私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~   作:かもにゃんこ

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一応前回の続きですが、今話では目線が変わります(^^)/美結ちゃんを助けてくれた例の男の子の目線にてお話をお届けします。

また、後書きにて、その彼の人物紹介をします(^^♪


「ふふふ、なんか面白いかも」

前の時間の講義が少し延びてしまったこともあり、次の講義を行うところへ行くまでギリギリになってしまった。

 

しかも次の演劇の授業は、少し遠い棟の4階でやるという・・・。

 

(「移動大変過ぎだよなあ」)

 

そんなことを思いながらようやくたどり着き、教室の前のドアから中へと入る。

 

教室の中を見た途端、僕は固まった。

 

忘れもしない1年前のあの日、あの倉庫に入っていた女の子がいたんだから・・・。助けたのは自分ではあったが、助けた時の彼女の丁寧な対応と可愛さに、僕はあの日以来なんとなく彼女のことが気になり、またどこかで会えないかなと思っていた。

 

(「み、見間違いじゃないよね・・・?」)

 

突然の再開に驚いたけども、似ている人なんていくらでもいる。だが何回見てもあの時の女の子にしか見えない。

 

(「どうしよう・・・突然過ぎて気持ちの整理がつかない・・・み、見なかったことに・・・」)

 

そう一瞬思ったけども、頭の中に過去の自分が思い浮かぶ。

 

 

× × ×

 

 

「大学生になったら彼女欲しいよなあ」

 

「それ中学卒業するときも同じようなセリフ言わなかったっけ?」

 

「言ったなあ!だって中学のときは高校生になれば彼女出来ると思うじゃん」

 

まあわかる。なんとなく自分だってそう思っていた部分はあったから。

 

「確かにそうだね、あはは・・・」

 

「どうすれば出来るんだろなあ」

 

「それ、こっちに聞く?」

 

「なんかいい案ない?」

 

そう言われてもなあ・・・うーん、うまいことに適当に言って逃げよう・・・。

 

「大丈夫だよ、僕みたいに暗い感じじゃないし、そろそろモテ気的なものも来るんじゃないの?」

 

自虐を絡め相手を上げる!これぞ自分の真骨頂!・・・なんて。

 

自分的にはいい答えが出来たんじゃないかな?と思ったけど・・・。

 

「やっぱ俺お前が心配や・・・大学ボッチになりそうやんか・・・」

 

と、逆に心配されてしまった・・・。

 

「一応ね、友達作りはとりあえずなんとかしなきゃって思ってるし、自分から話しかけてこうとは思ってるんだ」

 

言い訳臭いかも知れないけどこれは本当に思っている。友達作りに関しても待ってるだけで失敗した高校生活をまた大学でも繰り返したくないから。

 

「んまあ気持ちだけでもそう考えてればまだマシかねぇ?」

 

「あはは・・・だといいんだけどね」

 

「その感じでな、女の子もゲット出来るんじゃね?」

 

「いや、女子にも同じようにとかはさすがに無理でしょ・・・」

 

口ではそうは言ったものの、本当はうまくいったらと思っていた。いわゆる「リア充」と呼ばれる人たちを見ると嫉妬もするし、羨ましくなったりもする。決して彼女が欲しくないわけではない。むしろ欲しいまである気がする。

 

まあそんなこと口に出して言えないからあんな感じで言ったんだけど・・・。そんな僕を見かねた彼は・・・。

 

「かなでちゃん・・・」

 

消極的な自分に対し、彼は発破をかけた意味でそう呟いた。

 

「・・・もうそれ忘れて下さい」

 

この「かなでちゃん」という言葉にどんな意味があるのかというと、自分が高校2年、3年の頃に気になっていた同じクラスの同級生である。

 

色々あったけど、結論から言うと結局何もなかった間柄。

 

「結局ほとんど話してすらいなかったよなー。少しくらい自分から話しかけてればちょっとはなんかあったかもよな」

 

「・・・もう終わったことだし。そもそも本当にただ気になってただけだから」

 

これは本当。なんとなく席が隣で、なんとなく話しかけてくれて、で、自分に話しかけてくれる女子なんていないわけで、気になって、と言った感じ。どんな子だったのかは結局表面上もわからなかった。

 

「んじゃ大学で気になった子がいても見てるだけなん?」

 

「う・・・」

 

それを言われると痛い。実際「かなでちゃん」にも話しかけたいと思ってはいたし、結局は自分に勇気がなかっただけ。

 

「なんだよ~、こりゃあ一生彼女なんて出来んなあ」

 

「それは嫌だ・・・」

 

「嫌なのかよ~!じゃあ頑張れや!ほれ、口だけでもいいから言うだけでもきっかけになるかも知れん」

 

