私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~   作:かもにゃんこ

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さて、今話は練習回から離れた回となります。

どんな話かと言いますと、名前がちゃんとある子は今回は美結ちゃんだけの登場となります(^^)/

つまり、まあ、誰か新しい人が登場するという感じですね!ではどうぞ!


「後悔して欲しくない、からかしらね?」

9月半ば、去年も長かった夏休みが終わり、後期の授業が始まった。そして一番大きく変わることが・・・。

 

「1年半、今までどうもありがとうございました」

 

そう、私がオシブを辞める日でもあった。

 

もちろん、今の今まで何も言ってなかったわけじゃない。電話口ではあるが、部長には挨拶はしていた。ただ、夏休み中は直接会える機会がなかったので、初日のお昼休み、部室に来るということで改めて挨拶をしたという感じ。

 

「高森が辞めるのは戦力的にはキツいけどなー!」

 

「もう。今さらそんなこと言わないで下さいよ」

 

「何?やっぱり辞めないって?」

 

「言ってませんよ!」

 

とまあそんなやりとりをしつつも部長はしっかり応援してくれた。

 

「大変だと思うけど頑張れよ。いずれ協力出来ることあったら声かけてくれな」

 

「あ、はい。ありがとうございます」

 

「じゃあまた」

 

「はい、私頑張ります。皆さんもどうもありがとうございました」

 

ちらほらいる他の部員にも私は挨拶をし、部室から立ち去った。

 

 

さて、私がオシブを辞めたことで問題が一つある。もちろん今の今まで放置してたわけじゃないが、夏休み中は学生課も午前中で閉まるため、ちょっと動きにいく部分があった、と言い訳しよう。

 

結局何がどうしたかと言うと、要はオシブの部室が使えなくなることにより、自由に荷物を置く部屋がなくなる。つまり外での運動がかなりしにくくなるってこと。

 

それにやっぱりなんだかんだ自由に使える部屋があったら便利。そ

 

そんなわけで私は昼休み明け、授業と授業の合間を縫って学生課へもろもろのことを聞きにきた。

 

「こんにちは」

 

窓口へと顔を出すと、いつぞやのお姉さんがいた。話やすいしお姉さんが居てラッキー。

 

「はい、どうしたの?」

 

「あ、はい。ちょっと長くなると思いますがお時間大丈夫でしょうか?」

 

お姉さんは少し考えた後、ちょっと待っててと言い、奥へと行った。きっと上司あたりに確認してくれるのだろう。

 

少しして戻ってきた。

 

「大丈夫よ。長くなりそうならそこで話しましょう」

 

と言われ私は近くの机の椅子へと案内された。

 

「失礼します」

 

「えーと、夏休み入ってすぐに文化祭のこと聞きに来たよね?それの続きかな?」

 

あ、覚えてくれてたんだ。

 

「あ、まあ、それもあるんですけど、今回は別の話で・・・」

 

「うん、どうぞ」

 

私は考えてきたセリフを彼女に告げる。

 

「ええと、まだ何も申請はしてないので勝手に演劇の活動団体としてやっているんですが」

 

「うん。それのサークル申請?」

 

「いえ、あ、いえ、ってこともないですが・・・」

 

駄目元かも知れないけど、私たちのこれからがかかっているので、思いきって話す私。

 

「・・・なるほどね。演劇『部』として成立出来か、ね」

 

「はい、部活動の規約とかはどうなっているかというところだと思いますが」

 

お姉さんは立ち上がり、近くある資料を確認、私に見せてくれた。

 

「ここね。まず新規部活動として立ち上げるには、最低5人、というところだけど、これはどうかしら?」

 

「いえ、3人なので無理です」

 

「そっか」

 

一応これはさすがに想定内ではあった。いくら大学と言えどそれくらいは必要だというのは。

 

「あの、前に演劇部があったと思いますが、それを引き継ぐことは出来ないでしょうか?」

 

私はもう1つ用意した質問を告げる。それに対してもお姉さんはテキパキと答える。

 

