私たちの「舞台」は始まったばかり。~in University~ 作:かもにゃんこ
察しがいい人とかはその言葉だけで通じて「アレ」「あ、アレだね」「そうアレ」・・・みたいなやり取りもあったりなかったり(;'∀')
今回は勇人くん目線の物語となります!ちょっと演劇の話が多めですが、ほんわかな2人のやり取りもありますよー(^^)/
授業が終わり、僕たちのグループもパラパラと解散していく。自分は特にこの後授業があるわけではないので荷物をゆっくりと整理していた。
ふと高森さんを見ると、まだ机に座っていておそらく台本と思われる冊子を見ていた。
授業が終わったのに何をしているのだろうと思い、ついつい見続けてしまうと気配に気がついたのか、目線に気がついたのか・・・。
「どうしたの?」
とこちらを向く。
「あ・・・いや」
別に彼女のことが好きだからとかそういうわけで見ていたわけじゃないけども、何故か躊躇してしまう。
これじゃ言わない方が逆に怪しい人になってしまう・・・思い切って言うしかない。
「あ、うん、授業も終わったのに何してるかなって思っただけ」
なんか若干恥ずかしくなり、気になる半分、逃げたい半分の気持ちにもうなってはいた。
そう思っているうちに高森さんは僕の方に来る。どっちにしろもう逃げられなくなっちゃいました。
「あ、うん、もらった台本とか古文とかどんな内容か気になったから今読んじゃおうかなって思って」
「そうなんだ」
「うん。何か気がついた点とか早めに見つけといた方がいいかなって」
「へぇ・・・」
それならまだ来週まで1週間あるし、その時までに、というかそもそも家に帰ってからでもいいのでは?と思う。
そんなことを考えていたら高森さんはニヤっと笑うと、
「今何か変なこと考えてたんじゃない?」
と突っ込まれた。変かどうかはわからないが、確かに考え事はしていたが・・・。
「ふふふ、本当かな?なんか顔に出てたから。そういうところはあるんだね」
そんなことまで言われてしまう余計にどう反応していいのか、どう返せばいいのかわからなくなりどもる。
「いや、えっと・・・」
「あ、ごめん、ちょっと余計なこと言い過ぎたかも・・・」
自分では自覚はなかったけど、困った感じが態度に出てしまったらしい。
「あ、いや、別に言えないことを考えたわけじゃないから・・・」
なんとなく自分に罪悪感があるような気分になりそう言い訳し、このままというのもなんとなく嫌なのでさっき思ったことを言う。
「うん、まだ来週の授業まで時間あるし、それにこんなところで読まなくても家に帰ってからでも・・・って思っただけ」
それを聞いた高森さんはキョトンとする。
「あ、そんなこと?あはは、確かに変かもね、私が」
クスクスと笑いながらそう言う。なんだろう、女の子ってよくわからない・・・。
「確かにそうなんだけどね、お家帰ると誘惑が多すぎて絶対無理だから」
「あー、なるほど・・・」
それはなんとなく自分にもわかる。家よりも学校とか図書館の方が勉強もはかどったりする。
家だと勉強しようと机に座ったら、何故かパソコンのスイッチが入ってしまったりね。
なんか同じことを考えてるというだけなのに、なんとなく嬉しくなる。僕がそんなことを考えていると高森さんは気がついたのかのように。
「あ、なんか帰るの止めちゃったみたいだね。声かけちゃったの私だし」
たははと笑う。確かに声かけたのは彼女の方だったけど・・・見てたのは僕だからとかは恥ずかしくてそんなセリフ言えない。
「いや、もう授業ないし全然大丈夫だから」
そう僕が話すと、高森さんは何やら考える。数秒たったあと、何かを思い付いたのか、うんと一度頷いてから話し出す。
「あの、板倉くんさえ良ければって感じなんだけど」
「え?」
「板倉くんも一緒にどう?」
想定外のことを言われ、普通に無言になる。女の子にこう言う感じで誘われた・・・いや、授業のことだから誘われたとかそういうのではないかも知れないけども、こういうことは正直小さい頃以来な気がする。
断る理由もないけど、了解する理由もないし・・・いや、そもそも演劇なんて未経験な自分が彼女の手伝いをして役に立つのか。でもじゃあなんで誘ったのか?
