私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
その台本になった「ヘンゼルとグレーテル」ですが、実は作者もざっくりとした内容しか知らなくて、この話を書くにあたってかなり色々調べたのですが・・・結構色々な種類の内容があるんだあなあと思いました。この話で使う台本は、その調べた色々な話をベースにさらにオリジナル要素も加えます('◇')ゞもちろん、内容を書ければ、ですが(笑)
裕美子ちゃん合流2日目、今日からまた基礎練を再開します。
いつも通りまず運動着に着替える、と。
「美結ちゃん髪縛るの初めてみた!いいね!」
「そう?邪魔だし束ねてるだけだけど」
「普通に似合ってるよー!」
何やら裕美子ちゃんにも縛るのは好評らしい。由依ちゃんもあんなこと言ってたしもしかしたら私って結んでる方が似合うのかな?
「あ!高校の頃の体操着?」
「うん、そうだけど?」
「捨てなかったんだね~。私卒業してもう使わないと思ってさ、普通に捨てちゃったんだよね。体育の授業なんてあると思わなかったしこう言う時にも使えたなあって!」
少し小馬鹿にされるかな?って思ったらそういうわけじゃなく、逆に羨ましがられた。
「うん、私もなんか家でも夏とか着れそうかな?って思って取っておいて良かったよ」
「だよねー。結局そこまで着ないのにわざわざこういうの買わなきゃいけなくなったしねー!部屋着だとこれくらいの丁度いいのなかったし」
今彼女が履いているのは膝よりも少し短いくらい。家では結構短めなショーパン履いてるのかな。私はそう言うの恥ずかしくて家でも履けないけど(笑)
「でもほら、こうやってこれからやるんだし。無駄じゃないよ」
「あ、確かにそうかも!」
雑談をしつつトイレの出て板倉くんと合流、荷物をいつもの通りオシブの部室に置き運動を始めた。そういえば私も結局夏休みいっぱいで辞めるし、後期の授業始まったらどうしようって感じではある。まあまた今度考えればいいか。
× × ×
「結構キツかったよー。思ったり色々やったし!」
一通りランニングから柔軟等まで終えた私たちは一休み。
「あ、それ僕も思った。文化部なのにって」
「だよね~!養成所じゃこういうことまではさすがにやらないし。美結ちゃんはずっとこんな感じで前からやってたの?」
「うん、そうだね。高校の頃のメニューとほとんど同じ感じ。運動45時間、発声45分、稽古1時間半って感じだったね」
今思えばよくそんなの毎日やってたなあ、と。
「へえー、基礎練と稽古の時間同じくらいなんだ!ほんとに運動部みたいだねー!」
「言われると思った。あ、それで思い出したけど、もう1回ちゃんと練習時間のスケジュールも決めなきゃってそう言えば思ってて」
さすがにそのままでやると時間が足らなくなるのは目に見えてる。授業も長いと18時くらいまでやってる日もあるし、うまく時間をやりくりしてかないと。
「そうだねー。夏休み中は時間あるけど、授業始まるとねー」
「うん、そうだね」
ひと段落着いた後、発声に取り組む。
「私どうすればいい?」
と裕美子ちゃん。
「1個ずつ簡単に説明するくらいでわかる内容になると思うから、まずは真似出来る範囲で。だんだん覚えてくれたらって感じ」
「オッケー!」
いつもの通り腹式呼吸から入り、本格的な発声へと入る。
「じゃあ『あー』って私言うから同じくらいの長さで繰り返して」
「あー」
すうっと息を吐き、発声をする裕美子ちゃん。
「あぁー!」
「!!」
「!?」
彼女の発声第一声に私だけなく、彼女の隣にいた板倉くんも驚く。もともと裕美子ちゃんの声はいい高さでよく通ると思っていた私ではあったけど、実際に発声を聞いて本当にいい声だと思った。
「はい、やめ。あーーー」
感想は後でと言う感じでとりあえず先へ進める。練習中は練習中でしっかり取り組むのが私だから。
「じゃあ次、外郎売り行ってみよっか」
裕美子ちゃんは全文覚えているのは知っているため、特に資料は渡さず。彼女もいきなり暗記でやると意気込んでいたし。ちなみに板倉くんも8月までの期間で覚えたみたい。最後の1週間で裕美子ちゃんに負けるものかとめちゃくちゃ頑張っていたのが凄い印象的だった。
というわけでとりあえずはみんな台本を持たず始めることに。それともう1つだけ確認をする。
「みんな一斉にで大丈夫かな?それとも私の後に続く?」
というのも時間の短縮のため、高校の頃はいつも一斉に初めてやっていた。スピードはそんなに遅くなければ各自に任せる感じ。まあわからなくて飛ばしてたりしてもわからないっていうのはあるけど(笑)
「せっかく暗記して、ると思うから一斉にで大丈夫。柴田さんもそれで、いいかな?」
お、珍しく自分からそんなことを言う板倉くん。これは期待していいかも。
「うん!私も大丈夫だよ!」
裕美子ちゃんの確認も取れ、いざスタート!
「じゃあ行くよ、はい!」
同時に手を叩き外郎売りのスタート!
