私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
とりあえず今回の登場人物は美結ちゃんと裕美子ちゃんの2人です(^^)/
裕美子ちゃんにお任せした衣装は、1週間くらい経ったあとに案を出してくれて、それを私が確認、私たちだけで準備が出来そうなものは自分たちで用意することに。
もちろん、それだけでは賄えないものもあるため、今日はそれの買い出しを裕美子ちゃんと一緒にすることに。
もちろん、土日は無理な裕美子ちゃんだから、普段の稽古は中止。板倉くんは誘わず、週末にはパネルのペンキ塗りもあるため、彼には休んでもらうことにした。
まずどうしても用意出来なかった、悪い魔女の衣装を探す。
決まった案では、黒を基調とした、ワンピースみたいな感じのもの。年老いた魔女、というわけではなく、それなりの若い年齢設定にしたため、それを込みで古着屋で探すことに。
「う~ん、なかなかそれっぽいのはないねー」
「そうだね。これじゃちょっと可愛すぎちゃうしね」
そう言いながら私が取り出したものは可愛い感じの襟もついていて、腰の部分もキュッと締まってる。色も明るめの黒か。
「だねー!というかそれ、普通に私服としてもなんか着れちゃいそう!美結ちゃんそういうの似合いそうだしね~!」
そう言われ、私は近くあった鏡を見ながら自分に合わせてみる。あ、うん、まあ悪くはないかな?
「・・・って、今日は私服探しに来た訳じゃないし!」
「だねー!あはは」
そんな冗談を話ながら、2件目の古着屋で良さそうなものにたどり着いた。
「あ!これ良さそう!ほとんど真っ黒でデザインもシンプルって感じだし」
確かにまさにその言葉通り。筒形というかなんと表現すればいいのかわからないが、シャツがそのまま長くなったと言えば分かりやすいか。
「いいね。半袖だけどそれはちょっとしたカーディガンでは羽織って、タイツでも履けばまさに裕美子ちゃんの案通りになるね」
「サイズはどう?着れそう?」
一応裕美子ちゃんは確認してくれるが、ウエストサイズなんてないも同然。肩幅は合わせてみた感じ大丈夫そう。
「うん、大丈夫だね。これにしよう」
というわけで魔女服ゲット。
それからこの古着屋でその他必要なものの揃う。早めに決まって良かった。
「とりあえずオッケー」だね~!安価で揃って良かった~!」
買い忘れも特に無さそうだし、さあ帰ろうかと私が言おうとしたところで、私が言うよりも先に裕美子ちゃんから話しかけられた。
「ねぇ、美結ちゃん!」
「え?何?」
「せっかくちょっと時間もあるし夕ご飯でもどこかで一緒に食べない?」
「あ、いいよ」
いきなりのお誘いで少しびっくりもしたけども、今月はお金にも結構余裕はあるので喜んで受けた。
「やった~!なんだかんだで美結ちゃんとこういうの初めてだもんね~!」
「そんなに嬉しい?」
「断られたらどうしようともちゃんと思ってたから普通に嬉しいよ~!」
そんなに無邪気に喜んでいるのを見るとちょっとからかいたくなる嫌な私が出現。
「そかそか。じゃあ裕美子ちゃんの奢りならいいよに変えちゃおっかなー」
「ちょっとヒドいっ!」
「ウソウソ!じゃあ行こ」
「あ、ちょっとお母さんに電話するねー」
そう言えば聞いてなかったが彼女は実家暮らしなんだ。いつもの通りちょっと羨ましいなあと思いつつ、最近は一人暮らしの自由さもなかなかいいものだと思うことも多くなったかな。
「ごめんごめん!じゃあ行こっか!」
私たちは適当に駅の回りをブラブラと歩き、どこにでもあるようなチェーン店のお店に入った。こういうのは別に何を食べるかとかじゃなくて一緒にお話するのが大事だもんね。
お互いメニューを頼み、雑談しつつ、いや、雑談メイン、話しつつ食べる感じ。
そんな中、私はたぶん聞かれるかなー、と思っていた話題を振られた。
「ねね!前にもちょっと聞いたかもだけどさっ!」
「うん」
「美結ちゃんとハヤトくんの関係、もうちょっと詳しく聞きたいなあー、って。なんて!」
目をキラキラと輝かせて彼女はそんな話をする。恋愛系の話、大好きなのだろうか。
「えー、前も言ったけどなにもないよ?付き合ってるとか全然そういうのないから」
言いたくたいとかそう言うわけではないが、最初はなんとなくそうはぐらかす。
「ふ~ん。あ!そうそう、ちょっと前にねー、私2人の出会いの話ハヤトくんから聞いたんだ~!」
「えっ!ホントに!?」
「うん、ホントホント!2人って演劇の授業で初めて会ったはずなのに、初対面っぽくなかったよね?って聞いたら教えてくれたよー!」
あー・・・、まあそこまで聞かれたらあの板倉くんが彼女に教えないわけないよね・・・。
