私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
あれからおよそ1か月半が経った。活動をしなくなって数日は少し寂しさを感じていたけども、慣れって怖いもの。だんだんとそれが当たり前になっていた。
演劇をやめた私は、趣味に没頭した。夏休みくらいからやってなかった好きなゲームの続きをやったり、漫画を読んだり・・・もちろん演劇の活動自体は完全に諦めたわけではない。授業が終わった後は一応毎日18時過ぎ(5限目終わり)までは部室に1人でいたり、毎日メールのチェックはしていた。演劇をやりたいという気持ちは私の中ではまだあったし、もし万が一人は来たりしたらと考えると、辞めずにはいられなかった。
もう1つ気になることがあると思うけど・・・うん、そう、板倉くんとのこと。演劇部が休止になって、会うことはなくなった。けれど、私の気持ちはそのまま。まあ好きな気持ちなんてそうそうなくなったりなんてしないものね。
一応、私からが多いけども、連絡は取っている。もちろん、メインは趣味のことだけども、それでも返事が返ってくるまでにドキドキしたり、その内容に一喜一憂したり。そりゃあ一緒にいたいとか、一緒に遊びたいとか思うこともあるけども、今はこれで十分って感じかな。「あの時」は告白したいって思っちゃったけども、焦らずじっくりで今のところはいいかなって感じ。
× × ×
部活が休止になってから、土日は基本的に出かけることはなかったが、今日は昔から好きだった、ゲームのイベントに参加することに。1人で行くのはどうしようかと思ったけど、前に板倉くんから聞いた映画の話を思い出し、行くことに。
まあ、行かないで後で後悔するならなあ、という感じ。
急ぐ必要もないし、開場時間くらいに最寄り駅から会場にと歩いていたら。
「高森さん」
「え?」
いきなり名前を呼ばれ、少しびっくりしながら振り向くと。
「え!?板倉くん!?」
まさかのご対面。
「僕も驚いた、よ。歩いてたら何か似たような人がいて・・・まさかと思って横顔みたら」
というわけらしい。いやね?前にこのゲーム好きだって言ってたことを思い出して、板倉くんも来てたら嬉しいなあ、って少しは思ってたけども。
あー・・・ダメだ、やっぱり意識しちゃう!久しぶりだし、突然だしで、めちゃくちゃ嬉しいし・・・。
「・・・高森さん?」
「うわっ!」
私は私らしからぬ驚き様を見せてしまう!
「大丈夫・・・?」
・・・めっちゃ心配されてる。いやね?原因はキミだよ!ってホントは言いたい私。まあそんなこと言えないしで、とにかく落ち着こう、うん。今日はあくまでオタク友達として接しよう、うん。
「ごめんごめん、いきなり知り合いに会ったら板倉くんだってびっくりするでしょ?そんな感じだよ」
「えーと・・・うん、そうかも」
なんか無理にねじ込んだけど、まあこの際いいでしょう。
「だよね、あはは」
それから私は自分の服装にも気がつく。あ~、会うってわかってるならおしゃれしたのに・・・防寒重視のダサい上着にダサいズボン。何?いつもダサイ格好だって?いや、ね?やっぱり学校で会うのとこういうところで会うのはなんか違うって言うかさ。
板倉くんだってきっと、女の子なのにそんな格好は・・・って思うわけないか・・・あくまで私はオタク仲間ですよね。
特に別れて廻る理由ないし、好きとかそういうのは無視しても彼といるのはやっぱり楽しい。きっと彼も、同じことは思っているだろう。
ただちょっと思うのは、こうやって仲良く遊ぶのが、逆に遠回りになってしまうのでは?と思うことが悲しいかな。
一通り展示物を見た私たちは、ちょうど出演している声優のトークショーをメインステージでやるため、せっかくなのでそれを見に行くことに。
「声優と言えばさ」
「うん?」
ステージ・観客席ともに盛り上がる中、私は隣にいる板倉くんに話しかける。
「裕美子ちゃんどうしてるかなって」
「あぁ、そう、だね」
「辞めちゃってからさ、私も連絡とか全然とってなくて。うまくやってるかなって」
わだかまりがあって辞めたわけじゃないけども、彼女はきっと忙しいだろうし、それに何かあればきっと連絡はくれるだろうと私は思っている。
「柴田さんなら、僕は大丈夫かなって思う」
「え?根拠あるの?」
なんか想定外だったので笑う私。
「根拠はないけど・・・僕から見ても才能あると思うし、きっと努力だって人一倍出来るって、思う。僕は真逆だけど、ね、あはは・・・」
「あ、それは私も思うよ。って、自虐とかいらないけど」
漫画みたいに、キミだっていっぱい努力してたじゃん、とは言えず。
「でもなあ・・・才能と努力もそうだけど、最後はなんだかんだ言って運が大事かなって」
「運?」
「うん。別に声優に限った話じゃなくさ、色々な巡り合わせって運だと思うし思うし。私と板倉くんだってあの授業で会えたのって、巡り合わせだと思うし」
「・・・僕はちょっと違うかな」
板倉くんは一度一呼吸置いた後、話を続ける。
「運っていうのがないとは言わないけど・・・僕はどっちかと言うと全部必然かなって思ったりする」
「と、いうと?」
「分かりにくいっていうか、ちょっとアレな表現かも知れないけど・・・」
一度苦笑いをした彼はまた少し真剣になって話を続ける。
「・・・今までの過去全てがあって、そこにたどり着く、みたいな?過去は変えられないからそうなるしかない、って感じかな・・・」
「あー・・・」
言いたいことはなんとなくわかるかも。
「だからまあ、なんていうか、柴田さんも仮にだけど声優になれたとしたら、それはそれまでの過去があったからなれた、みたいな感じ。なれなかった場合は・・・何かが足りなかった、っていうイメージかな」
スラスラと自分の意見を語る板倉くん。今さらの話じゃないけども、結構自分の意見を語るときは饒舌になる感じ。
「なんかアレだね」
「え?」
「私が思ってるよりも現実主義なんだね」
「あ、うん・・・まあ」
少し苦笑いな彼。やっぱり語ったのは恥ずかしかったのかな?
