機動戦士ガンダム0080 in Winter   作:kenji_kk

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マクシミリアン・ローゼンタール

ジオン公国軍突撃機動軍地球降下師団マ・クベ大佐傘下の士官で第二次地球降下作戦で地球に降りた機動兵器のパイロット。

 

祖先はフランクフルトの資産家だったが地球での居住権を得られる程の地球連邦政府との関係を持っていなかった為、投資先であった工業コロニーが多くあつまるジオン共和国へ自ら移住した。

ザビ家によって宇宙コロニー自治政府の実権が握られて君主制に移行すると公国首脳は傀儡に過ぎず、一家は独裁政権に財産を接収される前に公国内で有利な立場を得る目的でザビ家へ積極的に多額の援助を行い、ザビ家と強い繋がりを持った。

ザビ家支配下で軍備増強策が進められ、コロニー内の有力家系の子女も軍に参加するようになり一族から選ばれて士官学校へと進んだ。

 

士官学校時代より積極的にザビ家の長子ギレン・ザビの政治団体へ参加した。

軍の要職はザビ家とその協力者で占められ、参謀本部が国の最高意思決定機関で、思想家のダイクンの死後にダイクン派が粛清されても若手士官の間では実務家のザビ家を支持した。

 

1月、かねてよりザビ家の次男ドズル・ザビ中将の指揮で開発されていた機動兵器ザクを大量投入させて中立都市であった政治経済の中心である月面最大の都市グラナダへの侵攻で戦争の火蓋は切られた。

頭頂高18mにもなる人型機動兵器は高い汎用性と連邦軍に先駆けて実用化にこぎ着けた姿勢制御機構で所属部隊にも開戦直前まで秘匿にされ、戦力では圧倒的に劣るジオン軍が連邦を圧倒し沿岸部では戦闘になったが気密区画を無傷で制圧に成功した。

それに続く月を挟んで地球側にあるルウム・サイドの近海でのルウム戦役でもジオン軍は連邦軍に対して歴史的な勝利を収めて連合艦隊を壊滅に追い込んだ。

ザビ家の末子ガルマ・ザビ大佐がルウム・サイドに残った連邦の駐留軍の掃討の指揮官となりそれに帯同した。

ルウム・サイドは連邦軍の徹底抗戦によりテキサス・コロニーを除いて気密を失い壊滅した。

 

2月に地球侵攻作戦が発表されるとジオン軍内でドズル・ザビ中将の宇宙攻撃軍と長女のキシリア・ザビ少将の突撃機動軍の間で制宙権争奪が始まったが、それでもジオンの機動兵器は連邦軍の宇宙艇に対して圧倒的な能力差をつけて勢力範囲を広げた。

ドズル・ザビ中将は宇宙要塞ソロモンを得て、キシリア・ザビ少将は地球の資源を独占出来る地球降下作戦の指揮権を得た。

 

3月、月の裏側と地球との間の制宙権を確保したことでキシリア・少将隷下地球降下部隊最高司令マ・クベ大佐が第一次地球降下作戦としてバイコヌールに降下して制圧すると、第二次作戦として北米大陸方面隊司令となったガルマ・ザビ大佐直属の機動部隊の隊長として機械化師団とともにキャルフォルニア・ベースに降下して目標の北米大陸の工業拠点であるサンフランシスコを難なく制圧した。

機動兵器は連邦の機甲部隊に対して機動力で上回っているだけでなく誘導兵器を無効化するミノフスキー粒子下では地対空戦闘でも戦果を上げた。

 

精鋭を集めた所属部隊の任務はジオン公国の公子でありながら前線に出るガルマ・ザビ大佐の護衛にあった。

ジオン公国はザビ家のカリスマ性で成り立っている国家の為にもしものことがあったら体制に関わることであった。しかし、短期決戦で地球を制圧する予定が戦線は長期化の様相を見せた。機動兵器は圧倒的な戦力ではあるが、それを上まる物量を連邦軍は投入して戦線が膠着化した。

北米大陸中央部では支配権争いがまだ続いていたが、東西海岸の大都市ニューヨークとサンフランシスコを制圧した事で地元の首長が協力的になったこととガルマ・ザビ大佐の政治手腕で戦線が安定し、マ・クベ大佐より戦況の厳しい欧州戦線へと移動の命令が出た。

ザビ家から離れることは一族から求められていたこととは違うが軍務に付いたが逆らうことは出来なかった。

 

9月、欧州の連邦軍をイベリア半島まで撤退させたが戦線はアフリカ大陸にも広がり、ザビ家の近くに戻る目処は全く立たなかった。

国力が連邦の10分の1と劣るジオンは接収したキャルフォルニアベースの工場で宇宙で開発されたザクから地球上では不要になる気密室やロケットモーターを省略した重力下専用の陸戦型ザクをフル稼働で生産させたが前線では共食いを行わなければ部隊を維持できなかった。