「何を言えばいいの・・・」

 

「彼女欲しいとかでいいんじゃね?」

 

「ストレート過ぎ・・・」

 

「そうか?簡単でええやん!」

 

「あはは・・・」

 

苦笑いでそう答えたけども、心の中ではしっかり自分の言葉で自分に発破をかけていた。

 

『話しかけなきゃ何にも始まらない。積極的に行くんだ』

 

 

× × ×

 

 

(「そうだった、あの時決めたんだ、変わるんだって・・・」)

 

そう思い、決意した僕は彼女の座っている3人掛けの机へと向かい、その右端へ荷物を置き彼女の方をチラリと見たら、向こうもこっちを見ていてドキッとしてしまった。

 

目も合ってしまいもう後戻りは出来ない・・・何か言葉を発しなければ・・・。

 

「あの・・・」

 

緊張して咄嗟だったこともあり、小さくそう言うことしか自分には出来なかった。って今更気が付いたけども、いきなり他人に声かけるなんてまずいんじゃ・・・いや、もしかしたら彼女も自分のことを覚えていてあるいは・・・。

 

「えっ?」

 

そんなことを思っていたら、彼女からはその一言だけ返された。えっ?ってことはやっぱり僕のことなんて覚えてないんじゃ、いや、もしくは人違いだったのでは・・・ここからどうしようと思ったとき。

 

「あの、私だけ忘れてますか・・・?」

 

「あ、まあ、いや・・・」

 

思いがけない彼女の返答に、素直な気持ちでそう返してしまった。まあ、1年前だし・・・あ、いや、もしかしたら・・・!

 

「あ・・・!これで・・・」

 

僕はかけていた縁が太めの眼鏡を外した。そういえば1年前のあの時は眼鏡なんてかけていなかった。これが最後の希望だ。

 

「っ!?」

 

その瞬間、彼女はもの凄く驚き、変な声を出してしまっていた。そんな彼女の姿を見た自分もまた、本当にあの時倉庫にいた女の子だったこと、その子が自分のことを覚えてくれていたことにまずホッとしたのが本音だった。

 

「良かった、違う人だったらどうしようかと思いました・・・」

 

正直、次の一言が出て来て自分でもビックリした。相手は女子、ましてやほぼ初対面。自分でもよくわからなかったけど、気持ちに少し余裕が出来たのだろう。

 

ホッとしている自分を見て彼女も少し落ち着いたのか、返答をしてくれた。

 

「は、はい。あの時はその、どうもありがとうございました」

 

1年前と同じように、ペコリと丁寧にお礼言われた。それにしても、同じ学科だったとは驚き。あ、いや、この授業は2年以上が対象だから学年が上なのか。

 

「まさか同じ学科で、それに先輩、だったのですね」

 

「え、私2ね・・・あっ!えーっと・・・」

 

「・・・?」

 

何やら苦笑いになる。何かまずいことでもあるのだろうか・・・?

 

「そうだね、まだ名前言ってなかったね。私は高森美結。同じ2年生だよ」

 

といきなり何故か自己紹介をされた。って、2年生・・・?

 

「あ、え、えっと・・・」

 

いきなり話題を変えられ、主導権が変わったことでまた前までの自分に戻った。そんな僕を見かねた彼女・・・改め高森さんはクスっと笑う。

 

「ふふふ、なんか面白いかも。名前教えてくれてもいい?」

 

面白いってそっちがいきなり話題変えたからだから・・・。

 

「あ、えっと、板倉・・・板倉勇人、2年、です・・・」

 

「同じ2年生なんだからため口でいいよ」

 

「あ、はい、いや、う、うん」

 

と、そこまで話していたらチャイムが鳴って教授が部屋に入って授業が始まってしまった。

 

「あ・・・」

 

正直今すぐにでもまだ話していたかった。そんな気持ちが声に出てしまう。そんな自分に声に対して高森さんは、笑顔で頷いてくれていた。もしかしたら彼女も、同じ気持ちなのではと妄想が膨らんでいた。

 

久しぶりに女の子と話し、それも自分が気になっていたあの子と1年ぶりに再会。嬉しくてどうしようもない気持ちを抑え、僕は授業に臨んだ。




・・・登場人物紹介3・・・

板倉勇人(いたくらはやと)

大学2年生。部活動やサークルには特に属していない。

性格はどちらかというと消極的。ただ、美結を助けた時のように、いざというときはやる男。

目は少し悪く、授業中だけ眼鏡をかけている。


・・・とまあ、こんなところですかね?あんまり語ってしまうとこれから本編で書くことを先に書いてしまいますので・・・(笑)もちろん彼が演劇をやろうと思った理由も、近いうちに本編にて書く予定です!

では、また次話で会いましょう(*'▽')
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