私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
今回は「読み合わせ」というものをやります。まあ、本編をどうぞ!
「発声もだいぶよくなったね」
「そう?まあもう2週間もやってれば・・・」
「あはは、それはそうかもね。外郎売りも結構覚えてきた?」
「うーん・・・それはまだまだ、かなあ」
私が最初に設定した目標は裕美子ちゃんが来るまで、要は8月いっぱいってことだったけども無理させる必要なない。
「無理して覚える必要はないからね?別にテストとかはしないから」
「あ、うん。出来る限りは頑張ります・・・」
そう言われると逆にプレッシャーを与えちゃったかなあと思った。ごめんね板倉くん。
チラっと時間を見るとまだ11時くらい。よし、せっかくだしちょっと前から準備してきたことをやろう。
「えーと、今日はこれから台本の読み合わせでもしようかなって思ってるんだけどどうかな?」
「台本の読み合わせ?」
「あ、ごめんごめん。そう言ってもわからないよね」
まあそのままなんだけど簡単に説明する。
「私が持ってきた台本を動きを着けずにただ声に出して読むだけ。声優さんのアテレコって言ったらわかりやすいかな。なんとなくわかる?」
板倉くんはうんと頷く。わかったみたいなので私はコピーしたものを1部彼に渡す。
ちなみに私が持ってきた台本は現代喜劇、ようはお笑いみたいなジャンルのもの。
「まずはどっちが誰の役をやるか決めようっか」
登場人物は男4人女4人の全部で8人。そのまま男女別でもいいんだけどせっかくだし。
「男女は4対4なんだけどね、今はただの読み合わせだし男女半々で役を受け持ったら面白いかなーって思ったけどどうかな?」
「僕は高森さんの言うことならいいよ。そういうの全然わからないし・・・」
一応聞いたものの、そう言われるだろうなあとはちょっと思っていた。
「じゃあそうしよっか」
何度か読んだことがある私はどの役がセリフが多いとか少ないとかなんとなくわかるので、それを元に平等に役を振り分けた。
「じゃあこんな感じでよろしく。大丈夫かな?」
「あの、読み合わせをやるにあたって何か気を付けることとかあるかな?普通に読むだけじゃって思うし・・・」
そういう疑問は想定外だったので少し驚く私。でもそれだけ演劇にちゃんと向き合ってくれているだなあとも思った。
ただまあ今回は読み合わせだし、キャラクターとかもそこまで気にする必要なない。
「ううん、そこまで気張ってやる必要はないかな」
「あ、そうなんだ」
「うん。それぞれのキャラを自分の思った通りに読んでくれたら。まあ後は一応イントネーションとかそういうのを気を付けたり、どういう感情なのか考えて言ってみたり・・・」
とまあそこまで言ってハッとなる。何もないよとか言ったくせに何か色々と言ってるじゃんかって。
「・・・っと、ごめん。楽しんでくれたらいいかな、あはは」
余計なこと・・・余計ってわけじゃないけども、ああいうこと言ったら逆にやりくいよねってことで私はそう言ったけども彼の受け止め方は少し違った。
「・・・いや、せっかくならちゃんとやりたいっていうか・・・2人に出来るだけ追いつきたいってわけじゃないけど・・・だからさっき言ってくれたことをしっかり考えてやってみるようにするよ」
「そっか・・・じゃあ私も頑張らなきゃね・・・」
板倉くんにそんなこと宣言されたら私だって逆に燃える。もちろん最初から手を抜くとかそういうことをするつもりではなかったけども、一層気が引き締まりやってやろうという気持ちになった。
× × ×
「はい、終わり。お疲れ様」
約1時間弱かけ台本の読み合わせは終了した。2人だけの読み合わせだったこともあって結構疲れた。私も板倉くんもふーっと一息付く。それからどっちがとか特にそういうのはなく、感想を言い合う。