陸戦型ザクは宇宙へ戻せないリスクで設計変更したが環境がコントロールされたコロニーと違い戦線が限界まで広がり戦地の要望でザクをベースにした様々な局地仕様が設計されて生産能力を逼迫させた。

キャルフォルニアベースで予てより開発されていたザクの後継機グフの先行試験機が実戦評価の為に送られて来た。

 

ザクの後継機開発は地上侵攻後すぐに開始された。

物量の少なさをより高性能な機体で補う為にザクの修正ではなく地上での白兵戦用に再設計された。

一部は宇宙の教導隊にも送られたが僅かしか製造されていない実戦試験のパイロットにザビ家の護衛隊をしていたこともあり選ばれた。

 

先行試験機と言えども、重機動兵器に分類されて機動性も耐弾性もザクを上回り連邦の重機関砲の直撃にも耐えられ、ヒートロッドやフィンガーバルカンの近接武装が充実し、尚且つ、ザクの120mm榴弾砲や280mm無反動砲を問題なく使用できた。

 

10月、連邦の新型宇宙強襲揚陸艦を追跡していたガルマ・ザビ大佐がシアトルで戦死し、一族から期待されていた使命は失敗に終わった。

ドズル・ザビ中将麾下宇宙攻撃軍のランバ・ラル大尉が宇宙から降下して追撃に当たることになった。ランバ・ラル大尉は粛清されたダイクン派の生き残りでこの作戦への意気込みは容易に想像出来た。

同時期にキャルフォルニア・ベースでグフの大量生産が開始されて実戦配備も始まったが地上のザクを全て置き換えることは出来ず順次、機種転換は進められた。

 

11月、一時はヨーロッパ大陸の端まで追いやった連邦軍に西ヨーロッパの支配権を奪われて地球降下師団は再編成して鉱山基地の本拠地のキエフがある東ヨーロッパ平原を決戦の地と定めた。

ラル隊がガルマ・ザビ大佐の仇討ちに失敗し、新たにキシリア・ザビ少将直下の特務部隊が地球へ降りて来た。

宇宙で開発され重装甲、新型ロケット砲と熱核ホバージェットを搭載した高い機動力の新型の重機動兵器ドムを持参したが官僚主義のマ・クベ大佐と下士官上がりの準士官の特務部隊とは合わないことは誰の目にも明らかだった。

特務部隊は目標の宇宙強襲揚陸艦を沈めることが出来ずにオデッサ攻防戦に突入した。

 

連邦軍内の内通者から連邦軍の主力は西欧に侵攻して来た部隊であり、殆どの戦力は西部戦線に配置された。

所属部隊は本部のあるキエフから500km、クリミア半島の先、黒海の東北の東部戦線に配置されて、グフとザクの混成部隊となり合わせて自機をグフ重装型に換装された。

前線で任務に応じて改造が施されることはあった。

 

グフの機動力に特務部隊のドムの補修部品をマ・クベ大佐の一存で転用してさらなる装甲化と火力の強化を施した。

艦艇の対空機銃の直撃にも耐えられ、1機でも強襲揚陸艦を撃沈出来る火力を、最悪でも刺し違えて航行艦橋を破壊して戦闘継続出来なくすることを期待された。

 

特務部隊が追跡している連邦の強襲揚陸艦は反重力ユニットを搭載し、作戦行動半径の狭い機動兵器を前線まで運搬する。

対拠点用にメガ粒子砲と最前線で単艦で行動出来るように多数の対空機銃を持っていることが分かっている。

搭載している連邦の新型機動兵器は艦砲のメガ粒子砲の小型化に成功して十機以上のザクを撃墜した。

 

アナトリア半島まで特務部隊は追跡したが、連邦の機動兵器との戦闘で戦死者を出して見失った。

敵の軍艦を1隻沈めても戦略レベルでは西部戦線の方が重要だったが、連邦の新型機動兵器に突破口とされるのを嫌った最高司令官のマ・クベ大佐から黒海沿岸には同じ目標とする部隊が幾つも配置された。

ソチ周りでオデッサを目指すならば特務豚よりも先に迎撃出来、ザビ家への忠誠を示すことが出来る。

 

各地で戦闘が開始される中で、東部戦線では大規模な戦闘にはならなかった。

時間が経過する内に目標はバルカン半島から東ヨーロッパ平原に入ったと考えるのが妥当と思えてきた。

結果として、大きな損害を出すことなく背後で味方のHLVの打上げが開始された。

 

部隊は孤立することを避ける為にオデッサへ向かったがクリミア半島で他から撤退した部隊と合流して部隊規模が大きくなりオデッサに入るこを諦めHLVでの脱出を断念した。

ドニエプル川を北上した後、東進して欧州大陸を横断してジオンの地球上のもう一つの拠点北米大陸のキャルフォルニアベースに合流することにした。

 

