私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
今回は勇人くん目線ににてお届けします。
ふと思ったのですが、主人公以外の目線で物語をやるのってどうなんでしょうかね?見にくかったりするのでしょうか?
「おはよう」
「あ、おはよう高森さん」
僕のが少し早く来ていたこともあって後ろから声をかけられ振り向く。
そんな高森さんに何かいつもと違う雰囲気を僕は感じる。
なんていうか、いつもよりも大人っぽく見えるのが第一印象かな?白いブラウスに膝より少し下のネイビー色のフレアスカート、髪は・・・結んでるのはいつも見てるけどもいつもより結び目が高く、ポニーテールになっている。
これがいわゆる清楚系というやつなのかと思う。
「まだ10時なのにもう暑いね」
「そうだね」
「とりあえず行こっか」
そう話し、僕らはとりあえず映画館へと向かった。
少し話は戻るけど、もともと僕は1人で映画を見に行く予定だった。
もともと1人で映画を見に行くのは苦でなかったわけではなかったけども、同じ趣味の友達は特にいなかったし思い切って1回行ってみたら不思議なもので、それからもむしろ趣味みたいな感じで割りと楽しいもの。
そんな感じなわけで今回もってことだったのだけど、なんとなくその話の流れになったら高森さんに一緒に行きたいと言われ、断る理由もないし、むしろアニメの方を薦めてくれたのは高森さんだし、行く人がいなくて行けないって言われたときに自分から誘うべきだったかなとも思った。
それに今まではいなかったらと理由で1人映画だったけども、僕だって話が合う友達と一緒に見に行けたら、と思うことはあった。だから今日は普通に結構楽しみなんだよね。
・・・とまあそんな感じ。
映画館に着いた僕らはチケットを買い、パンフレットなどを貰い席へと着く。
「右と左どっちがいい?」
席に着く直前そんなことを聞かれた。
「えっと・・・僕はどっちでもいいけど、なんで?」
「あ、うん。なんか私2人のときは左側のが落ち着くって言うかね。なんでかはよくわからないけど」
「へぇ」
言われて思い出す。そう言えば今日ここにくるまでも彼女は左側だっただけでなく、一緒に歩いているときは自然とそんな感じになっていたかも。
「じゃあ私こっち座るね」
そう言いながら丁寧に席に着いた。僕より背が低くなり彼女の頭部がはっきり見えると、なんとなくそのポニーテールに目がいく。
正直ポニーテールなんて僕の中では2次元だけのものと思っていたけど、こうして見ると3次元でも可愛い髪型なんだと思っていると。
「えっと、ゴミでも付いてる?」
「え、あ、いや・・・」
「3次元のポニーテールもありだなあって」
「・・へっ?」
「・・・って、あっ・・・!」
ついいつもの癖、割りと家では独り言が多く、何かにつけて思っていることは口にすることが多い自分。たぶんだけど高森さんに慣れて来ちゃったからだと思う、緊張とかそういうのが少し緩い関係になってきているのだと。
僕がそんなことを思っていると、最初困った表情をしていた高森さんは次第にニヤッという表情に変わり僕に聞いてくる。
「えっと、それは一応似合ってるって意味なのかな?それともこの二次元的パーツがリアルでもありかなってことかな?」
「あ、えーと・・・」
正直僕があのとき思ったのはどちらかというと後者だし、前者の方は・・・普通に改めて見ると似合ってると思うけどいざ口にするのは恥ずかしいけど・・・。
「似合ってる、よ」
恥ずかしさを押しきり僕はそう答えた。さすがに後者は失礼だと思ったから・・・。
「うん、ありがとう!・・・でもホントは違うこと思ってるでしょ?」
クスッと最後に笑い、そう言われた。つまりバレていましたということ。
「黙ってるってことは図星なんだね。顔見たらなんとなくわかっちゃった」
「あー・・・えーと、最初に考えたのはおっしゃる通りなんだけど、似合ってる、とも思っているのはまあ、本当だけど・・・」
今更言ってもなあとも思ったけれど。
高森さんは少しだけストップモーションになっていたけど、すぐいつもの笑顔に戻る。
