私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~   作:かもにゃんこ

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前回は舞台裏と称して本番前~本番途中までを勇人くん目線でお届けしました!1個前の話と合わせて読むと一層面白いと思います(*'ω'*)

そして今回からはまた新しいお話へと突入します!・・・のはずが、いきなりイヤーなサブタイトル。そう言えば1話もいきなりアレなサブタイトルでしたね。果たしてどうなるのでしょう!?



「嫌々続けててもいいことないし」

「お疲れ、様」

 

いつもと変わらず控えめに扉を開け部室へと入って来たのは板倉くん。

 

「あ、お疲れ」

 

私もいつも通り簡単に挨拶をする。

 

文化祭の日、本番が終わってからもいつも通り部室で言葉を交わすのは変わらない。変わったのは裕美子ちゃんはもう来ないと言うこと。

 

彼女が来なくなったのは前々回の通りである。

 

「来るかな、誰か」

 

「うん。来てくれたら、嬉しいね」

 

本番終了後、私は最後の挨拶で新入部員を募集していることを通知した。

 

『興味がある方は見学だけでも構いません。4限目以降でしたら部室に、不在の場合はどの教室で活動しているか張り紙をしておりますのでそちらへ来て下さい。またはパンフレットに書いてあるメールアドレスにご連絡していただいても構いません』

 

という感じ。2人になってしまってもとりあえずは活動は続けるというのは、言ってはいないけども板倉くんも無言の了解をしてくれている感じ。

 

とりあえず教室へとは移動せず、しばらく部室待機をすることに。

 

「今日何しよっかなあ。とりあえず夏休みのときみたいな感じでいい?」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

しばらくは、新しい人が来るまではそんな感じでやろうかな。また来てくれたら台本でもやればいいしね。今は充電期間だね。

 

「昨日○○○(アニメの題名)見た?」

 

「あ、見たよ。良かったよね」

 

「だねだね」

 

私たちの関係も今はまだ変わらない。本番でセリフを忘れた私を助けてくるたとき、それを話した本番後に私はもしかしたら・・・と思い、勢いで、っていうのもあったけども・・・。

 

家に帰って冷静になってみたらやっぱりそれはまだやめようという結論。いくら舞台本番が終わったとは言え、そっちにうつつを抜かす余裕はまだまだない。それに本当にお互いに両思いで間違いないなら大丈夫だが、私の完全な勘違いなら目も当てられない状況になるのは絶対に避けたい。

 

以上のことから昨日と変わらぬ平静を装うことにした私である。

 

「5時、か・・・」

 

「・・・これくらい過ぎたら4限終わりで来る人はもう来ない、よね」

 

「私も同じこと思った。」4限終了は16時半、もし興味があってここへ寄るのであれば30分以内には来るはず。証拠に部室を後にし教室へと向かう校内は静かめであった。

 

「後は5限終わりの人がいるかなって感じ」

 

「そう、だね・・・初日、正直そこそこ期待してたんだけどなあ・・・」

 

「うん、私も」

 

口ではそうは言ったものの、難しい部分があるのもまた事実。とは言え、自分の中でも希望は持たせたい為、そうは言わない。

 

「板倉くん着替えないよね?」

 

教室に着いた私は彼にそう確認を取る。運動はしないため、私服のままでも大丈夫?と聞く。

 

「あ、うん。基礎練と、発声と、即興やるくらいだよね?」

 

「うん」

 

「なら動きにくいわけじゃないし大丈夫」

 

「だよね。私ちょっと着替えなきゃなんだよね、あはは」

 

と、言うのもお馴染みの格好(適当な上着+ジーパン)ではなく、今日はちょっとおめかし的な。理由はまあ、さすがに誰か来たときにダサいなと思う私がいるから。決して板倉くんに見せたいわけじゃあない、はず、だと思う。

 

上はそこまで動きにくいわけじゃないけど、下はミニスカート。インナーパンツがついてないタイプで、一応、うん、見えたら嫌だし。

 

「そう言えば今日スカートなんだね。珍しい、なんて・・・あはは」

 

「何か言い方が気になるなあ」

 

珍しいって何さ!似合ってるね、とか、可愛いね、とか、言ってくれたら・・・いや、さずかにそれは・・・付き合えたら、言ってくれたら嬉しいなあ、なんて、ね。

 

「あ、ごめん。女の子だから別に普通だよね。というかそもそも僕から言うべきかなって今思った」

 

「え?」

 

もしかして、気遣い・・・?さっきはあんなこと言ったのにいきなりまたそういうこと言うと・・・。

 

「あ、いや、その・・・やっぱり動くと気になっちゃうというか・・・『みえ』とかいうやつだよねー」

 

ちょっと冗談混じりにそう笑顔で話す板倉くん。

 

・・・さっきあんなこと言われてちょっとキュンときたのにそんなオタクみたいなこと言われるとなあ。まあ私も「みえ」の意味は知ってるからその気持ちわかるけど(笑)

 

「あはは、まあそんな感じだねー。隣で『みえ・みえ』って言われてもなあ。あはは」

 

