龍に育てられし息子と麦わらを被った男の出会い 作:レイリーン
〜某所〜
「お母さん、お母さん。」
「あら、まだ寝てなかったの?もう寝なきゃいけない時間よ?」
「ねぇ、お空があかくなってるよ。」
「??なにを言ってるの?もう夜になってるのよ?」
「だってあっちのお空があかいんだもん。」
「…?山火事かしら…?」
子供は母親の手を引き自分の部屋に連れて行く。そして、窓を指差しながら母親に再度問いかけた。
「ほら、お空があかくなってる。なんで?」
「…!!!!!」
子供の指差す先を見た母親は言葉を失った。そこには夜にもかかわらず赤く輝く空が広がっており、時折閃光が走っていた。まるで煉獄が顕現したような光景が広がっていたのである。
「お、おい!なんだあれ!!」
「一体なにが起きてるの…!」
「おぉ…、天が怒っておる……!」
「ま、まだドラゴンがいるのか…」
この光景に人々は恐れを抱き、竜の生き残りがいることを理解してしまった大人たちは竜の報復を想像し、さらなる恐怖を抱いてしまってた。
……そして、この光景を遠くから見守っている一人の魔道士がいた。
いや、魔道士で『あった』者がそこにはいた。
???「…どうやら僕が行く必要はないみたいだね…。」
赤く染まる空を見ながら、黒い衣装に身を包み一冊の本を抱えた青年は楽しげに笑っている。
???「END、アクノロギア、そして荒ぶる太陽、果たして僕に終わりを届けてくれる存在はどれになるんだろうね…。」
彼は笑う、遥か未来に訪れる自身の終末を想像しながら…。
〜上空〜
テオ「ゴォォォァァァァ!!」
アクノロギア「グゥゥァァァァァ!!」
テオとアクノロギアの戦いは熾烈を極めた。テオが全てを焼き尽くす炎を吐けば、アクノロギアは全てを滅ぼすブレスで相殺する。アクノロギアが強靭な爪でテオを引き裂こうとすれば、テオは身体に纏う炎を強化し爪ごと燃やし尽くそうとする。お互い一歩も引かない、凄まじい力と力のぶつかり合いが続けられていた。
だが、僅かに押しているのはテオの方であった。それは、時折テオが起こす爆発にあった。テオの間近で起こる爆発もあれば、離れたところで起こる爆発もある。更にはアクノロギアに付着した粉が突然爆発することもある。更に驚くことに、この爆発はアクノロギアに確かなダメージを与えていたのである。そう、一切の魔法が通じないはずの『魔竜』にである。
アクノロギア「(おかしい…!なぜ『魔竜』である我に奴の起こす爆発は効いてしまうのだ!!)」
アクノロギアは魔力を喰らう竜であり魔法の類は通用しない。竜が用いる魔法も例外ではない。そのためテオが起こす爆発が自身に通用していることに戸惑いを隠せなかった。
その僅かな戸惑いを見逃すテオではない。アクノロギアの懐に飛び込んだテオはその鋭い牙をアクノロギアの首に突き立てた。
アクノロギア「!!ぐおぉぉぉ!!」
アクノロギアは必死にテオを振りほどこうとするがテオは離さない。千載一遇のチャンスをものにしようとテオはあらん限りの力を込めて牙を食い込ませる。
アクノロギア「この…!!いい加減にせんかぁぁぁ!!!」
アクノロギアは至近距離でブレスを放とうとするが、それを察知したテオは逆にアクノロギアを放り投げる。
アクノロギア「くっ!!(マズイ!)」
投げ出されたアクノロギアにはあの爆発を引き起こす粉が大量に付着している。テオが首を噛みついていた際に付けていたのである。更には放り投げられたことで体制が崩れている今の状況ではまともに衝撃を受けてしまうことになる。
アクノロギア「舐めるなぁぁぁ!!」
アクノロギアは一気に体を回転させて体制を整えると、くるであろう爆発に備えて体を硬ばらせる。
テオ「………。」
しかしいつまでたっても爆発は起きずテオの追撃もない。僅かな隙を見逃さなかったテオに有るまじきことである。
アクノロギア「(どういうことだ?何故今爆発を起こさなかったのだ?)」
ここでアクノロギアはある可能性に気づく。それを確かめるために敢えて接近戦をせず連発型のブレスで遠距離からの攻撃に切り替えた。
テオも負けじと炎を吐き反撃する。そして、黄色い粉を大量にはためかせた瞬間、アクノロギアはその粉に敢えて飛び込んだ。
