私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
タイトル的に、これがOKされればなんか楽しそうな話になりそうな気がしますが、果たして・・・?
帰り道、私はいつも通り板倉くんと雑談をしながら途中まで一緒に帰る。
「そう言えばさ、この前話したの見た?」
この前話したのとはとあるアニメのこと。2年くらい前に放送したアニメで私が最近見た中ではかなりオススメだったので、強制じゃないけど紹介した。
「あ、うん、見たよ」
「ホントに?どうだった?」
「普通に面白かったかな。その、恋愛ものってあんまり見ないけど・・・良かったかな」
少し笑顔な板倉くん。表情を見る限りそれは本当だろう。
「良かった良かった。勧めてみたけど面白くなかったらどうしようってちょっと思ってたから」
「それわかるかも。オタク趣味の好みってかなり分かれるもんね」
「そうそう!ホントだよね」
高校生の頃、ジャンルとか同じようなのが好きだったのに、私が一番オススメの紹介したらつまらなかったって言われたことがあったなあ。
「オリジナルアニメだしちゃんと終わるのも良かったかな」
「それは確かにあるかも。中途半端なところで終わるのとか絶対原作買わせたいやつだよねぇ」
で、買ったら買ったでそこから続きはつまらなかったあるある。
「それわかる。でもよっぽどじゃないと僕は買わないかな」
「へぇ、私は買わない買わないって思ってても本屋さんとか行くとついつい買いたくなっちゃうなあ」
「あはは。あ、そう言えばさ」
「え?うん?どうしたの?」
「今まで言わなかったから知らないのかもって思ったから、なんだけど・・」
「うん」
何かあのアニメで私が知らないことがあるのだろううか?
「知ってたら余計なことなんだけど・・・公式サイト見たらなんか続編を映画化してるらしいよ」
「へぇ、そうなんだ・・・」
・・・って!
「そうなの?うわあ、全然知らなかったよー。あー、まあアレかー、見た後はそういうの調べないしなあ」
「でも後々気がついたけど、今期のアニメ見てたらCMもやってたけど・・・」
「あー、私録画してCM飛ばす派なんだ・・・」
もしくは録画をせずに某動画サイトで見たり。違法なのでは見てないからね?
「なら仕方ないね、あはは」
何かちょっと小馬鹿にされた気分。オススメの割にはそんなことも知らないのかよみたいな。いや、私の勝手な妄想だけど。
「続きあるのは嬉しいんだけどなあ、映画かあ・・・」
なんかたまにあるよねこういうの。なんで地上波でなく映画館なんだと。
「一緒に観に行く人いないからなあ。さすがに1人で映画館には・・・円盤化するまで待つしかないか」
愚痴やら文句やらボソボソって独り言のように呟く。と、それに彼は反応する。
「え、そういう映画って1人で観に行くものじゃないの?」
「え?そうなの?いや、えっと・・・板倉くんはそうなの?」
まさか彼がボッチ映画鑑賞をしてるとは思わず驚きを隠しつつ尋ねる。
「あ、うん。最初は僕も恐る恐るだったし、実際なんか恥ずかしい部分はあったけど・・・」
「うん」
「2回目からは慣れちゃったみたいで何も思わなくなったよ」
彼、意外とメンタル強いのかも。いつもどちらかというと自信無さげだから豆腐メンタルかなって思ってたけど。
「それにね、結構1人の人も多いかなって。高森さんなら大丈夫だと思うよ」
私なら大丈夫とはいったい・・・図太そうに見えるってことなのかなあ。良いような悪いような。実際はそんなことないけども。
「そうは言ってもね、ほら、私女の子だからやっぱり男の子とは違うんだよね」
「あ、なんかごめん・・・」
少しシュンとなる板倉くん。とてもじゃないけどボッチ映画鑑賞なんて出来る人と同じ人とは思えなかったり。
「ううん、大丈夫。私は円盤化するまで我慢するから」
「そっか・・・僕せっかくアニメが面白かったから、観に行くつもりで・・・その話も出来るかなって思ってたけど言わない方がいいよね」
「へぇ、観に行くんだ、へぇ・・・ってそうなの!?」
何かそのまま聞き流しちゃいそうな感じだった。
「う、うん。見た後すぐに続き見れるなら、って感じで」
「そっか・・・」
私はとあることを思いついた。私に勇気があれば今すぐにでも言いたいところなんだけど・・・ええい!迷ってても仕方ない、言ってしまおう!
