私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~   作:かもにゃんこ

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さてさて、今回から演劇のこともスタートしますよ~!

とりあえず本編をどうぞ!後書きも結構書きますので、もしよかったら見ていって下さい(*'▽')


「そんなキミだから助けてくれたんだもんね」

突然の再会。助けてくれた彼だってわかった時には本当に驚き、自分が自分じゃないみたいになっていた。こんなことって現実の世界にもあるんだなあって。今は正直嬉しいとか楽しいとかそういう感情でいっぱい。

 

授業が始まってしまい、私的にはまだまだ話していたかったけども、まあ、仕方ないよね。心はまだドキドキ、顔はニヤニヤするけど。

 

で、彼に会えて嬉しかったことで忘れていたけど、よくよく考えたら授業をちゃんと受けられるのかをすっかり忘れていた。これ、本当に大丈夫なのだろうか・・・?出席とか取るときにバレちゃうんじゃ・・・。

 

そんな心配をしていたが、いきなり授業は始まる。

 

「じゃあね、まずは全員で机を後ろにして下さい」

 

凄く人の良さそうなおじさんって感じの先生はそう皆に指示を出す。これは講義じゃなくて何かやるんだと思うとワクワクする。なんかバレなさそうで良かった。

 

机を下げるため、後方へと移動する私。まあ当たり前と言えば当たり前なんだけど、同じ位置に座っていた板倉くんと一緒に机を下げることに。机を普通に下げていただけだけど、力の弱い私に速度を合わせてくれていたりしててやっぱり優しい人なんだなあと再確認。

 

机を下げ終わり、先生の指示で全員円になる。私は彼とは4,5人離れた場所へ。

 

「じゃあ始めます。前回は講義だけでしたけど、今回は色々やっていきます。まずこの授業ではね、2つ約束があります。一つはみんな名前で呼び合って下さい。もう1つは敬語は禁止。みんなため口で話しましょう。それではまずは名前を覚えましょう。じゃあ君から時計周りに名前を言って下さい」

 

確かに名前で読んだり、ため口の方が親近感が沸いたりしていいかも。なるほどと思ったけども、それって板倉くんのことも「勇人」って呼ぶんだよねと思うとちょっと嬉しかったのと緊張しました。

 

一通り終わると早速基本的なことを行うことに。まずは腹式呼吸から。先生がみんなへ一通り説明ををしてから実践へ。私は聞き流したけど。

 

さらっと今までやってきたようにやっていると、先生に声をかけられた。

 

「ミユさんは経験者かな?」

 

「え?あ、まあ、はい」

 

ウソを着くのも面倒なので本当のことを素直に言うと。

 

「じゃあ私と一緒にみんなを指導しましょう!」

 

と言われた。まあ、全然いいんですけど授業的にはどうなんだろう。

 

「ええっと、大丈夫ですけども・・・」

 

「じゃあ右半分よろしく」

 

そんなこんなで何故か教えることに。

 

「お腹に息を、そうそう、うん、出来てるよ」

 

「えっと息を出すときはだんだん吐いていく感じで」

 

1人1人に教えていく。なんか演劇部に新入生が入った時みたいで面白いかも。

 

それが終わると今度は簡単な発声練習が行われ、その後私は先生から呼ばれる。

 

「ミユさん、ちょっといいですか」

 

「はい」

 

「せっかくなので早口言葉でもどうでしょう?」

 

「早口言葉、ですか」

 

「みなさん、聞いてみたいですか?聞いてみたい方は挙手を」

 

私が了解するまでもなく、話は進む。少しづつではあるが、全員手を挙げた。これは逃げられない。

 

「えっと、何をやれば・・・」

 

「外郎売り、ご存じでしょうか」

 

「ええ、知ってます」

 

中学・高校と部活ある時は毎回やり、今でも何も見なくても言えるくらい知ってる。

 

「じゃあ大丈夫ですね。・・・外郎売りというのはですね、古くは歌舞伎十八番の一つ、今では声優やアナウンサーの活舌練習にもよく使われています」

 

そう言いながら先生は、外郎売りが全文載っている資料を全員に配る。と、私のところで止まる。

 

「ミユさんは要ります?」

 

ニヤリと笑い、私にそう問いかける。なるほど、そういう挑発はするんですね。

 

「いえ、大丈夫です」

 

ちょっと強めにそう答えると、周りも少しざわつく。きっとこんな長いわけのわからない文章を言えるのかと思っているのだろう。それを見て私の負けず嫌いな心にさらに火が付いた。やってやろうじゃない、見せつけてやろうじゃない、と。

 

「じゃあ早速、お願いします」

 

「はい!」

 

目を閉じ、呼吸を整える。1年以上ぶりだと言うのに緊張はしない。すらすらと頭の中に言葉は浮かぶ。よし・・・!