みんなが一斉に声を出し始め順調におのおののペースで進む。板倉くんがちゃんと言えてるかどうか気になる私は、聞き耳を立てながらと言う感じ。
途中途中途切れ途切れになりながらもなんとか最後の方まで来る。自分のペースですらすら言っていた私と裕美子ちゃんはこのあたりで先に終了。
「・・・上げねばならぬ、売らねばならぬ、と・・・・・・あー・・・」
板倉くんはもう少しで終了、というところまで来てそこで止まる。すぐに教えてしまうのもアレだし少し待っていたけど、隣にいる裕美子ちゃんも心配そうに彼を見ていたので、私は次のセリフを言う。
「息せい引っぱり・・・」
「あ・・・息せい引っぱり・・・東方世界の薬の元締め、薬師如来も、照覧あれと、 ホホ敬って、ういろうは、いらっしゃりませぬかあー・・・!」
「はい、お疲れ様」
板倉くんがなんとか、って感じで言い切り、外郎売りは終了。と同時に私は拍手する。
「最後までよく頑張ったね。正直、ちょっと心配だったから、あはは」
「え?あ、うん、どうも、ありがとう」
私からそう言われるのが意外だったのか驚く。
「いえいえ。ただね、思い出すことに必死になってちょっといつもの良さが消えちゃってたかな」
「あ・・・そう、かも」
「自覚があるなら大丈夫だよ。無理に見なくても大丈夫だから次は意識してね」
「わかり、ました」
スラスラっとメモを取る板倉くん。そうなんだよね、私が何か言う度にメモをしっかり取っていつも頑張っている。私はそういうことしないから、見習わなきゃね。
「ねね、私はどうだった!?」
板倉くんばかりと話してたら横から裕美子ちゃんが・・・と言われても私だって2人の同時に聞けないからぶっちゃけ聞いてないに等しい。まあ雰囲気的にスラスラ言ってたから自分的にはうまくいったのだろうが。
「・・・まあ良かったんじゃない?」
「なんか適当なんだけどー!」
「言うことないくらい良かったってことだよ、あははは」
「なんか嘘っぽいなあ~!まあいいけど!」
うん、次からは裕美子ちゃんのも聞くことにしよう。
× × ×
発声まで一通り終えた後、次は台本の読み合わせを行う。
読む台本はもちろんネットから引っ張ってきた「ヘンゼルとグレーテル」。まず適当に役を振り分けた。
「じゃあ始めるけど、この読み合わせでの目的の確認だけど・・・」
ただただどんな台本か読むわけではない。今回は4人以上向けの台本のためそのまま台本を使うわけではない。3人でどうこの物語を演じるかがまず重要。なので1つ目は3人で演じるために無理そうな場所を探す、可能であればどうするか考える。
2つ目は必要であろう小道具大道具の確認。そしてそれが準備出来るかでその場面を改稿するかどうかに関わってくる。
最後は役の振り分け方。これは最初のにも関係してくるが、1人2役以上をしなくてはならない台本なため、無理のない組み合わせを探す。もちろん演じる人にもそれは変わってくるけど。
「・・・という感じかな。演じ方とかキャラ設定とかはとりあえず好きにやってくれれば。役が決まったら後で確認する感じで」
「オッケー!」
「うん、わかった」
「じゃあ始め」
× × ×
「最初の4人の場面は?何かある?」
一通り終わった私たちは確認すべきことをとりあえずざっと確認。基本は私が最終的にどうにかする形になるけど、意見があれば、って感じ。
「美結ちゃんが前にやってた1人2役芝居でどうかな?」
「なるほど、うん、ありがとう。この場面大道具は何かあるかな?」
・・・とまあそんな感じで意見交換をやり、予定時間ギリギリで最後まで終わった。
「じゃあ時間もぴったりだし終わりにしようか。お疲れ様でした」
「「お疲れ様~!」でした」
お決まりの挨拶を持って解散。と同時に机に座った私に裕美子ちゃんから声をかけられる。
「あれ?美結ちゃん帰らないの?」
「あ、うん。さっきのまとめて台本の改稿とかもしちゃおうかなって。家じゃ出来ない性格なもので」
想定して今日はお昼ご飯も持ってきたしね。これは早く進めないと稽古も出来ないから。
「そうなの?私も手伝えることある?」
「ううん、大丈夫。1人のが集中出来るし。それにお昼も持ってきてないでしょ?気持ちだけでも受け取っておくよ。ありがとう」
「そっか~!お邪魔になっても迷惑だもんね!じゃあ頑張ってね、また明日!」
「うん、明日も同じ時間で。板倉くんもじゃあね」
私たちのやり取りを見ていた彼にも声をかける。
「あ、お疲れ様でした。なんか悪い気はするけど・・・」
「大丈夫大丈夫。また明日よろしく」
「うん、また明日」
「じゃあね美結ちゃん」
× × ×
・・・30分後。
「あれ・・・?これ裕美子ちゃんなんて言ってたっけ?なんかいいこと言ってたような・・・メモが抜けてる・・・」
うーん、とりあえず後で思い出すかも知れないし、飛ばそう。
「あ~、なんかごちゃごちゃって書いてあるけど読めない・・・」
これは確か板倉くんが言ってたことをメモに取ったつもりだったんだけどなあ・・・。
そんなことを思ってしまった私は、1人呟く。
「2人いてくれたら聞けばいいだけなんだけどなあ」
そうは言ってもいないものはいない。それに自分から大丈夫と言ったのだから。
今までは集中してたからあまり思わなかったけど、ふと気がつくと1人でこの広い教室にいるのも寂しいことに気がつく。
そんなこんなで急に気分が落ち、作業の手も止まりハア、っとため息をつきながら机に突っ伏しそうになったその、とき。
「美結ちゃん私たちもやっぱり手伝うよ~!」
ガラガラっとドアを勢いよく開ける音ととも聞き慣れた声の方を振り向くとそこには裕美子ちゃんと、それに板倉くんもいた。
なぜ2人は戻ってきたのだろうか・・・!と皆さんお思いでしょうが、次回にてちゃんと説明しますよ~(^o^)/
舞台本番まではまた、こういう感じの説明回は多くなるでしょうかね?出来るだけわかりやすく説明出来たら、と思います。