「あはは、大げさ、でもなかったりするかな」
そう苦笑いで話す。私がまだふーふー言いながらボーッとしてると。
「じゃあ僕はせっかくだしもう何周か走ってくるよ」
私の返事を聞くまでもなく、彼はその場から走り去って言った。
正直私としてはこんなことがあった後だったので、色々思うところもありちょっと助かった。もしかしたら彼も私と同じ気持ちだったのかも知れないなあとも思う。
そんなことを思いながら広場を走る彼を私は見つめながら、まだ手にある水筒を少し大事に握りながら1人呟いた。
「・・・ありがとう」
ちなみに私が飲んでこともあり、板倉くんが走り終わった後に飲んだ分で水筒がなくなっちゃったのはまた別の話。
ちょっと短くなっちゃいましたが、いい区切りだったのでいいでしょう(笑)
書いた自分が言うのもなんですが、こういうシーンって凄く好きです(^^)/THE・青春って感じでいいですよね!