私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
今回の始まりは少し時系列を戻して美結ちゃん目線にてお届けします!
「さて、と・・・」
板倉くんと今後のことを決めた日、家に着き色々済ませた後演劇部のメールボックスを調べてみることに。
正直期待はしていないと 言えばそうなのだが、他に方法がない以上、期待をしなくてはいけないとも言えるだろうか。
メール機能を立ち上げ、ログインをすると・・・。
「・・・着信1件!?」
それを見た私はそれを早く開きたい気持ちと、見たくないない気持ちとが交錯した。いや、だってさ、こんな都合のいいようにメールが来るわけないし、またイタズラとかではって思う、じゃん?
とは言え、このまま見ないわけにもいかないので、一息、二息ついた私は位を決してダブルクリックをし中身を見た。
「えっと、改めてメールを下さりましてありがとうございます、先日一度見学したいとメールをお送りしたのですが・・・」
『メールをお送りしたのですが、自分のパソコンが故障してしまい、おそらく返信をして下さったにも関わらず、そのまま一度フェードアウトしてしまい、ご迷惑をおかけしました』
『一昨日、パソコンが復旧した後、再度メールを送ろうと思ったのですが、アドレスが書いてあったパンフレットもなく、それじゃあ部室へと行こうにも授業はないので誰もおらず、途方にくれていた次第です』
『そんな時に再度メールを下さりまして本当にありがとうございました。遅くなってしまいましたが、演劇に興味があり、是非入部したいと思います。もし、冬季休業中も活動をしているのでしたら、一度見学をしたいのですが、よろしいでしょうか!2点合わせて、ご返答お待ちしております』
「・・・お待ちしております、文学部1年、・・えのした?名前も・・・なんだろう?」
最後の名前のところには「榎下唯斗」と書いてあった。
「変わった名前・・・あ、いや、入部したいって書いてあったよね、うん、なるほど・・・」
「・・・え?マジ?」
えーっと、うん、うん、うん。書いてありますね。
「・・・マジかっ!」
うわっ!多分普通に嬉しいんだけど、戸惑う気持ちが先に来るよ!どうしよう、これ、返信していいの!? いや、とりあえずまずは部員の板倉くんに連絡を・・・。
そんな心の状態ということもあってとにかく早く知らせたい私は、電話をかける。かけたあと色々思うことはあったけど、そんなことよりという感じだった。
「あ、板倉くん!時間大丈夫?」
『うん、大丈夫だけど・・・』
「いきなりだけどさ、部活入りたいって人、1人連絡来たの!」
『え?・・・ええ・・・!?』
「嘘だと思うかもしれないけど本当なの!・・・って、今さらだけど電話なんてしちゃって大丈夫だった?」
一応まあ、時間もまあまあ遅いしで確認を。
『あ、うん。それは全然大丈夫だよ』
「良かった。なんかごめん、突然で」
『いや、それ多分逆の立場だったら僕だって思わずかけちゃったと思うし、あはは』
「あはは、だよね。で、内容なんだけど・・・」
私は届いたメールの内容をそのまま彼に伝えた。
「・・・という感じ」
『前のときにイタズラ?って思った人からってことだよね?』
「うん、そう。まあそれなら仕方ないよねって感じだし、これは本当に本当だと私は思う」
そもそも最初のメールですらイタズラではなかったのだから、間違いない。
「・・・でまあ、連絡来てたのを伝えたかったのと、返事は普通に見学してもらうような感じでいいよね、っていうのを一応板倉くんにも確認したくて」
『大丈夫、というか連絡してくれるなら是非お願いします、って感じで・・・いつとかそういうのは気にしないでやってくれたら。基本時間は空けてあるし、あはは・・・』
それは友人なんていませんよという自虐ネタなんだろうか?あ、いや、まあそれなら決まったら後で連絡すればいいね。
「うん、わかった。じゃあ決まったら連絡するね」
『了解、です』
「えーと、もう特に何もなければ終わりにするけど・・・」
さっきのやり取りでどうするか決まったのに、改めてそう聞くのは彼とまだ話したかった私がいるってことかな・・・。
『大丈夫。色々よろしくお願い、します』
あっさりそう言われました。
「じゃあまた。遅くにありがとう。おやすみ」
『おやすみ』
「・・・」
切っていいのか、どうなのか、わからないんですが、これ・・・。え、まだ繋がってるから、何か最後に挨拶とかすべきなの・・・?