「それはこちらね。ええと、1年以上入部者がいなかった活動団体、及び活動実績のない部活動は自動的に消失される、ってこと」

 

「あー・・・」

 

「お察しの通り演劇部の最後の活動実績は2年半前の学校講演が最後、残念だけど・・・」

 

ですよね、前に聞いた話でもそれなりに前だったし。

 

ただ、彼女の話には続きがあった。

 

「だけど、ね、この大学が出来てから20年くらいかしら?今の今まで創部して潰れた部活動ってないみたい」

 

「・・・えっと、それで」

 

だからなんだという感じの私。例がなくても規約は規約じゃないかと。

 

私がそんなことを思っていると笑顔で話し始める。

 

「ふふふ、だから前例がないから違反しても大丈夫そうじゃないかしら?ということよ」

 

「え・・・?」

 

「あなたの表情とか見るとどうしても部活動として、演劇部として活動したいってなんとなく伝わってくるからね、私がそれを認めてあげるってこと」

 

・・・!?はい!?

 

「・・・いや!それはとても嬉しいですけど、規約・・・」

 

「シー!他の人に聞こえちゃうわよ」

 

「・・・あ、はい、すいません」

 

すいませんって。悪いことしてるのはお姉さんでしょう、と突っ込みつつ。

 

「まあそんな感じよ。じゃあまた明日のお昼休みにでもまた来てね。必要な書類用意して待ってるから」

 

「は、はあ、どうもありがとう、ございます」

 

唐突過ぎていまいちわけがわからないけど、何かうまくいきそうだなあというのだけはわかった。

 

「そうだ、一応学部と名前を教えて」

 

「あ、はい。文学部の高森、高森美結、です」

 

「みゆ、ちゃんね、ありがとう。そう言えばみゆちゃん。文化祭のことでも聞きたいことあるんでしょ?」

 

「・・・ああ、はい」

 

驚き過ぎてすっかり忘れてた。私は前回聞き忘れた、有志団体申請の仕方を聞く。

 

「それは実行委員の方ね。後期授業始まったからもう募集はしているわよ。4限終了以降になるけども、あっちのイベント課の窓口にいると思うよ」

 

「あ、わかりました。ありがとうございます」

 

「他には大丈夫?」

 

「あ、はい。また何かあれば明日までに考えておきます。ありがとうございました」

 

「わかりました。じゃあ頑張ってね」

 

そういうとお姉さんは奥へと消えていった。

 

頑張るのは規約をどう改変するかのあなたの方じゃないですか、と突っ込むのも忘れずに。

 

 

× × ×

 

 

翌日、私は言われた通りまたお昼休みに学生課へと来た。ちなみに文化祭実行委員のところには昨日はいかなかった。理由はまあ、私たちの活動団体がどのような形になるか、それを決めてからの方がいいかなと。

 

学生課の入り口のドアを開け、中へ入ると待ってましたと言わんばかりにお姉さんがカウンターのところにいた。

 

「みゆちゃん待ってたわよ」

 

「あ、どうも、こんにちは」

 

「とりあえずまたそっちでお話しましょう。ちょっと待っててね」

 

そう言われ昨日と同じく、座って話すことに。昨日と同じように一度奥へといなくなったお姉さんを私は椅子に座って待つことに。

 

実際は大して時間が経っていたわけではないけども、結果がどうなったのか気が気じゃなかった私には結構な時間に感じた。

 

「お待たせ」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「ふふふ、緊張してるかしら?」

 

そういたずらっぽく笑う彼女。

 

「ええ、そりゃまあ、しないわけないですよね、あはは」

 

「じゃあさっそくだけどね」

 

「・・・はい」

 

なぜか少し間を開ける。そういうの、いいですから早く言って下さいよ!