「やっぱり高森さんは凄いね」
いつも通りって言ったら失礼かも知れないけど、いつも通りの感想を呟く。
「ありがと」
せっかくだしどこが良かったとかも気になるので、それを聞いてみた。
「笑うシーンかな。僕も普段笑っているはずなのに演技になると全然出来ないんだなあって思ったから。でもそれをあんな風に出来るのは凄いって」
「あー、うんうん、なるほどね」
私はそれを褒められたことよりも、自分も中学時代の最初、先輩の演技を見てそう思ったことを思い出す。もともと私生活で感情の起伏が大きかったわけじゃなかった私は、そういうのは結構苦労したなあと。
「私はね、最初の頃は本当にやれば出来るようになるのかな、って思ったよ」
「え、そうなの?」
「うん。もともと、って言うか今もだけどさ普段からそんなに感情を表に出すタイプじゃないし、感情表現の演技は苦労したなあ」
私がって言う訳じゃないけども。
「あんまりこういうこと言ったら失礼かもだけど、私から見たら板倉くんもそんなに喜怒哀楽するタイプには見えないからさ」
「その通り、です」
「あはは。だからさ、ちゃんと練習すれば出来るようなるから心配しなくて大丈夫だよ」
ニコっと笑顔を交えながら彼にそう話す。言葉ではいくらでも言えるけど、ちゃんと伝わるかはやっぱり言い方だよね。あ、演劇も一緒だ。
「う、うん」
私が笑顔で彼の目を見て話したからかどうかはわからないけど、少し照れ臭そうに頷いた。まだまだ距離はあるなあと思うと同時に、彼のそういう仕草に少しキュンと来る私がいた。
「・・・森さん」
「高森さん・・・?大丈夫?」
「へっ?」
「なんか、ボーッとしてたけど・・・」
しまった。ついつい妄想に耽ってしまう癖が出てしまった。
「あー、うん、ごめんごめん、ちょっと、ね。ええと、呼んだかしら?」
おっと、ついつい変な口調になってしまった。そんなキャラじゃないから。
「あ、うん。あんまりその、難しいことは聞いてもわからないかも知れないけど」
「うん」
「高森さんから見てどうだったかなって・・・あ、少し気になった程度だから簡単に教えてくれたら・・・」
「あ、なるほど」
つまり私から見た感想を聞きたいってことだよね。
「じゃあ簡単に」
「うん」
「このキャラはこの性格で最後まで突き通そうって凄く頑張ってるのは伝わってきたよ。ちゃんと考えてやってるんだなあって」
「あ、ありがとう」
「後はそうだね、さっきも言ったけど感情表現は課題だね。もちろん変化をあえてセリフでは表さないのもキャラによってだから、全部が全部該当するわけじゃないけどね」
「なるほど・・・うん、わかりました」
とりあえず簡単にはそんな感じかなあ。後は・・・あっ。
「女の子の演技はなかなか」
そこまで言った思い出してちょっとニヤつく。セリフ全部がってわけじゃないけど、ところどころ可愛いかったなあと。
「えっと・・・なかなか、なんでしょうか・・・?」
「え?うーん、そうだね、なかなか良かったよ、ふふふ」
「そんなこと考えてないでしょ・・・」
あ、バレた。まあ言い方的にバレないわけないか。
「でも良かったのは本当だから、あはは」
「なんか気になるなあ」
「っと、もう12時過ぎちゃってたねー。終わりにしなきゃね。はい、お疲れ様でしたー」
「あ、ちょっと高森さん!」
そう言われたけど私は構わず着替えにトイレまで逃げた。まあ結局後でまた何回聞かれたから逃げた意味はなかったり。さっきのことは最後まで言わなかったけどね。
はい、本編はこれにて終了です!実際に読み合わせを行っている部分は省略しましたが・・・まあ、本番のシーンを飛ばしたのと一緒で、特にやる必要はないかなって('ω')
それと、最初の頃に比べて美結に対して勇人が少し口答え(?)するようになってますね~!え?そんなに変わってないって?そう思ってしまっていたらすいません(笑)
では、また次話で(;'∀')