そう私は思ったけど、ちょっと違ったみたいで。
「いや、ね、なんか前は、子供の頃は夢をたくさん考えてたのだけど、ね・・・」
彼曰く、子供の頃見ていた夢は、大きく現実によって壊されたらしい。
「実はそれがオタクになり始めたきっかけ。現実から逃げたい、から・・・」
「あー・・・うん、わかるよ、それ」
私も少なからずそうだから。部活は楽しかったけど、自分の性格に悩み、人間関係に苦労した中学時代。当時はよくわからないまま道に入ったけど、今思えば現実逃避だったと思う。
「私も、きっかけは違うけどそうだったから」
ちょっと思い出したくない過去もあったりで、若干暗くなる。別に今さらどうしたってわけではないけども。
「そう、なんだ・・・。そっか・・・一緒なんだね」
少し寂しげな笑みを浮かべ彼はそう話した。
私はその表情にやっぱりキュンとくる。そして彼の気持ちはどうなんだろうと。特に何も考えてないのか、それとも私の一緒の気持ちになって、自分のマイナスなところを聞いてくれて少し気持ちが変わっているのか。
毎度のことながら、こうやって気持ちを振り回されるのが恋なのかと思う私。
「・・・あ、少し脱線しちゃったけどさ、要は柴田さんが羨ましいってことなんだよね」
話が少し変わり、私もちゃんと対応しなきゃと思い一度落ち着く。
「・・・夢を持ってるから?」
「あ、うん。そう」
「・・・確かにそうかもね。もうあと少しで3年生で、就活も近いし、じゃあ自分は何をやりたいのかって考えなきゃだもんね」
私もそう言いながら感じる。
「私もなあ、とにかく目の前のこと、演劇をとにかくやりたいってことばっかり考えててそんなことを考えることなかったなあって思って」
「高森さんも?」
「だね。卒業したらどうしたいとか全く未定」
今の今までこういう考えの人がただただ会社に入って、歯車になるのかなあと。
それはやっぱり嫌だなあと思う私。どうせなら、何か好きなこととか興味のあることをしたい。じゃあ、私は・・・これからどうなるのかなあ?
「あの、さ」
「え?」
そう思いながら、自分の意見が口から思わず溢れ、笑顔で語る私。
「これからでもさ、色々経験して、色々考えて、探せばいいかなって。わからないけどさ、遅いことなんて多分ないと思うから。お互い何か見つけられたらいいね」
「あ・・・うん、そう、だね」
「・・・あっ!えっと、とにかくそんな感じ!」
私の話を聞いた彼の笑顔に気がつき、なんか臭いことを言ってしまったと思う私。
でもそんなことよりも、お互い笑顔になってることが凄く嬉しかった。周りから見たら恋人同士に見えたり・・・そう思うと気分も上がる。
『今日はありがとうございましたー!』
「・・・え?って、あっ!」
「あー・・・」
「終わってるし・・・話に夢中で何も聞いてなかったね・・・」
「だね・・・」
まあそんな感じではあったけども、2人笑顔だったから、声優さんの話以上にいい話が出来たってことかな。
あとがき
はい、本編は終了です!一応まあ、2人はそれからも適当にイベントを廻って、特に何もなく解散、というのが補足な感じです(^o^)/
文化祭での本番と、これからの物語、どちらにも特に関係のない、いわゆる日常回になりましたね。一応、次回からまた話は動き出します(^_^)v
はい、本編は終了です!一応まあ、2人はそれからも適当にイベントを廻って、特に何もなく解散、というのが補足な感じです(^o^)/
文化祭での本番と、これからの物語、どちらにも特に関係のない、いわゆる日常回になりましたね。一応、次回からまた話は動き出します(^_^)v