 

「拙者親方と申すは、御立会の内に・・・」

 

 

× × ×

 

 

「・・・外郎は、いらっしゃりませぬかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

最後の言葉を勢いよく言い終わり、息を吐く。一瞬の静寂後、どこからともなく拍手が起き、その拍手に後押しされるかのように、全員で拍手をしてくれた。

 

「ありがとう、ございます」

 

なんか久しぶりだなこの感覚。たかが外郎売りなのに、何か舞台に立って演技している気分になった。身振り手振りも交え、抑揚もしっかり着け、本当に楽しい瞬間だった。

 

それから簡単なゲームみたいなことをやったり、即興をやったり・・・即興は最初に1人即興とかやらされましたけど、とにかく久しぶりに演劇が出来、本当に楽しい時間だった。

 

授業が終わると、とある女の子に声をかけられた。

 

「ミユちゃん凄かった!私も外郎売りってやったことあったけど、全然覚えてないし、あんなに凄い外郎売り初めて見たよ」

 

「あ、ありがとう。えっと・・・」

 

「あ、私はユミコだよ~!」

 

あ、言われてみればそうだったかも。

 

「うん、ありがとうユミコちゃん」

 

「実はね、私ね~」

 

話を続けようとしたけども、

 

「ユミ~次の授業行くよ~!」

 

と、お友達に声をかけられてしまいそこで終了。何々?私ね~、何?気になるんだけど・・・。

 

「あ、今行く~!ミユちゃんごめん、またね!」

 

そう言いながらパタパタと立ち去って行ってしまった。本名も、学年も、何もわからずに。まあ、学科は絶対違うけど、また来週会ったときにでも聞けばいいか。

 

「あっ!」

 

ユミコちゃんに話しかけれてて忘れてたけども、授業が終わったらまた板倉くんと話したいって思っていたんだった・・・。

 

焦って教室を見渡すと出入口のところにいた彼を発見。慌てて追いかける。

 

「待って・・・」

 

恥ずかしさとかそう言うのはあんまり気にならなかった。それよりも興味が上回ったから。

 

私の声に少しびっくりするように振り返る板倉くん。いざ顔を会わせるとやっぱりちょっと緊張したし、何を言えばいいのかと思ったけど・・・。

 

「この後時間ある・・・?」

 

ちょっと逆ナンみたいだなあとは思ったけど(笑)

 

 

彼の答えはイエスだった。よくよく考えたらこの後授業とかあったらとかどうしようとかの心配もあったけど、結局大丈夫だったので良かった。

演劇の授業をやった教室はもう空き教室になるってことだったので、再びそこへ入って話すことに。

 

「座ろっか」

 

「う、うん」

 

私も緊張してたけど、それ以上に彼が緊張しているのがわかったから私から話しかけなくてはと。

 

「えっと、演劇の授業、どうだった?」

 

「あ、うん、楽しかったかな?」

 

「良かった。なんかいきなり楽しくなかったらアレだもんね」

 

「あはは・・・」

 

ぎこちない・・・。私が呼び止めたのにこれは・・・。

 

少し黙っているとなんと彼の方から声をかけられた。

 

「あの、さっきの、授業の前の話なんだけど、2年生なんだよね・・・?」

 

「あー・・・」

 

「必修授業とかで見たことないなあって。いや、なんていうか、そもそも見てたらあの時の子って僕は気が付いたし・・・」

 

最もな質問。もうこの際隠す必要も特にないし私は簡単に話した。

 

「じゃあ単位を取れるわけでもないのに受けてたんだ」

 

「うん、そう。同じ部活の友達にね、国文学科の子がいてそれで紹介されて」

 

「・・・なんか凄いな、そういうの。本当に好きなんだね演劇が」

 

そういう彼の視線はどこか遠くの方を見ている気がした。

 