オタクの私が舞い降りちょっと口調もオタ話をするような(?)感じで話つつ、ノリでちょっとスカートの裾を上げてみたり。

 

「『みえ』?」

 

「『みえ』・・・見えない、けど(笑)」

 

「見えちゃ『みえ』じゃないんじゃん?」

 

「だね」

 

とまあ、こんなことやってるから彼にはただのオタク友達のままだったりしちゃうのかなあ、と思ったり。

 

着替えも終わり、いつも通り発声を行う。裕美子ちゃんがいたときよりはやっぱり声量も寂しいけども、夏休みに2人でやったときと比べたら彼の成長はかなり大きいなあとそれだけでも実感出来る。

 

それから発声後は2人だけだけど即興を数回行い、時計は18時、5限目の終了時間となった。

 

「・・・どうかな、今度は」

 

「来て欲しいよね」

 

もし希望者がいればまずは部室へと行き、そけにある張り紙を見てこちらへ来るはずなので若干の時間差はある、が・・・それでも30分経った後はさっきと同じく2人に諦めムードが漂う。

 

「ダメ、か・・・」

 

「だね・・・」

 

「まあまだ初日だし、ね」

 

そう私は言ったが、あれよあれよという間に時間は過ぎ、本番終了してから2週間が経過した。

 

一応、見学者は4,5人ほど来た。演じることに興味があるという感じではあったけども、華やかな舞台とはかけ離れた練習を見て思ったことがあったのかわからないけども、結局どちらも翌日以降連絡が来ることはなかった。

 

そして私は、いや、私と板倉くんの2人は言葉を交わさずとも、これ以上は来ないのではと言うことを察しているような雰囲気をお互いに感じ取っていた気がする。

 

「・・もうさ、明日から活動やめにしない?」

 

その日の帰りの電車の中、私は秘めていた気持ちを彼にへと告げた。無言の彼に私は続ける。

 

「正直言ってね、まず裕美子ちゃんが来なくなったことでまず私の気持ちが切れちゃってたのが始まりかな。もちろん期待はしてたけどね、私の今までの経験上、新しい人が入ってくれることなんて難しいかなって思ってて」

 

「そりゃあ1人でも来てくれてたらその人の為にも、活動は続けていくつもりだったけど。でもこんな状況じゃ、2人だけじゃ台本も出来ないし、舞台に向けた稽古だった出来ない。裕美子ちゃんがいて3人なら、じゃあ次もまた頑張って、舞台やって新しい人が入ってくるように頑張ろう!って気持ちになったけどね、あはは・・・」

 

最後は少し寂しげに、俯きながらそう伝えた。そんな言葉を聞いた板倉くんは、思ったよりも冷静に受け止め、私が想定してなかったことを言った。

 

「・・・ごめん、いや、ごめんって言ったらおかしいかも知れないけど・・・僕も同じこと思ってたんだ」

 

「え・・・?そうなの?」

 

私は驚く。だって今までそんな素振り、見せていなかったから。

 

「新しい人が来ないんじゃ、とか、そういうのはイマイチよくわからなかったけど・・・じゃあもし2人のままだったらこれからどうすれば・・・?って言うのは自分の中でも少し考えていて」

 

「うん」

 

「・・・高森さんがさっき言った通り、かな。2人じゃ到底舞台なんて出来ないって思った」

 

「そっか・・・」

 

「基礎練が無意味とは思わないけど・・・やっぱりさ、せっかく演劇部なんだから、演劇出来ないなら続ける意味もないかな、って・・・」

 

そこまで言い終わるとフッーと一息吐いた。思っていたとしても、いざそんなことを言うのはやっぱり残酷な言葉なのだろう・・・。

 

私は自分の気持ち、そして彼の言葉を聞き、心を決めた。

 

「・・・休止ね、活動。仕方ないと思う。嫌々続けててもいいことないし。あ、もちろんこれから何かあるかも知れないからさ、メールとか来るかも知れないし、その時はまた再開出来たらいいかなって」

 

一応笑顔で、まあ自分でもわかるくらい、作り笑顔と言うか寂しい笑顔だったけども・・・。

 

「あ、うん、わか、った」

 

「うん、よろしくね」

 

こうして特に反論なく、たった2か月未満で終了した。色々、学生課のお姉さんにも手伝ってもらって作ってもらった演劇部だけど・・・仕方ないと割り切りしかなかった。一応、例えばだけど、他の大学の演劇と一緒になって活動、とかは探れば出てくるかも知れない。でも今は、そこまでのモチベーションがないのも事実。気持ちがが変われば、あるいはという感じではあるけどね。

 

最寄り駅から家に帰るまで、冷たい北風が私を襲う。今年の冬は一層寒くなりそうだ。




新しい章の始まりはまさかの天国から地獄への回となってしまいました(´・ω・`)『みえ』とか冗談を言ってた前半が懐かしい感じです(笑)

こういうは話って書いてる側もなんとなく悲しい気持ちになるので、出来れば書きたくないのですが、ね。いや、書くなって話ではありますが('ω')いくらなんでもこのままじゃ終わりじゃないんで次回以降、巻き返しに期待!ですね(^^)/
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