私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
作戦はうまくいくのでしょうか・・・?いや、うまくいかないと物語思っちゃうよー!って感じですが、果たして・・・(笑)
由依ちゃんと話したその日、私は板倉くんに連絡を入れた。とりあえずは私だけで進めてしまっても良かったけども、一応唯一の部員なので今日決まったことを相談しなくては、って感じ。
電話とかメールでも良かったけども、なんとなく流れで大学で会って話すことに。いや、別に私が会いたいとかでごり押したわけじゃなくて、久しぶりに基礎練もしたいと言う双方の意見。まあ会いたいのは事実だけれども・・・。
「久しぶり・・・でもないか」
「確かにそんな感じ?久しぶりって感覚でもないかな」
期末試験も終わり授業はもうないが、大学自体は普通に空いている。夏休み同様、割りと色々な部活が活動をしているんだなあと改めて思ったり。
久しぶりの基礎練、やっぱりそれなりに落ちてると実感。私は特に伸ばす発声がうまくいかないと感じ、板倉くんは柔軟性が落ちたと言っていた。その流れで彼はポツリと話す。
「こうなってから言うのもなんだけどさ」
「うん?」
「やっぱりなんだかんだで毎日やった方が良かったかな、って」
「まあ、うん、そりゃあ、ね」
あくまで形式上は「休部」ということであったけども(これもあくまで非公式だが)、決めたあのときは私の中では正直それがなあなあになってそのまま部活自体が・・・という流れになると思った。なのでいくら練習をしなくてもどうせ終わりなんだから、という感じ。
・・・しかし、今の言葉を察するに、私とは真逆で彼は本気で部活を続けたいと思っていたのではと思う。もちろんそれは、あくまで彼は「部員が来る」と言う大前提での話だとは思うが。
まあ、結局私の気持ちも変わり、なんとか頑張らなきゃと思うようになったが、もう少し、彼が主張していたらこんな回り道をする必要はなかったのでは?と。まあ今さら何を言っても遅いけどね。
「・・・高森さん?どうしたの?」
そんなことをボーっと少し考えていたら、声をかけられた。さっき私が考えたことを果たして彼自身は本当に考えていたのか、少し気になるところではあったけども、今そんなことを聞いても過去は変えられないし、これからどうするかを考えなきゃいけないと思い、自重した。
「ううん、なんでもないよ。それでね、本題なんだけど」
私は彼にこの間決めたことを順を追って説明。途中で特に反論する様子もなかったので、全て一度に言うことが出来た。
「・・・そうだね、それしかない、よね。僕も、休部になった後にどうすればまた続けられるのかって考えたりしてて・・・でも全然思いつかなくて。今言われて僕も思った。本当にそれしかない、と」
「あ・・・そう、なんだ・・・」
私の予想は当たった。
「うん。やっぱりさ、あの時は仕方ないって思ったけど、やっぱり演劇部続けたいって思った。今まで初めて熱中出来たことだったし、なんか高森さんとまだ一緒にやりたいって感じで・・・」
「・・・?!」
そんなことを言われ思わずドキッとする。いや!落ち着け私!板倉くんは「私と同じこと」を考えているわけない!
「・・・って、やっぱり変な理由かな。なんかわがままみたいで・・・」
戸惑っている私に、彼も戸惑う。
「いやいや!そんなことないと思うけど・・・どうして私と、これからも一緒にやりたいって、思った?」
私は思い切って理由を聞く。目は逸らしていたし、少し声も上ずっていたけども、彼が私に対してそこまでこだわる理由、恋愛感情とか抜きで聞きたいと思ったから。
「・・・うーん、うまく言えるかわからないけど」
「うん。大丈夫、うまいように解釈するから、あはは」
「え?ああ、うん、あはは」
私の冗談に彼にも笑顔になる。まあ私自身、冗談を言わないと心が持ちそうにないから。
「なんていうかね、高森さんと一緒にいたらさ、自分だけじゃ見つけられないものが見つかりそうだなって。演劇を楽しく熱中出来るものにしてくれたのも高森さんだし、もしかしたらまだ見ぬ将来のことも、一緒にいれたら探せそうかなって思って」
「へえ・・・」
私は素直に驚く。彼にとって私がそんな存在になっていたなんて。その時私は、いつもの恋愛感情は彼には浮かばず、素直にそんな彼を応援したくなった。そこまで言われちゃったらさ、やってやるしかない、じゃんって。
「・・・頑張ろっか、もう1回、ね」
「そう、だね、うん、ありがとう」
「よし、頑張ろう!」
と言うわけで、特に予定にはなかったけども、彼の気持ちも改めて聞けて私たちは作戦を実行!!・・・っと言っても凄く地味ではあるが。