私はどこまで知ってるかを簡単に聞く。
「ほとんど、いや、全部言ったのね、板倉くんは・・・」
まあ、別にいいんだけども。ただ、言うなら私から言いたかったというのもある。
「それでさ!まあいわゆる運命的な出会いっぽいよね~?美結ちゃん的にはやっぱり少女漫画みたいにキュンキュンどきどきしたのかなー、って」
なかなかいいストレートを投げ込んで来ますね・・・。うん、まあ、出会ったときのことなら今は言ってもいいか。
「そりゃあまあね、あんなシチュエーションにドキドキしなかったから逆に怖いよね。だからドキドキしたのは事実だし、そのときも思ったけど、演劇の授業で改めて会ったときは『これは運命の人だ』みたいなことは思ったかなー」
恥ずかしいことを言ってるけど、過ぎたことだからなのかわからないが、そこまで恥ずかしくはないかな。
「ふむふむ、なるほど。じゃあやっぱり今も好きなんじゃないの?」
「うーん、それは今はちょっと違うと言うか、なんと言うか」
私がなんとも言えない表情でそう言うと、裕美子ちゃんも不思議そう。
「う~ん?好きじゃないってこと?」
「いや、好き、かどうかは置いといてって感じになるかもだけど、一緒にいて、一緒に話してて楽しいのは事実なんだよね」
「だけどね、私の中ではどっちの感情なのかな、って思う。あんまり経験もないし、正直よくわからないっていうか」
わからないことわからないなりに私は話す。
「まあ、今はね、こうやって裕美子ちゃんも含めて一緒に演劇部やって、絶対に成功してやりたいって思いが凄く強いからさ、特に練習中は仲間として見ているかなって思う」
自分でも、考えていることを割りとうまく伝えられた、と思う。前に出掛けたときに傘を貸してくれたときとか、思わぬ言葉に思うところはあるけども、これが彼に対する今の本音だと思っている。
そんな私の言葉に対し、彼女はうんうん、と頷く。
「そんな感じなんだねー!なるほどなるほど!まあ色々相手のことをわかってくると最初の気持ちから変わるときも全然あるもんね~!」
「あ、そんな感じかもね」
そもそも私自身、一目惚れなんてするような性格ではないしね。
そんな話を裕美子ちゃんからしてきたせいか、私も彼女にその類いのことを聞く。
「私のこと言ったんだしさ、裕美子ちゃんはそう言う話ないの?」
「えー、私?うーん・・・」
なんとも言えない返事。まあはっきりと答えられないところを見ると何か訳ありか。
「あ、まあ言いたくなかったら別に大丈夫だけど」
「あ~、いや、ね?さんざん美結ちゃんから聞いたのに私は言わないのはって思ってね、あはは」
そこまで言われるとさっきよりも気になる。というわけで私が選んだ言葉は・・・。
「言える範囲でいいから教えて欲しいなあ」
そう私が言うと彼女は話始める。
「まー、好きとかそういうのはね、私もわからないんだけど・・・」
彼女のつぎはぎのような話をまとめるとこうだ。
まだ養成所に入りたてのころ、同じ高校出身ということで仲良くしてくれた2つ年上の人らしい。
4年生になったその彼は夢を諦め、今は就活に励んでいるという。もちろん顔はしばらくあわせてないものの、連絡はそれなりの頻度で取り合ったいるみたいで、自分が果たせなかった夢を追いかける彼女を応援している、という感じ。
「なんかいいね、そういうの」
考えて発言をしたというよりは、咄嗟に言葉が浮かび呟いたように。
「そうかなー!」
笑う裕美子ちゃんではあったが、ちょっと嬉しそう。
「なんか無理やり言ってくれたみたいでごめんね」
「いいよいいよ~!あ、でも、誰にも言わないでね」
「うん、わかった。あ、私の話もあんまり言わないで欲しいね」
お互いにうんうんと笑顔で確認し合い、その話はそれで終わりとなった。
彼女はきっと、そんな色々気にしてくれるその人ともっと仲良くしたいんだと思う。けれど、やっぱり今の幸せよりも将来の夢が大事だものね。
そんな話を聞いた私も、今はとにかく文化祭の公演を成功させることに集中しなければと思う。
板倉くんは助けてくれた恩人だし、私は色んな意味で彼のことをもっと知りたい、仲良くしたいと思っているのは間違いない。
でも無理にガツガツいく必要もないし、焦らなくても自然に進んでいけたら、と思う。
まあ何がきっかけで考えが変わるかなんてわからない部分はあるけどもね。
前回に続き今回も恋愛面の話、美結ちゃんの気持ちと、そして裕美子ちゃんの気になる人。そんな回となりました(^_^)v
作者としても本当に美結ちゃんの気持ちを書くのは難しいです(^_^;)なにかと固まりきれてないというか、自分自身に言い聞かせているようなそういう感じではありますが・・・。
次回は・・・もっと楽しくなるかな~?(作者的に)