私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
今回は前回とは違い、演劇からは離れ普通の会話となります。
前半は美結目線、後半は勇人目線になりますのでご注意下さい!
自分にしか見せない部分を見せられると何か特別の気持ちになりますよね!特に自分の大切な人だったりすると・・・。で、他人にはそういうところは見せないで!ってなりますよね(*_*)・・・はい、独り言です、本編どうぞ(笑)
板倉くんと連絡先を交換した私はウキウキ気分で部室へと向かっていた。
「っと、いくら3限終わりの時間とはいえ誰か部室にいたら・・・」
部室棟に入った私はそう独り言を呟き心と気持ちを正した。
コンコンとドアを叩きながら「失礼します」とおきまりの挨拶でドアを開けると。
「あ、美結やっほ~」
部活内で一番仲がいい由依ちゃんだけがいた。
そんな状況に私は一気に表情が笑顔になり、椅子に座っている由依ちゃんに近寄る。
「由依ちゃーん!」
「ちょっ!どしたの美結!?クールな美結はどこへ!?」
「だって!」
「何がだってだ」
なんだろうね、これが恋する乙女ってやつなのかな。違うね。
ついつい緊張が緩んで取り乱して私はふぅと一息ついて態度を正す。
「っとごめんごめん。由依ちゃんに話したいなあって思ってたら由依ちゃんがいたからね、ついつい」
「話?何~?」
わかっているようなわかっていないような、そんな口振り。
「驚かないでね?」
「うん」
「なんとなんとね、例のあの人に今日会えちゃった」
「・・・ほう」
「・・・あれ?反応薄くない?」
「いや、美結が驚かないでって言ったんじゃん」
「あ~」
そう言えばそうだった。
「とにかく良かったじゃ~ん!いやもうやっぱり美結が言う通り運命のなんとかってやつだったんだね~!」
由依ちゃんはニコッと笑ってそう話す。素直にそう言ってくれて嬉しい。
「うん。まあね、私は話しかけられたんだけど最初は全然気がつかなかったけど」
「何それ!会ったら絶対わかる~!とか言ってたのに!」
「だって眼鏡かけてたから。1年も経ってたし微妙に髪型も変わってたから」
そうは言うけどやっぱりちょっとショックと言えばショック・・・私はたいして変わってなくて良かった。
「ふ~ん。でどんな感じだったの?さっそく付き合っちゃう?」
「ないない。そもそもただ気になってただけだし、まだまだ彼のことは全然わからないから。とりあえず連絡先は交換したよ」
「え~!そうなん?勢いだって大事だよ~?」
「私はね、なんでも慎重なの。由依ちゃんの言うこともわかるけどね」
「そかそか」
由依ちゃんはうんうんと頷く。いつものことだけど、全然頑固じゃないのは凄く尊敬する。柔軟さがあるというか、相手の意見をしっかり尊重してくれる。
「あ、で、どんな人だったの?」
「うーん、まだ第一印象みたいな感じだけど」
「うんうん!」
「凄く真面目そうで、優しくて」
「ほうほう!」
「・・・でもちょっと大人しいというか静かというか控えめというか」
「うん?」
「悪く言っちゃうと暗め、かなあって」
おっといけない。ついつい言ってしまった。
「美結って意外と毒舌?」
「初めて言われたけど。はっきり言うよねとかはよく言われるけどね」
「それ本人に言ったら傷つくから言っちゃダメだよ!」
「はいはい」
さすがにそれはわかっている。いきなり嫌われるなんてありえないし。
「まあとりあえずどんな感じかわかったかな~。確かに掴み所がなさそうな感じかもね~」
それは私も少し感じた。ただ、ただね、あくまで表面上だけのことだし、それに。
「でもね、1つだけはっきりわかることはあるの」
「うん?」
「助けてくれた人だってことだよ」
「うん・・・?いやいや!そりゃ助けてくれた人は助けてくれた人でしょ~!」
「あー、そう言うことじゃなくてねぇ・・・」
なんかうまく説明出来ない。さっきまではスラスラと言葉を並べられたのに、一番大事なところで言葉が詰まる。
「う~、なんか気になる~!美結はいったい何を言いたいのか~!頭の中の言葉を聞いてみたらあるいは・・・」
そう言うと耳を私の頭へとくっつけ暫し。
「・・・ってわかるか!」
「あはは・・・」
「まあでもさ、なんかこう美結はその人にしかない特別な部分を見つけた感じなのかもね~!」
「特別、ね・・・」
その言葉を少し考える。確かに倉庫に閉じ込められた状態で、初対面で出会う人なんて滅多にいないだろう。誰から少なかれ、第一印象は大事だから初対面の時は何かと相手に良く見られようとするものだ。
ただあの状態、彼の話しを聞く限り彼自身は無我夢中で、少なくとも仮面を被れるような冷静な状況ではなかっただろう。その中で彼は私を必死で助けてくれたんだから・・・。