「これだね」
「へえ・・・」
過去に連絡があった人に再度連絡を取るという作戦の流れ上、まずはパソコンが使える大学図書館へと移動、舞台本番と同時にパンフレットに乗せたアドレスが受け取れるよう、それ専用のメールアカウントを作っており、そこに来ているメールを確認し、改めて送ろうという流れ。
「何通くらい来てたの?」
「えーと、全部で7通だね。それとメールじゃなくて直接部室にも来てくれた人が2人いるから・・・その人達も含めて9人に、って感じ」
」
「あ、思ってたより多いかも」
「あ、それ私も思った。結構演じることに興味あった人っていたんだなあって」
・・・メールだけで見学にすら来なかった人もいたし、まあそもそも結局誰一人入ってくれる人は・・・いや、今はそんなネガティブになるのはやめよう。
改めての文章を2人で考える。なるべく丁寧にと言うか、うまいこと反応してくれそうな感じに・・・そんなことを考えながら、約20分くらいで完成。
「・・・よし、これで行こう。これだけ考えれば手ごたえあるかも?」
「だといいよね」
再度文章を確認し、1人1人送る。もちろん返ってくる保障はないけども。
「・・・えっと、あと1人・・・」
「あー、この人、自分から見学したいって言ったのにその後返してくれなかった人だよ」
「それ年始の時に高森さんが『冷やかしっていうか絶対イタズラだよね』って言ってた人?」
「あー、そうそう・・・」
そんな人に送っても仕方ないかなあ、と思いつつも、まあただボタンを2,3回クリックするだけで私たちに損はないのでとりあえず、送ってみた。
「これで全部、だね」
「返事・・・来てないかな・・・」
「さすがにまだ、ね、あはは」
「だよね、あはは」
× × ×
「待ってる間も次の作戦考えないとなあ」
帰り道、そう言う私は笑顔だった。会話も弾む。
「だね・・・でも最後の最後はやっぱり2人でなんとかやる、ってことになるかな・・・」
「うーん、でも2人じゃやっぱり新入生にアピールなんてうまく出来ないし」
「そう、だよね・・・あ、いや」
「うん?」
「高森さんならさ、一人芝居凄く上手いし、それでアピールできるかも・・・?」
「えー、それもはや演劇じゃなくて落語みたいじゃん」
「あ・・・だね、ごめん」
終始、帰り道私は楽しかった。好きな人である板倉くんと一緒と言うのもあったけども、とにかく私は彼のあの言葉が嬉しかった。そんな私も、彼と一緒に色々なことをもっと経験出来たら、何か見つかるかもとも思うと、なんとか今回の作戦、成功して欲しいと強く願った。
× × ×
家路に着いた僕は、部屋に入るなり机に向かいボーっと考えた。
今思っても、やっぱり恥ずかしいことを言ったなあ・・・。いくら本当にあんなこと思ってたとしても、言っても大丈夫なこととダメなことってある、よね・・・。
「夢、か・・・将来、か・・・」
子供の頃はあった。幼い頃に親に野球観戦に連れて行かれ、最初の夢は野球選手だった。野球がやりたいと親にせがみ、クラブにも入れてもらった。
ただその夢は周りのセンスのある子たちによってすぐに潰された。ああ、こんな才能のない僕が軽々しく夢なんて語っちゃいけないんだなって。
それからは漫画家になりたい、パイロットになりたい・・・他にも色々、思うたびに全て「夢」は「夢」だと思い知らされた。中学生になった頃にはもう将来を考えることもなくなった。まだ将来なんて、そう思い続ける日はずっと続くものだと思っていたが、ついにその時は近づこうとしていたのである。
「そうは言っても、ね・・・」
そんな簡単にやりたいこと・・・やりたいだけじゃもうダメなんだ。「やれること」を考えなければいけない。
ただ・・・現実逃避と言うかも知れないけども、そんな簡単に将来のことなんて考えられない。今はこの時、やりたいことをやろうって決めたのに・・・。
「連絡、何か来ているのかな・・・またやりたい演劇、高森さん、と・・・」
「・・・?電話?こんな時間に・・・え、高森さん!?」
彼女のことを考えていたら、まさか本人から電話が。もしかして独り言で高森さんの名前を呼んだから!?いや、何を言ってるんだ僕は・・・。
「はい、もしもし・・・」
『あ、板倉くん!時間大丈夫?』
「うん、大丈夫だけど・・・」
『いきなりだけどさ、部活入りたいって人、1人連絡来たの!』
「え?・・・ええ・・・!?」
意外と、あっさりと、連絡来ましたね(笑)
そんな簡単に、うまい話があるのかよ!と思う方もいらっしゃると思いますが・・・まあ、はい、一応それなりに理由等は考えております。それはまた次回にお話しする予定です('◇')ゞ