アクノロギア「(我の予想が正しければ…!)ぬうぅぅん!!」
粉の中に飛び込んだアクノロギアは体を急激に回転させ突風を巻き起こし黄色い粉を吹き飛ばす。次の瞬間、金属を弾くような音が響いた途端吹き飛んでいた粉が爆発を起こした。
アクノロギア「やはりな…。あの爆発はお前の魔法で引き起こされていたのではなく、お前自身の身体から生成されていた鱗粉が引き起こしていた粉塵爆発であったか!!」
アクノロギアの予想は正しかった。テオは強大な魔力から引き起こす炎だけでなく、翼から散布する塵粉を使って粉塵爆発を引き起こす力を持っていたのである、
ただの粉塵爆発と思うことなかれ。灼熱のマグマを寝床とするテオの身体から生成される塵粉はそれだけで恐ろしい熱量を持っている。その塵粉が引き起こす爆発は凄まじい威力を誇り、人間の街一つ吹き飛ばすことも可能。更には塵粉の種類によって遠距離、近距離と使い分けることもでき、相手に付着させて連鎖爆発を引き起こすことも可能となっている。
アクノロギア「これだけの威力だ、我が貴様の魔法と思うのも無理はない。しかし!これが貴様が撒き散らす鱗粉が要因と分かれば我には通用せん!!」
アクノロギアは高速で移動しながらテオに攻撃する、いわゆるヒットアンドアウトという戦法をとった。体に塵粉が付着したとしても高速で動けば塵粉は取れてしまう。更には絶えず攻撃を加えることでテオが塵粉を散布する機会を与えないようにして、常に動き続け確実にテオを弱らせることを第一としたのである。
テオ「くっ!!」
しかし、テオも黙ってやられる程弱くはない。体に魔力を漲らせ、攻撃を行うアクノロギアへ逆に痛手を負わせるべく全身を覆う炎をより強大にしていく。
二頭の竜の戦いは膠着状態となったが、明らかにテオの方がダメージを受けていっている。しかし、あまりに消極的なテオの行動にアクノロギアは疑問を抱かざるを得なかった。
アクノロギア「(なんだ…?この竜は何を企んでいるのだ…??)」
何かを企んでいることは明白、しかしこちらの攻撃がテオを弱らせていることも明らかであり、アクノロギアは攻撃を止めることはできなかった。
その時、突如5つの竜の気配が消失し、その気配があった場所から感じたことのない魔力が現れた。
アクノロギア「なんだ!竜達が消えた!?」
テオ「(……ようやくか…。)」
〜エクリプス前〜
グランディーネ「…これで魂竜の術は完了です。」
スキアドラム「…なんとか間に合ったか。」
バイスロギア「アンナよ、この子達を頼むぞ。」
アンナ「わかりました、この子達は私が責任を持って400年後の未来までお連れします。」
イグニール達は魂竜の術で今にも消えそうな光になっている。それぞれの子供達はこれから起こる試練など露知らず安らかな寝顔をみせていた。
グランディーネ「ウェンディ…。私はいつまでもあなたを見守っています…。元気でね…。」
メタリカーナ「…目つきが悪いのう。将来勘違いされて苦労するぞ。少しは素直になっておけ…ガジル…。」
バイスロギア「スティングよ…、お前には竜を倒したという記憶が付加される…。しかし、驕ることなく力を磨くのだぞ…。自信が慢心にならんようにな…。」
スキアドラム「ローグ…、お前にも私を倒したという記憶が与えられる。だが、力を過信し大切なものを見失うことがないようにしてほしい…。失ったものはもう手に入らない。大切なものを手放さないようにな…。」
イグニール「(ナツよ…。お前はこの中で誰よりも辛い選択を迫られるだろう。悪魔として、竜として、そして、弟として選択を迫られる…。願わくば、私はお前がお前であるための答えを見つけてくれることを願っているぞ…。そしてテオ…、本当にありがとう…。運命の輪廻の中で再び出会うことができたなら、今度はゆっくりと語らいあおう…!)」
そして眩い光が辺りを包む。光が収まったとき、魔法陣もなくなっており安らかな寝顔をした5人の子供達だけが残されていた。
アンナ「みなさん、後は任せてください…!太陽と月が交差するとき、十二の鍵を用いてその扉は開かれる…!!今がその時です、私の子孫たち!!」
キイィィィィン……!!