「あのさ」
「何かな?」
「一緒に行ってもいい?」
何改まってるんだ私は!もっとこう、自然に言えないと何かあるんじゃないかって思われちゃうんじゃ・・・。
「え?あ、えーと・・・」
ほらやっぱり困ってしまった・・・いや、言い方とか関係なしに彼なら困ったかも・・・。
そんな姿に私も次の言葉を言おうかは迷う。フォローしてしまったらさっきの私の話がなかったことになってしまうんではと思ったから。
少し間が空いた後、彼の方から口を開いてくれた。
「大丈夫っていうか・・・高森さんも一緒なら楽しそうだし、僕も最初から誘えば良かったかなあって。あはは・・・」
いつもの恥ずかしそうな感じではない表情で彼はそう答えてくれた。
「ホント?じゃあご一緒させていただきます。あ、良かった・・・」
ああ言ってくれて嬉しかったのと同時に、ホッとした。
時間とかも決めなきゃなと思ったけど、お別れをする駅がもう迫っていた。
「詳しいことはまた明日決めよっか」
「そうだね。僕もまだどこで上映しててとかもまだ調べてなかったし」
「そっか。じゃあ私も調べとくね」
そんなこんなで細かいことは決めずにその日はお別れをした。
× × ×
「で、私に相談、と」
「う、うん」
私は家に着くなり由依ちゃんにメールを送った。メール自体には要件は書かずに「助けて由依ちゃん!」とだけだったんだけどなんとなく内容は察していたみたいで、いきなりニヤニヤと電話をかけてきた。
で、私が簡単に概要を説明し今に至る。
「えーと、で、美結は私に何を聞きたいの?また服装のこと?」
「あー、うん。それもあるけどさ」
「うんうん」
「映画観に行くのは観に行くんだけどさ」
「うんうん」
「せっかく一緒に行くのに観るだけで終わりじゃなあと思って」
「あ~、なるほど」
映画ももちろん楽しみだけど、プライベートでせっかく彼と会うならそれでは終わりたくない私がいる。
女友達とかならさ、まあ特に何もその後の予定とか決めてなくてもその場でどうしようとかどこ行くみたいになっても大丈夫だけど、今回はそうはいかないかなって。
「どうかな?」
「んー、美結が映画観たいってこと一緒に行くなら映画観るだけでそれからのことは決めてなくてもいいんじゃない?」
「え」
何かちょっと予想してたことと違う・・・。
「それにさっき美結言ってたけどさー、『ただの友達』なんでしょ~?なら別に異性として好かれたいとかないし、デートじゃないんだからバッチリ決めなくていいっしょ!アハハハ!」
「・・・」
途中まで割りと真面目な口調で話してた由依ちゃんだったけど、だんだんと笑い混じりな表情になって、最後は思い切り笑われた。
やられたなあ・・・確かにそうは言ったけどさ、私も意識したくないからってことだし、そういうのは言わなくても伝わるかなって思って・・・いや、むしろ伝わっていた上でああ言ったと推測出来るか。
負けず嫌いな私は折れたくなかっけど、損するのは私なので結局『異性として好かれたいです』と折れた。
まあ、半分は本音で半分は言って欲しいが為の口実なんだけどね。最近は一緒に練習してることあってどちらかと言うと「仲間」とか「友達」の感覚が強くなってきた感じもするし。
「美結がそう言うならねー、私の意見になるけどアドバイスしなきゃね~!」
「お願いします由依サマ」
わざとらしくそんな口調で言う私。
「相手の好きな食べ物で美味しいところ探して案内してあげたりしたらポイント稼げるかなってー」
「なるほど・・・」
「後はそうだなあ~、その人が好きそうなお店に何気なく自分から入ってみたり?自分のことわかってるんだー、って思ってくれてポイントアップだね~!そんな感じかな!」
さすが由依ちゃん。100%彼に通用するかどうかは別にして、私じゃそもそも思い付かないことを教えてくれて本当に助かる。
「ありがとう由依ちゃん。助かる」
「いえいえ~!後は服?」
「あ、それもか」
さすがに前と同じ格好では真夏だから浮くし自分も暑い。どうしたものか・・・。
「そうだね~、夏とは露出系はダメだよなあ。付き合ってればまあいいかもだけど」
なんかその言い方だと下着見せたりするような感じだけど!まあ意味はわかるけど。
「あ、ちょっと一回電話切るね?」
「え?あ、うん」
いきなりどうしたのか?来客とか?
数分後、画像が由依ちゃんから送られてきた。
その画像に写っていたのはリボンのついた可愛いシフォンブラウスと少しひざ下くらいのフレアスカートを着た格好のおそらくモデルさんだろう。と、少し経ち、また電話がかかってきた。
「どう~?」
「あ、うん。確かに夏っぽいし、露出も少なく清楚っぽくていいと思うんだけど・・・私そんなの持ってないよ・・・スカートはみんなミニスカートだし・・・」
「これからも着そうだしさ、せっかくだしこういうの買っちゃおう!明日の練習終わり暇でしょ!?」
「え、明日!?」
「うん!私も買いたい服あったし一緒に行こう!」
というわけで板倉くんとのお出かけの前に、まさかの予想外の由依ちゃんとお買い物をすることになりました。
さあさあ、途中までは「次回は美結ちゃんと勇人くんのデート回かな?」と思った方、まさかの由依ちゃんとのお買い物をすることに( ̄ー+ ̄)
実は作者もこの話の終盤になってねじ込んだ話だったりしますが(笑)
では、また次話で(^o^)/