宇宙移民が進み幹線道路も補修されずに至る所で寸断され、兵站を失い行動を伴にした補給部隊を失えば全滅を意味する。

追撃の敵機甲部隊に機動兵器の姿が増え始め、隊員や物資の消耗は激しくなった。

僅かに点在する都市は連邦側に付いていると考えるのが妥当だった。

撤退の過程でグフ重装型の専用武装は使い切った。

隊員の一人がハウゼン隊の塹壕を思い出してそこへ逃げ込んだ。

 

グフ重装型のフィンガーバルカンなどの専用武装は前線で改造されたものでHLV内で補充出来なかったが、ザクを越える機動力が失われた訳ではなかった。

ザクと共用の武装は殆ど手付かずで庫内に保管され、部下たちの士気も上がった。

 

 

U.C.0080-02-01T12:30+9:00

シベリア ゴミ山

 

ここ数日で雲は最も薄く空が明るかった。

2週間前にHLVの入り口付近まで侵入を許して部隊に死者を出した一件より連邦は再び地雷源の向こう側から定期砲撃を繰り返した。

塹壕の前面に全ての機動兵器を展開させ、機体も半分地面に埋めて時折120㎜榴弾砲を牽制射撃した。

 

この距離ではこちらの榴弾砲も戦闘濃度でのミノフスキー粒子散布下では射程範囲外となるが連邦の無誘導弾も的外れなところに着弾するだけだった。降り積もった雪を吹き飛ばすだけでHLV本体までは到達しない。

連邦が昨日も一昨日もいつものように無意味に大量のロケット弾を撃ち込んでいる時にそれはやって来た。

宇宙で何度も見た目を覆わんばかりの強い光、メガ粒子砲の艦砲だった。

 

衝撃はコクピットまで伝わり、雪煙で視界は閉ざされ、地面は掘り返され機体は何度も吹き飛ばされ自分の体はコクピット内でかき回された。

それが収まったとき、どれ位の時間が経過したのかも分からないが瞬間的に意識が飛んでいた気がした。自己診断機能で機体に異常は見られなかったが、通信ケーブルが切断されて友軍と交信が出来ない。放射線に汚染された雪で視界が全く絶たれていた。

無事だったのは装甲の厚い重機動兵器だからではなく単に運が良かっただけなのかもしれない。これだけの艦砲射撃となると衛星軌道上から考えられ、制空権も連邦に奪われたことになる。

今の砲撃でこちらの武装は散り散りとなり、使えるのは120mm榴弾砲とハードポイントの予備弾倉、マニュピュレータに固定されていたヒートサーベルだけだった。

 

背後で炎が起きた。

爆発の規模からHLVの原子炉が誘爆を起こしているのは間違いなかった。

雪煙の中にメガ粒子砲の軌跡が映った。

先日の侵入事件に来たグフを上回る高い推力を持った連邦の機動兵器に違いなかった。この二ヶ月間、機関砲しか使っていなかったが、あれが特務部隊が追跡していた連邦の新型宇宙強襲揚陸艦に搭載された機動兵器用の小型メガ粒子砲であるのは間違いなかった。

 

厚い雪煙の中で強力なバーニアの炎を目安に着地した付近を狙って120㎜榴弾砲の引き金を引いた。

レーダーも光学照準も無意味なこの状況で当たる訳はなかったが、期待通りに着地するとすぐに連射性能の低い榴弾砲につられてメガ粒子砲が応戦して来た。実態弾と違ってメガ粒子砲のプラズマ化した粒子は装甲に触れた瞬間に融解する、ザクより重装効化したグフとて例外ではない。

艦砲を機動兵器用に小型化したもので装弾数は大したことがないのは容易に想像出来る。弾幕に釣られてエネルギー切れになる筈だった。

 

予備弾倉まで榴弾砲を撃ち尽くしたところで連邦のメガ粒子砲の砲撃が止んだ。榴弾砲を捨ててヒートサーベルを引き抜いた。

ブレードが赤熱して相手の装甲を溶断する今残っている唯一の接近戦武装だった。

雪煙の中に微かな輝きが見えた。今まで何度も見た荷電粒子剣が敵の位置を教えてくれる。方角は分かるが測距機はこの状況下では使い物にならない。後は自分の勘を信じるだけであった。

 

既にHLVを失って後はなかった。

この先の地面がどのような状況になっているのか関係なくスロットルを全力で押し込んだ。

こちらの位置を悟られない為にぎりぎりまでサーベルを相手の死角に構えて、瞬時に最大電力をヒートサーベルに流すと1秒程でヒートサーベルは最大出力で赤熱する。

狙いう箇所は連邦の機動兵器のコクピット、ジオンの機動兵器同様に胸部にある筈で上段から全力で打ち下ろした。手応えは確かにあったが想像した程にサーベルが食い込まない。

コクピットの隔壁が砕けて痛みは一瞬であった。

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