私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
前回気が付きませんでしたが、もう30話なんですね。ついこの間書きだしたばかりなのにもう30話。時間が経つのは早いものですね(;'∀')
映画を見終わった私たちは映画館を出たところでどちらがというわけではなく、「なんとなく」の雰囲気で立ち止まり、お昼ご飯の話になった。
一応まあ、私からガツガツいくのもアレだったし、ちゃんと決めていたわけではないけども(由依ちゃんの言っていたことは守りませんでした、ごめん!)、時間帯的に映画見て終わり、ではないと彼もある程度想定はしていたと思う。
「どうしよっか?」
「どう、しようね」
そんな感じで私も、きっと板倉くんも考えているものだから、そんなやり取りになる。私はまあ・・・実は由依ちゃんの言った通り、彼の好きそうなもので自前に調べてはいたから、それを言えばいいのだけど・・・なんか意識しちゃってるみたいのが嫌で切り出せない。
どうしようと思っていると板倉くんが口を開く。
「あのさ」
「え?う、うん」
「前に、ほら、出掛けたときにさ、ラーメン好きとか言ってたよね?」
「あー、うん、言ったかも」
・・・覚えててくれたんだ。ちょっと嬉しい。
「それで、今日もせっかくなら高森さんの好きなものをお昼にと思って、この辺りで良さそうなお店をちょっと調べて来たんだ」
そう言った彼は自分のスマホをこっちに見せる。
「えっと、ちょっとどういうタイプの、まではわからなかったからさ、無作為にって感じだから結構な数になっちゃったんだけど・・・」
苦笑いでそう言いながらまず1軒目を見せてくれる。
なんか、その、こういうこと言っては失礼だけど、そういうタイプには見えなかったから嬉しさよりも驚きが上回る。それでもちゃんと感謝しないと。
「わざわざありがとう。せっかくだから色々見せて貰おうかな」
悪いなあと思いつつも善意を断るのがよっぽど失礼なので私はひとつひとつ見せてもらうことに。
「へぇ、ここはなんか変わった感じなんだね」
「僕もそれは思った。次は・・・」
そんな感じに見ていくと・・・。
「あっ!」
「え?どうしたの?」
「・・・っとごめんごめん!私もここ調べてたからさ」
「え、そうなの?」
「うん、まあ・・・私も板倉くんと同じような感じでいくつか調べててね、あはは」
言ったあと言わなきゃ良かったなあと。だって調べてるなら先に言えよって感じでなんとなく恥ずかしくなった。いや、全然悪いわけじゃないが。
「えっと・・・それなら高森さんが調べてくれた方のがいいかなって・・・調べてくれたなら僕がでしゃばる必要なかったかなって」
「へ?」
何か言われるとは思ってたけど、まさかそんなこと言われるなんて予想外だったのでつい変な声が出てしまった。いやね?さっきまでちょっと誉めちゃったけど、撤回したくなっちゃうようなことだからね?(笑)
と、私はここでいい案を思い付く。
「そこにしようっか」
「え、そこって?」
「ほら、さっきの。私も調べたよーって言ったところ。それならいいでしょ?私だって美味しそうだなって思ってたから」
私はせっかく調べてくれたところに行きたいし、彼も私が調べたところのがいいと言うならここしかないよね。
「ほら、行こ!」
「え、う、うん」
彼の回答を待たず半ば強引に私は歩き出した。女の子の私がこうしていいのか悪いのかはわからないけど、堂々巡りになりそうな気がしたので。
少し歩きそのお店へと着いた。某情報サイトにも書かれていた通り、割りと隠れた名店みたいな感じだったので日曜日のお昼の時間帯ではあるが、少し待っただけで店内へと入れた。
私も彼もお店のオススメを頼み、しばし待つ中せっかくなので映画の話をする。
「主人公がさ、しばらく遠くに行っちゃうってやりとりのときさ、私結構ヤバかったよ。声優さんの演技もすごくうまかったし、ちょっとウルっときたかなー」
「あ、わかるかも。あのシーンは凄かったよね」
うんと頷きながら語る様はいつもの「語る板倉くん」。普段とはちょっと違う。
「うわあここでそれはないよ、って思ったよ」
「だね。上げて一気に落とす、的な」
「そんな感じだね」
私とそんな話をするのが凄く楽しそうな彼を見て、一緒に見て良かったなあと。
「あ、そう言えば、なんだけど」
「うん?何?」
「いや、ね。なんていいかさ、演劇やるようになってというか・・・高森さんに色々教えて貰ってからというか・・・」
「うん」
なんだろう?私の名前が出てかなり気になる。
「今日も、なんだけどね、演じてる人の言い方とかそう言うのも気になるようになって・・・」
「あー」
わかる。こういうセリフこんな言い方もあるんだー、とかこれはこういう心情だろうなー、とかこれ私のがうまい言い方出来るなー、とか。
「板倉くんもそう思うようになったんだ。演劇始めるとやっぱり声優さんも気になるよね、あはは」