それが本当の、優しさの中に強さを兼ね備えた、本当の彼なのかも知れないと思うと、不意に浮かんだ「助けてくれた人」の言葉の意味はなんとなくわかったかも知れない。
「・・・おーい!」
「・・・」
「おーい!美結!」
「え?」
「え?じゃないよ!今なんか別世界に言ってたよ~!」
あ・・・言われて見れば妄想に耽ってた気がする・・・。
「ごめんごめん」
「どうせ彼のことで妄想してたんでしょ!」
「うん?教えないよ?」
「ちょっと美結~!ヒントは私があけだのに~!」
「あはは」
由依ちゃんには話しても良かったかもだけども、まだこの気持ちは心の中で自分だけのものにしていたかった。
× × ×
家に帰り、夕飯や入浴を済ませた僕は自室で今日起きたことに対して考えていた。
「なんか今でも嘘みたいだ・・・こんなことって本当にあるんだ・・・」
漫画やドラマ、アニメとかの世界なら台本があって、最初から1年後に会えますよ的な設定は良くある。だけど現実では一度逃したチャンスは二度と来ないとこれまでは思っていたから。
自分がこんな性格じゃなければ、おそらく1年前のあの日から知り合いになっていたのだろう。そしてあるいは・・・。
「・・・いや、そういうのは正直考えないようにしよう。そもそも別に気になってるだけだから」
誰に話す訳でもないが、自分自身に言い聞かせるためにあえて言葉にする。そう、たかが会って1日でそんな感情芽生えてしまうなんてあり得ない。
それに自分と仲良くしてくれる(だろう、連絡先も交換したわけだし)唯一の女の子だから気になってしまうのは仕方ない。
「あのときと一緒だ・・・」
あのときとは高校の頃、「かなでちゃん」を気になっていたとき。結局気になっていただけで何も出来なかったけど。
だからってわけでもないかも知れないが、それに向こうから連絡先を教えてくれた・・・なら今度こそ待っても・・・。
「・・・いや!ダメだろ」
そう自分を奮い立たせ、スマホを・・・までは良かったが。
「迷惑じゃ・・・」
連絡先を教えてくれたとはいえ、連絡して欲しい とは言っていない。アレだ、知り合いがいないあの授業を休むときに僕の連絡先が必要だったとか・・・。
そう思うともういいやという気持ちになり、結局何もせずスマホを机の上に置いた。
「はあ・・・やっぱり、!?」
置いた瞬間、ブブブっと鳴りついつい驚く。
まさか・・・いや、ないない。きっと友人が明日の授業とかの件で聞きたいことがあるんだろう。驚かせてくるなよって。
そんなことを思いながらメールを見ると。
「・・・」
『こんばんは。せっかく連絡先も教えてくれたから、メールしてみました♪ええと、特に何かあるってわけじゃないけども、これから仲良くしてくれたらいいなってことで^^』
・・・うん、いや、その、嬉しい、嬉しいのだけども・・・。
「こういうのってなんて返せば・・・」
ほとんど女の子とはこういうことをしたことがない自分には全然わからない・・・。
ええと、とりあえずネットとかで調べるべき・・・いやいや、そもそも彼女のことを意識しているわけじゃないし、友達感覚で返せば大丈夫だよきっと!
「・・・よし、友達に返すつもりで・・・」
『こちらこそよろしく!また来週の授業で』
・・・簡単過ぎないかな?いやでもあのメールで話題を広げるとか出来ないし・・・。
「ええい!送ってしまえ!」
意を決し、送信ボタンを押す。友達感覚とか言ったけども、意を決しとかの時点で友達感覚じゃないよね。
・・・5分経過し、再び受信。
『そっか、1週間空くんだよね。なんかそんなことすっかり忘れてた(;´д`)』
・・・暫し沈黙。疑問系でもないし、どうすればいいの? 返さない・・・わけにはいかないよなあ。絶対心配されるだろうなあ。
ちょっと考え再び返す。
『学科が違うから仕方ないよね。まあこうやって連絡なら出来るけどね』
「あ、また来た」
『そう?じゃあまた連絡するかも!もうお風呂入って寝るからまた明日で!今日はありがとう!おやすみなさい(-.-)zzZ』
「あ・・・」
向こうから終わりの挨拶がきた。ホッとしたやら寂しいやら、なにか不思議な感覚に。ほんの数回のやり取りなのでよくわからなかったけれど、こんな感じでいいのだろうか。
ただまあ、こういうやりとりで愛想つかされたらつかされたでそういう子だった、やっぱり縁がなかったとも思えるかも知れない。
「こちらこそありがとう、おやすみなさい、っと」
最後にそう返し、僕と高森さんの初めてのメールのやり取りは終了した。
意識しないように、しないようにと言い聞かせたけど、受信されたメールを何度か見返した時点で意識しているのだろう。
女子からのメールってこんなさっぱりしてていいのかと、書いてて思いました(´・ω・`)まあ、美結ちゃんならこんな感じかなって思った次第ですが。
由依ちゃんはこういう感じに美結ちゃんの相談役みたいな感じで、今後も出す感じになりますね!