私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
体を動かすとか、発生とか、文章で表現するのって難しいなあと思いますね。自分のお頭の中ではわかっていても、実際読んでいる方はわかるのかなあって感じです('ω')
では本編をどうぞ。
外でのジョギングを終えた後、私たちはオシブの部室に荷物を取りに行き、そのまま空き教室へと移動。そこで次の練習を行う。
「えーと、これからやるのはまずラジオ体操、それから柔軟をして最後に腹筋と背筋。運動はこのメニューで終わりかな。」
私がそう説明すると少し驚く。
「本当に運動部みたいなんだね」
「まあ体使うしね。で、ラジオ体操なんだけど・・・」
私は体操をするとき、指先や首の動きまでしっかりやること、また一つ一つの動きをハキハキとやることの大切さを説明。
実際に演技するときに指の先を意識してとか、キレを出せとかいきなり言われてもなかなか出来ないもの。だからこうやって基礎練のときからしっかりやらなくちゃね。
「じゃあそんな感じで早速やるよ。えーと、ラジオ体操、覚える?」
「あ・・・ごめん、うろ覚えかな・・・」
まあそうだよね、子供の頃にやったくらいが普通だもんね。
「とりあえずは見よう見まねでやってみよう。じゃあ始め!イチ、ニ、サン、シ」
もちろん音楽はないけども、無言でやるのもアレなんで掛け声をかけながら。遅れて板倉くんも一緒に掛け声をかけてくれる。
そんな感じで、特にトラブルもなくいつも通り第1だけ行い終了。
「なんか凄いね」
終わってすぐ後、ついつい出てしまったような感じで板倉くんがそう呟く。
「凄いって?」
「あ、いやね、覚えてるのももちろんだけど、僕がやったことがあるラジオ体操とは全然違うなあって。なんか凄くキレイというかカッコいいというか・・・」
ラジオ体操でも褒められたので普通に嬉しい。
「ありがとう。板倉くんも、私を目標にってわけじゃないけど頑張ろうね。まずは掛け声もハキハキとね」
自然とこぼれる笑顔に乗せて口調も滑らかかな。
「はい、頑張り、ます」
ちょっと自信無さげだったけどまあいいでしょう。
続いて柔軟。これはまあ普通。座って後ろから押してもらったり、立ったまま腰を曲げて手を着けたり、などなど。
私は体の柔らかさは割りと自信アリ。もちろん最初から柔らかかったっていうとそういうわけでもなくて、ずっとやってたらだんだんとって感じ。努力は報われましたって話。
「じゃあまずは背中押して貰おうかな」
私はそう言いお尻を床に付けて足を閉じて伸ばす。
さあ来いと待っていたらなかなか来ない。
「どうしたの?」
「あ・・・いや、どこを押せばいいかなって・・・」
「あー・・・」
まあ、わかる。私は部活でやってたから何とも思わないけど、いきなり異性の体を触るのは躊躇するよね。普段とは違いあくまで運動の一環だからと言って、正直どこ触ってもいいかなとは思うのは私の乙女心が腐敗してるのかな・・・?
「えっと、肩?両方の・・・」
一番無難な場所を選択。
「あ、肩・・・こう?」
吹っ切れてくれたみたいでぐーっとそれなりの力で押してくれた。
押してもらえば上半身まるごと足に着く。よし、体力と違ってこれは衰えてないね。
「凄く柔らかいんだね」
「ふふふ、これは自信あるのさ」
ちょっとどや顔でニヤっと笑う。それから左右等をやり、交代。
「あ・・・僕体はかなり固いから無理矢理やらないでね・・・?」
心配そうにそう言う彼。さすがに私はそんな鬼畜じゃないから!ゆっくりやろうと思ってましたよ!
「うん、わかった。腰のあたり押してもいい?下の方が痛くないと思うから」
「お、お願いします」
「じゃあ」
私が両手で押し始めた瞬間、ピクッと体が動く。
・・・意識されてる?そう思うと何故か私も押す手に少し緊張が走り、心も不安定に。
あれ・・・なんかちょっとドキドキする。いや、落ち着け私!さっきは何も感じてなかったじゃん!フッーと一息吐く。あ、無言なのもいけない。
「強い?」
「いや、もう少しなら・・・」
「うん」
「うっ!」
「あ、ごめん」
「大丈夫」
「じゃあ次いくね」
「はい」
「いくよー」
意識しないように言葉を続けるが、そう思ってること自体もうアレだけどね。
結局、次の腹筋背筋で私の体力が切れるまで、変な意識は続いちゃいました。
「準備運動はこれくらいかなー」
お互いに腹筋背筋を終え、一息着いた後。ジョギング前の準備運動から占めて全部でおよそ1時間以上。体力が落ちていたこともあり、高校時代よりも長く感じた(実際長かったけど)。
「なかなか大変だったけど、久しぶりに体動かしたから楽しかったかな」
それは私も思う。なんだかんだで汗をかくのは気持ちいい。
「だね。ちょっと休憩したら今度は発声練習ね」
「発声練習・・・難しそう・・・」
不安そうな表情を見せる板倉くん。そう言えば演劇の授業でやったときは結構苦戦してたかも。
「大丈夫。最初は私だってうまく出来なかったし。簡単なところからやってみよう」
10分ほど休憩し、発声練習を始める。
「まずは腹式呼吸からかな。感覚的にだけどわかる?」
「ええと、お腹をへこませたり膨らませたりする感じだよね?」
「そうそう。とりあえずそのイメージでやってみて?」
