帰想神社夢(きそうじんじゃゆめ)   作:安幸 広

2 / 4
第2話 「変化」

おみくじを手に取る。

 

「これが50円だもんなぁ...ただ印刷されてるだけなのによくみんな信じるよな」

 

神主が聞いたら激怒しそうな内容の独り言である。

 

「え、これ大吉とか小吉とか全く書いてない...」

 

普通運勢が書いてるおみくじだが、岳山が引いたおみくじは全く内容が違った。

 

【夢、起きる】

 

「【夢、起きる】...?なんだこれ」

 

これ以外何も書かれていなかった。白地に黒い文字で、筆で書いたであろう文字が浮かびあがっていた。

 

「どういうことだ?他もこんな感じなのか?他も見たいけど金勿体ないしな...ってかこんだけしか書いてないならマジで50円無駄じゃねーかふざけんな!」

 

そう呟くなり神社に背を向け、道へ戻り自宅へ足を進めた。

 

「(ほんといいことねぇなぁ...気分転換に来たのに...クソッ)」

 

単なる寄り道になってしまった苛立ちの中、20分ほど歩き、自宅に戻った。

 

「はぁ...今日は良いことなかったな。さて飯どうすっかな」

 

窓の外を見るともう真っ暗になっていた。時計は午後19時過ぎを指していた。

買い物に行く気力もなく、ストックしてあったレトルトカレーで晩を済ます。

 

「今日はもう考えるのをやめよう...ゼミのことは明日やればいいし。」

 

いつもなら少しレジュメ整理とノート整理、そしてゼミ関連の勉強をして寝る岳山だが、今日は全くやる気が起きなかった。それどころか、普段は12時頃眠気が襲うのに対し今日は現在10時なのにもう眠たかった。

 

「おっかしーな、疲れてんのかな...あ、そういえばあのおみくじどこにやったっけ...まあいいか...」

 

その言葉を最後にベッドに入り、眠りについた。...はずだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あれ...もう朝?」

 

目覚めたのは午前10時。窓の外を見ると、少し曇り気味である。

 

「おっかしーな、さっき眠ったはずなのに...朝早ぇよ...」

 

今日も独り言を呟きながらベッドを出る。

 

「あー、そういや今日3限からじゃん。もうちょい寝るとするか...」

 

そうしてベッドに入ったのもつかの間、スマートフォンから着信音が響く。

 

「何だよ誰だよ...あぁ、朝倉か...」

ピッ

「もしもし?」

《もしもし岳山!お疲れ、んあ?寝てたのか?》

「そうだよ...まあ起きた所だったけど...どうした?」

《いやお前珍しいな》

「何が」

《お前1限の英語寝坊で休むのって珍しいなって》

「は...?」

 

一瞬、朝倉が何を言っているのかわからなかった。英語は1年の時に履修済みである。

 

「いやお前今日木曜日だぞ?俺今日3限からだし英語なんかもう終わってるよ」

《あ?寝ぼけてんのか?今日月曜だしお前俺と英語一緒じゃねーか!》

「(いや...え?)」

《とにかく、4限のあれには来いよ!その時英語のレジュメ見せてやるから!》

「あ、あぁ...」

 

おかしい...

 

急いで電話を切ると、スマホの日時を確認する。

 

「...!!!これって!」

 

スマホのカレンダーを見て愕然とした。映し出された日時は、2年前の5月1日だった。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。