「ふふふ、ありがとう。朝ちょっと早く起きてバッチリセットした甲斐があったね」
そう言いながらわざとらしく結った髪を触りながらどや顔になっている。なんか嬉しそうなんで言って良かったかも。
そんなこんなで雑談をしてるうちに上映時間になった。ちなみにどんな内容なのかと言うと、地上派放送最終回で結ばれた2組のカップルと惜しくも破れてしまった1人の女の子の後日談のお話。特にその女の子に多くの焦点が当たるものになっている。
終わり方は高校卒業までと確かに綺麗にまとまってはいたが、続きがあったらいいなあとは正直僕も高森さんも思っていた。
まあ、そんな感じのお話です。
× × ×
『・・・残念だったね』
『・・・まあ、もともとこれくらいしか可能性のない夢だったしな』
『そっか・・・まあ、うん、仕方ないよね、あはは・・・なんか私だけ夢叶っちゃって悪いかなって・・・2人で頑張ろうって決めたのに』
『2人で頑張ればいいじゃん』
『え?』
『菜津美の夢を俺が全力サポートするから。これからもさ、卒業しても2人で・・』
『え・・・それって・・・・・・ありがとう』
エンディングが流れる中、夕日の逆光のせいで2人が何をしてるかはわからなかったけど、きっと結ばれたのだろう。恋人になりそうでなかなかならなかった2人に僕は正直ホッとし、フーッと一息つくと。
高森さんも同じタイミングで一息ついたみたいで、顔を見合せた。
高森さんはニコッと笑い僕の方へ少し身を乗り出し「良かったね」と僕に言った。
「え、う、うん」
いきなり体が近くに来たものだから少し驚く。いくら2人きりだからと言っても、今日会ってから今まではそれなりの距離だったから今まではどちらかというと「友達」という感覚だったのに、「女の子」として感じてしまい意識してしまった。
もちろん一言だけだったのですぐに距離はまた一定になったけれど。
ただその一瞬でも女の子の独特のいい臭いにドキドキする。本当になんで女の子ってあんないい臭いするんだろう・・・。
そんなことを思いながら僕はエンディングのテロップを見てる高森さんを横目で見る。
性格とかももちろん優しいし凄くいい人だっていうのもあるし、こうやって見るとやっぱり容姿だって可愛い、と思う。
劇中のセリフで『俺なんかにはもったいないくらい』というのがあったのを思い出し、まさにそれが該当するなあ、と。
僕は彼女を、彼女は僕をただの友達もしくは仲間として見ているから忘れがちだけど、周りから見たらと考えると少しなんとも言えない気持ちにもなる。
そう思うと急に周りの目が気になる。『可愛いのにもったいない』とか『弱みでも握られてるの?』とか・・・。
それに高森さんだって僕と2人で遊んでいて果たして楽しいのだろうか・・・?自分で言うのもなんだけども僕は色んな意味でいい人間だとは思わないから。今日だって映画を見るからって理由だけでもしかしたら・・・。
「・・・大丈夫?」
そう言えば前にも・・・。
「ねぇ、どうしたの?大丈夫・・・?」
「・・・え?・・・あっ!」
「あ、良かった、反応してくれて。なんか凄く難しい顔してたから何かあったのかと思ったよ、あはは」
いつの間にかネガティブなことを考えてしまっていた。今はそんなこと考えてちゃいけない。せっかく高森さんと一緒に遊んでいるのだから。
「ごめん高森さん。少し考え事してた・・・」
「そっか。私もよく何でもないのに考え事、もとい妄想とかよくしたりしてるから。よくあるよね」
それはフォローなのかなんなのかよくわからないけどそう言われたら自分も笑顔がもどった。
「そうなんだ。あはは」
エンディングも終わり僕と高森さんは席を立ち感想を言い合いながらスクリーンを後にした。そんな歩く僕らを他の人たちがどう見てるかなんてそれからは気にしないようにした。
というところまでで本編は終了です。少し勇人くんの自分語りが多かった回かな、と。
最後の方で勇人くんが「そう言えば」と言ってそれで終わったシーンがありましたが、まあ後々しっかり回収していく予定ですので今はお好きに創造して下さい(笑)
次回は美結ちゃん目線へと変わります(^_^)v