「まあ本当はね、演劇部とか演劇サークルやりたかったんだけどそういうのないからさ」

 

「そう、だね」

 

何か彼のその言い回しが気になる私。初めて聞いた話なら「そうなんだ」と答えるところを「そうだね」と言ったから。そのことを知っているかのような口ぶりだったから。

 

「そう言えば板倉くんはなんでこの授業受けようと思ったの?」

 

いきなり確信を聞くのもどうかと思ったので、まずは無難な質問。

 

「あ、僕・・・?」

 

「うん」

 

「えっと、なんていうか・・・興味あったから」

 

「というと?」

 

ついつい突っ込む。でも興味あるって気になるし。

 

「あー・・・まあ、その・・・」

 

俯いてしまう板倉くん。あ、これはちょっと詮索し過ぎた。

 

「あ、うん、ごめん、言いにくいこともあるよね。私だってそう言うことあるし」

 

「・・・ごめん」

 

少し沈黙が訪れてしまったけど、私にはまだ聞きたい話があった。

 

「あのさ」

 

「?」

 

「あの、1年前の・・・」

 

あの1年前の倉庫閉じ込められ事件、どうしてもそのことで聞きたいことがあったから。

 

「どうして助けてくれたのかなって、ずっと思ってて。あんな場所だったし、それにスルーしてもおかしくない状況だったかなって」

 

私は今までとは違い、かなり真剣な態度で聞いた。こればっかりはちゃんと知っておきたかったから。

 

彼はしばらく考えた後、答えを出してくれた。

 

「僕ね、なんていうか、困っている人をほっとけない性格で・・・」

 

「いや、あの場所にいたのは本当に偶然。授業も終わった後にたまたま忘れ物があって、で誰もいなくて静かだったからさ、たまたま声が聞こえて。ただ事じゃないなあって思って行ってみて・・・」

 

「そっか・・・」

 

それを聞いた私はすごく胸が暖かくなっていくのに気が付いた。ああ、こんな優しい人って「まだ」いるんだなあって。

 

「えっと・・・助けてくれた人が僕じゃない方が良かった、的な・・・?」

 

「え?」

 

何を言うかと思えばそんな自虐的なことを!私はこんなに胸がいっぱいなのにキミって人は、ね。って思ったら思わず笑ってしまった。

 

「ふふふ・・・!」

 

「・・・」

 

そんな私を見て落ち込む彼。あ、これはちゃんと言っておこうかな。

 

「そんなことないから」

 

「助けてくれた人が凄く優しい心の持ち主で良かった。そんなキミだから助けてくれたんだもんね!」

 

お世辞でもなんでもない。本当に今私が心から思っていることを伝えただけだった。恋だとか、好きだとか、そういうのは今は関係ない、純粋に人としての尊敬の気持ちだったから。

 

そんな私の言葉を聞いた板倉くんの顔はたぶん赤くなってたと思う。なんで思うなのかと言うと、私も彼の顔なんて見てられなかったから。

 

「うん、ありがとう。私は聞きたいことは聞けて良かった。板倉くんからは何かある?」

 

あんまり長居させるのも悪いと思い、一旦そう聞いてみた。

 

「いや、その・・・」

 

あー・・・これは逆に追い込んでしまったかも・・・、と同時に私はまたとないチャンスだと思い、ある提案をした。

 

「あ、ごめん!そうだ、連絡先交換しよう。ほら、もし何か聞きたいことあったらいつでも連絡くれればいいよ」

 

我ながら策士だと思った。

 

結局連絡先は半ば強引に交換し合い、教室を出、私はオシブがあるので部室棟の前でお別れとなった。

 

私の終わりかけた青春の針はまた動きだした。




という感じで運命の人にも出会い、連絡先も交換しなかなかいい感じになってきました!

まず「演劇の授業」のことですが、実際に作者が通っていた大学にあり、作者自身もその授業を受けました!
せっかく演劇のことも書くお話なので、基本的なことから色々書けたらと思ってます(*^▽^*)

それから「ユミコちゃん」の登場と、勇人くんの意味深な発言、答えられなかった理由等々・・・のちのち回収していく予定ですのでお楽しみに!

いずれにせよ、色々な面で物語が動き始めた回、って作者自身は思います。では、また(^^)/
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