「・・・良かった、僕だけじゃなかった、あはは・・・」
「そんなものだよ、うん。でさ、気になりだしたらそればっかり気になっちゃって物語が頭に入って来なくなったりするかな」
「あー、うん、あるかも」
今日会ってから少しギクシャクしちゃってるなあってさっきまで思ってたけど、演劇がきっかけでお互い自然に笑い合えて私は凄く嬉しかった。
× × ×
「結構こってりというかお腹に来ましたね・・・」
食べ終わった私たちは店内も混雑しているためとりあえずそそくさと外へと出た。
でまあそのラーメンだったのだけど、さっきしゃべった通り。
「高森さんにはちょっと大変だったかもね・・・味は美味しかったけども」
「だね・・・」
無理して食べなきゃ良かったとも思うけど残すわけにもいかないし。
とまあそこまではお腹いっぱいでそのことしか考えてなかったけど、そこでこれからのことを思い出す。
そうだ。せっかく板倉くんが好きそうなところを私調べてたんだ。なんか私もこうなっちゃってるし、駅方面へ向かったまま自然と解散しそう。それは不味い。
「そう言えばこれ好きだったよね?」
ちょっと唐突ではあったけど、私は彼にそれ、とあるゲーム。もう私たちが子供の頃から大人気で私も今でも大好きな某RPG。が好きなことを再度確認する。前に聞いて話が盛り上がったのは私も嬉しかった。
彼はうん、ひとつ頷く。
「それでね、ここから少し、4、5駅だったかな?そこに新しくそれのグッズショップが出来て」
ここでよくよく考えたらゲーム自体は好きでもグッズとか興味あるのか、とか思ったけど・・・。
「え、そうなんだ!」
この驚きっぷり、笑顔を見るとそんな心配杞憂でした。
「うんうん、せっかくこの辺来たんだしお昼食べた後もどこか行きたいなあって思って調べてみたら見つけてさ、私も行って見たかったしどうかなって思った」
私は嬉しかったので、ついついそんなことを、いや、本音ではあるんだけど「まだ一緒にいたい」と言ってるようなものだから、しまったと気づく。
「そう、なんだ・・・」
やっぱり彼はちょっと戸惑った表情になる。余計なこと言わないでそのまま行くだけで良かったのに。
私も今さら言い訳っぽいことも言うのも出来ないし、ちょっとなんとも言えない間が空く。と、そんな空気の中、言葉を発したのは彼だった。
「あの、さ」
「え」
「いや、こういうこと言っていいのかわからないけど・・・でもやっぱり気になるし・・・」
言おうか、言いまいか、迷っているような感じなんだけどそこまで言って言わないのはさすがになしだよね。
「・・・大丈夫だよ、私聞きたい。それにそこまで言われたら、ね、あはは・・・」
「あ、うん、あのさ、ぶっちゃけなんだけど・・・嫌じゃない?」
「え?えっと、何が・・・」
「あっ!高森さんは一緒に遊んでるのが僕で嫌じゃないのかって」
「・・・?・・・っ!?」
私は「あのとき」みたいに声にならない声を出した。いやね!だってさ!何今更言ってるのって感じじゃんね!
「・・・うん、そうかもね、嫌・・・なんて言うとわけないでしょ!もう、なんてことを言うのさ!」
だからちょっと演技を交えてからかっちゃった。
「私ね、いや知ってるかも知れないけどさ、はっきり言う性格だから。本当に生理的に無理な人とかだったらいくら見たい映画だからと言っても一緒になんて絶対行かないから」
私はここまで言えばさすがに彼もわかってくれるだろうと言う感じで少し強めに訴えた。
「そう、だよね・・・あ、うん、ごめん、なんか変なこと聞いて」
彼は苦笑いでそう話した。どうやら私の言葉は伝わったみたい。
「あー、良かった。なんかいきなりそんなこと言うから私の方こそ逆にびっくりしちゃったよ。私もぶっちゃけ言っちゃうけどさ、板倉くんと一緒にいるのは結構楽しいかなって思ってるよ」
私は続ける。もういっそ私も思ってること言っちゃおうって感じ。
「演劇一緒にやってるからって言うのももちろんあるし、趣味もさ、結構合うし、ほら私あんまりオタク友達っていないし。だからって感じかな。あ、それに・・・」
それに、あのとき私のこと必死になって助けてくれてそれで私は・・・。
そう言いかけて、言いかけたけど心の中でその続きは言わずに留めた。今はそんな話は言ってはいけない、言うべきでないと。
「・・・っとなんでもないよ。まあそんな感じ!私は楽しいからね。ほら、はい、この話はおしまいでいこいこ!」
「あ、うん」
私は勝手に話を終わらせ先に歩き出した。彼にこれ以上考えさせちゃいけないなあっていうのあったけども、さっきの話の続きをこれ以上聞かれたくないと言うのもあった。
あれ?「後編」なので今回でお出かけ回は終わるんじゃ?・・・おかしいなあ(笑)
予定では本当にそんな感じだったのですが、2人が思ってることを書きたいなあと思ったらこんなことになりました(・ω・;)