私がそう言うと板倉くん呼吸を始める。ぱっと見だけどあんまり出来てないように見えるなあ。
「なんかちょっとうまくいってないかも」
「だよね・・・感覚的にはわかるけど、いざやってみると・・・」
自覚ありなら色々教えやすいし助かる。
「じゃあその、長机の上にでも仰向けで寝てみて」
「え?あ、う、うん。あ、いや、机に寝て大丈夫なのかな?」
「まあ大丈夫じゃない?誰も見てないし」
言った後になんだその言い訳はとも思ったけど、土足の床に寝るわけにもいかないし。
私の言葉を聞き、仰向けになる板倉くん。
「普通に呼吸するだけでもお腹がちゃんと動くでしょ?」
「あ、ホントだ」
「そうそう。それを立ってでも出来るようになれば大丈夫だよ」
「なるほど・・・」
「自分のタイミングでいいから立ってやってみたり寝てやってみたりして感覚掴んでみて。何かあれば声かけてくれれば」
色々こうしろああしろ言うのは好きじゃないし、やる方も自由に出来た方がうまくいくだろうという自論。
その間私も声は出さずに腹式呼吸を行う。
板倉くんはというと、立って呼吸して、うーんとなったらまた寝て呼吸・・・その繰り返しをしばらく行った後、感覚が掴めたのか、出来てるかどうかの確認を依頼された。
「失礼します」
一応まあ、見た目じゃ若干わかりにくいところもあるし、私はそう言って彼のお腹を触る。
柔軟のときと同じく一瞬ピクッとなるのがちょっと可愛かった。
「あ、出来てるよ」
「あ・・・良かった」
「この感じを忘れずにそのまま実際を発声してみるよ。最初は全然出来なくていいから、腹式呼吸を意識しながら私の真似してみて」
「は、はい」
スゥっと息を吸い、一気に吐く。
「あー」
最初は短く、だんだん長くしていく。何回繰り返す。次は五十音。
「あ、い、う、え、お・・・」
あ行から濁音を含む全ての行を、まずは一句一句はっきりと。一周終わったら今度は一句一句を伸ばす。そして最後の一周は・・・。
「あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねの!はい!」
5行区切りの早口。
「あいうえ、っ・・・あいうえおかきく・・・・・・」
とまあ最後の早口はそりゃ難しいのは当たり前でなかなか苦戦してたけど、とりあえずそのメニューは終了した。
「とりあえずちょっと休もっか」
「はあ、う、うん、ありがとう、はあー」
ホントはこの後もそのまままだ続くんだけどね、と言ったらやすがに可哀想ではある。
彼が休んでいる間私はちょっと考える。
最初は今日だけで発声メニューをすべてやってしまおうかと思ってたけど、裕美子ちゃんと合流するまでまだまだ時間はあるし、無理矢理色々詰め込んでもアレかなと。
「ちょっと提案だけど」
「え?う、うん」
私は先ほど考えたことを話す。
「あー、確かにそれのがいいかも・・・」
「じゃあそうしようか。明日以降しっかりやろう」
というわけで先ほどの五十音メニューを繰り返し行った。もちろんただただやるわけではなく、ポイントポイントを確認しながら。
× × ×
もともとの予定通り正午で今日の練習は切り上げ、私たちは大学を後に。
もちろん帰りながらは今日のことを話す。
「率直な感想、どうだった?」
「とりあえず思ったのは想像してたよりも大変だった・・・」
「あはは、だよね。私も人のこと言えないけど」
頑張って体力つけなきゃね。
「あ、でも」
「うん」
「楽しかったかな」
少し笑みを浮かべそう話す。その言葉は私にとっても嬉しい。
「おー、それは何よりだよ。ちなみに明日からはもっと楽しいメニューあるからね」
「え?あ、それって前にやってた・・・外郎売り?だっけ・・・?」
「うん、もちろん」
「やっぱりやるんだね・・・」
肩を落とす板倉くん。でも最近わかって来たんだけど、何かあるとだいたいこういう態度になるから気にしない。たぶんそういう性格なんだよね。
「裕美子ちゃんが来る前に完璧に覚えなきゃだよ」
「ええ・・・」
「頑張れ、若者よ」
「若者って。高森さんだって・・・あっ!」
「うん?」
「あのアニメの・・・」
「そうそう!」
「高森さんも見てるんだ」
同じアニメを見ているってことでちょっと笑顔になる板倉くん。もちろん私だってそういうのは嬉しい。
「もちろん見てるよー。今期のならナンバーワンでしょ」
「だよね。1話はちょっと微妙だったけどさ、どんどん盛り上がっていくしね。伏線もこれからどんどん回収されてくんだろうなあ」
「うんうん」
そう語る姿は何か今までで一番明るい表情に感じた。少しもの静かな性格かなと今までは思っていたけども、本当は、慣れてくればこういうのが本当の彼なのかも知れないとも思う。
「ふふっ!」
そんなことを思っていたら自然と笑う私。
「え?どうしたの?いきなり」
「ううん!なんでもないよ。ふふふ」
「・・・気になるんだけど」
「大丈夫大丈夫、あ、さっきのだけどさ、私はねー」
なんか気になるなあという表情の彼を尻目にその話は終わりにした。
これから、基礎練習もだけど、彼といられる時間が多くなるのも凄く楽しいだろうと思う私であった。
物凄く演劇回というか練習回というか、説明回になってしまいました(笑)せっかく演劇を題材にした小説を書くならこういう感じで細かく説明するのもいいかなって思った次第です(*^_^*)またこれからもこういう回は書きますよ~!