プツ、ツーツー・・・。
と思ってたら自然に切れた。電話が終了したことを確認した私は、はーっと一つ息を吐き、布団に寝転がった。
「・・・なんだろうなあ」
ボソリとそう呟く。電話したことは初めてではなかったけども、好きになってからはそう言えば最初だった。
やっぱり、そのときとは気持ちは全然違ったと改めて思う。伝えたかった話が終わった後、何か意識してしまった感じだ。
ただの電話なのに、何か色々感じてしまうのが恋ってやつなんだろう。
で、メールの返答は・・・もう9時(21時)過ぎてる・・・相手も待ってるかも知れないけど、迷惑だったらアレだし、明日にしよう。
× × ×
「失礼します!」
ノックのち、元気のいい 声とともに部室のドアが開く。
「あ、榎下くんかな?おはよう」
「あ、はい!そうです、榎下です!」
あれから翌日メールで連絡を取り合い、週明けの月曜日にとりあえず見学ということに。
彼はもうすぐにでも入部したいということであったけども、入ってからやっぱり嫌でした、みたいなのもの私として嫌だったので、先に1日だけ見学およびどんな部活かの説明をするように話した感じで今日に至る。
ちなみに名前は榎下唯斗(えのもとゆいと)くん。私たちと同じ文学部で1年生。
まず部室で簡単に挨拶をし合う。
「もう知ってるかもだけど、私は高森美結。一応、演劇部部長です。まあ自分で言うのもなんだけど、演劇はかれこれ6年以上やってるかな。これからよろしく」
私が終わると、流れのまま板倉くんへ。
「2年の板倉、板倉勇人です。えーと、演劇経験はまだ少しで、多分榎下くんとあんまり変わらないかな・・・よろしく」
最後に榎下くん。
「文学部1年榎下唯斗です!この間の文化祭で初めて演劇見て興味が沸きました!色々考えて入りたいって思うようになりました!経験はないですけど・・・元気だけは取り柄なのでよろしくお願いします!」
見学と話、どちらが先がいいか聞いたところ、やっぱりまずは見てみたいとのことで、教室へと移動し、基礎練から発声、簡単な即興を2回ほど行った。
終わった後、私は感想を聞いてみた。
「どうだったかな?練習は結構地味だから思ってたのと違ってたりしたかな?」
「あ、はい!思ってたのと違ってたのですが、いい方向というか凄く楽しそうだなって思いました!」
「へぇ」
これはちょっとびっくり。それと同時に私の中での期待感が嫌でも沸き上がり笑みがこぼれる。
「ふふふ、じゃあ練習の感じは問題なさそうだね」
少し休憩を挟み、今度はこれからどんな感じで練習をしていくか確認。基礎練は問題なくてもそっちで何かあったりしても嫌なので、しっかり説明をする。
「さっそくなんだけどね」
「はい」
「入部してくれれことになったら、役者として4月に行う公演に出演してもらうことになるけど大丈夫かな?あ、一応今日やったみたいな即興も基礎力つけるためにやったりすることもあるけど」
まあ演劇部に入りたいイコール役者をやりたいってことだと思うけど確認。
「はい、大丈夫です!むしろいきなりやらせてくれるなら嬉しいです!」
やっぱりオッケーだね。
「練習は学校空いてる平日に、だいたい3~4時間。進み具合によっては長くなる場合ももちろんあるよ」
「はい、わかりました!」
高校は運動部だったみたいだからむしろ楽なのかもね。
「私たちは3人しかいないからさ、裏方の仕事、舞台装置・・・って言ってもよくわからないかもだけど、舞台で使う道具とか衣装とか、演劇だけじゃなくてそういうこともするけど・・・」
「大丈夫です!入ろうかなって思ったときにそういうことも色々調べたので!」
私が最後まで言う前に彼はそう答えた。何か色々心配していたことはあったけれどもなんか全然大丈夫そう・・・?
「・・・えーと、私からはこんなくらいかなあ。板倉くんからは何かある?一応私よりも立場的には近いだろうし」
「え、僕から?」
まさかそんなことを聞かれるなんて思わなかったかのような反応。まあ私も最初は聞くつもりなかったけど。
「えーと・・・」
「はい!」
「他に同級生もいないし、こんな少ない人数でうまくやっていけるとかって不安じゃない?」
用意していたわけじゃないみたいだけど、なかなかいい質問。確かにその問いに対する答えは私も気になる、かも・・・?
「少し不安はあるかも知れませんけど・・・逆に同級生がいないって気楽にやれそうですし、少人数も逆に結束力とか凄くなりそうで楽しそうかもですね!」
だんだんと笑顔になり、彼はそう答えた。
そんな受け答えした彼に私と板倉くんは思わず顔を見合わせた。たぶん考えてることは同じだろう。
「すっごい前向きなんだね。それなら大丈夫、というかむしろこっちからお願いしたいくらいだね」
「僕も同じく」
もともと入る気持ちは強かったとはいえ、不安もきっとないわけじゃない。それでも何があろうとも、やってやるって強い気持ちなのだろう。その気持ち、私たちはちゃんと受け止めなきゃね。
「ようこそ、演劇部へ。改めてよろしくお願いします。君の楽しい舞台は始まったばかりだよ」
こうして新しい部員を迎え入れ、本当の意味での再スタートを切った。
あとがき
少し駆け足気味でしたがこれにて終了です!
メールを受け取ってからここまで、どういう構成にしようか結構迷った結果、ここまで今回のお話で書きました(^o^)/
そして恒例の登場人物紹介を・・・!
・・・登場人物紹介5・・・
榎下唯斗(えのもとゆいと)
文学部1年生。大学入学後、特に部活やサークルなどは入らず。
中学、高校時代はバドミントン部に入っていた。決してレギュラーではなかったが、明るい性格で誰からも好かれてたり、下級生からも慕われていた。
趣味はスポーツ観戦。野球・サッカー・テニス・・・もちろんバドミントンもと、どれが好きとはではなく、幅広く好き。
・・・とまあこんな感じですね。毎度のことながら、あんまり書きすぎるとこれからのネタバレにもなりますし(笑)
演劇部に入った理由とか、今後本編で彼についてはどんどん追加していく予定です( ̄ー+ ̄)