・・・みたいなことを頭がぐるぐる回る。でも・・・今の自分には逃げるという選択肢は最初からないことに気がつく。また繰り返すなんてことは絶対したくないから。
文章としては結構な長さになってしまったが、考えた時間はほんの数秒だったと思う。そもそも答えは最初からひとつしかなかったけれど。
「うん、大丈夫」
それだけ、短い一言しか言えなかったけど、少し緊張した表情になっていた高森さんもぱあっと笑顔になる。
「ありがとう」
「・・・高森さんみたいに経験者じゃないから力になれるかわからないけど・・・」
そんな笑顔で期待されたって困ります、って続けて言いたかった。言える度胸はないけど。
「ううん、一緒にってだけで助かるから。自分だけだと思い込みとかあって間違えちゃうかもだし、それに未経験者の目線で考えることも大切だって思うから」
「そういうものなんだ」
正直あんまりよくわからないけれど、必要とされてるなら普通に嬉しい。
そういうわけで高森さんがもといた場所へと戻る。3人がけの机の左端に彼女は座るが、当然その真横に座ることは出来ず右端へと僕も座る。
まずは台本に登場人物が何人いてそれぞれのセリフがどれくらいのあるのかを確認するとのこと。それに先立ち、高森さんはとある質問をしてくる。
「板倉くんはさ、全員出た方がいいと思う?それとも台本を書いてくれる2人はそっちに専念してくれる方がいいと思う?」
「え・・・」
真面目な口調なので冗談で言っているわけではないことはわかるけど、そういうこと初心者の僕に聞くの?と思う。
「ふふ、なんで聞くの?って思ってるでしょ?」
察せられた。聞かれた以上、こちらも頷く。
「経験者のね、私からしてみるとね、やっぱり台本書くのって大変って知ってるからどうしても気を使って出なくていいよって思っちゃってるから」
たはは、と苦笑いを浮かべながらそう話す。
「そうなんだ・・・」
「そうそう、だから聞いてみたの」
「そっか」
少し考える。確かにこの話に関しては経験者である高森さんに判断は委ねられる。多少の不平不満があったとしても「経験者が言うなら」の一言ですべてが解決すると思う。だからこそ、彼女はみんなが一番納得するようにしたいだと思う。
みんなで相談してからと言うのも結局は彼女が最後はオーケーを出すからそれも微妙だよね。
「難しいね・・・」
「だよね」
もし自分が台本を書く立場だったらどうかな。時間追われるよなあ、なかなか書き上がらなかったらどうしようかなあ、とか考えて確かに役どころの話じゃないかも・・・。
ただ、自分は演劇に、演じることに興味があってこの授業を受けたというのはあるよね。台本を書き上げた後なら多少は余裕が・・・なら・・・。
「あの、高森さん」
「うん」
「こういうのってどうなのかわからないけれど・・・えっと・・・」
自分の話をまとめるとこう。
とりあえず台本は全員分出れるようにする。でも最初のうちは2人には後半を仕上げるのに専念してもらう。そのときは2役を誰かにしてもらう。
それで書き上げたとき、2人に聞いて出来そうなら2役の片方をやってもらう、という感じ。
要点だけまとめたからこんな分かりやすいけども、話を聞いた高森さんは単語単語を書いたりして僕の話を整理しとから、実際の説明は酷いものだった気がする。
「なるほどね」
「その・・・全然アレでごめん・・・」
「アレって何?」
「いや・・・」
「ふふふ、なんとなくわかるよアレ。ちょっとからかってみた」
「・・・!」
クスクスっと笑う高森さん。僕はもうただでさえテンパってたのにその一言でもうわけがわからなくなる。
「ごめんごめん、うん、さっきの話なんだけどね、いいと思うよ」
「え?あ・・・ほ、本当に?」
「うん。これでいこうかなって思う。2人も納得してくれそうないい案だと思う。まあ、結局は2人に決めてもらうって逃げ道作ってるだけだけどね」
「あ・・・」
そう言われて自分らしい意見だなと。何かにつけて逃げ道作って、言い訳して、そんな感じで今まで来ていたから。
ただ今回に限ってはそんな性格の自分が生きたかなって。
「どうしたの?」
「あ、うん、なんか採用されると思わなかったから」
「そう?私にはそんな柔軟な発想ないよ。ほら、私って硬いし」
クスっと笑いながらさっきの自虐ネタを言う。
「ふっ・・・!あ・・・」
反射的に笑ってしまった。悪い訳じゃないのだけど、なんとなくしまったと思ってしまう自分。でもそう思っている自分とは正反対に、高森さんは・・・。
「あ、笑った。今までなんかそういう顔見せなかったからなんか良かった」
と笑顔でそんなことを言ってくれた。なんかよくわからないけど変なこと思われてなくて良かった。
・・・と、高森さんは何故か僕がいる方とは正反対の方向を向いてしまった。あれ・・・さっき良かったとかそんな感じのこと言ってくれたのに・・・。
「・・・あの、やっぱり失礼だったかな・・・?」
そんな彼女の姿を見て僕は静かにそう言った。でもその言葉は彼女自身によってすぐに上書きされる。
「違うよ」
まだ向こうを向きながらそう否定する。えっと、じゃあどういう意味でそういうことに・・・?僕がそう疑問に思うと同時に高森さんはこちらへと顔を向けてくれる。
「・・・いやね、自分で良かったとか言ったのがね、なんか恥ずかしくなって」
少しだけ頬を赤く染めた彼女に僕は、あの時出会って以来一番ドキドキしてしまった。
ちょっと中途半端ですが、お話はここまでです。
ちょっとギクシャクしている部分もありますが、2人は結構相性が良かったりするんじゃないですかね?って作者が言うのも変ですが(笑)
これからも2人の関係、楽しみにしてくれたら嬉しいです(*^▽^*)