 

「結論から言うとね、あなたたちは演劇部として認められたわよ。おめでとう」

 

「・・・本当ですか」

 

「うん、子供じゃないんだから、ウソなんていうわけないでしょ」

 

「・・・ああ、ありがとう、ございます」

 

この時私は、驚きよりも安堵の感情が強かった。正直半分以上は諦めて、サークルとしてこれからどう活動していくかを考え始めたところだったから。当然それはうまくいかないだろうなあと思いながらのことだったので、私の中にわずかに残された希望に光が灯った瞬間だったから。

 

正直、決まったものは決まったものだけども、なぜあの規約があったのにこういう結果になったのかは気になると言えば気になる。なので、せっかくなので私はこっそり聞いてみる。

 

「あの、差支えなければどうしてこうなったのか聞きたいです」

 

「うん、良いわよ」

 

 

× × ×

 

 

「・・・ということが今日ありまして」

 

「そうか。ただ部活動の規約では創部の条件として5人以上は絶対条件としてあったよな」

 

「あ、まあ、そうですね。でも演劇部は前に活動していて今は休部になっているだけでしてそれなら・・・」

 

「それも確か1年以内という規約があったよな」

 

「・・・基本的にはそうなのですが、規約を良く読みましたら、追記がありまして」

 

「3人以上であれば、休部してても条件なし、とな?前にはあったかなあ?」

 

「ええ、ありました。そもそも今まで休部した部活が再開したと言う例がなかったですし、私も確認するまで忘れてました」

 

「そうか。じゃあ彼女らの為にも書類を用意しなくてはな」

 

 

× × ×

 

 

「・・・というわけよ。うまく良かったわ、うふふ」

 

「へ、へぇ、なるほど・・・」

 

明らかに不正行為というか改ざんというか・・・いや、学生課の方がそういうことするなら別に大丈夫なのか・・・?

 

とまあ、若干後々バレたらヤバいのでは?と思いつつも、私たちにとっては朗報以外の何でもない。

 

ただ・・・。

 

「えっと、何で私たちの為にそこまでしてくれたのですか・・・?」

 

不正かどうかはわからないけども、無理矢理押し通したのは事実なはず。

 

「・・・そうね、なんでかしらね?」

 

お姉さんは少し上の方を見ながらぽつりと話す。

 

「後悔して欲しくない、からかしらね?」

 

「と、言いますと?」

 

少し言いにくそうな雰囲気には感じたけども、私はそう尋ねた。

 

「ええー、そこまで聞くのー?」

 

私の予想通り、お姉さんは笑顔を交え戸惑った表情でそう言う。

 

「あ、いや、すいませんでした」

 

さすがに私もそこからさらに問い詰めるほど悪い子じゃない。

 

「いやね、別に言えないってわけじゃなくて、私もどうしてかはよくわからなくて。なんとなく私の中の私がそう言っててね」

 

「直感、ってことなんですね。その直感でそう考えて下さってありがとうございました」

 

「いえいえ。ほら、はい、書類ね。すぐ書かなくても大丈夫だから。特に聞くようなこともないと思うわよ」

 

そう言われ、ざっと目を通す。確かに簡単に書けそうだし、それにわからなければ後で聞きにくれば大丈夫だしね。

 

「じゃあ確かに渡しました。他に何か聞きたいことはあるかしら?」

 

「ええと・・・あっ!」

 

そう尋ねられ思い出す。割りと、それなりに大事なことを。

 

「部活動として認められたってことは、部室も与えられるのですか?」

 

「もちろんよ。ただのサークルに与えてたら収拾つかなくなっちゃうからサークルにはないけどね、空いている部屋も普通にあるから」

 

「あ、良かったです」

 

ホッと胸を撫で下ろす。

 

「色々、本当に助かりました。またよろしくお願いします」

 

ぺこりと最後にお辞儀し私は学生課を去った。

 

とにかく1つ問題は解決した。もちろん、これから正式な『部活動』として活動するからには、それなりの活動をしなくてはならない。より一層頑張ろうと改めて誓った。




とりあえずここで今回は終了です!色々書いたら少し長くなってしまいましたが、区切りもなかったので・・・(^_^;)

さて、さんざんこの回で出てきた学生課の「お姉さん」ですが、また機会があったら出すかも知れませんねo(^-^)o
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