日付が変わったその時、エクリプスが突如光り出し扉が少しずつ開き始めた。
たが次の瞬間、エクリプスの横を閃光が通り、その閃光はエクリプスの後ろにあった山を吹き飛ばしてしまった。
アンナ「な…!!」
アンナは閃光が来た方向に振り返ると、黒い影が凄まじい速度で近づいていることに気づいてしまった。
アンナ「あ……、あぁ……!!」
その正体はもちろんアクノロギア、仕留めるはずであった5頭の竜が突如としていなくなったことで、アンナが目の前の扉を使いどこかへ逃がしたと判断したのである。
目の前の獲物を横取りされた気分になったアクノロギアの怒りは相当なものである。エクリプスとアンナを目視できる距離まで近づくと、全魔力を込めたブレスを発射すべく力を溜め始める。
アクノロギア「貴様…!!我の獲物を逃すとは万死に値する!!!その忌々しい扉とともに、塵一つ残さず消滅させてやろう!!!!」
アクノロギアかブレスのチャージを行う最中、アンナは祈るようにエクリプスの扉にしがみついていた。
アンナ「(お願い!!早く開いて!!皆の希望が、大切な仲間たちから託されたこの子達が死んでしまう!!)」
たが無情にもアクノロギアのチャージが完了し、一気に上空に飛び上がったアクノロギアは、エクリプスに向かってブレスを放つ。
アクノロギア「滅びるがいい!!愚かな人間よ!!」
アクノロギアのブレスか発射される。そこに、赤く輝く光が割って入りアクノロギアのブレスを受け止めた。
テオ「ぐうぅぅぅぅぅ!!」
テオも全ての魔力を込めて炎を纏いブレスを受け止めるが、アクノロギアの放ったブレスも全魔力がこめられている。徐々に押し込まれ、テオの身体も悲鳴を上げ始めた。
テオ「人間!!早く扉に入れ!!もう保たんぞ!!!」
アンナ「は、はい!!」
アンナはあまりの事態に呆けてしまっていた。その間にエクリプスは開いており、アンナは急いで子供達を連れてエクリプスへと入っていった。
アンナ「あの…、ありがとうございました!!」
アンナが感謝の言葉を述べると同時にエクリプスは閉じて行く。そしてテオもブレスを受け止めている状況から脱出するべく残った魔力を全て塵粉と混ぜ合わせていく。
テオ「(このブレスを相殺するにはこれしかない!!残った全ての魔力と塵粉を使うことになるが…、止むを得ん!!!)」
テオの周りを塵粉と炎の渦が纏わり付いていく。ブレスを受けながらも、まるでテオが小さな太陽のように丸く輝き出したのだ。
アクノロギア「なんだ…。何が起きようとしている!!」
テオ「ぬぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
直後、テオを中心にまるで全てを飲み込むように大爆発が起こる。宇宙の始まりの時に起こるビックバンのように、凄まじい規模の爆発であった。
これこそがテオの切り札、『超新星』である。身体中の塵粉と魔力から起こる獄炎を混ぜ合わせ、自らを中心に全てを吹き飛ばす大爆発を起こす。嘗て人間と竜に戦いを挑み、あらゆるものを破壊してきたテオの必殺の一撃である。
アクノロギア「うおぉぉぉぉ!!」
あまりの衝撃に流石のアクノロギアも吹き飛ばされてしまった。
アクノロギア「くっ…!!」
体制を整え爆発が起こった場所に向かうが、辺り一面煙に覆われており何も見えなくなっている。
アクノロギア「何処だ…!何処にいる…!!」
暫くして煙が晴れてくると、そこにテオの姿はなく、離れたところにはところどころヒビの入ったエクリプスだけが佇んでいた。
アクノロギア「…ふん、自身も一緒に吹き飛びおったか…。」
ヒビの入ったエクリプスを一瞥すると、アクノロギアは興味を失ったかのようにその場から飛び去った。
……テオが『超新星』を発動する直前、エクリプスがその魔力に呼応して輝き、その光がテオを包んでいたことは誰も知らない…。
やっと…、やっと執筆する時間ができました(涙)
なんで小説書こうとしたら突然仕事が増えるんですかね(泣)
これにてフェアリーテイル編は終了となります。
テオがなぜ急に協力したのかは後日閑話として投稿したいと思います。
今は原作に入ることを最優先します!!
原作の時間軸に追いつくの、いつになるかなぁ…(遠い目)